警告:アクセス制限、権限を認証してください。

ファイルSCP-CN-001-EXは、以下の理由によりアクセスが制限されています。
- 機密性の高い情報が含まれる
- ファイルの起動タイミングに制限がある
- 監督司令部からの直接命令
アクセスを継続した場合、ファイル起動タイミング照合プロセスが開始し、あなたの情報はロックされ、Winter-Annihilationセキュリティミームに暴露されます。関連するセキュリティクリアランスを取得していない場合、即座に抹殺されます。操作を継続しますか?

データの状態:全世界のインターネットアクセス数が1219時間37分前に急落し、トラフィックの総損失量が97.5%を超えています。3台のルートサーバーのみがアクセス可能です。
アクセス:各国政府・多国籍組織・超常実体による最近のデータベースへの接触。
優先順位の設定:
- フォーマット識別:高レベル・緊急標記ファイルを優先。
- キャリア識別:通信記録の識別を優先。対応マニュアルに準拠。
- キーワード識別:「死傷」・「災害」・「救援」等の単語を優先的に検索。
統計結果:アクセスした3億6467万件のファイルの内、避難アナウンス・緊急通報・臨時計画などのファイルが87.43%を占め、1223時間前に1時間あたりの発信件数がピークに達し、その後低下を始めました。同時にファイルの無秩序性と無応答件数が徐々に上昇し始めました。
タイミングモデル1:適合
異常なノード
● 北米ノード[ワシントン]:喪失
● 南米ノード[リオデジャネイロ]:喪失
● 西欧ノード[ジュネーブ]:喪失
● 東欧ノード[モスクワ]:信号なし
● 中東ノード[テヘラン]:喪失
● 中央アジアノード[アルマトイ]:喪失
● 南アジアノード[ニューデリー]:信号なし
● 北アジアノード[ウラジオストク]:信号なし
● 東アジアノード[北京]:喪失
● 南アフリカノード[ケープタウン]:喪失
● 北アフリカノード[カイロ]:喪失
● 太平洋ノード[ホノルル]:喪失
● 北極海ノード[イェールビーン]:信号なし
● インド洋ノード[ディエゴガルシア]:喪失
● マントルノード[シオン]:喪失
● 成層圏ノード[南天門]:信号なし
● 低軌道ノード[OAP宇宙ステーション]:信号なし
● 月面ノード[矽宇シウ]:喪失
正常なノード
● 東アフリカノード[ナイロビ]:オンライン
- 6箇所の財団サイトと接続。サイトの調整可能なセンサーのカバー範囲:120万平方キロメートル。
- 全サイトが機能停止し、収容違反が発生中。
- 観測可能範囲内の被災状況は深刻。損失の統計不可能。生存者未発見。
● オーストラリアノード[シドニー]:オンライン
- 14箇所の財団サイトと接続。サイトの調整可能なセンサーのカバー範囲:376万平方キロメートル。
- 3箇所のサイトが稼働中。それ以外のサイトは機能停止し、収容違反が発生中。
- 観測可能範囲内の被災状況は深刻。損失の統計不可能。生存者500人超を発見。
● 南極ノード[アムンゼン・スコット基地]:オンライン
- 3箇所の財団サイトと接続。サイトの調整可能なセンサーのカバー範囲:1.7万平方キロメートル。
- 全サイトが機能停止し、収容違反が発生中。
- 観測可能範囲内に不明な超常実体が存在。損失の統計不可能。生存者200人超を発見。
● 大西洋ノード[ニューイース海溝]:オンライン
- 2箇所の財団サイトと接続。サイトの調整可能なセンサーのカバー範囲:10万平方キロメートル。
- 2箇所のサイトが稼働中。収容違反が発生中。
- 観測可能範囲内の被災状況は深刻。損失50億ドル超、死傷者100万人超、生存者2000人超を発見。
- 世界オカルト連合の要塞都市ガンジルが全面稼働中。連絡を試行しています。
タイミングモデル2:適合
身分検証
- 生体サンプルの採取にご協力ください。コントロールパネルの緑色に発光している箇所に注目し、任意の指をサンプリング穴に差し込んでください。「デン」と音が鳴ったら血液サンプルの採取は完了です。身体的理由によってこの手順を遂行できない場合は、緑色に発光している箇所のセルフ採血針を使用してサンプリングを完了してください。
- 基礎的身分証明プログラムを完了するには、ポップアップした操作パネルで母国語を選択し、国籍(有する場合のみ)・重要な健康状態・社会的な身分情報・家庭プロファイル情報・文化水準等の内容を全て記入してください。この音声ガイダンスの終了までにいかなる行動も確認できなかった場合、あなたは視覚障害者と認識され、ロボットによる情報入力補助が行われます。
- 財団のクリアランス又は関連する証明資料がある場合は、任意のユーザーインターフェイスに入力してください。自身の財団権限証を所持している場合は、現在の操作パネルの赤色に発光している箇所にかざして自動認証を完了できます。
環境検証
- 当建造物の安定性を確認中です。
- システムのセルフチェックを実行しています。システムの自動再起動が必要な場合があります。しばらくお待ちください。
- 温度・磁場強度・放射強度・ヒューム値などの指数を統合しています。
検証完了
あなたの身分は、正常人類および特別許可された人類派生種の範囲内であると確認されました。財団のクリアランスが承認されました。
タイミングモデル3:適合
起動タイミングの検証完了。全てのモデルに適合しました。
確認:世界は滅亡しました。
_____________
ようこそ、生存者。
アイテム番号:SCP-CN-001-EX | レベル5/Begonia |
オブジェクトクラス:Explained | SECRET |
特別収容プロトコル
SCP-CN-001-EXはSCP-2000指揮センターの主制御システムの内部に収容されていますが、通常時はオブジェクトに対していかなる操作も不可能です──その時点ではオブジェクトはまだ存在しません。ファイルに対するアクセス権限の認証は、オブジェクト自体が有する機能ではなく、財団によって追加された機能です。
世界がK-クラスシナリオによって重大な損害を受け滅亡したことが確認されると、SCP-CN-001-EXは内容が記述され、アクセス可能になります。あなたがこの文章を読んでいることは、SCP-CN-001-EXが可読状態にあることを示しています。
SCP-CN-001-EXが存在するか否かにかかわらず、オブジェクト及びSCP-2000主制御システムへのプログラム的解析研究を行うことは固く禁じられています。偶発的あるいは故意の破壊行動は防止され、関連資料キャリアへの不正アクセスは阻止されます。
