アイテム番号: SCP-971-JP
機動部隊く-1”飛行艦隊”が撮影した交戦中のSCP-971-JP。
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-971-JPは東経███度、北緯██度の太平洋上に存在し日本政府とアメリカ合衆国政府の協力下で監視されます。SCP-971-JP内の復興事業は財団と日本政府が率先して行う事が決定しており、これらの資金協力はアメリカ合衆国政府が行います。
SCP-971-JP内部の状勢は新SCP-971-JP内政府に派遣された20名のエージェントによって随時報告され、財団からの直接的な新SCP-971-JP内政府に対する指導や指示は米日971-JP間休戦協定により禁止されています。
SCP-971-JPの規模は財団の収容許容範囲を超えており、直接的な対象の収容は困難です。その為、SCP-971-JP近海の海上には軍艦3隻とスクラントン現実錨を搭載した駆逐艦が配置され、これらの監視に留められています。
新SCP-971-JP内政府からの宣戦布告が行われた場合は機動部隊く-1”飛行艦隊”に事態が報告され、SCP-971-JP応戦プロトコルに則ったうえで即時戦闘が行われます。
説明: 2000年現在SCP-971-JPとは休戦協定を結んでいるのみであり、その膨大な規模や軍事力の完全なる抑制には至っていません。また、これらの協定の破棄がどの段階で行われるかも明らかになっていません。
SCP-971-JPは熱気球の形状をした侵略用空中要塞および国家です。対象の球皮(エンベロープ)内は既存の時空法則を大きく逸脱しており、内部には総面積120,000km²の階層が計2000階存在します。
SCP-971-JPの階層は大まかに分けて三種類に分類され、主に「居住階層」、「軍事階層」、「生産階層」と呼称されています。外見部分から見た階層の大まかな区分に関しては第1階層は球皮頂点の部分に位置し最下層は球皮の最下部分に位置します。
SCP-971-JP内部はその外見上の見た目とは異なり既定の大型戦艦に起用される内部構造と多くの類似点が見られます。その為、壁や床などの構成要素の全てが金属製(恐らく鉄である。)の素材で構築されて、ハッチ、連絡管、各メーター等が機関部分と推定される箇所に多く見られます。しかし、天井部分はそれぞれの階層で消失しており、これにより階層内部から外部の様子の確認が可能となっています。
SCP-971-JP内では大多数の人型実体が生活しており、自らをカメドニア人(以下、SCP-971-JP-A)と自称しています。対象の見た目は通常の人間と同様の外見をしており、体質や生物学的にも人間と大差ありません。
SCP-971-JP内は一国家として独立しており、その国家体制は典型的な軍事独裁国家の様子を呈しています。その為、総人口9億2000万人の半分を占める男性全員が兵士として活動しており、内部に置かれている学校機関の教育内容も殆どが軍事的戦略に関する知識や兵器運用についての講義に集中しています。また兵士以外のSCP-971-JP-Aにも内部の消費物の生産に関わる職が割り当てられています。
SCP-971-JP内政府は常に地上への侵攻を軸にした政策を行使しており、侵略行為および交戦時の作戦立案本部としても機能します。これらの政策や作戦はSCP-971-JP-Aの有する第二次世界大戦前の歴史認識に基づき決定されており、「かつて旧SCP-971-JP国家は地上に君臨し絶対的権力と勢力をもって世界を支配していた。しかし大戦勃発による列強諸国からの武力制圧に耐えきれずSCP-971-JP内に避難した。」と認識されています。これによりSCP-971-JP内政府はSCP-971-JPからの脱出および旧SCP-971-JP国家の再建を模索、地上への侵略行為はそれの達成の為であると思われます。
