アイテム番号: SCP-995-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-995-JPはサイト-81██の施錠された大型物品収容ロッカーに収容してください。
SCP-995-JPを使用する場合、レベル3職員による承認と監視を必要とし、実験室照明の電源を落とすことができるよう待機しなければなりません。また、被験者は必要でない限りDクラス職員から選出してください。
実験終了後は被験者に記憶処理を施してください。実験等の目的で被験者に記憶処理を施さない場合、██博士に許可書を提出してください。
全ての実験において、実験終了後は速やかにSCP-995-JP-1をSCP-995-JPに戻してください。
説明: SCP-995-JPは「█████」のロゴが印刷された電動巻き取り式撮影用スクリーンです。材質や撮影用スクリーンとしての構造に異常はありません。現在、二台のSCP-995-JPが収容されています。

SCP-995-JP-1
SCP-995-JP-1はSCP-995-JPからスクリーンを引き出したときに出現する緑色のスクリーンです。SCP-995-JP-1上に人が乗っている間、その対象は鮮明な幻覚の影響を受けます。幻覚の内容は対象によって様々ですが、対象の精神状態が大きく反映される傾向にあります。幻覚からはSCP-995-JP-1上から離れる、実験室の照明を幻覚世界における第一薄明以下1にする等の手順で覚醒することができます。
SCP-995-JP-1の幻覚の影響を受けた時間に比例して、対象の現実世界に対する認識が書き換えられます。初めは家具の配置等の比較的軽度な認識変更に留まりますが、次第に建物の間取りや人間関係にまで影響が及びます。幻覚の影響を平均24時間(正確な値は不明)以上受けた対象は、認識変更が記憶への影響を超え、物理的な変更にまで至ります(実験記録-995-JP-2d参照)。
SCP-995-JPは20██/██/██、東京都██区の撮影スタジオで「同僚が壁に向かって走り続けている」との報告により、発見に至りました。関係者には記憶処理を施し、撮影用スクリーンは異常性がない別の製品に取り替えられました。後のインタビューによりスクリーンが異常性を持っていると見て、調査を開始しました。
SCP-995-JP収容後、財団はSCP-995-JPの製造元である工場に対し調査を行いましたが、既に工場は別会社の倉庫になっており、その中から一台のSCP-995-JPが発見されました。
実験記録-995-JP 実験監督: ██博士
実験記録-995-JP-1
実験記録-995-JP-1a
対象: D-995-JP-1
結果: 対象がスクリーン上に乗ると「カレーやん!食べていいのこれ?」と発言しましたが、対象の周囲に「カレー」と思われるものは見られませんでした。対象にはそれが恐らく幻覚であることを伝えたうえ「カレー」摂食するよう指示、対象が「カレー」を食べることは出来なかった。後に対象が実験開始直前に「カレー」のことを考えていたことが判明した。

資料: ジャイアンツコーズウェー
実験記録-995-JP-1b
対象: D-995-JP-1
実験前、対象にはジャイアンツコーズウェー(Giant's Causeway)2の写真を見せ、スクリーンに乗る前後月面のことをイメージするよう指示。また「最新VR技術の被験者になってもらう」と伝えた。
結果: 対象は「東尋坊っぽいところにおるけど太陽が細長いし四本ある」と報告。これにより対象の言う「太陽」が実験室照明の蛍光灯を指していると推測し、徐々に照明を落とすと、幻覚世界も夜に近づいていることが判明。完全に照明を落とすと、対象は幻覚から覚醒した。
実験記録-995-JP-1c
対象: D-995-JP-1(実験前にホラー映画を鑑賞)、D-995-JP-2(実験前にコメディ映画を鑑賞)
結果: D-995-JP-1がスクリーン上に乗ると、鑑賞したホラー映画のワンシーンにいるようだと報告。その後D-995-JP-2がスクリーンに乗ると、対象2人は共に「CABIN3そのまんまや」と報告した。
実験記録-995-JP-1d
対象: D-995-JP-1(緑の全身タイツを着用)、D-995-JP-2
結果: D-995-JP-1がスクリーンに乗ると、外部からのD-995-JP-1の見た目に変化は見られなかった。しかしD-995-JP-2がスクリーンに乗ると、D-995-JP-1のタイツに覆われた部分が透明になっていることが判明。その後タイツの色を変更して同様の実験を行ったが、透明にはならなかった。実験-995-JP-1-d後、警備員がD-995-JP-1をD-995-JP-1の部屋へ連れて行ったところ「俺の部屋じゃない」と言い始めました。以下は駆けつけた██博士のボイスレコーダーからの抜粋です。
音声記録-995-JP-1d
対象: D-995-JP-1 インタビュアー: ██博士
██博士: ここはあなたの部屋で間違いありませんよ?
D-995-JP-1: ここはD-███-JP-█の部屋やろう?ここにも書いてあるやん。
[D-995-JP-1はドアの横にある札を指さす]
██博士: えっ、ちゃんと「D-995-JP-1」って書いてあるけど…。
D-995-JP-1: いやぁ、ちょっと待って。██さんは何をみとるんですか?
██博士: あーこれは……D-995-JP-1、続けて実験を行います。██さん(警備の名前)実験棟へ移動してください。
D-995-JP-1: えっ?
これを受け、D-995-JP-2に同様の聞き取りを行った所、D-995-JP-1と比べ症状が軽いものの、認識障害の影響を受けていることが判明。D-995-JP-2に記憶処理を施すことによって認識異常を除去することが可能でした。
実験記録-995-JP-2
対象: D-995-JP-1
概要: SCP-995-JP-1による認識災害の影響の調査。実験が長時間に及ぶため、実験前、対象の要求した映画を鑑賞させることが許可された。