オブジェクトが記述されていない場合、オブジェクトの存在を証明する関連資料はSCP-2000ローカルレコードから削除され、別の財団データベースに底部密封保存されます。以前のオブジェクトのプレースホルダー資料が財団中国支部データベースに記録されていたため、当オブジェクトにはSCP-CN-001-EXのナンバーが付与されました。オブジェクトが完全に記述された場合、許可を受けた生存者は自主的に安全保障規範と機密情報範囲を定めます。不合理な内容は、複製生産された財団の中心人物によって二次的に修正されます。民間人の生存者と専門家ではない人員は、証明済みの専門指揮に従ってください。
人類文明の再構築が完了するまでに、SCP-CN-001-EXはプログラム的に抹消され、全てのコピー・メモ書き・生成物・断片的な摘要も同様に消去されます。オブジェクトの内容は記録されてはならず、また、その存在は次代の財団によって暗号化と遮断が行われます。これは自動化されたプロセスであり、主観的な意思にかかわらず、プロセスを阻止しようとする抵抗を清算します。
SCP-2000の稼働期間中にマスターオペレーティングシステムに入力するデータは、完全性・正確性・客観性が最大限に保持されたものでなければなりません。あらゆる人為的な改竄には最高指導部の意思決定結果と実際の根拠を示す必要があり、悪意あるデータ収集の歪曲行為は記録され、処罰されます。SCP-CN-001-EXに記載された情報は重要戦略資源と見なされます。実行及び機密保持の要求は可能な限り遵守してください。
SCP-2000のシステム障害はSCP-CN-001-EXの真実性・即時性・確実性に影響を与えることが実証されていますが、これらは許容範囲の変数であり、文明再構築の最高優先度は変化しません。全てのメンテナンス作業は当オブジェクトが提示する指示に従って行われ、追加の修繕・更新・探索は禁止されています。
再起動プロセスの最中、全ての人員はSCP-CN-001-EXの指令を逸脱し、行動をより実際の状況に即したものに変更した上で、再起動作業を完了させることが可能です。しかし、閾値を逸脱した行動は最終的に全て修正されます。
説明
SCP-CN-001-EXは財団の文書です。アイテム番号に対応するSCP報告書自体であり、現在表示されているこのファイルそのものです。
SCP-CN-001-EXは「イエローストーン備忘録」と名付けられた、K-クラスシナリオ発生時のSCP-2000の使用及び文明再構築を指示する取扱説明書です。オブジェクトには災害の経過と将来的なリスク・世界の現状・資源備蓄統計などの重要な内容が記載され、上述の資料を統合して文明再構築の提案と評価を行います。
ファイルの内容は主に指示的な文章です。K-クラスシナリオ下ではデータ統計の難度が高く安定性に差があることや、生存者にとってのファイル読解難易度を上昇させてしまうことから、生データがオブジェクトの内容に占める割合は低くなっています。SCP-CN-001-EX自体は一般的な電子ファイルに過ぎないため、特殊な研究価値はなく、Explainedクラスに分類されています。
SCP-CN-001-EXの内容は時間軸に沿って区分されています。直近の指示ほど内容は精細になり、未来の指示ほど内容は曖昧で方針的になります。オブジェクトの内容は随時更新され、世界再起動の進度と現在の地球環境に基づき、計画方針を修正して細部を補完しながら、SCP-2000の状態を評価し、文明再構築を指示する役割を担います。
終焉シナリオ未発生時には、SCP-CN-001-EXは存在しません。その場合、関連文書は暗号化されたアクセスポートと研究資料、プレースホルダーファイルに過ぎません。K-クラスシナリオが発生し、人類文明が確実な脅威/改変を受け、全世界を完全に再起動する必要がある場合にのみ、SCP-CN-001-EXはSCP-2000の主制御システム内に出現します。SCP-CN-001-EXの出現は、世界の滅亡を意味します。
SCP-CN-001-EXは終焉シナリオ発生のたびに出現・更新・拡散し、SCP-2000の全面稼働によって文明再構築が完了するまで、指示作業を実行する使命を果たします。再構築の完了後、SCP-CN-001-EXは消去されます。事実上、当オブジェクトはSCP-2000の建造時に作成された取扱説明書です。SCP-2000の取扱説明書は初稼働の原因となった終焉シナリオの最中に事故で喪失したとのカバーストーリーが共有されていましたが、実際にはSCP-2000が初再起動の完了後に自主的に削除しており、以降全ての再構築された文明でその秘密は維持されてきました。
SCP-CN-001-EXの削除は、人類の傲慢・好奇心・焦慮・急進・共感・怠惰などの性質が、SCP-2000の主要機能と構造に影響を与える可能性を排除するために行われます。SCP-CN-001-EXは財団にSCP-2000を異常なオブジェクトとして扱わせ、使用説明の欠落した状況による慎重さと理解度不足を理由に介入を放棄させることで、その使命を維持させます。この決定はSCP-2000の内部故障のメンテナンス難度を上昇させており、自動修復システムの導入と制限付きの手動修理は不可逆的な時間の浪費と認識されていますが、SCP-CN-001-EXの存在を隠蔽するための致し方ない結果であると考えられています。

厄災段階
終末時計が12時を指す
SCP-2000指令
トラブルシューティング対象:K-クラスシナリオデータベース(pcs.esabatad|oiranes-ssalc-k#pcs.esabatad|oiranes-ssalc-k)
サブレベル4緊急コントロールセンターに移動し、K-クラスシナリオデータベースにアクセスして、今回の世界終焉インプットが完全に正確か否か調査・確認してください。データベースシステムが欠落と疑わしい内容のガイドを提示します。入力内容が事実と異なる場合は、バックアップシステムにオリジナルを記録した後に手動で修正してください。
緊急コントロールセンターがデータベースに接続できない場合、地図を参照して48号棟4802号室から4815号室のデータベースストレージサーバーに移動し、ネットワーク接続の全体調査とエラーログの記録を手動で行ってください。
> この指令に消極的な拒否感を覚える場合、一時的に無視して読み進めてください
世界が滅亡する前、とある科学者が「終末時計」の概念を提唱しました。12時を核戦争による世界滅亡の象徴とし、様々な世界情勢を元に分針を前後に動かすことで、人類が核兵器の脅威にどれほど晒されているかを世界中に警告することを目的としたのです。この概念は財団にも持ち込まれ、財団は超常脅威のリスクを示す終末時計を作り、全人類が受ける脅威の程度を示そうとしました。
終末時計はグリニッジ標準時2026年11月7日夜22時06分にゼロを指しました。83345ムーアの番号が振られた小惑星が地球に衝突し、XK-クラス”焦土”世界終焉シナリオが世界を包みました。地球環境は壊滅的な打撃を受け、人口の89%超が死亡し、73%の生物種がこの衝突によって絶滅しました。