休戦協定が結ばれる1999/11/7以前は3名のSCP-971-JP-AがSCP-971-JP内の全国民を指導しており、事実上の独裁国家を構築していました。しかし、財団機動部隊による最高指導者の排除により指揮系統を喪失したSCP-971-JP内政府は機能を喪失、現在の状態へと移行しました
階層区分
・居住階層-第1階層~第512階層
一般居住区 |
第1階層から第400階層は主に一般兵役の任につく階級のSCP-971-JP-Aの居住区となっている。内部の様子は金属製の床と、同素材で作られた立方体状の家屋が等間隔で立ち並んでおり、家屋内では様々な家族構成が展開されている。また、これらの特徴として単身者が存在していないというものがあり、SCP-971-JP内政府の介入により一家庭には最低1名以上の子供を設けることが義務付けられている。これらの指導は人的資源の枯渇を未然に防ぐ為の処置だと推測される。 |
上級居住区 |
第401階層から第512階層ではSCP-971-JP内政府勤務の階級、最高司令部直属の階級を所有するSCP-971-JP-A専用の居住区となっている。この階層に建てられている家屋は第1階層の家屋と同素材で作られてはいるものの内部の装飾の豪華さや一家屋の面積の広さなどの違いが見られる。なお、これらの居住区には頻繁に入れ替わりがあり、一般居住区から勲章授与に伴う出世などによりこの上級居住区に移住する家庭も存在する。これらも優秀な人材を選別しかつ実力重視の社会形成の中で競争を生み出すために誘導されている人為的傾向だと思われる。しかし、これらの規則も既に形骸化の傾向が見られ、内部の権力状勢はSCP-971-JP内の3名の最高指導者とその側近に当たるSCP-971-JP-Aにのみ集中している。その為、一般階級と上級階級での貧富の差は拡大している傾向であり、配給制により食料などにそれらが顕著に現れている。 |
・軍事階層-第513階層~第1711階層
飛行場区画 |
第513階層から第540階層は飛行場として機能しており、第二次世界大戦時のドイツ空軍が使用していたメッサーシュミット Bf109やアメリカ陸軍のロッキード P-38 ライトニングの特徴を有する戦闘機をそれぞれ1200機保有している。これらが発進する際はSCP-971-JPの球皮側面が開き、そこから飛び立つ。また帰投する際も同様の方法で行う。 |
主砲区画 |
第541階層から第1555階層の区間は主にSCP-971-JPに搭載されている主砲や機関砲、機関銃などの設置使用区間となっている。主砲は8.8cm砲に類似した兵装を使用し、機関砲の形状はM242 ブッシュマスターと、機関銃の形状はブローニングM2重機関銃と酷似している。これらを使用する際は飛行場区間同様に球皮側面が開閉し、そこから該当する兵装の銃身を外部に露出させて砲撃を行う。これらを格納する際はこれと逆の工程を行う。SCP-971-JP-Aが使用する兵器や武装は火薬を使用しておらず、それぞれ電気式の高密空気圧縮機を内蔵し全ての実弾は空気圧を利用して発射されている。なお、これらの兵装と飛行場区画からの戦闘機の離陸は同時には行えず、それぞれの区画の利用工程を終えてから別の区画が利用される。 |
兵器庫 |
第1556階層から第1711階層は兵器庫および地上降下兵待機区画となっている。SCP-971-JP-Aが主に使用する武器は弾倉付きボルトアクション式ライフルと似た形状の兵装であり、これらの装備にもそれぞれ電気式の高密空気圧縮機が内蔵されている。SCP-971-JP-A兵の中には地上に降下してくる兵士も存在し、背中にバッテリーが付属された甲冑に似た装備の着用が義務付けられている。これらの装備の可動部分には機械で作られた人口筋肉が備え付けられており、兵士の動きや肉弾戦などでの行動をサポートしている。 |
前述した兵装は球皮側面からの出現および発進直後は幾分か縮小されたサイズで存在しますが、SCP-971-JP外へと排出された瞬間に実物大へと変化します。これらの影響は降下してくるSCP-971-JP-Aにも適用します。
