SCP-966-JP
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アイテム番号: SCP-966-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-966-JPは、パーツを分解した上でサイト-8123の湿温度管理機能を持つ保管ロッカーに収容します。シリコンの劣化を防ぐため、湿度は40%、室温は18℃に保たれます。ロッカーにクッション材と低発塵性の保護シートを敷き、SCP-966-JPを寝かせてください。
取り扱いは、事前に行う検査で同性愛指向と人形愛嗜好が見られなかった女性Dクラス職員が行います。1ヶ月ごとに各パーツを点検し、衛生状態を保つために水拭きを行ってください。実験後は中性洗剤で洗浄し、乾いた布で水分を十分に拭き取ってから保管してください。洗浄時は肩部から上に水がかからないように注意してください。点検をする時は、必ず映像記録を残してください。

説明: SCP-966-JPはシリコン製女性型ラブドール1です。█████社の製品との類似点が見られますが、製造元は判明していません。SCP-966-JPは本体であるシリコン製のボディ(以下SCP-966-JP-A)、█████社製品「[編集済]」に酷似したセクシャル機能を持つホール(以下SCP-966-JP-B)、黒色の長毛ウィッグ(以下SCP-966-JP-C)の3パーツに分解することができます。SCP-966-JP-Aには市販のホール及びウィッグを装着可能ですが、SCP-966-JP-BとSCP-966-JP-Cを同時に装着していない場合は異常性が発現しません。一般的なラブドールと異なり、瞼は閉じています。指で持ち上げる等、人為的に瞼を開くことが出来ますが、シリコンの弾性によって閉じているのが正常な状態です。

SCP-966-JPの異常性は、全パーツを組み合わせて擬似性交に用いる時に発現します。SCP-966-JPを用いて擬似性交する意思を自ら持ち、実際に擬似性交し、SCP-966-JP-B内に射精(以下これらの一連の行為を使用と記述)すると、使用した人物の生殖器は形状と位置が変化していきます。生殖器の変化が認められた者はSCP-966-JP-1に分類されます。人間以外の動物、性愛を感じない等の理由で擬似性交する意思を自ら持たない人物及びSCP-966-JP-B外で射精した人物は、擬似性交を行っても変化が起こらないことが確認されています。SCP-966-JP-1は、それ以前の人格より凶暴性が脱落します。個人差がありますが、人格の変容後は「物わかりが良い人物である」といった評価がなされます。また、自身の性欲をSCP-966-JPの使用においてのみ発散することを望みます。

生殖器の変化は、陰茎及び陰嚢の縮小、尿道及び尿道口の拡張、精巣の膀胱上部への移行を含みます。この変化は不可逆です。使用に応じて徐々に変化していきますが、一定の形状になると変化は収束します。変化収束後のSCP-966-JP-1の生殖器について、男性器の構造物を用いて女性器を模しているのではないかとの仮説が提唱されています。変化中から変化収束後も、SCP-966-JP-1になる以前のように完全な精子を作ることが可能です。SCP-966-JP-1は、自身の変化が使用したオブジェクトの異常な機能によるものであることを認めながら、「可能性が拓けたようだ」「彼女2にも変化を喜んで貰いたい」等の肯定的な反応を示します。

SCP-966-JP-1がSCP-966-JPを使用する時、射精後の精子は不明なメカニズムにより瞬間的に消失します。また、使用時にSCP-966-JP-1の尿道口が██mm以上であると、SCP-966-JP-Bから██cmの突起が出現しSCP-966-JP-1の尿道口に挿入されます。尿道内に設置されたマイクロカメラの映像と超音波検査により、突起の先端から生じた触手状の物体がさらに奥へ進入をしていることが分かっています。これはSCP-966-JP-1の精子を採取するためと推測されていますが、採取自体の目的は不明です。擬似性交が停止する3と突起は消失します。
Dクラスを対象にした実験中の脳波測定から、生殖器の変化及び擬似性交の形態の変化には相応の痛覚を伴うことが判明しています。しかし、使用した人物は感想を求められると「とても良かった」旨のみを述べ、痛みを自主的に報告しません。

