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SCP-9201: ACID
別名: ロールバック
著者: aismallard (Author Page)
Thanks to stormbreath
Yossipossi and
Tufto for their feedback.
フィードバックしてくれたstormbreath、
Yossipossi、
Tuftoに感謝します。
タイトル: SCP-9201 - ACID
翻訳責任者: Witherite
翻訳年: 2025
原題/リンク: SCP-9201 - ACID
著作権者: aismallard
作成年: 2025
初訳時参照リビジョン: rev.5
データベース設計において、ACIDとは特定の性質──不可分性、一貫性、独立性、永続性──に従うシステムを指すアクロニムです。
不可分性(Atomicity): データベースにおける全ての変更はトランザクション内部で行われる。トランザクションは完全に成功するか全く行われないかどちらかでなければならない。失敗した場合、トランザクションは完全にロールバックされる。システムによって不完全なデータを書き込むことは不可能でなければならない。
一貫性(Consistency): 全てのデータは、データベーススキーマに記述されている制約、制限に従わなければならない。例を挙げると、あるフィールドがユニークとマークされている場合、そのフィールドにおいて2つのアイテムが同一の値を取ることはできない。
独立性(Isolation): システムは同時に発生する多数のトランザクションを処理できなければならない。コミットされていないトランザクションの影響は、データベース内で行われている他の操作から「見える」状態であってはならない。
永続性(Durability): 一度トランザクションの書き込みに成功したら、そのデータは永続でなければならない。その時点で、仮にシステムのクラッシュが発生してもデータが回復不能になってはならない。
一般の情報形態にとって、これらの性質を発揮するシステムを設計するのは十分困難となります。しかし、ここ財団では自己改造データ、過去遡及的アノマリー、多種多様な情報災害を対処していますから、ACIDを遵守するのは不可能に思えます。
これはもちろん、私たちが成功していないことを意味しているのではありません。
— RAISAデータベースシステム入門、第9版
アイテム番号: SCP-9201
オブジェクトクラス: Thaumiel
特別収容プロトコル: SCP-9201-Aユニットへのアクセスは、財団超常技術装備ポリシーに基づき制限されています。レベル3以上のフィールドエージェント、およびレベル4監督職員が監督下のアノマリー研究員はアクセスが許可されます。
SCP-9201-Aの使用は財団収容ポリシーに準拠します。標準装備であることから、収容活動の承認は財団司令体系(CCS)が管理します。
SCP-9201-Bユニットの導入、管理は、 RAISA記録・アーカイブ室が監督します。
説明: SCP-9201は、局地現実で処理されるACIDトランザクション処理を可能にする超常技術である、財団現実トランザクションマネージャ(FRTM)です。莫大な電力が必要であること、適切な概念的引数を決定するのが困難であることから、財団運営における効果的使用は困難です。
FRTMの主要な用途は、SCP-9201-A、財団フィールドアノマリー分析器(FFAA)です。この47キログラムの装置は、内部に導入された制限利用のSCP-9201実例と接続しています。FFAAは、付近の空間座標および包括的な概念的情報、もしくは代替としてSCPデータベース番号がインプットされるようプログラムされています。
インプットデータを提供して起動すると、この装置は規定の引数におけるトランザクションを初期化します。すなわち、SCP-9201-Aが以下の行動のどちらかをもってトランザクションを終了するまで、現実に対するどのような変更も期待通りに実行されます。
- コミット — コミットされた場合、その領域内で行われた変更は保存されます。これは、トランザクションの開始以降の現実の変更を「受け入れ」ます。
- ロールバック — ロールバックされた場合、インプットされた引数の領域内部の現実は、トランザクションが開始された時点の状態にリセットされます。しかし、トランザクションがキャプチャする現実のみがロールバックされることに注意すべきです。例を挙げると、トランザクションが生物学的実体と金属のみをキャプチャするようプログラムされていた場合、ロールバック後も近辺の非金属インフラへの破壊は残存します。
部分的なコミットやロールバックは、SCP-9201の不可分性保証のため不可能です。その代わり、使用者は精密な引数指定によって、現実のどの側面をキャプチャするか(すなわちリセットできるか)、どこが影響を受けないかを微調整しなければなりません。
ああ、今まで直でデバッガーを見たことがないんだな? いいや、これを「フィールドアノマリー分析器」と呼ぶ人はいない。「FAA」じゃあの機関とごっちゃになる。
今までこれを使ったことは? いや、普通のコンピューター用のやつだよ。君はミーム学を習ったようだから、わかると思うんだ。あー、まあそうだな、どう説明しようか……
つまりはこういう感じだ。君は自動車事故を調査している。この特定の道路を通っているときに、車両の設計に欠陥か不十分な点ができたようだ。
それでデバッガーがするのは、自動車事故をリプレイすることだ。それもスローモーションで。ポーズして、あたりを見回し、内容を変えられる。エンジンの燃焼温度はどうか見たり、車軸の強度をひねったり、そして見つけたぞ! 微妙にパンクしたタイヤに過負荷がかかった瞬間だ。
残念ながら、スキップを指し示すだけでその内臓を教えてくれるガジェットはないし、いわんや好きなようにスキップを変えられるのもない。だがトランザクションでキャプチャして何度も何度もリトライして、自動車を何度も何度も衝突させることで、色々わかるってわけだ。