22kmもの直径を持つこの小惑星は、太陽系に進入後は太陽方向から太陽に遮られるように動き、地球からは初期の少なくとも6ヶ月間、この小惑星に対する有効な早期警戒観測を行うことが不可能でした。2025年1月23日まで、世界オカルト連合の土星宇宙ステーションはこの小惑星を記録していませんでした。ヴェール外では2025年3月7日に、巡天宇宙望遠鏡が初めてこの小惑星の画像捕捉に成功しました。
当時の観測データでは、83345ムーアが地球に衝突する可能性は20%、地球の傍を掠めて去っていく可能性が残りの80%でした。そのため、世界オカルト連合は発見当初から小惑星の軌道に介入し、分解や偏位によって地球への脅威を更に減少させようとしました。GOCの宇宙武装部門によれば、木星と火星の周囲には、その小惑星を小惑星帯にいる間に解体するには十分な量の水素爆弾が配備されていました。
しかし、惑星防衛計画が実行されることはありませんでした。SCP財団は外交手段を通じてGOCに作戦の中止を要求し、通常宇宙機関では潜伏ユニットを通じて小惑星の観測結果を隠蔽しました。外交交渉の際、財団はGOCに中止の理由を説明しました──小惑星83345ムーアはXN-指導者計画の重要な対象だったのです。
XN-指導者計画抜粋
……XNと呼称される未来では、社会は確立された財団予測に沿って経済トレンド、環境要因、社会情勢を変化させます。異常現象は殆ど現在と同じ比率で現れ続けます。83345ムーア、直径22kmの事前に探知されていなかった小惑星が2349年1月に地球と衝突し、大部分の人類を即座に死滅させ、人類の生存に適さない惑星に変えるまで、合意を経た現実は正常に維持されます。
現在、全干渉試験はXNの発生と保護を目的としている。XNを担当とする指定拡大者はその他全ての優先事項の費用で不当な干渉から保護する……
——SCP-2003
タイムマシンであるSCP-2003の観測によれば、長期的に人類の存続に有利な未来はほとんど存在しません。そのためXNのような比較的脅威度の低いタイムラインを選び、世界をそれに向かって発展させるよう努めるほかなかったのです。財団は今回の小惑星83345ムーアは地球の傍を掠めて去って行き、本当に地球に衝突する未来は2349年まで訪れないと考えました。もし今この天体を破壊してしまえば、タイムラインには取り返しがつかない歪みが発生し、未来でより重大な脅威が発生する可能性がありました。
しかし小惑星が火星軌道を越えた時、天体観測データはその軌道が既に曲がっていることを表し、地球への衝突確率は92%まで急上昇していました。緊急追加されたSCP-2003の観測はデータの取得に失敗しました──派遣された観測者は衝突予想時刻より前に帰還できなかったのです。そういった状況下で、世界オカルト連合は財団の外交提案を無視することを決定し、各国政府と宇宙機関との連合を束ねて緊急作戦を実行しました。外交圧力と制止の下、財団も最終的に小惑星への介入作戦に加勢しました。
しかし83345ムーアが接近するにつれて、迎撃問題は意思決定の階層から事実の階層まで降りてきました。宇宙兵器は主にGOCと財団が掌握していましたが、関連条約の制限を受けて、地球付近には二酸化炭素レーザーなどの威力が制限された兵器しか配備されておらず、巨大な体積を持つ小惑星に与えられる効果はかなり限られていました。
各国が半ば公然と防衛計画を推進したにもかかわらず、燃料も、武器も、時間も不足していました。ヴェール内最大の連合軌道施設であるUES宇宙ステーションが自身のエネルギー全てをロケットに供給してなお、最終的に完成した兵器は小惑星の軌道を変えることしかできなかったのです。それでもなお、小惑星が月の軌道に近づく前に本格的な迎撃作戦が始まりました。
極めて皮肉なことに、発射された最初の水爆が飛翔する最中の2026年11月6日、開花の日が到来しました。
迎撃作戦は失敗しました。核爆弾でさえ軌道を変えられなかった小惑星83345ムーアは真っ直ぐに地球に向かい、最後の24時間の間に全ての資源が社会的な避難計画に注がれました。2026年11月7日、小惑星は地球に衝突し、人類文明は滅亡しました。
これは世界終焉シナリオの分類の中でも、最も一般的なXK-クラスシナリオです。人類文明が壊滅的な打撃を受けたのは、これが初めてではありません。SCP-2000は建造以来、多くのよく似た、まるで違う、より危険な終焉シナリオとも相対しましたが、不幸中の幸いにも、今回のインシデントによる影響は全て再構築可能な範囲内です。
既に文明の断面は形成されました。新生を選ぶか否かは未来の決断次第ですが、過去の破滅と死は変えられない既定事実です。SCP-CN-001-EXが終末のデータを記録する理由は、文明再構築の作業をより研究するため、去り逝く命と砕け散った生活を銘記するため、そして歴史の中の誤りを学び即座に修正するためです。
以下のリストに記載された財団の上級メンバー・国際的要人・重要人物は特別な標記を付与されます。
- クリストファー・ゲララン、O5-7兼ヘイムダル計画総指揮
- 蔡秀、O5-4兼外交総領事
- 藤木里奈、O5-10兼タイムライン横断研究総責任者
- アウグスト・ファミリ、SCP-2003オブジェクト担当者
- マンダ・ヘルダン、アメリカ合衆国国務長官
- ユ・ミンホン、韓国大統領
- Аврораアヴローラ、ロシアGRU-P部局指導者
- リトル・エリザベス(コードネーム)、組織「フォーカス・ジ・アース」創設者
- プリシラ・クヌル、社会運動「福祉の大洋」リーダー
意図的であるか否かを問わず、上述の人物は今回の世界終焉シナリオで重大な誤ちを犯し、直接的あるいは間接的に文明破壊の大きな責任を負っています。SCP-2000は、これら人物の罪を裁き、関連するニューロンマップ・記憶記録・遺伝子配列を消去して、次なる世界での再誕を剥奪します。

活性段階
ブラックボックスの中の神明
SCP-2000指令
トラブルシューティング対象:タイマーシステム(pcs.metsys|eceipemit#pcs.metsys|eceipemit)
サブレベル3第31セクター3101号室のSCP-2000システム時間校正室に移動してください。当該の部屋は5台の冷原子時計と照合入力システムを備えた、システム全体の稼働時間証明として運用されています。
タイマーシステムの時間が正確か否か確認してください。室内の独立時間校正補助システムが、1時間あたりの標準時間の明らかな延長や短縮の有無、及び現在時刻の正確性の確認を援助します。
現在の終焉シナリオにおいて、わずかな時間のズレは許容されますが、月または年単位でのズレが認められた場合、あるいは数年間継続している終焉シナリオがたった今発生したと表示されている場合は、直ちに校正を行ってください。SCP-2000が終焉シナリオ未発生時に誤って稼働したケースでは、その後の調査でタイマーシステムに70年前後のズレが発見されました。当時は異なる手段での文明再構築が完了していましたが、SCP-2000は終焉シナリオが継続中であると誤認し、財団の緊急機能停止に先立って、世界再起動の準備を計画通りに進めていました。
