アイテム番号: SCP-990-JP-J
オブジェクトクラス: Thaumiel
特別収容プロトコル:
天倉総司令: サイト-8181に、偽物のヒーロー・フライドチキンがバラ撒かれている。これは明らかな、我々のプロジェクトへの挑戦状だ。
特命ミッション!偽物を振りまく巨悪の正体を暴いて懲罰たおすのだ!
Agt.時任、賀上: 了解!
説明しよう、これが鳥味RED!だ!!!:
SCP-990-JP-J、それは各財団サイトにて放送中のヒーロー・フライドチキンのコマーシャル 映像群 "「HEROの鳥味RED!」シリーズ" 内に登場する、赤を基調とした装甲服に身を包んだヒーローの姿をした実写キャラクターなんだ。SCP-990-JP-Jのスーツデザインや台詞の声色、コマーシャル内の各種挙動は視聴者に対する特定ミームの刷り込み効果を発生させるぞ!
【ミームドーパー・プロジェクト】
2020/03/01 立案
目標: このプロジェクトは、敵対GoIや人型アノマリーとの混戦時を想定して考えられた作戦なんだ。非異常性物質の投与や噴霧を行うことで事前に特定ミームに暴露済の職員にのみ作用する、強力なドーピング効果を実現するぞ……!
方法: ヒーロー・フライドチキンと脳のリミッターの完全な解除(所謂 "火事場の馬鹿力" の最大出力バージョン)を強力に紐付け、瞬間的な体力や瞬発力、持久力の増強を発生させるんだ。このために既存の「おいしさやばげ」ミームを解析、改造して財団製の新たなミームを創り出すことになったんだ。
そして財団のミーム学部門や服飾部門、映像処理部門の皆の力で"「HEROの鳥味RED!」シリーズ"が完成したんだ。
CM-1 - 只今参上!HEROの鳥味RED! 編
CM-2 - 即刻打倒!怪人・メシ不味いかぁ鬼 編
CM-3 - 俺たちにはパウダーもある!怪人・ドロンじゃあ魔女 編
補足: このCM-3は1、2よりも少し後の時期に放送されたバージョンだ。新発売の「ヒーロー・フライドチキンの香辛料や肉汁等各種の味わいを再現した小袋入りパウダー、 "ヒーロー・フライ鳥ドリパウダー"4」の宣伝を兼ねた内容なんだぞ!
【登場人物】
- SCP-990-JP-J
- 怪人・ドロンじゃあ魔女ウィッチ
- 研究員(男女2名)
- Dクラス(計4名)
CM-1〜3のミーメティック誘導によるドーピング効果誘発の試みは、現時点で100%の成功を収めているぞ!これで財団職員は、CM内の鳥味RED!や職員達と同等の力を発揮する。既にサイト-8181、8114、8182にて施設内部各所へのヒーロー・フライ鳥パウダー即時噴霧用自動散粉ユニットが設置されていて、これはもうすぐサイト-81BB、エリア-81JH、セクター-8105にも装備されるんだ……!
大変だ!
事件記録、ヒーロー・フライドチキンを騙る偽物の魔の手が迫る!!!:
Agt.賀上: この味……何が起こった?
日常的にヒーロー・フライドチキンを購入していたAgt.賀上が、味覚的な差異を訴えた。サイト-8181内の複数の食堂で、正規品とは異なる仕入れルートからヒーロー・フライドチキンの偽造品が混入していたんだ。各種香辛料の配合の観点からは正規品の完全な模倣、だが使用されている鶏肉は正規品から大きく劣る味と肉質だったぞ。
Agt.時任: 天倉総司令、何者かによる侵攻が……!
それから2人はこの販路ジャックの元凶を探り続けて、憎き元凶を探し出したぞ!
村崎博士: ただ、ただ私も食べたかっただけなんですよ!パウダー以外売り切れで……。
結構上手くできたんです。そっから先は出来心なんです……!
許せない。
以下はこの事件の犯人だった村崎博士に行われて、自供が得られた時の尋問の記録だ!
尋問記録『村崎博士』 #1
2022/06/26
≪開始≫
時任: もう何ていうか品質が低すぎるんですよ肉質!
村崎博士: だ、だって!いつも本物売り切れて買えなくて……!
時任: 知らん!賀上さん撮影台本アレを!
[賀上が書類を出す]
賀上: 我々に挑んだ巨悪の貴方が、こんな軟弱男な訳がない!
村崎博士: え?
賀上: ……巨悪。それは凶暴で悍ましく、邪悪で危険極まる人面獣心の悪漢!
村崎博士: は……!?
[村崎博士が出された書類の概要序文を確認、把握する]
村崎博士: "SCP-990-JP-Jが主役のヒーロードラマ"…… !?
賀上: ご理解。過酷な撮影になるでしょう!
