SCP-997-JP
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アイテム番号: SCP-997-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-997-JP-1はプロトコル[聞かざる]に基づき完全に発声出来ない形で拘束し、他者との接触を完全に防いでください。食事はSCP-997-JP-1群の収容された収容房に遠隔で送り込まれ管理されています。各SCP-997-JP-1を個別に収容した房に遠隔で送り込まれ管理されています。SCP-997-JP-1の世話は全て遠隔操作のロボットにより行ってください。SCP-997-JP-1に対する接触はDクラス職員を除き完全に禁止されています。

説明: SCP-997-JPは、視覚出来得るあらゆる情報を「全て同一のもの」として認識する症状を引き起こすミームです。感染の第一段階として、一般的に似ているとされる物に対し、「これらは同一の物ではないか」と疑念を抱く様になります。例としては、「羊」と「ヤギ」、「春雨」と「ビーフン」や、「ブロッコリー」と「カリフラワー」等が挙げられます1。SCP-997-JPに感染した者は、他人に対しこの疑念を積極的に喧伝し始めます。これらの口授を行う者をSCP-997-JP-1とし、未感染の人間がこの情報を耳にした場合、同様にSCP-997-JP-1となります。これらは機器越し、加工した音声であろうと感染します。また、SCP-997-JP-1に対する記憶処理等での治療は功を奏していません。

第二段階に入ると、前述のような似た存在を完全に同一であると見做し始めますが、脳内の情報と齟齬が発生すると見られ、「羊」と「ヤギ」は理解出来るものの、どちらがそれぞれの名を持つに正しい存在であるかが理解出来なくなります。この状態に達するとSCP-997-JP-1は周囲への伝達を控えるようになり、近似した存在に対し「それらはそもそも同一のものであった」とする第三段階に移行します。この状態のSCP-997-JP-1に対し何らかの質問を行った場合でもSCP-997-JPに感染します。

最終段階に移行したSCP-997-JP-1は、主観的にあらゆる存在を近似したものと認識し始め、識字能力や他者と自分の区別を失い、最終的に同一のカテゴリに属する存在、意味、意義、種等の分類や区分けの理解を完全に喪失、全てを概念的に伝達するようになります。口頭でのやり取りはある程度可能ですが、この段階に移行している場合、通常の会話はほぼ不可能と見られます。

症状の進行したSCP-997-JP-1との対話詳細は以下の記録を参照してください。

SCP-997-JP-1へのインタビュー紙面記録

記録日時: 20██/██/██
対象: SCP-997-JP-1
インタビュアー: D-997-JP-1


音声での感染を防ぐため、無音での監視の上、D-997-JP-1に行わせた会話内容を完全に書き出すよう指示。D-997-JP-1は当実験以降発声を外的に禁止され、図示にて命令し他の実験に用いた。最終的にSCP-███-JPの実験にて終了済。


D-997-JP-1: あんたに質問をしてくれって白衣連中から頼まれた。色々聞いてくと思うけどいいか?

SCP-997-JP-1: はい。

D-997-JP-1: お前から俺は何に見える?

SCP-997-JP-1: 何にって、人間でしょ?

D-997-JP-1: じゃあ、お前をここに連れて来た連中は何に見える?

SCP-997-JP-1: 人間です。

D-997-JP-1: んー、何言ってんだコイツは。研究者とか、白衣とか、そういう風に言うもんじゃないのか。

SCP-997-JP-1: だって、皆同じでしょ? あなたも、この間会いましたよね。

D-997-JP-1: 俺はお前になんか会った記憶ないぞ。

SCP-997-JP-1: 嘘でしょう。あなた、どこにでも居るじゃないですか。私のことをここまで連れて来たし、今ここにも居ます。同じ人でしょう?

D-997-JP-1: 意味が分からん。普通は他人のことを人間なんて呼ばねえよ。

SCP-997-JP-1: 他人? 他人って何のことですか?

D-997-JP-1: だから、俺から見たお前とか、お前から見た俺とか。

SCP-997-JP-1: ああ、わかりました。私のことですね?

D-997-JP-1: お前、何言って(乱雑な殴り書きのような文字)あれ? エンピツってペンだっけ?

SCP-997-JP-1: はい。

D-997-JP-1: あー……(迷うような落書きの痕跡)うん。そうだよな。

<ログ終了>

補遺: 財団において確保されているSCP-997-JP-1は現在███体存在していますが、██体が餓死したことが判明しました。これについてDクラス職員を用いてインタビューした所、「私は貴方だし、貴方は私だし、貴方が食べれば、私もお腹が満たされる」と証言しています。これに伴い、各SCP-997-JP-1を個別に管理することが決定しました。

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