SCP-9893
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アイテム番号: SCP-9893

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-9893はサイト-17の改修されたヒト型生物収容室に収容されています。敷物や布張りの表面は、SCP-9893のベッドを除き、全て清掃が容易な素材に置き換えられています。SCP-9893のベッドシーツは毎日交換する必要があります。SCP-9893には月1回の歯科検診と週1回の心理評価を行う必要があります。

ハチミツの頻繁な生成は、SCP-9893の気分と全般的な安定性にとって有益だと確認されています。このため、SCP-9893にはチョコレート (またはその他の糖分が豊富で、酸性度が低く、粘着性が最小限の食品) を無制限に供与すべきです。同様に、生成した蜂蜜を瓶詰めするための資材も提供すべきです。SCP-9893が生成したハチミツは、必要に応じてサイト-17のキッチンに供給され、残りはSCP-9893自身からの贈り物として分配されます。

職員は、容器に入った状態か、または食品に直接塗布されている限り、SCP-9893が提供するハチミツを接受すべきです。その他の受け渡し手段が提案された場合は、丁重に辞退する必要があります。SCP-9893のその他の申し出は事例ごとに検討されます。

公式資料に明記されている事項を除き、SCP-9893に関して、標準プロトコルに対する特例は認められません。いかなる状況においても、SCP-9893と財団職員が監督無しで交流することは許可されません。

説明: SCP-9893は地中海系と思われる20代後半の人間女性です。SCP-9893はベースライン人類と比較して幾つかの形態学的差異を有しており、最も顕著な特徴として、長さ0.73mの黒い屈曲した触角1対が額から突出しています。この触覚はSCP-9893の意識的な制御下にあり、触覚・嗅覚・味覚の受容器の役割を果たします。SCP-9893の虹彩と強膜は、機能不明の滑らかな黒い表面に置換されています。

高糖質食を与えられると、SCP-9893は身体のあらゆる外分泌腺からハチミツを生成できます。どのような生物学的メカニズムがこれを実現しているかは不明です。SCP-9893が生成するハチミツは化学的な異常性を帯びておらず (花粉を含まないので低アレルギー性である点を除く) 、安全に消費できることが確認されています。ハチミツの色や味などの特性はSCP-9893の食事次第で変化します。現在の食事条件下で生成されるハチミツは濃厚な琥珀色で、ほのかなココアの風味を帯びており、職員からも概ね好評を博しています。

SCP-9893は身長165cm、体重53~59kgです。身体能力は同体格の人間の平均値です。ギリシャ語に堪能であり、英語でもある程度の会話が可能です。“メリテア” (Melithea) と名乗っていますが、SCP指定番号での呼称にも応答します。

直近の健康診断 (2008-03-13) において、SCP-9893に重大な健康上の問題は認められていません。極めて高い糖分摂取量と不定期な歯科治療による歯周病と虫歯の既往歴がありますが、収容以降はほぼ改善されています。SCP-9893は複数の遺伝的特異性を有しており、その一部は本文書に記載された異常性と対応しますが、その他の機能は未解明です。

補遺9893-A: 簡略版心理プロファイル、フォックス博士編纂

SCP-9893は他者への強い感情を抱きやすく、第一印象に基づいて相手を“味方”または“敵”として心理的に大別する。彼女の行動も同じく二極化しており、極端な気前の良さとあからさまな敵意の間で安易に揺れ動く。彼女は短時間の激しい感情の激発を頻繁に起こしているが、その傾向を自覚しており、是正したいという願望を示している。

SCP-9893は多数の誇大妄想を抱いており、その典型的なテーマとしては、王族の血筋である、自らのハチミツには魔法の力が宿っている、超能力がある、神聖な存在であるといった主張が挙げられる。これにも拘らず、彼女は標準的な知能検査で十分な成績を収め、合理的かつ目的志向の行動を取ることが可能である。

SCP-9893の症状は幾つかの既知の精神疾患と一致する反面、彼女の言動と異常性の因果関係は (仮にあるとしても) 不明である。従って、正式な精神医学的診断は不適切と判断された。加えて、SCP-9893には遺伝的・生物学的な特異性があるため、その行動に対する薬物を用いた介入は承認されていない。

SCP-9893が公言する人生の目標は、“悪”に対する“善”の勝利をもたらすことである。彼女はこれを、短期的には贈り物によって (特にハチミツだが、彼女は“善い”と見做した者たちに対して様々な奉仕を頻繁に申し出る) 、長期的には膨大な魔力を得て達成しようとしている。彼女独自のスピリチュアルな信念は、こうした能力を付与し得る実際のいかなる異常現象とも一致しておらず、よって後者の目標を懸念する必要は無い。

補遺9893-B: 対象の経歴

SCP-9893は2006年、ギリシャのカリエス郊外にある小屋で発見されました。報告によると、SCP-9893は約5年間この小屋に居住していました。SCP-9893自身は2001年にこの宇宙に“転移”したと主張し、その理由はここが“[自分を]最も必要としていた世界”だったからだと述べています。カリエスに到着する以前のSCP-9893に関する記録は発見されていません。

地元住民らは、SCP-9893の存在に気付いていた場合でも、せいぜい変人か些細な迷惑としか見做していませんでした。SCP-9893は異常性を隠蔽する努力を一切行っていませんでしたが、他の住民らはその異様な外見や能力を、化粧、仮装、及び/またはその他の手品だと考えていました。