・生産階層-第1712階層~第2000階層
生産階層 |
これらの階層は主に武器生産、および食料や衣服などの生活必需品などを生産している区画である。それらの製造に関わる材料や食料となる野菜や家畜などの物資は全てこの階層で生産、飼育されており、この階層のみ土や植物などの自然物が観測できる。武器生産や実弾の材料には死亡したSCP-971-JP-Aの遺体を使用しており、これらの対象は戦死した、または寿命で死亡したSCP-971-JP-Aが該当する。現在これらの明確な加工方法などは未だ解明されていない。武器生産に利用される工場の稼働や居住区のライフラインを支える電力の発電もここで行われている為、内部には大規模な発電施設が併設されている。 |
SCP-971-JPのもう1つの特徴としてゴンドラ部分にある「時空操作装置」と呼称されている装置が挙げられます。この装置の目的は主に球皮内の時空異常の操作であり、これによって内部で観測される空間的異常が発生していると思われます。なお、これら機械の正確な原理は未だ解明されておらず、財団職員による操作を一切受け付けないことから完全なる抑制には至っていません。
この装置に関する担当研究者の見解では、これらの装置は人為的に現実改変的事象を発生させる為に設置されていると推測されており、これらの構造には本来これ程の事象を発生させるに足る機能は有していないとケルトんずけられています。また、この装置は被攻撃時にはSCP-971-JP自体の防衛装置としても機能し、その際は対象に対する攻撃全てが透過する、または不可視状態へと移行するという事象を発生させます。
これらの機能は財団所有のスクラントン現実錨を使用することによって抑制が可能であり、SCP-971-JPとの交戦時にもそれの利用が推奨されています。しかし、それら装置の継続的な使用による収容維持はコスト面および継続的なエネルギー供給の観点から現実的に困難であるため、戦闘時の対応策として現在もSCP-971-JP近海に配置されるのみの状態を維持しています。
補遺1: SCP-971-JPは1998/1/2に発生した財団保有のオブジェクト護送用船舶の襲撃事件を切っ掛けに発見されました。当時、石油タンカーに偽装された護送用船舶はSCP-████-JP(収容当時のナンバリング)を護送中でした。しかし、回収地点から出航しておよそ10日目の深夜2時、突如上空からの砲撃を受け船舶は沈没、SCP-████-JPが破壊されるという事案が発生しました。これにより任務に参加していたエージェント3名、研究員10名、機動部隊12名が死亡。後の調査によりこの攻撃はSCP-971-JPによるものであることが判明し、当時のSCP-971-JP内政府は攻撃目標を日本へと指定、その目標へ運ばれる物資の破壊を目的とした作戦行動であったことが判明しました。なお、当時のSCP-971-JP内政府はこれに対して「大日本帝国の資源輸送船が我々の領海内に侵入した。また、その乗組員は武装しており、これは立派な領海侵犯かつ宣戦布告である。これより、我々カメドニア第三帝国は大日本帝国に宣戦布告する。」と主張し、前述した内容の放送を日本国政府へと発信しました。
この事件により財団はSCP-971-JPを認識。なお、対象の出現は突発的に発生したものと思われ、船舶内に置かれていたセンサーおよび回収したブラックボックスにも対象に該当する反応は一切記録されていませんでした。この報告を受け、O5評議会はすぐさまSCP-971-JPの収容作戦の実行を決定。作戦開始からおよそ1年後、機動部隊艦隊によるSCP-971-JP内政府の無力化と共に日本政府とアメリカ合衆国政府の立会いの下でSCP-971-JPとの休戦協定が結ばれました。