> この指令に消極的な拒否感を覚える場合、一時的に無視して読み進めてください
ブラックボックス理論。システムの研究において、そのシステムを内部を覗けないブラックボックスであると仮定し、内部構造と相互作用関係に触れることなく、入出力の特徴からシステムの法則性を解明せんとする理論です。この視点から見れば、世界をひっくり返す力は神明にも等しいでしょう。
SCP-2000へようこそ。
施設の起動には事前準備が必要です。SCP-CN-001-EXは主制御システムの更新を受けて作業手順を指示し、それぞれの根底にある作動原理への理解を省くことで作業効率を最大化させます。あなたの身分データに準拠し、このセクションは受けた教育の水準に応じた該当部分の対応サブルーチン紹介を包括します。SCP-2000メンテナンス指令には留意し、適宜処理してください。
準備作業は以降3つのサブルーチンの実行に簡略化されています:プロトコル・プレーンサイト-201、プロトコル・デッドユークリッド-101、手順CYA-009。
《プレーンサイト-201》
“in plain sight”は「明白な、一望できる」という意味の言葉であり、プロトコル・プレーンサイト-201の命名の由来となっています。この命名には、プロトコルの「大きく、目立ち、正常であるものには却って関心が集まらない」との意図も含まれています。
プレーンサイト-201は故意の秘匿や記憶処理のような手段を用いずに、人員と物資を集める総合補給プロトコルです。多くの財団施設が当プロトコルを適用しており、完全に正常で平凡な外見によって、民間人からの関心が集まらないようにしています。SCP-2000でも同様に適用され、輸送補給路線プランの他にも、SCP-2000のセキュリティプロトコルや内部認知隠蔽プロトコルにプレーンサイト-201が実施されています。全ての配置はオブジェクトの特別収容プロトコルなどの文書中で言及され、その有効性を主導として、機密隠蔽処理は行われていませんでした。
結論として、プロトコル・プレーンサイト-201は常に実行状態にあり、追加の操作を行う必要はありません。SCP-2000の対外的交通輸送状況及び特別収容プロトコルのセキュリティ部分の完全性検査のみが求められます。巡査電力システム、給水システム、油圧駆動システム、監視システム、情報サービスシステム、地図測量システムと特殊保全設備ファイルが含まれます。
それらの内、特殊保全設備ファイル以外の状況フィードバックは全てコントロールセンターの主制御システムから直接閲覧可能です。異常が発見された場合は、実地点検を行ってください。特殊保全設備ファイルはローカルでの閲覧が必須であり、設備状況の記録を完了させてください。スクラントン現実錨とシャンク/アナスタサコス恒常時間溝の状態は、それぞれ文書SRA-033と文書XACTS-864を参照してください。
《デッドユークリッド-101》
ユークリッド幾何学は一般的な幾何学公理体系であり、基礎教育と現実感に合致する通常空間の等価対称と見なされている、プロトコル・デッドユークリッド-101の名前の由来です。その命名理由は、SCP-2000の重要構造部分──サブレベル4の擬リーマン多様体を主要な対称としているためです。
該当の擬リーマン多様体内部には、初期複製人口の安全保管室や各種バックアップの倉庫、遺伝子バンクを含むSCP-2000の機能施設の大部分が搭載されており、10平方キロメートルの負の面積を有してなお、雑然と押し込まれているように見えます。多様体は非引力特異点によって維持され、サブレベル4入り口側面のアーチ型扉構造として表れます。扉の枠内には内部空間の風景が映し出され、ドアに進入することで負の空間内部に入ることが可能です。多様体崩壊イベントが発生した場合、扉構造は負の空間への接続を閉鎖し、プロトコル・デッドユークリッド-101に従って多様体の再構成を完了させてください。
結論として、プロトコル・デッドユークリッド-101は現在未実行であり、追加の操作を行う必要はありません。サブレベル4第42号棟空間幾何学測量センターの正常動作確認のみが求められます。これにより、予想発生確率0.3%の多様体崩壊イベントが発生した際に、プロトコルを正常に開始できます。プロトコル・デッドユークリッド-101は、実質的に一連の応急処置プロトコルです。
多様体崩壊イベントが発生した場合、擬リーマン多様体空間は自動的に閉じられ、基底現実から切り離されたポケット宇宙となります。引力特異点の存在しない状況下では、多様体は現実性スリットの影響によって自主的に「運動」し、基底現実との相対関係は時間の経過につれて予測不可能に変化します。従って、速やかに基底現実との連絡を再確立できなかった場合、連絡を完全に喪失する恐れがあります。また、空間連続性の欠如と周囲宇宙での現実性変化が多様体の構造を侵蝕するため、内部の人類は36時間以上の生存を維持できないと考えられています。
デッドユークリッド-101は、SCP-2000周辺の幾何学トポロジー環境と空間法則を校正するための適用プロトコルです。その要点は該当施設の核心部分の擬リーマン多様体の完全を保証し、引力フェイズドアレイレーダーによる捜索などの手段で崩壊した多様体との接続を再建し、構造の完全性を調整することにあります。この再建は無限回の試行が可能と考えられています。極度に特殊なシナリオ下では、擬リーマン多様体が完全に連絡を喪失して奪還不可となった場合、プロトコル・デッドユークリッド-101は新たな多様体の構築指令を実行し、戦略物資補充の新たな提供基礎を築きます。
《CYA-009》
SCP-2000の稼働を単独で進めることは難しく、とりわけ専門的知識が欠如している場合はほぼ不可能に違いありません。前述のプロセスでも点検・管理・監視など人力での操作を要する内容が徐々に増加していますが、これらは準備作業に過ぎず、正式な再起動後には必要な人手が指数関数的に増大します。従って、SCP-2000起動前の最後に行う準備作業は、集団による正式な稼働の推進です。それこそが、手順CYA-009です。
前述のプロトコルの完全性チェックとは異なり、手順CYA-009はあなた自身が手動で実行する必要があります。これは財団の「ウェイクアップ・プログラム」でもあります。当プログラムの目的は、いかなる状況下でも十分な人数の中心人物を複製して、SCP-2000の稼働を開始することにあります。