以下は、特異な結果が現れた実験記録です。

実験記録XXX-12-14 - 日付20██/██/██

対象: SCP-966-JP-1-12(D-13862。34歳日本人男性。生殖器の変化が実験12-9から見られなくなっている)

実施方法: 生殖器の変化収束後のSCP-966-JP-1がSCP-966-JPを継続使用する場合の影響の調査。SCP-966-JP-1-12にSCP-966-JPを通常の方法で使用させ、映像記録を取る。

結果: SCP-966-JP-1-12は、しばしば「見ていて欲しい」と未知の相手へ懇願。SCP-966-JP-1-12のオーガズムと同時に、擬似性交の結合部からSCP-966-JP-1-12の下腹部にかけて断裂が生じ、SCP-966-JP-1-12と酷似した成人男性が排出される。SCP-966-JP-1-12は男性の排出と共に半透明の薄い皮状の物体に変化したように見える。男性は排出時に詳細不明の実体を抱えていたが、実体は2秒後に消失した。

SCP-966-JP-1-12から生じた人物はSCP-966-JP-1-12-aと分類されました。SCP-966-JP-1-12-aについて、精子製造機能が失われていることを除けば、外見・DNA・生殖器の状態や身体能力が、実験12-14前に確認したSCP-966-JP-1-12のデータと一致することが分かっています。また、実験12-14以前のSCP-966-JP-1-12の記憶を有することが尋問から判明しています。回収された皮状の物体からは、SCP-966-JP-1-12のDNAを持つ皮膚・筋肉・大脳・精嚢など人間の全身の細胞が検出されました。SCP-966-JP-1-12-aが抱えていた実体は、映像解析からSCP-966-JP-AとSCP-966-JP-Cの特徴が見られました。
SCP-966-JP-1-12-aは、性格特性測定試験においては一般的なSCP-966-JP-1と同様の結果を示しました。実験12-14後の調査に非常に協力的でしたが、実験中に排出され消失した実体について問われると「分からないが、見守って貰っていたのに失敗したような気分だ」と回答し、その後は軽度の抑うつが見られました。
実験の結果を受け、他のSCP-966-JP-1にも変化収束後使用実験が実施されましたが、腹部から何らかの実体が生じたのはSCP-966-JP-1-12のみでした。現在までSCP-966-JP-1-12-aが生じた理由及び条件は判明していません。

補遺: SCP-966-JPは20██/██/██に██県███市で起こった窃盗事件で、犯人の自室から証拠品として押収されたものです。保管されていた警察署内において「こちらを見ていて可愛い」という噂が流れたことで、潜入中の財団エージェントの注意を引きました。その後、窃盗犯と被害者である██ █氏が共にSCP-966-JP-1であったこと、SCP-966-JPは██氏が他者から譲り受けたものであったことが発覚しました。窃盗犯は「空き巣に入ったら使って欲しそうな視線を受けたので持ち帰って使った」と供述しています。██氏はSCP-966-JPについて「ウェブサイトで知り合った『粗茶』というハンドルネームの人物から受け取った。使用したと言っていたが新品同様だった」と述べました。窃盗犯と██氏の尋問において上記以上の情報を得られなかったため、解放して記憶改ざん処置を施し、通常の窃盗事件として警察へ処理が返還されました。潜入エージェントによる監視が続けられています。██氏以前の持ち主である「粗茶」氏は、素性を特定したところ行方不明者として登録されていました。

追記: 「SCP-966-JPに見つめられる」といった類の報告が██回にわたってなされていますが、これまで財団が把握している全てのSCP-966-JP関連映像記録を解析した結果、SCP-966-JPが瞼を自発的に開けていた事実は存在しません。何らかの幻覚作用があるものと見られており、調査中です。

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