アイテム番号: SCP-985
オブジェクトクラス: Euclid、Safeへの格付け変更が審理中 格付け変更は拒否、補遺985-003を参照
特別収容プロトコル: SCP-985は常時ビデオ監視下に置かれていなければなりません。ライブ映像カメラをSCP-985の筺体の全3箇所に設置し、送られる映像は最低1名の財団職員によって常時観察下に置いてください。たとえわずかな時間であっても監視が外れてしまった場合は、サイト内予備人員を動員し、SCP-985とそれが作り出した全ての物品の収容が再確立されるまでエリアを封鎖してください。
説明: SCP-985は [編集済み] 国際空港の第██ターミナルにあるコンベア式手荷物受取所です。建設記録によると、SCP-985はこのターミナルにある他の手荷物受取所と同時に設置されました。メンテナンスレポートの見直しからはSCP-985が示す異常な特性に関するいかなる手がかりも得られませんでした。
SCP-985は、その全てのセクションが観察下にある限り、同じターミナルにある他の手荷物受取所と全く同じように稼動し、機械による電力消費量も比較的安定しています。
SCP-985の三つのセクション(滑走路連絡口、コンベアシステム、ターミナル連絡口)のうちの一つが観察されない状態になると、機械の電力消費が急速に変動し始めますが、この変動と機械のその他の効果との間にはいかなる相関関係も判明していません。この時点で、様々な手荷物類が装置の観察下にある領域に出現し始めます。それらがどこから出現しているのかははっきりしません。これらの物品の形や大きさは様々で、中には荷物を飛行機に乗せる際の現代的なセキュリティの要求を満足していないものもあります。前述の物品は荷物の列から取られるか、再び観察下にないセクションに入るかするまで本来の荷物とともにコンベア上を運ばれていきます。観察下から外れた物品は列から消失し再び出現することはありません。
SCP-985によって”製造された”物品(以後は集合的にSCP-985-1と呼称します)は人間の脳のある領域を緩やかに抑制する効果を示すようです。これによって多くの人はSCP-985-1とある程度外観が似ている通常の荷物とを区別することが出来なくなり、その結果航空客は自分の荷物と勘違いしてSCP-985-1を引き取ってしまいます。この効果は荷物が開けられた後も継続するため、SCP-985-1を受け取った人は中のものを使おうとして偶発的な負傷を受けることがしばしばあります。
財団がSCP-985に注目した契機は19██年██月██日に発生した事件です。この日、遅延している連絡便を待っていたビジネスマンがSCP-985-1の一つを取得しました。この人物が連絡便に乗り込む際に手荷物類が再びセキュリティを通過しようとし、そこで[データ抹消]、電子機器さらには高レベルのガンマ線放射が発見されたため、空港は閉鎖され、その人物は尋問のために拘留されました。彼の本来の荷物が「引き取り手無し」のエリアで発見され、また同様に引き取り手が無かった荷物は全て誤ってSCP-985-1を引き取ってしまった乗客のものであることが判明したため、財団のエージェントが現場に呼ばれました。
補遺985-001: SCP-985-1の注目すべき内容物のリスト
- 分別された金属スクラップ
- 数セットの様々なスタイルの衣服、未知の金属繊維で出来ている。着用すると繊維が着用者の皮膚を引っかき、大抵は無数の浅い切り傷とおびただしい出血を生じる。
- アメリカ陸軍制式のM-16アサルトライフル1丁、完全に分解済み。
- 水のペットボトル1本、高圧空気入り(推定圧力400kPa)。モデル解析により、ボトルを開けようとした使用者は圧力の開放によって重傷を負うであろうことが示されている。
- 鋼鉄製バール1本
- シャンプーのボトル1本、[編集済み]ブランドのラベルが貼られている(このブランドは1990年代後期に生産終了した)。ボトルに入っていたゲルには人の髪に含まれるたんぱく質を変性させる機能を持つ各種の酵素が含まれていた。
- ナイフ37本、メーカーとモデルによって分類されていた。
- [編集済み、補遺985-003を参照]
補遺985-002: 試験985-Aの結果
観察下にあったエリア: 滑走路連絡口、ターミナル連絡口
試験方法: 研究者はSCP-985-1の実体の一つにワイヤレスカメラを隠し、コンベアの滑走路エリアから観察されていない中央部のセクションに流して映像を受け取ろうとした。
試験結果: カメラは観察されていないエリアに入ると同時に送信を停止した。その後、コンベアのターミナル側のセクションで取得されたSCP-985-1の一つからカメラの破片が発見された。カメラは激しい鈍的な力によって破壊されたように見える。カメラの内部メモリーからはいかなるデータも回復できなかった。
補遺985-003: 試験985-Bの結果
観察下にあったエリア: コンベアシステム、ターミナル連絡口
試験方法: 研究者は現場にディスプレーを設置し、100mの高張力ケーブルでカメラと接続した。このカメラをコンベアシステムから送り込み、ターミナル連絡口を通過して観察下に無い滑走路連絡口まで戻させた(試験に先立って滑走路から人や物は立ち退かせた)。
試験結果: カメラはターミナルセクションを一周することに成功し、コンベアエリアに戻った。しかし、滑走路連絡口への出口に近づくにつれて、カメラからの映像は次第に「ぼやけ」始め、ディテールが失われるようになった。観察下にあるエリアから出ると同時に映像は突然切れたが、ケーブルは無事なままで繰り出され続けた。およそ5分後、ケーブルは最大長さに達し、同時にSCP-985-1の実体がコンベアシステムに出現した。研究者がこの実体を開いたところ(生存者はケースの中から音が聞こえてきたので予め警戒していたと報告している)、 [データ抹消]が開放され、コンベアシステムエリアは甚大な損傷を受け二名の現場要員が死亡した。この事象の規模にも関わらずSCP-985自体には損傷は無かった。[データ抹消]の残骸は復元できなかった。
ローカルメディアは重大な機械的故障が破壊の原因であると報道した。
Safeに格付け変更する計画はゴミ箱行きだ。今後の調査は保留とする。 - ███博士