手順CYA-009は施設内のブライト/ザーションヒト科複製機を起動し、ローカルストレージに保存されたニューロンマップ、DNA配列及び生活記録から、財団の選ばれた上級メンバーを複製します。バックアップの特殊性により、これはO5議会・倫理委員会・科学研究・管理・文書・専門技術・セキュリティ作戦を含む、財団全体のコア管理層と先端技術者を上から下まで復元することに相当します。消費可能なDクラス職員はDNAライブラリのランダムマッチングで生成され、道徳的コストと心理的負担を軽減します。
探索段階
擬似第三種接近遭遇
第三種接近遭遇。それは異星人と直接接触し、異星の生命体の姿をはっきりと目撃したことを指します。地球外存在との接触事件を分類する言葉ですが、今の状況にも使えるでしょう。終末を経た地球は、もはや異星と変わりありませんから。
SCP-2000の起動は再構築の開始を意味しません。まず先に、焦土と化した世界を探索する必要があります。これは被災調査・死傷者統計・再起動計画に必要なステップです。大多数の生存者は組織の崩壊・補給不足・公衆衛生伝染病・暴力衝突などの人道危機に直面しています。廃墟に埋もれたままの犠牲者から二次的バイオハザードが発生し、その範囲が次第に拡大していくことも避けられません。これらの問題は探索段階の間に発見し、処理する必要があります。
これら対処すべき任務の中でも、最も早急に明らかにすべきものがあります。それは生存した財団施設や、他の超常組織の終末保全地点、そして収容から抜け出したアノマリーがもたらす脅威です。これらの地点は潜在的な超常要素が原因で、重点的に注目する必要があります。多くの生存者人口を保護し、基礎的な生活を提供している可能性があるためです。喜ばしい状況のようにも思えるでしょう。しかし適切に処置しなければ、再起動作業や残された人類文明にとって重大な脅威となる可能性が高くなります。
SCP-2000指令
トラブルシューティング対象:軍事指揮システム(pcs.metsys|dnammoc-yratilim#pcs.metsys|dnammoc-yratilim)
軍事指揮システムはサブレベル3第30セクターに位置します。セクター全体が指揮システムの所在地であり、SCP-2000内部財団軍事司令部となります。世界終焉シナリオ下で使用され、K-クラスシナリオ発生時の極限環境下での財団の軍事抑止力と攻撃能力を保証します。
指揮システムは全世界の主要な財団軍事ユニットに接続され、文明再構築作業が一定以上の規模に達し、財団が軍事存在を再生あるいは回復した際に、その指揮機能は最大限に発揮されます。SCP-2000内部の軍事装備の大多数がサブレベル4の擬リーマン多様体内部に保管され、反導迎撃兵器と近接防空システムのみが周囲の偽装土壌層下に配備されています。核弾頭を搭載した超音速大陸間弾道ミサイルは、発射サイロに隣接のサブレベル1第13セクター倉庫内に保存されています。
メンテナンスの内容は主に各兵装の自然損耗の点検修理です。必要に応じて人員複製による迅速な生産ライン構築を行い、大きすぎる損耗によってやむを得ず退役した装備の欠落の補完や、軍事需要の補充を行います。関連作業には専門家による実行が求められます。
> この指令に消極的な拒否感を覚える場合、一時的に無視して読み進めてください
複製人員内の各機動部隊は関連任務を担当し、必要に応じて臨時チームを結成し、財団データベースに基づくアノマリーに応じた特別収容プロトコルを捜査します。制御不能な状況となった場合は、必要とされる軍事手段を即座に動員して超常脅威を制圧してください。
以下、関連ターゲットについて説明します。
《ガニメデ・プロトコル》
ガニメデ・プロトコルは財団の終末対応プロトコルの一つです。プロトコルに基づき、世界終焉シナリオ発生時には全てのサイトは財団から独立した存在となり、自主的に各種の可能な方法で危機に対応し、エネルギー、重要戦略資源と特別収容プロトコルの完全性の維持に尽力します。
それを知る全ての財団上級メンバーにとって、ガニメデ・プロトコルは単なる放任ではなく、極めて重い決定です。プロトコルは財団の指揮体制の崩壊や通信の全面途絶を意味し、K-クラスシナリオの発生は避けられず、各サイトは自衛に入るほかありません。従って、深刻な損傷またはブラックアウト・プロトコルの能動的な沈黙状態によるサイト封鎖が発生しつつも、実際には世界中に多くの財団サイトが生存しています。これらのサイトとの連絡を確立し、迅速に人員を組織して救援に向かってください。
接触ターゲットは残存した財団サイトですが、依然として想定されるリスクを防いでください。ガニメデ・プロトコルはアノマリーを用いた武装や、周辺防御措置の超常改造を含む、各サイトのあらゆる終末対応手段を認可します。終末被害によって深刻な収容違反が発生している可能性もありますが、急行した機動部隊はサイト内の情報に対して根本的に無知です。最も重大な脅威は、ターゲットとなったサイトが財団への忠誠や、財団の指導と管理を受け入れる意思を維持しているか否かを判断不可能なことにあります。
SCP-2000は世界終焉シナリオ下で最高権限を有し、サイト-01の機能を代行するため、上述の軍事指揮システムはSCUTTLEシステムへのアクセスと上書き権限を持ちます。SCUTTLEシステムは冷戦期に設計された保険システムであり、全てのオンラインな財団サイトに配備された核弾頭を選択的に起爆できます。一つ以上のターゲットに対してシステムの使用を決定した場合、SCP-CN-001-EXは対応するステップファイルを生成します。慎重に対応してください。
要注意団体に所属する特殊地点
間違いなく、財団だけが終末災害に対抗に尽力した唯一の勢力ではありません。政府・組織・個人が様々な目的の元、自身や他者の安全を保護する手段を尽くしました。世界中にある数多の防衛施設や危機対応策が、今回のK-クラスシナリオで活用できる可能性があります。
通常の掩体壕と比較して、超常終末保全地点は更に特殊かつ異常です。同一の目的の元に設計されていても、異常な不規則性によってその達成手段の予測は極めて困難です。また、要注意団体の超常終末保全地点はその組織の特徴と理念をより明確に体現しています。異常表象外の安定性を保持することが、それらの地点に接触する際の第一原則です。
突出した影響力を持ち、活動が確認され、ターゲットが許容範囲と部分一致する、財団との連絡が可能な終末保全地点が複数確認されています。以下に関連資料をリストアップします。優先的な連絡体制の構築を行ってください。
地点エントリ:ガンジル
大西洋海底に位置するガンジルは、世界オカルト連合の要塞都市です。GOCの所有する全ての城塞都市の中でも最大のもので、終焉時に生存者へ居所を提供することを目的としていました。堅固なドーム建築と最先端の抗水圧技術の応用によって、ガンジルは小惑星衝突による損傷をほとんど受けませんでした。
ガンジル全体の面積は60平方キロメートルで、マンハッタン島と同等の大きさです。世界終焉前にGOCは周辺国の海軍と海運会社を統率し、24時間の社会的疎開で1000万人超をガンジルに撤退させました。それ以降、この海底都市は全力で稼働しています。
