アイテム番号: SCP-994-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-994-JPは常に1372桁の電子ロックと錠前で施錠した部屋に収容してください。また、SCP-994-JPには定期的に専門医によるメンタルカウンセリングを行ってください。
SCP-994-JPはサイト-8141にある一般的非生物収容室に収容してください。現在、SCP-994-JPを使用した実験は凍結されています。
説明: SCP-994-JPはサイト-81██で、主に収容プロトコルについての会議を行っていた会議室で使用されていた寸法300cm×200cm×70cmのスチールとパーティカルボードで構成されている机です。
SCP-994-JPは19██年に財団フロント企業によって製造され、サイト-81██に設置された記録が残っていましたが、どの時点で特異性が備わったかは不明です。SCP-994-JPは20██年1月4日に行われた会議の記録を確認した██博士によってその特異性が発見され、収容に至りました(事案994-b参照)。
SCP-994-JPの特異性は、対象から半径7m範囲内で2人以上の人物が何らかの会議、話し合いを行い、SCP-994-JP内での会議中に全員の意見が一致した時に発現します。SCP-994-JPは会議に参加している人の中の1名の精神に干渉し、これまでに出た意見と全く異なる意見を提示させます(具体例は資料994-a参照)。会議に参加している干渉を受けてない人々は突然出た意見にほぼ100%その意見に反発しますが、その意見を通す為の様々な理由(それらの多くは突拍子の無いもの)を聞かされるにつれて全員がその意見に同調し始め、最終的には会議に参加した全員にその意見が正しいと認識させます。また、その意見を第三者に説明した場合、効果範囲外でも同じ特異性が発現する事が判明しています。
事案994-b
以下収容される以前のSCP-994-JPが使用された会議記録です。
__事案994-b 2012/2/13 __
議題: SCP-███-JPの収容プロトコルについて。会議参加者数: 3名
<録音開始>
滝山博士: ではこれからSCP-███-JPの収容プロトコルを詰めていきましょう。
貝田博士: もう大体は決まっているがまだ細部に心配な点が残るな…
谷口博士: SCP-███-JPは感染性ですので収容違反に備えて周辺に焼却装置を設置しましょう。
滝山博士: そうですね焼却装置を設置し、念のため予備燃料も配置しておきましょう。
貝田博士: 焼却装置は10数台設置するとして…いや待てよ。
谷口博士: どうしました?
貝田博士: 収容違反が発生したら扇風機を使ってSCP-███-JPを全部吹き飛ばすってのはどうだ?
谷口博士: ……はい?
滝山博士: 貝田博士、今は会議中ですよ? 下らないジョークは謹んで頂きたい。貝田博士: いやいや、ジョークなんかじゃないって。それより焼却装置なんかより扇風機の方が安全だしコストも抑えられると思わないか?
谷口博士: いや……あの……ですね。
滝山博士: 貝田博士、SCP-███-JPを吹き飛ばしてどうするつもりですか?
貝田博士: え?そりゃあもちろん扇風機で吹き飛ばせばこっちにSCP-███-JPが来ないだろ?それで俺達はオブジェクトの影響を受けずに済むだろ?
谷口博士: いや、あの……吹き飛ばしたら絶対拡散しますよね?
貝田博士: ふむ……確かにそうかもしれないな。
谷口博士: そう「かも」ではなくそうですよ!貝田博士: じゃあ吹き飛ばした方にも扇風機を置けば解決するな。
滝山博士: いや、解決しませんよ。2方向から送風すれば横に拡散するだけです。
谷口博士: そうですよ!何言ってるんですか貝田博士!滝山博士: つまり、私が言いたいのは2方向だけでなく8方向から送風できるように扇風機を配置しましょう。
谷口博士: ……は?
貝田博士: なるほど……それなら横方向に拡散する心配は無くなるな。
滝山博士: ええ、SCP-███-JPを囲むように扇風機を配置すれば完璧かと思われます。
谷口博士: え、あの、滝山博士まで何を言っているのですか?
貝田博士: よし、これでSCP-███-JPの収容プロトコルは完璧だな!早速纏めて提出しに行くか!
谷口博士: 待ってください!完璧なわけが無いでしょう!8方向から送風しても上方向に拡散するじゃないですか!9方向で行きましょう!
<録音終了>
事案994-bから2ヶ月間、SCP-994-JP影響下で制定された特別収容プロトコルでの収容を継続した後に収容違反が発生しました。しかし、2ヶ月の間SCP-███-JPを安全に収容できていた事と収容違反時の死者を██名に抑えた事からSCP-994-JPは他オブジェクトの特別収容プロトコル等に有効利用する事が可能であると推測されます。
補遺: 報告書を閲覧した職員から相次いで「この報告書には不適切な箇所が多々ある」との報告を受け、調査した結果、収容プロトコルと実験後の考察に異常な点が見受けられました。2ヶ月の間、異常な収容プロトコルのまま放置されていた要因としてSCP-994-JPの「異常な理論を第三者に説明することでの特異性の拡散」が連鎖的に発生したのが原因と見られています。その後の調査で、SCP-994-JPの研究チームの██%がSCP-994-JPの影響下にある事が判明し、Bクラス記憶処理を施した後に業務に復帰させました。これとともに収容プロトコルも現在のものに改訂されました。