以下はSCP-971-JP攻略作戦の概要です。より詳しい概要を閲覧する場合は機動部隊く-1”飛行艦隊”所有の作戦資料を参照してください。なお、これらの資料閲覧の際には機動部隊隊長の来愛 宗一郎隊長の許可が必要になります。
攻略作戦概要: これらの作戦は機動部隊く-1”飛行艦隊”の指揮のもと行われました。
第一回対SCP-971-JP攻略作戦
概要: 開始:1998/1/3 作戦目標:SCP-971-JP
- 本作戦はSCP-971-JPの異常性の特定の為に行われ、戦闘には遠隔操作が可能な駆逐艦5隻、無人戦闘機2機が使用された。なお、この時点でSCP-971-JP内政府からの宣戦布告が行われており、本作戦においては財団機動部隊による目標の攻撃が許可されていた。
結果: SCP-971-JP主砲により駆逐艦3隻が撃沈。無人戦闘機および残り2隻の駆逐艦は大きな被害を受けなかった。これにより目標の主戦力を把握。しかし、この戦闘中に駆逐艦1隻の操縦が不能になる。これはSCP-971-JP側が駆逐艦の遠隔操作を認識したことに起因し、遠隔操縦を担当していた機動部隊が乗員していた船舶一隻にSCP-971-JPの降下兵が乗り込んできたことによる近接戦闘へと発展した為である。これにより機動部隊員9名が死亡。船舶の自爆により降下兵の処理に成功した。
- この後、SCP-971-JPに対する本格的な交戦作戦が決行されました。なお、当時は今作戦を最終作戦と仮定していたため機動部隊はこれを本対SCP-971-JP攻略作戦と命名。しかし、SCP-971-JPの収容失敗及び全艦隊即時撤退という結果により第二回対SCP-971-JP攻略作戦に改名されました。
以下は当時使用された兵科のまとめです。
使用兵器
・空母二隻 |
ジョージ・ワシントン、ジョン・C・ステニス |
・ミサイル巡洋艦三隻 |
CG-71(ケープ・セント・ジョージ)、CG-73(ポート・ロイヤル)、CG-72(ヴェラ・ガルフ) |
・イージス艦二隻 |
DDG-68、DDG-69 |
- 戦闘期間は1998/1/5~1998/3/19を有し、結果、戦闘初期段階では財団機動部隊艦隊側の戦闘機と射程範囲外からの巡航ミサイル攻撃により一時期は優勢に運びました。その際、SCP-971-JP側は撤退行動と思われる動きを見せ、作戦本部は対象の収容を目的とした作戦行動へと移行。しかし、突如SCP-971-JPが消失するという事案が発生、そのおよそ12秒後、対象が艦隊後方に出現し同時に砲撃を開始。相手側主砲と戦闘機による攻撃の激化が確認された為、全部隊の即時撤退が行われました。
我々SCP-971-JP研究班は、目標からの攻撃方法、発射された砲弾の拡大現象などの様子から対象の内部では時空間の異常、もしくは現実改変的事象が発生していると考えています。また、味方艦隊に設置させていた計数機の数値を観ましても、ヒューム値測定の結果から対象の一時的な時空間の平行移動の可能性が極めて高いという結論が出されました。これらの事象や発生した時期などを鑑みましても、目標はこれらを人為的に発生させているのは明白であり、次回作戦において我々研究班はそれらの抑制を目的としたスクラントン現実錨の使用を推奨します。-主任研究員マルドゥック博士
- 研究班の報告により、次回作戦でのスクラントン現実錨を搭載した駆逐艦の導入が決定しました。また、それに際してSCP-971-JPの内部調査を兼ねた作戦が立案され、1998/3/21、第三回対SCP-971-JP攻略作戦が決行されました。作戦概要はスクラントン現実錨を使用することでSCP-971-JPの現実改変を抑制し、その間に高高度から降下させた機動部隊をSCP-971-JP内部へと潜入させるという物でした。また、本作戦においての戦闘はあくまで継続的かつ最小限の反撃行為のみに留められ、使用された巡洋艦等は囮として利用されました。