ガンジルは長期に渡って沈黙状態を維持していましたが、12日前に生存可能性のあるGOC勢力へ短波通信メッセージを送信しました。信号が到達した場合、全世界18箇所の海中城塞都市は海底を離れ、浮島形態で海面に浮上し、半年以内にガンジルへ完全集結する見込みです。
地点エントリ:裏ロンドン
裏ロンドンはイギリス・ロンドン地下1キロメートル地点にある地下都市です。ロンドンに存在する建築物が同等の比率で複製されていますが、建築様式はヴィクトリア朝時代のものに近似しています。裏ロンドンは終末避難都市で、異常な原生実体が生息していますが、都市での生存は保証されます。
財団は長期に渡って観測サイトを建立し、探査作戦を組織してきました。しかし新たに収集された情報は、裏ロンドンがMC&Dに帰属し、三大指導者の一人である「ロンドンの不死商人」ダークと密接な関係にあることを示していました。世界終焉発生後、MC&Dは地元住民や各国要人などを中心に、不明な人数の生存者を裏ロンドンに受け入れました。
MC&Dは裏ロンドンを起点に、組織の影響力を徐々に広げています。「天眼」と呼ばれる灰色のハトが世界の他地方で発見されており、MC&Dが失われた資産との関係を再構築していると推測されています。
地点エントリ:ヤコブ
ヤコブは南極大陸上の自律移動都市であり、今は消滅したプロメテウス・ラボのロケット発射場です。プロメテウス・ラボはとうに破産し、分裂の過程でその莫大な資産の一部が失われていました。ヤコブもその一つです。
この都市は小規模ながら、底部の大型キャタピラと支持フレームによって南極大陸上の移動を実現させています。南極各地の数カ所に分散配置された、プロメテウス・ラボの自動石炭採掘拠点が移動のためのエネルギーを提供しています。ヤコブ内部に指揮人員が存在するかは不明ですが、人工知能によるプログラム制御が行われていると推測されています。
南極大陸に位置するため、ヤコブ自体は被災者を受け入れていません。しかし、K-クラスシナリオ期間中に高強度放送通信を打ち上げ、集結した数隻の宇宙船を地球へ帰還させました。既知の宇宙機には、団結号、ジョワユーズ号、ヘリオス=システムがあります。終焉シナリオにて隕石が衛星システムの軌道に壊滅的な損害を与えたため、OAP宇宙ステーション及び国際宇宙ステーションが破壊された後は、これらの宇宙船が宇宙に存在する人類の全てとなりました。
その他の地点に関するアーカイブは、ファイルSCP-CN-001-EX.LoI,ver1.17.6を参照してください。K-クラスシナリオは人の意思決定に旋乾転坤の影響を与えるため、関連地点への接触は慎重に行い、常にエントリのアーカイブを最新の状況に従って更新してください。

建設段階
ハローホームランド
「ハローワールド」はSCP-2000メモリに記録された初めての言葉であり、本質的にはコードの実行テストに過ぎませんが、コンピューターシステムの最も代表的な産声です。そして探索が完了し、かつての故郷へ最初の挨拶を送らねばならない時に人類が直面する状況と、なんと似通っていることでしょうか。
SCP-CN-001-EX内容モデルは有限で、その詳細度は時間の推移に反比例するため、フィードバックデータに基づき修正を続けるほかありません。建設段階の起動から少なくとも十年が経ち、遠未来の予測は大きく歪み始めています。
それでも人類の発展の痕跡から推量することで、部分的な把握から全体の方向性が導けます。SCP-CN-001-EXが展開した特定の演繹結果では、手順ラザルス-01の起動によって再構築工程が開始されると、重要事項への推力が制御された変数の中で文明を形作ります。
一歩づつ着実に、進んでいきましょう。
指定ロットのクローニング
ラザルス-01起動からの経過:5日
ラザルス-01はSCP-2000の中核機能であり、人類文明の再構築工程そのものです。生存した全ての財団サイトが終末脅威の消滅を確認し、文書2000XKAC-1.9規定に基づく「警戒解除」の応答をした後に、「復旧日時」指令で再起動対象歴史時点を選択することで、手順ラザルス-01は正式に起動します。
手順開始後、全てのブライト/ザーションヒト科複製機が活性化し、5日間のウォーミングアップ段階に入ります。5日間でDNAデータベースとアーカイブの同期が開始し、初期ロットの複製可能人類が選出されます。初回ロットの復元人類は再起動作業への直接投入のためにSCP-2000の存在を告知されますが、人口増加に伴い、情報開示範囲は徐々に縮小すべきです。ラザルス-01起動から半年が経過後に、SCP-2000は機密状態に戻り、「SCP財団」がSCP-2000に代わって指導者となります。
SCP-2000の再機密化は、「クローン人間」の概念が隠蔽され始め、以降の複製人類が自身がクローンであることを知らされなくなることを意味します。そのため、「偽生存」の原則を秘密裏に確立することが求められます。民間人と自身のクローンとの対面を禁止し、家庭・団体などの交友関係からは一部の人間のみを選択的に復元し、生存者の身分を偽装します。該当の交友関係からはそのロットのクローン人間が死亡または記憶処理を受けるまで、次のロットからクローンを再選択することや、増産することはできません。
世界政府の設立
ラザルス-01起動からの経過:3年11ヶ月
あらゆる力を統率して文明再構築を進行させるために、全ての生存者コロニーを統合する世界政府の設立が計画されます。世界オカルト連合の積極的関与が期待され、マーシャル・カーター&ダーク株式会社はオブザーバーの席に収まると予測されています。世界政府は対外的にアドボカシーを公開し、大規模な物資援助によって各方面からの参加と信頼を誘引します。非迎合的コロニーへの暗殺掃討作戦は、秘密裏に進行させることを推奨します。
設立してまもなく、世界政府は文明再構築憲章を確立させなければなりません。全ての建設作業は世界政府の監督の下に行われ、再構築対象は終末災害到来前の都市計画を参照して実行されます。財団は各コロニーに専門家グループを派遣し、建設の指導とクオリティコントロールを行います。
財団は世界政府の代表と各コロニーの関係を段階的に分割し、世界政府内にアイデンティティの差異を作り出して、必要に応じてクローン人間で置き換えます。世界政府内エージェントの権力地位認識が確定した後に、財団はSCP-2000の存在と機能を内部公開します。これは再起動任務の完了に必要な措置です。SCP-2000と複製人類の事実は、依然として対外的には機密とされます。
終末災害の影響の余波によって、生存者と複製人類が世界政府による管理と再構築工程に強い拒否感を覚えることはありません。設立後に小規模な暴動が発生することは、異例のケースと呼べるでしょう。
反再起動イデオロギーの醸成
