SCP-912-JP
評価: +134+x
blank.png
%E6%98%9F%E7%A9%BA%E3%81%A8%E6%89%8B.jpg

特異性・甲を発現する様子

アイテム番号: SCP-912-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-912-JPはサイト-8181の標準人型オブジェクト収容セル(低身長の幼児仕様にカスタマイズ済)に収容されています。

SCP-912-JPには、年齢に応じた義務教育と同程度の教育カリキュラムを受けさせて下さい。その他、コミュニケーション上の注意事項に関しては、別紙SCP-912-JP-標準対応マニュアルを参照して下さい。

SCP-912-JPを実験やストレス軽減目的で収容セルから一時外出させる場合は、担当職員同伴の上セキュリティレベル・グリーンのエリアのみ許可します。その間、サイト内の外界が見える全ての窓・ドアはあらかじめロックされます。

特異性・甲および乙の発現実験には、SCP-912-JP研究主任、諜報局サイバー工作班チーフハッカー、オルバース重力波望遠鏡チーフエンジニアの許可・監督が必要です。

%E3%82%82%E3%81%86%E6%98%9F%E3%81%AF%E7%9B%97%E3%81%BE%E3%81%AA%E3%81%846.jpg

SCP-912-JP-1実例

説明: SCP-912-JPは█歳の日本人男児(本名、██ ██)です。特異性を除けば、常人とあらゆる面で差異はないことが確認されています。

SCP-912-JPの特異性は、甲/乙の2つに分類されます。

特異性・甲は、天体を消滅させ、同時に宝石に分類される物体(以下SCP-912-JP-1と呼称)を出現させる能力です。SCP-912-JPが対象天体を目視でき、ガラス窓などの遮蔽物がないことが前提条件であり、以下のようなプロセスを経て発現します。

1. SCP-912-JPが対象天体に向かって手を伸ばし、摘むような仕草をする。SCP-912-JPに装着したカメラの視点分析によると、人差し指と親指の間に対象天体が挟まれて見えるように位置取りしていることが判明。

2. SCP-912-JPが摘んだ対象天体を自身に引き寄せるような仕草をする。

3. 対象天体が消滅、同時にSCP-912-JPの人差し指と親指の間にSCP-912-JP-1が出現。

特異性・乙は、SCP-912-JP-1を消滅させ、対象天体を元の位置に再出現させる能力です。対象天体の元の位置がSCP-912-JPから目視でき、ガラス窓などの遮蔽物がないことが前提条件であり、以下のようなプロセスを経て発現します。

1. SCP-912-JPがSCP-912-JP-1を手に取る。

2. SCP-912-JPがSCP-912-JP-1を頭上に投げる。

3. SCP-912-JPの頭上約1mでSCP-912-JP-1が消滅、同時に消滅していた対象天体が元の位置に再出現。

特異性・甲/乙による対象天体の消滅/再出現には、光速度による観測のタイムラグが発生せず、地球上からほぼリアルタイムで確認できます。以上の点から、対象天体の消滅/再出現は一種の認識障害であり、現実の事象ではないと考えられています。オルバース重力波望遠鏡の観測データから、対象天体の消滅/再出現は現実の事象であることが確認されました。以上の点から、対象天体の消滅/再出現はそれが過去において発した光波も対象になると考えられています。

第█次実験ログSCP-912-JP: ※全実験ログは研究本部サーバーに保管

目的: 対象天体とSCP-912-JP-1の相関関係の解明。
手順:
1. 実験中、諜報局のサイバー工作班が各国の天文台のコンピュータをハッキング、天体の消滅現象が観測されるのを防ぐ。

2. 月や太陽系の惑星がSCP-912-JPの視界に入らないようセッティング。

3. SCP-912-JPに装着したカメラの画像を確認しながら、実験監督が指示した対象天体に特異性・甲を発現させる。

4. SCP-912-JP-1に各種測定を行った後、速やかに特異性・乙を発現させ、SCP-912-JP-1及び対象天体を元に戻す。

結果:
対象天体名 直径 地球から観測した際の色 出現したSCP-912-JP-1
リゲル 70R☉1 青みを帯びた白 約10カラットのアクアマリン
ベテルギウス 950~1000R☉ 約20カラットのルビー
カペラ 10.2R☉ 約5カラットのトパーズ
アルデバラン 44.2R☉ 約7カラットの琥珀
プロキオン 2.048±0.025 R☉ 薄い黄 約3カラットのイエローダイヤ

分析: 対象天体の大きさ及び色が、出現するSCP-912-JP-1に反映されている可能性がある。

第█次実験ログSCP-912-JP:

目的: 特異性・甲/乙を、太陽に対して発現できるか否かの確認。
手順: (未定)
結果: リスクを考慮し実施断念。なお、SCP-912-JP自身は「熱いから無理だと思う」と述べている。

第█次実験ログSCP-912-JP:

目的: 特異性・甲/乙を、月に対して発現できるか否かの確認。
手順: (未定)
結果: リスクを考慮し実施断念。なお、SCP-912-JP自身は「重いから無理だと思う」と述べている。

実験で確認できないため、太陽や月にも特異性を発現できることを前提に収容プロトコルが策定されました。そのため、屋外に出られないことがSCP-912-JPにストレスを与えている様子が見られます。対策として、SCP-912-JPに定期的に「外出して遊んだ」という内容の記憶処理を行う案が提出されました。幼児に繰り返し記憶処理を行うことは、人格形成に悪影響を及ぼす可能性が高いという理由で、倫理委員会により却下されました。代案として、サイト-8181の中庭にガラス製の天井を設置する等の改築を行い、SCP-912-JPが出歩けるようにする案が提出されています。