SCP-9893は身元や市民権/居住地の証明となる書類を全く所持していなかったため、政府の支援を受けることも、正規雇用を継続することもできず、ハチミツの販売や物々交換、並びに雑用を引き受けることで生計を立てていました。特筆すべき点として、SCP-9893は地元の食料品店から売れ残りのキャンディーやソーダを無料で提供されており、これによってハチミツの生成から若干の利益を得られていました。

法執行機関にはSCP-9893について多数の苦情が寄せられており、その大半は公序良俗違反や嫌がらせ関連でした。これらの苦情は刑事事件として扱われることなく、警察がSCP-9893から金銭やその他の資産を恐喝する口実として利用されました。SCP-9893はカリエス警察署を“地上に染み付いた邪心の大いなる汚点”、同署の警察官らを“強欲の大悪魔ども”と表現しました。

2006年7月28日、ダフネ・ランブラキス (21歳) が行方不明と宣告されました。彼女が最後に目撃されたのは2日前、ルームメイトによってでした。9月13日、警察はカリエスにて、ランブラキス夫人が行方不明になった当日に、SCP-9893が彼女と行動を共にしているのを目撃したという証言者を発見しました。捜査官らによってSCP-9893の小屋が捜索され、両手首を縛られて重度の栄養失調状態にあるランブラキス夫人が見つかりました。直ちに医療処置が施され、ランブラキス夫人はやがて完全に回復しました。

ランブラキス夫人の証言によると、彼女は予定外だったカリエスへの立ち寄り中にSCP-9893と遭遇しました。その後、SCP-9893は彼女を小屋へ誘い込み、拘束したうえで、約6週間にわたりハチミツのみを食べさせていました。SCP-9893はランブラキス夫人に対し、彼女をハチミツで防腐処理した後、“力授かりし存在”として彼女の遺体に転生するつもりであることを繰り返し詳述していました。

SCP-9893は誘拐の容疑で逮捕されました。取り調べの過程で、法執行機関はSCP-9893の解剖学的異常が本物であることを発見し、その旨を記録しました。この記録が財団の標準的な介入を促し、SCP-9893は財団の管理下に置かれました。

補遺9893-C: 事件9893-31

2009年2月のある時点から、SCP-9893は収容チームの一員であるエージェント ウィルキンスを誘惑し始めました。同月下旬、両者はSCP-9893の収容室内で一晩密会する約束を交わしました。この準備として、ウィルキンスは監視システムを改竄し、SCP-9893収容室のカメラにループ映像が流れるように細工を施しました。これが原因となって、彼女らの密会は直ちには発覚しませんでしたが、事件9893-31を受けてバックアップ映像が復元されました。

3月28日 9:30 PM 、ウィルキンスは計画通りにSCP-9893の収容室に入り、両者は室内で性行為に及びました。11:12 PM 、ウィルキンスはSCP-9893が所持する目隠し (要望ログを参照) を着用しました。これに続いて、SCP-9893はウィルキンスの両耳に指を差し入れ、鼓膜を破るのに十分な量のハチミツを分泌して、彼女の平衡感覚を著しく混乱させました。SCP-9893は引き出しから“魔法の短杖” (恐らくは長期間かけて、密かに刃物状に研ぎ澄まされていた) を取り出し、ウィルキンスの両手、両肘、両膝を繰り返し刺突して無力化しました。その後、SCP-9893はハチミツでウィルキンスの傷口を密封し、出血を防ぎました。

ウィルキンスの身動きを封じると、SCP-9893は彼女のズボンのポケットから、ライターとiPod Nanoを回収しました。SCP-9893はiPodで自らのスポークン・ワードの録音のコピー (後にSCP-9893はこれを儀式的詠唱だと述べた) を再生し、ライターで溶かした数本のクレヨンをウィルキンスの皮膚に塗りつけて、錬金術的・オカルト的な意義を伴う様々な記号を描きました。11:21 PM 、ウィルキンスがもがき始めると、SCP-9893は彼女が意識を喪失するまで壁に繰り返し頭を叩きつけました。

その後4時間にわたり、SCP-9893は様々な儀式的舞踊と祈祷を実行しつつ、断続的に口移しでウィルキンスの口中にハチミツを分泌しました。ウィルキンスはハチミツを嚥下できなかったため、緩やかに窒息し、2:45 AM に死亡しました。彼女の死後間もなく、SCP-9893は疲労のあまり倒れ込み、7:30 AM に別な収容担当者が朝の点検に訪れるまで収容室の床に横たわっていました。

SCP-9893は後ほど、ウィルキンスとの性行為は快楽目的だったと認めつつも、その後の暴力的な行動には、ウィルキンスと“活力を同期”させ、“彼女の生命力を解き放って高位天使を創造”し、その天使に自らの意思を実行させる意図があったと主張しました。主張とは裏腹に、SCP-9893の行動が何らかの異常な影響を及ぼした証拠はありません。

収容基準委員会による審査の結果、エージェント ウィルキンスによる重大な違反さえなければ、SCP-9893の収容プロトコルは事件9893-1の発生を防止できていたと結論付けられました。このため、収容プロトコルの改訂は予定されていませんが、SCP-9893の処遇特権については見直しが進められています。

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