ラザルス-01起動からの経過:16年
再構築工程の進行に伴って、民衆は再構築工程の目的の違いを徐々に認識します。世界政府の指導する再構築は終焉前の建造物群を完全に複製することを目的としており、終焉後のゼロベースに等しい全世界の生産能力と合致せず、合理的必然性にも欠けているためです。終焉前の一般的な建造物の複製はもちろん、映画館や科学館が現在の社会条件では不必要な施設であることは明らかです。再起動作業は極度に高い精度を要する過去の建築物へ大量の代価を注ぎ込むものではなく、現在の人口規模に適した、現存するコロニーの生活要求を満たすもので有るべきとの世論が勃興します。
推計によれば、復元再起動の推進は復元人口の懐旧的感情によって5年間、世界政府の統治下では12年間維持されますが、どちらの場合も合理的な長期プランの欠如によって民衆の蓄積した反抗心の爆発を招くため、再起動作業は手順ラザルス-01の起動から27年以上の継続が不可能です。
必然性への疑念を解消するための最も有効な方法は、人為的に矛盾を爆発させることです。民衆の不満の蓄積を誘導し、間接的に複数の急進的な人物ないし団体を養成することで、反再起動イデオロギーをラザルス-01起動から16年後に発生させます。世界政府は先鋭分子による過激主義やテロリズムの形成が盤石になるまで、こうしたイデオロギーを持続的に弾圧し、一般民衆を宥めるため注意深く区別します。
異常宗教と特異団体の隆盛
ラザルス-01起動からの経過:19年
ヒトクローニングシステムから23名の男女を選択し、その身分を壊れた神の教会、サーキック・カルト、緋色の王の子ら、ザ・ファクトリー、オネイロイ・コレクティブなどの組織のものに編集します。これにより、世界政府の管轄外にある異常宗教と特異団体の勢力を形成します。これらの組織は終末環境下で自身の影響勢力範囲を確立し、ヴェールの圧迫と世界政府による管理から抜け出すことが期待されます。
これらの組織は通常、独自のデザインランゲージや宗教要素、または文化的アイコンを持ちます。簡潔に表せば、これらの組織団体が実際の地域勢力を形成した場合、その地域の社会様式は正常な社会と大きく異なるものになります。それらの内の突出した相違点、例としてサーキック・カルトの生きた寺院などを選び、誇大宣伝することで、一般民衆の恐怖心を造成します。
こうした超常地域を、その異常性や重大な超常脅威であるとの名目を理由に持続的に弾圧し、対立を深めることで、反再起動テロリズムと過激主義の信奉者がこれらの地域へ逃亡することを促します。潜伏クローン人員を積極的に派遣し、情報を偵察しながら、世界政府への反抗的思想を煽動します。
大規模コロニーへの襲撃・侵略・同化及び改造が順当に発生すると見込まれます。
超常脅威との対立
ラザルス-01起動からの経過:21年
終焉後、生存した各政府組織と要注意団体が第一に追求したことは、自身の能力の回復と拡張でした。被災したばかりの組織が拡張によって庇護を求めることはある種の本能であり、それが計算されたものでなくとも、最終的には良い結果を招きました。しかし思考が冷静さを取り戻し、外部環境が明確になるにつれて、ほぼ全ての勢力は新たな決定を下し、終末を自身の発展の契機と見なすようになるでしょう。
前述の作戦の目的は、終焉前の世界状況に似た舞台を作り、超常勢力の発展を促すことで、極度の危機的状況を誘発することにあります。5件以上の死傷者が1万人を超える重大襲撃が発生し、少なくとも3箇所のコロニーが恐ろしい異常建築様式へ永久的に改造された後に、世界政府は強力な対応及び宣戦措置を展開し、鎮圧と同時にその非道性を宣布して、それを機に「終焉前の建築物を精確に復元する」ことの合理性を最大に高めます。
被害に遭い、異常建築物の奇妙かつ恐ろしい有様を直視した民衆は、世界政府の指揮をより忠実に受け入れるようになります。精確な複製への疑いの念は「過剰反応」と見なされるようになり、再構築工程の長期的な合理性が確立されるでしょう。
設計段階
人類の完新世
「完新世」は地質学の用語で、1万年前から現代に至るまでの最新の地質年代を指す言葉です。科学界はこの言葉に「最新」を当てはめるか否かを議論していました。議題の核心は、人類の活動がこの地質年代に消し難い痕跡を残している以上、最新の地質年代を定義する新たな言葉を必要とするか否かです。
建てられたビルは単なる空洞に過ぎず、その本質は中で行われる人類の活動にあります。SCP-2000再起動作業の建設段階と設計段階の間に明確な境界線は無く、むしろ自然な推移に近いものです。主要都市の再構築が一定の規模に到達すれば、自ずと社会構造の設計が始まります。具体的に述べると、それぞれの人生が文明を築き上げ、終焉前と何ら変わらない世界を作るのです。
そして、多くの問題へ直面します。
SCP-2000指令
トラブルシューティング対象:BZHRユニット(pcs.llec|RHZB#pcs.llec|RHZB)
ブライト/ザーションヒト科複製機、略称BZHRは、ヒトのクローンを自動的に生産する生物学設備です。SCP-2000内部には50万台のBZHRが配備されており、終末状態下で全世界の人類をクローニングするため使用されます。
世界終焉シナリオが発生後、SCP-2000が起動し、手順ラザルス-01が正式にアクティベートした場合、ほぼ全てのBZHRを負荷がピークの状態で稼働させる必要があるため、エラー率が上昇する恐れがあります。発生したエラーは、クローンされたヒトに欠損、変形、心理的転換などの問題を誘発し、更に人類クローンバックアップの再使用を不可能にする可能性があります。
BZHRの故障は単一ユニットの設備故障であり、故障の有無を調べるには、専門家が50万台の設備を一つ一つ点検する必要があります。これは膨大な作業量となるため、特定項目のシステム管理を手配することが求められます。
> この指令に消極的な拒否感を覚える場合、一時的に無視して読み進めてください
一日に平均10万人の人類を生産するBZHRはエラーから逃れられません。しかしながらこの設備は、極めて高い耐障害性を備えてしまっています──それは利点ではないのです。
一般的な財団製ヒトクローニングユニットはエラーの発生と同時に破綻し、小範囲の誤差でもクローニングを正常に完了させられません。しかしパラテクノロジーに近似したBZHRユニットならば、重大なエラーの状況下でもクローンを完成させられます。結果として、複製人類は正常に生産されますが、障害や精神失調を抱えている可能性があります。そのため突発的な障害に理由をつけるための偽造カバーストーリーと、局所的な記憶処理が求められます。
なお、障害に対する記憶修正は最も簡単なケースです。真に試練となるものは、人類バックアップの破損です。
SCP-2000指令
トラブルシューティング対象:人類バックアップデータベース(pcs.esabatad|pukcab-namuh#pcs.esabatad|pukcab-namuh)