内装
実験記録-995-JP-2a
対象には家具を画像左のように配置した部屋で3時間待機させた。
スクリーンに乗っていた時間: 1時間
結果: 実験後、実験前待機させた部屋で一時間待機させたところ、明らかにテレビのない方向を見つめていた。その後の聞き取りにより、対象の認識している部屋の内装が画像右のようになっていることが判明。また、対象を自身の部屋に戻るよう指示すると、D-███-JP-█の部屋に入って行った。

研究棟█階の間取り
実験記録-995-JP-2b
スクリーンに乗っていた時間: 5時間(累計6時間)
結果: 実験-995-JP-2a同様、対象を自身の部屋に戻るよう指示したところ、数分後に対象が壁に向かって歩き始め、壁に衝突したがそのまま歩き続けた。対象に研究棟█階の間取り図を作成させると図のようになった。
実験記録-995-JP-2c
スクリーンに乗っていた時間: 12時間(累計18時間)
結果: 実験後、対象が██博士を「███さん」と呼んだため、聞き取りが行われた。以下はその時の記録です。
音声記録-995-JP-2c
対象: D-995-JP-1 インタビュアー: ██博士
██博士: D-995-JP-1、私は██です。███ではありません。D-995-JP-1: それは███さんが実名を私に隠してたってことなん?たんに名前が変わったとかそういうのでもない?
██博士: いや、私は初めから貴方に██と名乗ってますし。貴方が私を「██さん」って呼んでたじゃないですか、いつも。
D-995-JP-1: えっいつも?いやー……えー……。
██博士: ともかく、私は██です。覚えておいてください。
D-995-JP-1: はぁ。

D-995-JP-1の作成した研究棟█階の間取り
実験記録-995-JP-2d
スクリーンに乗っていた時間: 6時間(累計24時間)
結果: 対象にスクリーンから降りるよう指示すると、対象が壁に向かって歩き始め消失。15分後D-███-JP-█の部屋で発見された。対象がどのようにD-███-JP-█の部屋へ移動したか聞き取りを行い(音声記録-995-JP-2dを参照)、また、対象に再度間取り図を作成させると実験-995-JP-2bと同じ間取り図を作成した。研究棟█階の監視カメラにはD-995-JP-1が壁を透過しながら移動する様子が確認された。
音声記録-995-JP-2d
対象: D-995-JP-1 インタビュアー: ██博士
██博士: 私がスクリーンから降りるよう言った後あなたはどうやってD-███-JP-█の部屋に行ったんですか?
D-995-JP-1: どうするもなにも、警備の人に連れてかれたんじゃないですか。
██博士: 警備?
[██博士は部屋から退出し、研究棟にいる警備員がD-995-JP-1と接触しなかったか調査を行ったが該当する人物は存在しなかった]
██博士: 警備に連れていかれる前は何をしてました?
D-995-JP-1: ██さんにスクリーンに乗ってる間変わったことは無かったか―とか聞かれてましたよね?
██博士: [沈黙]
D-995-JP-1: ██さん?
██博士: ああ、そうですね。今回はここまでにします。外に警備がいるので自室に戻ってください。
D-995-JP-1: わかりました。
[D-995-JP-1は椅子から立ち上がり、出口のある壁の反対側に歩き出して消失。11分後、サイト-81██で発見された。これを受け、D-995-JP-1に記憶処理を施すことが決定された。]