SCP-9201のトランザクションキャプチャ能力はそれ自身にも適用可能です。SCP-9201-Aユニットがトランザクション開始時に概念的キャプチャ内に存在した場合、そのユニットによる行動(サブトランザクションの生成も含む)はそれ自体がコミットかロールバック可能です。
独立性保証により、あるトランザクションによるイベントは無関係な交錯しないトランザクションにおけるイベントに影響を与えることができません。両トランザクション外からの観測者にとってこれがどのように発現するかは、予測困難であり、異常の発現や肉体的危害を引き起こす可能性があります。このため、そのような設定は推奨されません。
SCP-9201-Aは適切に使用された場合、多種多様な収容関連任務に有用です。通常任務には、初期収容作業や、拡張的実験の実行、収容違反の影響の制限や無力化が含まれます。
初期収容がクソ未満だっていうのに異存はない。手元にあるのは曖昧な報告に、ほぼ使い物にならないセンサー測定、そして運がよければ、それなりの画像と映像の断片があるかもしれない、それだけだ。だが俺はたくさん生き延びてきたし、言っておくが、こういうのがなければ半分も収容できなかった。
普通、計画するやり方はこうだ。時空間領域の全てをカバーする広い網を用意する。このトランザクションは、本当にメチャクチャにならない限りロールバックされない。そしてメインの非常線のすぐ内側に、内部の外部トランザクションを作る。そして内部の内部トランザクション。これで疑わしい場面だけでなく、危険領域に入ろうとするエージェントも全員カバーできる。
だから君の言っているのは──いいアイデアにこそ聞こえるがうまくいかないな、それは。エージェントをエージェント自身のトランザクションに押し込んで、スキップのいるトランザクションと分離して、エージェントがダメになったらリセットすればどうか、と。悪いアイデアだ。エージェントはアノマリーを見れないだろう。あるいは見れたとしても己の小さな世界における「別のバージョン」を作っていることになる。それか別のみょうちきりんなヤツをだ。アノマリーをそうもてあそぼうとするな。2つ目の対処に困るスキップを手に入れたくないのなら、それはいいやり方じゃない。
アノマリーの完全な性質の判別を容易にするため、多くの収容チャンバーや研究チャンバーに、研究アノマリー用に事前チューニングされた固定版SCP-9201-Aユニットが導入されています。ケップラー=グレイ法を用いることで、SCPアイテムの43%と、雑多な異常オブジェクトの98%は、SCP-9201の概念的引数が知られています。
アノマリーの大まかな概念的引数空間が知られれば、包括的試験を、SCP-9201を使用しない場合よりもはるかに低いリスクで実施することが可能です。収容オブジェクトを、財団の広範な試験群における様々な刺激、知的相互作用の形態、他の試験にさらし、それぞれの試験後にリセットすることが可能です。より社会的なアノマリーにおいては、対応や収容の条件によって振る舞いがどう変化するか判断するため、ロールバックはより低頻度で行われます。
わかっているだろうが、人をリセットすることについての君の指摘は──そういう感じではないが、多くの任務部隊では、俺たちも含めて、全く普通のことだ。通常の人間、非異常物質、財団の標準装備のほとんどに対して、完璧な概念的引数が存在する。だからときおり、俺たちはトランザクションに押し込められて実弾訓練を受けて、お互い爆破して、最後に全てリセットすることがある。記憶は除外できるから除いてな。経験になる。
ああ。これだからたいていのエージェントは目が死んでるんだ。
SCP-9201-Aの永続導入もまた、収容違反の回避、分析において非常に有益です。正確な概念的キャプチャによって、脱走したアノマリーは施設の損害のみを残して単純に収容違反前の状態にロールバック可能です。大まかなキャプチャが維持されていた状況では、いくらかの異常な残留物が残る可能性がありますが、それは事後対応プロセスの間に研究可能です。ときおり、そのような研究によってSCPオブジェクトのより精密な概念的引数空間の判別に対する洞察を得られます。
しかし、不適切な引数空間決定はトランザクション収容を一切していない場合より事態が悪化することがあることに注意すべきです。SCP-9201のほとんどの概念的引数は極めて複雑であり、その無数の相互作用はさらに複雑です。不完全な引数によるアノマリーのキャプチャは、ロールバックやコミットされた場合、現実に対するその影響が補償されないか二重に補償されることを意味します。これによって、オブジェクトがアクセス不能、倍化、分裂、知覚不能、過剰知覚可能になる可能性があり、完全な収容違反や新たなアノマリーの形成リスクが生じます。
畜生、そうだ、あのインシデントのことは覚えている。いや、君は全く正しい──俺に言わせれば、これはこのデバッガーについて知るべき最も重要なことだ。正確な引数を見つけるのは骨が折れるし、ときに不可能なことだってある。
ダエーバイト関連に使うのをあきらめたようにな。それが9201自身のように過去遡及的だったからなのかもしれないし、俺たちのまだ知らないことが原因なのかもしれないが、ダエーバイト関連では全くうまくいかない。他にもミーム学にはあまり有効ではない。だから君がチームに入ってくれてうれしいんだけどな。記憶処理が記憶を消すようにリセットこそできるが、それくらいしかできない。
ああ、ここにハンドブックはある。実際、それには禁止されたアノマリーや概念の膨大なリストが載っている。いくつか妙なものも載っている。例えば何個かのブランドの納豆や海王星の衛星に関する夢とかな。そういうのにはサイト管理官の承認が必要だ。
ともかく。この部隊にようこそ。君はいい子に見える。この先20年で君がどうなるのか見たいものだよ。
SCP-9201-Aの適切な運用に関する包括的な情報については、財団収容作業ハンドブックを参照してください。








