SCP-9889

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回収以前のSCP-9889。

アイテム番号: SCP-9889

オブジェクトクラス: Neutralized

特別収容プロトコル: SCP-9889の遺骸は桐生研究所の管轄下でサイト-19に収容されます。

説明: SCP-9889はアスファルト道路に類似した巨大な節足動物です。死亡時、体長114 m、幅8 m、体高は僅か4 cm強でした。SCP-9889は暗闇に紛れて道路に沿って移動し、その自然なカモフラージュ能力を使って人通りのある通りに溶け込んでいたものと思われます。

SCP-9889は2025年10月4日、ノースカロライナ州クリーブランド、クラレンス通りの住民から、道の大部分が変色して剥がれているという通報があった際に発見されました。財団エージェントは死亡したアノマリーの存在を確認し、安全なSCP-9889回収のために周辺住民を避難させました。

身体構造: SCP-9889の外部から見える部分は、数十億のキチン質の鱗で構成された硬い外骨格です。これらの鱗は石に似た質感を持ち、扁平化すると表面の境目はほぼなくなります。外骨格の分析から、その細胞はカメレオンの虹色素胞に類似した性質を有し、体色を変化させて自身が占める道路と区別をつかなくさせる能力を持っていることが示唆されます。

外骨格は非常に耐久性が高く、直接的な鈍的外傷と、背面での車両の移動の双方を耐えることが可能です。それにも拘らず、外骨格含めた全身は著しく柔軟です。鱗は互いに重なり合うことができ、体節は極端な波状運動が可能なため、SCP-9889は生存時は体長を数m縮めたり、関節結合してスピードバンプに似た表面を形成したり、直角に屈曲したりすることさえ可能であったと思われます。外骨格の端は地面と面一ですが、鱗は個別に動くことができ、SCP-9889の外表に沿って均等に配置された目を露出させたり、ひびや割れ目を形成してより身を隠したりすることも可能でした。

SCP-9889の腹部は脚で覆われて見えますが、実際には全身の波状運動で移動していた可能性が高いとみられています。これらの偽の脚は歯に似た役割を果たし、食物を粉砕して消費を容易にしていたものと思われます。脚の掴むのに適した節のある性質が、物体を粉砕ないし平坦化して、適切に摂食できる確度を高めていたようです。これらはまた、薄い金属化合物で覆われており、非常に高い強度と耐久性を有します。

腹部は、中心の継ぎ目に沿って開き、内部を露出させることができました。この内部には小さな偽の脚が並んでおり、食物を分解するための液体を分泌する巨大な消化器系であったようです。これは大きさに対して非常に薄いため、餌を食べる前に食物を僅か数cmの厚さまで完全に粉砕する必要があったことが示唆されます。

SCP-9889の身体のほぼ全ては消化器系で構成されています。脳は比較的大きいものの非常に薄く、背面を2 m近く伸びています。ほとんどの節足動物と同様、開放循環系を有しています。SCP-9889の排泄方法は不明ですが、有力な説は、食物を小さな粒に変えて鱗の下から排出するというものです。

行動と食性: 説明で述べた通り、SCP-9889は路上を移動し、発見を避けるため自身をカモフラージュしていたと思われます。掴むのに適した鱗と身体の波状運動により、背面に沿って車両やその他重い物体を移動させることで自身の位置を定めていた可能性があります。

知能の完全な範囲は不明ですが、正確にカモフラージュするためには自身が占める道の塗装パターンを記憶する必要があるため、ほとんどの節足動物、潜在的にはある程度の哺乳類を大幅に上回っていた可能性があります。

消化器系及びその内部に存在した物体の分析から、SCP-9889は草食動物であったと示唆されます。脚に残った残骸には木片、枝、樹皮が含まれています。死亡時、消化管の内壁にはいくつかの物品がありましたが、特に多かったのは木の板、屋根のタイル、金属建築資材であり、SCP-9889が家屋を食糧として生存していたことが示唆されます。消化液は非常に弱く、一部の有機化合物は完全な消化までに1年かかる場合があり、消費された金属は数十年残留すると思われます。SCP-9889が実際に金属を食糧としていたのか、他の食料源の副産物に過ぎないのかは不明です。

SCP-9889には私物や、動物・人間の死体の痕跡が一切見られないことから、複数の研究者は、SCP-9889が人の住んでいる建造物よりも廃墟を好んで摂食したものと推測しています。この理由は不明ですが、大型動物の捕食されることに敵対的反応を示す傾向を認知していた可能性があり、生物学的に人間との相互作用を必要とするにも拘らず、人間を恐れていた可能性があります。

歴史: 生物学的・化学的分析により、SCP-9889は100歳以上であり、アメリカ合衆国における現代の高速道路と概ね同時期に誕生したと思われます。SCP-9889内の無機物の残骸はひどく腐食しているものの残存しており、死亡前の活動について洞察を与えています。

SCP-9889内にはいくつか標識の残骸が存在し、中でも最も注目すべきは、カリフォルニア州サンフランシスコのテレンス道の標識と、コネチカット州ロンドンのフェリペ通りの標識の2つです。テレンス道の標識はアルミニウム製ですが緑ではなく白であり、1945年(アメリカがアルミニウム製の道路標識を採用した年)から1954年(目的地標識において緑色が標準化された年)の間に起源が定められます。2002年にエレン・フェリペ通りの標識が盗まれた事件報告書は、この地域にもSCP-9889が存在したことを裏付けています。これは、SCP-9889が誕生以降緩慢に東へと移動してきたか、全国を絶えず移動していたことを示唆しています。

SCP-9889の腹部には、偽の歯が含まれているものの消化液の大部分には触れていない残骸があり、過去について更なる情報を提供しています。腹部にはプラスチック片がいくつか挟まっており、1本の歯が刺さったプラスチックカップの蓋も含まれています。身体の30 mにわたって歯が何本か折れており、非常に大きく頑丈な物体を粉砕ないし捕食しようとしたものと示唆されます。金属を粉砕・捕食する能力を考慮すると、通常の摂食パターンに従ってもいるこの物体の正体は不明です。

SCP-9889の脳の分析では巨大な腫瘍が発見されました。有力な説は、SCP-9889が動脈瘤を患い、脳内で破裂したことで死亡したというものです。

補遺9889.1: SCP-9889の行動理論の分析により、西ヨーロッパとイギリス諸島にも同様の生物が存在する可能性が示されています。人里離れた廃屋が消失し、粉砕された破片のみが残されるといった事件が複数発生しており、特にアスファルト、コンクリート、レンガの道路の付近で顕著に見られます。ヨーロッパにおける潜在的なSCP-9889個体群の調査が進行中です。

これにも拘らず、アメリカ合衆国におけるSCP-9889のこれ以外の活動の証拠は見つかっていません。発見以来、北米ではこの行動に一致する既知の事件は発生しておらず、それ以前の事件の証拠も同一個体によって引き起こされると思われるほどにまばらです。そのため、SCP-9889がどのようにしてアメリカ合衆国に到達したのかは不明ですが、同種の別個体(存在するならば)の不在下で生きていた可能性が高いです。

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