結果、SCP-971-JP対策特別研究班の見解同様、スクラントン現実錨を使用したことでSCP-971-JPの時空操作能力の一時的な抑制に成功。戦闘開始と同時に後方待機の空母より降下機動部隊を搭乗させた飛行機が離陸し、巡洋艦二隻による砲撃と突如発生した「時空操作装置」の使用不能により一時的に反撃を遅らせました。その10分後、SCP-971-JPから戦闘機および爆撃機が発進、財団機動部隊艦隊も巡洋艦二隻による迎撃射撃および空母より離陸した戦闘機による立体起動戦へと移行し、作戦開始からおよそ2時間後に降下部隊が目標高度に到達したことが報告されました。報告から30秒経過した段階で作戦を決行。これにより機動部隊総勢13名による高高度降下が行われ、全隊員のSCP-971-JP内部への潜入が確認されました。同時にSCP-971-JPがスクラントン現実錨の影響下から離脱したため、この時点をもって第三回対SCP-971-JP攻略作戦を終了。これ以降は侵入した機動部隊によるSCP-971-JP内部威力偵察作戦へと移行されました。
SCP-971-JP内部威力偵察作戦
概要: 開始:1998/3/22~6/3 作戦目的:SCP-971-JP内の情報収集および偵察
- 本作戦はSCP-971-JP内部へと侵入した機動部隊による諜報活動が目的である。その為、部隊員の戦闘行為は推奨せれず、内部の状態や戦力の把握および今後の作戦立案に必要となる情報の入手を中心に進行される。
結果: 機動部隊員13名の潜入が成功し、内部との通信が可能となった。なお、機動部隊は潜入時にSCP-971-JP-Aから装備を強奪し、変装することで周囲の警戒を解いたと報告した。それからおよそ3か月間にも及ぶ諜報活動が行われ、SCP-971-JP内部の構造や対象が一国家として独立している事の事実確認、またその内政状況などが判明した。これによりSCP-971-JP攻略において最も有効であると推測されたのが対象の指令中枢を壊滅させることであり、それを基に新たな作戦が立案された。なお、潜入中に機動部隊員2名の素性が相手側に漏洩し、その2名の機動部隊員はSCP-971-JP内にて殺害された。その後、残った部隊員はSCP-971-JP内で逃亡を繰り返し、その際にSCP-971-JP内の反乱勢力との接触に成功した。
鬼殺し作戦
概要: 開始:1998/7/2 作戦目的:最高指導者の暗殺
- 本作戦はSCP-971-JP内政府の崩壊によるSCP-971-JPの無力化を目的とした作戦である。なお、この作戦に限り、最高指導者である3名のSCP-971-JP-Aの殺害が許可される。
結果: SCP-971-JP内の反乱勢力の協力の下、軍事階層内にある政府議事堂に潜入する事に成功した。その際、エージェントと反乱勢力総勢30名による誘導作戦が行われ、暗殺担当の人員は最高指導者3名の脱出用出口にて潜伏する班と議事堂内に潜入する班に分担された。警備の誘導後、それぞれの班は予定していた場所へと移動、潜入班は議事堂の地図を基に中央作戦室へと向かい、潜伏班は潜伏場所にて待機。作戦開始から14分後、潜入班により最高指導者2名を発見、議事堂内での銃撃戦へと発展するが目標1名の殺害に成功した。その後、逃亡したもう1名の目標を追跡し、潜伏班が待機している場所まで誘導、目標が外に出た際、潜伏班により目標の殺害に成功した。なお、本作戦において残り1名の目標の発見には至らなかった。
- 鬼殺し作戦の失敗により作戦本部は内部反乱勢力の協力の下、SCP-971-JP内における人民解放の喚起や最高指導者2名死亡に関する情報の流布といったプロパガンダ作戦を実行しました。これを機に財団は逃走した残り1名の最高指導者の捜索と暗殺を目的とした第二次鬼殺し作戦を決行。本作戦は1998/8/3~11/6の期間を有し、議事堂への直接的武力行使をもって制圧しました。なお、当時は目標殺害に関する手段は非戦闘員の殺害以外のどのような方法も許可されており、兵装もSCP-971-JP内部に存在する兵器を使用。政府側と反対勢力側、総勢278名の死傷者を出す結果となりましたが、7度目の襲撃にて議事堂内部に機動部隊員3名が潜入し、政府側武器庫を爆破しました。これを皮切りに議事堂内部からの攻撃と議事堂正面の反乱勢力本隊による挟撃作戦が行われ攻撃目標は陥落、その後、最終目標である最高指導者の発見と共に作戦は終了しました。