村崎博士: いや偽チキン売ったのは悪く思ってます!ちょっと、小遣い稼ぎと思ってただけなんですって!
時任: 残念!私たちからしたらプロジェクトが妨害されてるのでそうも行きません!
村崎博士: どうすればいいんです!?
時任: 毒食わば皿までですよ!バイオ技術で鶏肉をそれらしく生成し、パウダーをかけてとはいえヒーロー・フライドチキンの偽物を。グズグズな肉も、元が鶏頭水煮である事を考慮すれば素晴らしい品質アップです。
賀上: そこまで来たなら、いっそ正規の鳥味RED!に挑むが良いさ!
[村崎博士は書類に再度視線を落とし、より詳細な内容を読み込み、把握する]
村崎博士: SCP-990-JP-J……いや、よく似た別のデザインだ。偽ヒーローか。それで隣に描かれてる怪人が、この偽ヒーローの正体……。
……いやこれ流石におかしくないです!?
時任: おかしくないです!
村崎博士: だって、ドラマ撮影って言っても、ドーピング込みでの必殺パンチを体に受けたら怪人スーツの中にいる人は死んでしまいます!マジのバトルだ、こんなんは特撮ドラマなんかじゃないですよ!?
賀上: 今や特撮技法無しでもそれができる職員はいますから!
時任: 村崎博士は、偽物チキンで対抗ですよ!
村崎博士: ええぇぇ!?
≪終了≫
こうしてヒーロードラマ作品「HEROの鳥味RED!vs 鳥頭怪人・邪王ジャッキングラプター!~偽HERO 鳥亜人バイオREDの正体を暴け~」が制作されたぞ!これを見れば本物と偽造品の品質パワーの違いが分かるんだ。
怪人は、素面の人間態7も着ぐるみも村崎博士の熱演なんだぞ!!!
特別公開!
本作品の見処シーンを、文字起こしで特別に紹介するぞ!
<抜粋開始>
(アジトであった廃工場へとSCP-990-JP-Jが乗り込む)
(鳥亜人バイオREDはその仮面を脱ぎ捨て、鳥頭怪人・邪王ラプターの正体を現す。)
SCP-990-JP-J: 鳥亜人バイオRED。お前は「憧れ」からだと言った。そしてまた、「より多くの人を救うため」とも言った。だがその実態が……
邪王ラプター: 綺麗事めが!私は気付いたんだよ、人を愛する事に、な、な、何の意味がある?
SCP-990-JP-J: バイオRED、いや邪王ラプター!お前が棄ててしまった心を、正義を誰より求めているのはお前自身だ。それでもまだ、ヒーローに嘴を剥くというのか!
邪王ラプター: 全て綺麗事、全て偽物!本物なんてありゃしない!だから偽物が お、お前を倒し、私の言葉を証明してやる!
(邪王ラプターは懐から偽造品のヒーロー・フライドチキンを取り出し、呼応してSCP-990-JP-Jもヒーロー・フライ鳥パウダーの小袋を取り出す)
SCP-990-JP-J: 仕方ない。フェニックス・ハイパーチャージ!!!!(パウダーを頭上へと振り撒いて全身へ浴びる)
邪王ラプター: 無駄な事……!フェイクネス・アルターチャ… グホァ!???
(邪王ラプターは着ぐるみ頭部の開口部から偽造チキンを摂食しながらSCP-990-JP-Jの急接近からの上方膝蹴りを喰らい、廃工場の天井を突き破りながら吹き飛ぶ)
(SCP-990-JP-Jが追従して上空へと跳び上がる)
SCP-990-JP-J: 超!フェニックス・カウンターフライド!!!!
邪王ラプター: グぼぁアァァ゛ァぁ ァ ァ ァ 〜 〜 〜!!!!!…………
(邪王ラプターはSCP-990-JP-Jの強化必殺パンチを喰らい、遥か彼方へと吹き飛んで行く)
<抜粋終了>
超フェニックス・カウンターフライドを喰らった村崎博士は撮影の3日後、撮影場所から県境を超えたサイト-8139で回収されたぞ。周辺地域で短期間「意味不明な体勢で飛翔する高速鳥人」の噂が流布したけれど、ミームドーパー・プロジェクトの有用性と天秤にかけた上で充分に許容可能なコストの範疇で記憶処理と情報統制ができたんだ。
天倉総司令: 時任、賀上。2人ともよくやってくれた!
時任、賀上のみならず、これからも数多の博士やエージェント達がヒーロー・フライドチキンの力を以て異常や悪意と戦っていく。
ヒーロー・フライドチキンは旨い!それが財団われらに力をくれる!!!
そしてサイト-8181にて人気を博した「HEROの鳥味RED!vs 鳥頭怪人・邪王ジャッキングラプター!~偽HERO 鳥亜人バイオREDの正体を暴け~」は近日、サイト-8141の託児所をはじめ他の複数の財団施設でも配信されるぞ……!8