クレジット
タイトル: SCP-9727 - 風の電話
翻訳責任者: Witherite
翻訳年: 2025
原題/リンク: SCP-9727 - Wind Phone
著作権者: Uncle Nicolini
作成年: 2025
初訳時参照リビジョン: rev.3
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もしもし、お母さん。
あー、私だよ。ずっと電話できなくてごめん。9727に来れるクリアランスを得たのがつい最近でさ。これがArchon系のだったら簡単だったはずなのにね? でも──あっ、この単語は使っちゃいけないんだった。どこで働いてるのかいまだに話せなくてごめん。ここまで飛行機で行くって申請したら、禁止テーマがずらっと並んだリストを見せられてさ、まあ、うん。指定を受けた人が別の指定を受けたものに関わるからって大騒ぎになって。この言い方でわかるかな。雇用主は完璧主義なんだよ。言いたいことは山ほどあるけど、それはまた後日かな。いつでも後日はあるから。
お母さんはずっと私が政府かどこかで働いてると思ってたけど、それはあながち間違ってはいない。でも、この職種じゃなかったら今の愛する人とは会えなかっただろうし、小さな家庭も作れなかっただろうね。イルゼっていうんだけど、世界で一番賢い人なんだ。2人でジェームズっていう完璧な子も養子に迎えた。完璧な男の子なんだ。あの子のすることは全部非の打ちどころがなくて優しいし、おもちゃで遊んだり犬のミロと遊んだりしてるときはずっと楽しそうな顔をしてる。
私が小さい頃もお母さんはそう感じてた? 親っていうのはみんなこう感じるのかな? あの子は実の子ではないけど、それでも心から愛してるし、二度と会えなくなったらと思うと胸が苦しくなる。ずっと先の話だけど。ともかく、私にもそういう子供みたいな好奇心はあったよね? ずっと研究でも仕事でも役に立ってたよ。私の職種は未知のものに取り組んだり新しいものに取り組んだりするから、頭が固くちゃダメなんだ。
あー、仕事で家を離れて以来帰省できなくてごめん。それまでの私に対するお母さんの態度とかを思うと、イルゼみたいなパートナーを持つのを応援してくれなさそうで。応援してくれなさそうなことはいっぱいある。まあ、数えきれないほどはないだろうけど、でもいっぱいだと思う。でもいいんだ。大丈夫。もう全部過ぎたことだから。
ここに来たこと以外は。お母さんがそこにいて、聞いてくれるって知って。すごいもどかしくなったんだよ。まあ多分、お母さんはそれを受け入れる他ないんだろうけど。それとも違うのかな、ハハ。こんなことしても、私とお母さんとの四十何年のいざこざの解決にならないのは知ってるけど、聞いてほしかったんだ。私の、自分の口から。推測ではなく。今までの電話とかメールから集めた手がかり、あるいは集められなかった事実からでもなく。私は私の生きたいように生きてるし、お母さんはもうそれを止められないから。
じゃあね、お母さん。