第二次鬼殺し作戦略歴
1998/7/5 機動部隊と反乱勢力によるプロパガンダ作戦が決行される。
1998/7/8 SCP-971-JP内政府による情報操作が行われプロパガンダ作戦の対応がなされる。
1998/7/9 一般階層住人のSCP-971-JP内政府に反政府運動に賛同する言動が増加する。
1998/7/10 SCP-971-JP内政府が一般階層住人の言動弾圧に乗り出す。しかし、最高指導者が2名殺害されたことによる指令中枢の機能不全状態が発生し、前述した言論弾圧の効果的な施行に支障が出る。
1998/7/13 SCP-971-JP内政府の過剰な弾圧に反発して一般階層住人のデモ活動が激化する。
1998/7/16 SCP-971-JP内政府の兵士がデモ鎮圧の際に一般階層住人の児童を殺害するという事案が発生する。
1998/7/17 児童の殺害事案を皮切りに一斉にSCP-971-JP内の全SCP-971-JP-Aによる反乱行為が行われる。なお、潜入中の財団機動部隊による広範囲の情報伝達も同時に行われ、反政府勢力の拡大を助長する。
1998/7/20 軍隊内に潜入していた反乱勢力のクーデターにより政府軍が二分される。
1998/7/21 軍隊内にて新たな反乱勢力が組織され、組織内で暴動が発生する。
1998/7/24 軍隊内で発生した反乱勢力が機動部隊と行動を共にしていた反乱勢力と合流する。
1998/7/25 政府側の兵力がSCP-971-JP内反乱勢力に加担する。
1998/7/26 SCP-971-JP内にて人民解放軍が設立される。
1998/8/3~9/10 政府議事堂への7度にわたる襲撃が行われ、SCP-971-JP内政府に多大なる損害を与える。
1998/9/11 議事堂地下施設内にて潜伏していた政府関係者と最終目標である最高指導者1名が発見される。これによりSCP-971-JP内政府は解体され、無力化される。
1998/10/6 最高指導者の裁判がSCP-971-JP内部の裁判所にて行われ、結果は政治的戦犯として有罪、その後死刑判決が言い渡される。
1998/11/6 最高指導者の死刑が執行される。
補遺2: 以下は日米971-JP間休戦協定に関する大まかな概要です。
1999/11/7に制定された休戦協定はアメリカ合衆国政府、日本政府、財団、新SCP-971-JP内政府間で行われた、戦争行為の禁止および平和維持に関する協定です。
概要: 主にSCP-971-JP内の兵器使用禁止や侵略行為、戦争行為の禁止、軍事教育の撤廃、それに対して財団や日本政府には戦後復興を目的とした支援活動の推奨および新政府設立に際する法整備と新体制への協力が義務付けられている。今後SCP-971-JP内国家は日本政府、アメリカ合衆国政府、財団の管理の下での活動が許可される。なお、復興支援は日本政府が担当しそれらの資金提供などはアメリカ政府が行う。
補遺3: 現在SCP-971-JP内の軍事施設等は非活動の状態を維持されており、今後は財団指導の下アメリカ合衆国政府と日本政府によるSCP-971-JPの監視が決定しています。なお、日本支部理事とO5はこの状態を収容状態であると認定し、収容プロトコルの整備を行いました。
しかし、これらの収容状態はあくまでSCP-971-JP内が前述の戦争行為により機能不全に陥ったが為に発生している現象に外ならず、SCP-971-JP内国家が復興した際の今後の行動予想の困難さなどから対象のオブジェクトクラスはKeterが妥当であると決定されました。