初期収容経緯: SCP-912-JPは財団フロント団体が経営する児童養護施設に在籍しており、財団職員である星崎研究員(サイト-8181██研究室所属、専門・天体物理学、児童心理学他)によって偶発的に発見されました。201█/██/██、星崎研究員がボランティアで施設児童への天体観測指導を行っていたところ、以前から親しかったSCP-912-JPから自分の特異性を打ち明けられました。

星崎研究員の連絡を受け、フロント団体職員に偽装したフィールドエージェントが施設職員及び児童から聴取を行いましたが、SCP-912-JPは星崎研究員以外には自らの特異性を明かしていないことが判明したため、彼らへの記憶処理は見送られました。SCP-912-JPの収容にはカバーストーリー「サナトリウムへの長期入院」が展開され、初期収容は問題なく完了しました。

なお、SCP-912-JPの分離不安を軽減する効果を期待され、星崎研究員はSCP-912-JP研究本部に配属されました。一部の同僚は彼がSCP-912-JPに感情移入しすぎており、精神的負担になっていることを懸念しましたが、監査の結果研究員として問題のない精神状態を保っていると判断されました。念のため、今後も星崎研究員への定期的な監査を継続します。

SCP-912-JPインタビューログ: ※全インタビューログは研究本部サーバーに保管

※日付201█/██/██、星崎研究員とSCP-912-JPの対話を元に編集

星崎研究員: や、やあ、元気にしてるかい。え、え、SC……。

SCP-912-JP: 僕はSCP-912-JPだよ、忘れちゃったの?

星崎研究員: へ?

SCP-912-JP: かっこいいよね、この名前! サイボーグ009みたいで! フッ、我がコードネームはSCP-912-JP……。

星崎研究員: そ、そうだね、うん、かっこいいと思うよ。ところで、今日は聞きたいことがあるんだ。

SCP-912-JP: いいとも、何なりと聞いてくれたまえ。

星崎研究員: 君が、自分の能力……その、星を盗めることに気付いたのは、いつ頃だい?

SCP-912-JP: うーん、ちょうど1年前の今頃かなぁ。█姉ちゃんがいなくなる前ぐらいだから。

星崎研究員: █姉ちゃん? お家(SCP-912-JPが在籍していた児童養護施設)の子かい?

SCP-912-JP: うん、星の兄ちゃん(SCP-912-JPの星崎研究員に対する呼称)は会ったことないかな。僕より少し年上の姉ちゃんだよ。きれいで優しくて大好きだったのに、突然アメリカに行っちゃって。僕、█姉ちゃんの目を見つけてあげたかったのに。

星崎研究員: 目?

SCP-912-JP: うん、█姉ちゃんは生まれつき目が見えなかったんだ。可哀想だよね、僕みたいに星を見ることもできないんだもの。█姉ちゃんにそう言ったら「星なら見えてるよ」って言われたんだ。

星崎研究員: え? 目が見えないのに?

SCP-912-JP: うん、よく夢で見るんだって。天の川を船で進む夢。星が洪水みたいに溢れてて、すごくきれいなんだって。「きっと私は、生まれてくる時に、目を宇宙に置いてきちゃったのね。これは、宇宙に浮かぶ私の目が見ている星空なんだと思う。だから……」心配しなくていいって言ってくれたんだけど。 

星崎研究員: それで、君はお姉ちゃんの“目”を探そうと?

SCP-912-JP: そうさ! 毎晩、屋上に上がって、一生懸命探したよ。結局、見つからなかったけど。

星崎研究員: でも、よく星を取ろうと思ったね? 僕だったら、やる前に諦めちゃうよ。

SCP-912-JP: どうして?

星崎研究員: だって、星ってすっごく遠くにあるんだよ?

SCP-912-JP: 嘘だぁ。だって、僕でも取れたよ?

星崎研究員: あー、うー、そうだね。あっ! そ、その時に取った星はどうしたの!?

SCP-912-JP: 大丈夫だよ、すぐに返したから。

星崎研究員: そうか、うん、偉いね。[インカムで研究本部と通信]す、すいません、至急確認を……。

インタビューログ付記: 諜報局が各国の天文台を調査しましたが、天体の消失は一切確認されていないことが判明しました。研究班は特異性・甲/乙には何らかの認識障害を伴うと考えています2が、機密漏洩のリスクを考慮し検証実験は保留されています。

特異性に影響を及ぼす可能性が否定できないため、SCP-912-JPの宇宙や天体に関する捉え方を是正する試みは保留されています。なお、SCP-912-JPへの教育カリキュラムや標準対応マニュアルには反映済です。

SCP-███とのクロステスト検討について: SCP-912-JPの述べている“█姉ちゃん“(本名、██ █)とは、現在サイト-██(USA本部管轄)に収容されているSCP-███であると判明しています3。研究班はSCP-912-JPとSCP-███の特異性には何らかの関係があると考えており、面会等のクロステストを検討しています。ペルセウス計画に専念するため、検討は一時中止されています。

IGokuhi.png
 
ペルセウス計画関連情報 要セキュリティクリアランス・レベル4
職員コード
パスワード
特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。