2000年現在、SCP-971-JP内の復興はほぼ完了しおり、新SCP-971-JP内政府による民主主義を取り入れた新体制による平和維持を目的とした法整備と活動が行われています。しかし、新SCP-971-JP内政府は防衛のための最低限の兵力保持は国家における権利であると主張しており、SCP-971-JP内の軍事施設及び兵器の完全撤廃に反対しています。このことからも完全なSCP-971-JPの抑制には至っていないと判断され、現在もSCP-971-JP内政府からの宣戦布告に対する応戦プロトコルの更新が行われています。
追記: 以下の記録は、SCP-971-JPの製造時期やSCP-971-JP-Aの主張する歴史認識に関する裏付け調査などから得られた2000年現在のSCP-971-JPに関する見解です。
現在、SCP-971-JPは国家モデルを搭載した侵略用独立兵器であると予想されています。これらの概要はエージェント・グールの調査により判明し、それに準じて対象の製造に関わったと思われる組織の存在も明らかとなりました。しかし、組織の規模やその全貌は未だ判明しておらず現在もそれらの捜索が行われています。
これらの概要はSCP-971-JP-Aの有する歴史認識の裏付け調査を切っ掛けに判明しました。現在、SCP-971-JPの製造を行っていたと思われる工場跡地がドイツ、███████で発見されており、内部には製造途中だと思われるSCP-971-JPの残骸とSCP-971-JP-Aと思われる複数の遺体が散乱していました。また、地下施設にはSCP-971-JP-Aの迅速な成長を目的とした養液で満たされた巨大な水槽と、その中に入れらた状態で死亡しているSCP-971-JP-Aも発見され、このことからSCP-971-JPは量産が可能な物体であることが判明しました。
SCP-971-JPの製造に関わったと思われる研究者や業者、何かしらの情報を所有していたと思われる人間は例外なく殺害されています。また、この組織は財団の動向を完璧に察知していると推測されており、関連施設発見時のほとんどの場合が立ち退いた後という状態で発見されています。
以下はエージェント・グールによって行われた報告記録です
対象: エージェント・グール(以下A・グール)
インタビュアー: べス博士
付記: このインタビューはA・グールの申し立てにより極秘裏にて行われました。
<録画開始,(1999/11/7)>
インタビュアー: お久しぶりです。A・グール。
A・グール: …お時間をいただき、ありがとうございます。
インタビュアー: …それで、例の調査の結果は…?
A・グール: ええ。博士のおっしゃる通りでした。[鞄から書類の束を取り出す]まずはこれから…。
インタビューアー: これは…SCP-971-JP-Aの解剖結果ですか。
[べス博士が書類を手に取り内容を確認する]
A・グール: はい。生物部門に依頼して調べさせましたが、計7体全てのSCP-971-JP-Aに成長不十分であると思われる臓器や神経が見つかりました。あと、これも…
[A・グールが二枚の書類を取り出す]
[べス博士が書類を受け取る]
A・グール: それぞれのサンプルから採取したSCP-971-JP-Aの体細胞の分析結果です。全ての細胞に損傷が見られます[画像の添付された書類を指さす]。生物部門に詳しく聞いたところこれらは急激な人体の成長が行われた際によくみられる症状らしく、7体のSCP-971-JP-AのDNAを調べた結果も全ての個体で一致しました。…つまり、対象は人工的に生み出された実体、完全なるクローンです。しかも、急激に大人の姿に成長させられています。これでSCP-971-JP-Aの歴史認識に対する信ぴょう性は完全に消えました。
インタビュアー: …そうですか。
A・グール: それと…。
[A・グールがロゴのような物が書かれた紙を取り出す]
A・グール: …探すのに苦労しました。名前はまだ分かっていませんが、実在します。
インタビュアー: これが以前の報告にあった組織ですか…。どうやってこれを?
A・グール: 精子バンクを中心にSCP-971-JP-Aの遺伝子情報に合致する物がないか調査したのをきっかけに発見出来ました。購入者は不明、元軍人の物ばかり大量に購入しています。
インタビュアー: これの居場所は。
A・グール: [首を横に振る]流石にそこまでは…。いくつもの偽装された銀行口座や株、ペーパー企業がありまして…。ある程度の所まで行くともうその時点で入札等の記録や足取りは追えませんでした。ですが、何とかその団体、いや企業か…それが実在しているということまでは、なんとか。
インタビュアー: …いえ、それだけ分かっただけでも十分です。
A・グール: …それと、本題はここからなのですが…。これを…。
[A・グールが10枚の写真を取り出す]
A・グール: 場所はドイツです。
インタビュアー: …土地の権利や、ドイツ諜報部の網は…?
A・グール: ことごとく…。不動産等の記録も抹消されていますし、この土地を管理していた人間も殺されています。ドイツ諜報部に関しても、事態の察知すらしていませんでした。
インタビュアー: その他の関係者は?
A・グール: [首を横に振る]駄目でした。
インタビュアー: [沈黙]
[べス博士が写真を手に取り見つめる]
A・グール: …中を調べましたが、既に引き上げた後でした。そこの関係者だと思われる職員、恐らく研究員だと思われますが、全員殺されていました。
インタビュアー: 引き上げはいつ頃だと?
A・グール: 死体の状態から恐らく発見時の二日前だと思われます。こちらの動向は相手側に筒抜けです。おかげで、エージェントが一人犠牲になりました。
インタビュアー: 聞いています。…申し訳ない。
A・グール: いえ、お気になさらず。…結論を言えば、SCP-971-JPは国家モデルを組み込んだ独立兵器だと思われます。あの工場跡地の様子からも、既に量産体制に入っているのは明白です。安定した兵士の生産、兵器運用、かつ独立して稼働し続ける国家というシステムの汎用性、兵器としては打ってつけです。
インタビュアー: …なるほど。[目頭を抑える]
A・グール: それと、これも中で見つかった物なのですが…。
[A・グールが赤色の液体が入っている試験管を取り出した。上部はコルクで止められている]
インタビュアー: これは…。
A・グール: これと同じ成分が一部のSCP-971-JP-Aの体内からも見つかりました。見つかった対象は全員反乱勢力に所属しています。
[べス博士が書類の束から5枚の書類を見つけて内容を見る]
A・グール: その実験結果にある通り、グループで生活していたDクラス職員の一人にこれを投与した結果、投与した職員は他のDクラス職員を殺害しました。投与後の言動なども反乱勢力に所属していたSCP-971-JPと一致してますし、脳の損傷も確認されています。あの反乱勢力も、仕組まれた物です。
インタビュアー: 政変による自爆…。
A・グール: 恐らくは。現に、今もなおSCP-971-JP-AはSCP-971-JP内の兵器撤廃を拒絶しています。これらの動きも、機密保全を目的としたプログラムなのでしょう。
[20秒程の沈黙]
[べス博士が資料を整理し始める]
A・グール: 報告は以上です。
インタビュアー: 分かりました。…本当に、ありがとうございます。
<録画終了>
今後、別個体のSCP-971-JPの出現が懸念されています。その為、2000年現在、財団は全世界規模の監視と新たなSCP-971-JPに対抗するための機動部隊の整備を行っています。なお、2000/2/16時点でエージェントと機動部隊の調査により4つのSCP-971-JPの購入に関するデータや書類が過激派グループやテロ組織から押収されています。このことから、現時点でSCP-971-JPの量産化と市場が完成されつつあることが判明しました。
現SCP-971-JPの監視は継続され、さらなる警戒が決定しています。