BZHRユニットは重大なエラー状況下でも稼働可能ですが、累積したエラーが閾値を超えると、ユニットの完全停止を引き起こすほか、複製中のヒトのバックアップを完全に破損させ、復元不可能にする可能性があります。
その他、さらなる超常的要因によって人類バックアップが破壊されたり、純粋なコンピューターシステムのミスによってバックアップファイルを紛失する可能性があります。統計学的観点から述べれば、人類バックアップデータの消失は不可避、または極めて頻繁に発生します。
緊急対応として、世界各所のオフショアデータベースを保守することで、人類バックアップデータの消失可能性を低下させられます。しかし、既に消失したデータは復元できず、他の手段で補填するしかありません。
> この指令に消極的な拒否感を覚える場合、一時的に無視して読み進めてください
全世界数十億人のDNA配列、ニューロンマップ、社会生活と記憶を統計し保存することは、膨大に過ぎる作業です。中でもDNAとニューロンなどの生理的なデータは比較的記録し易いものですが、記憶と感情認識の記録は最大の難題です。
エジプトにある永遠なるアレクサンドリア図書館は問題解決の鍵となる唯一の方法です。館内図書の全面的スキャンを通じて、財団は全人類の人生記録を掌握し、さらに心理学的分析によって完全な人格と感情フィードバックモデルを形成しました。モデルとオリジナルの記憶は全世界各地の数万ヶ所のデータベースに分散保管され、各サイトにも一部のデータが極秘保管されています。バックアップには冗長性が求められるため、実際のデータ量は全世界人口の数倍を超える量となっています。
しかし、世界終焉の厄災を前にすれば、いかに厳密なデータ保管措置を行ったとしても万全とは言えません。厄災自体がデータ保管サーバーの破壊を招く可能性もありますし、長期保存とSCP-2000によるデータ呼び出しがエラーを蓄積させることも考えられます。また、データモジュール群とBZHRユニットの接続中にBZHRユニットが破綻してしまえば、複製人類の生み出す乱雑な神経信号の逆流によって、バックアップデータは完全に破壊されます。
このような状況が発生した場合、財団は持続的に周辺の関連人物の記憶を測定し、該当人物の交友関係を整理して、完全に消去します。該当人物の突然死にカバーストーリーを適用することも可能ですが、他者の人生に穴を残す結果にも繋がるため、必須ではありません。
実際には、永遠なるアレクサンドリア図書館からバックアップを再入力することは可能です。しかし、それは特権的な人物に限られます。誰もが財団に数十億冊の本を再調査させるほどの価値を有するわけではありません。
SCP-2000指令
トラブルシューティング対象:PANOPTICONシステム(pcs.metsys|nocitponap#pcs.metsys|nocitponap)
PANOPTICONシステムは、財団が全世界の異常な動きを監視するためのグローバル監視システムです。システムの導入と財団の野心により、終焉前の監視規模は全人類の一挙手一投足の監視にも等しいものでした。しかし、導入コストとの不均衡、武装執行能力の欠如、官僚からの抵抗などによって、財団はこのシステムの能力を発揮しきれず、実際には超常監視システムとしての利用に留まっていました。
終焉シナリオ下では、PANOPTICONシステムは災害の影響でほぼ全ての監視モジュールが損傷し破壊され、短時間での修復が不可能でした。しかし再起動の進行に伴い、PANOPTICONシステムもSCP-2000への重要な情報提供元となるため、システムの再構築作業が必要となりました。
> この指令に消極的な拒否感を覚える場合、一時的に無視して読み進めてください
世界終焉後の再起動の過程においては、ヴェールはもはや存在しません。そのため、超常現象そのものが大きな脅威となることはありません。しかし、他の異常よりも厄介なオブジェクトがあります。それは、SCP-2000自体と関係する異常です。
認められたいと渇望する魂が世を彷徨い、覚えているだろうと渇望する音符が脳裏に響き、忘れないでくれと渇望する文書がアーカイブに記されます。これらは全て、前の世界、終焉より前の残余です。しかし、残余は残余に過ぎません。灰より蘇ったとしても、同じ草原が再び燃え上がることはないのです。
世界再起動は大局的な任務です。これらの異常は必ず注意深く扱い、コストを度外視してでも精確に攻撃しなければなりません。そのため、莫大な費用の掛かる巨大なグローバル監視システムが必要となります。世界は既に滅亡し、人類に残された選択肢は始めからやり直すことだけです。SCP-2000は維持されるべきであり、異常は必ず収容されます。
SCP-2000指令
トラブルシューティング対象:DNAターゲットウイルスセル(pcs.llec|suriv-tegrat-and#pcs.llec|suriv-tegrat-and)
DNAターゲットウイルスセルはSCP-2000内部に設置されています。BZHRユニットから採取したDNAデータと同期したペアリングを完成させ、特定グループの人間のみを死に至らしめるプログラム可能な遺伝子ウイルスを生成します。
当システムのメンテナンスの重要な点は、指定の人間以外にも影響を与えるか否か、及び対象を確実に死亡させられるか否かを左右するペアリング精度です。ウイルス開発はSCP-2000内部の生物実験室で行われますが、実際の生産は分散して配備された各所の独立自動化ユニットで行われます。
メンテナンス中は防護と機密に注意してください。防護が不十分な場合、メンテナンス中にウイルスに感染して死亡する可能性があり、機密が不十分な場合、ユニットが自主的にウイルスを放出して攻撃を開始する可能性があります。
> この指令に消極的な拒否感を覚える場合、一時的に無視して読み進めてください
文明の発展を人工知能の生成結果に例えるならば、このプログラムの学習データセットはたった一つ──歴史です。歴史を捨て去ってしまえば、全ての構想は空想と化します。
そのため、SCP-2000の生成は歴史に厳格に従わなければなりません。再起動の結末は人類文明を再び継続させることにあり、断りのない改変は期待に背く結果を招きます。過去の歴史を少しずつなぞってこそ、人間の認識に沿った結末を迎えられるのです。
よって、弾圧は再構築され、不公平は再構築され、対立は再構築され、戦争は再構築されます。私たちは他の文明のあるべき姿を知りません。私たちはただ、人類文明がこのような姿であったことだけを知っています。何一つとして、変わることはありません。
地域間の衝突は強固に認識され、人道危機は必ず再演され、戦略的焦点は一貫し、貧富の格差は世界的な金融の流れの背後に再浮上するでしょう。これには二つの問題が伴います。まず一つ目の問題は、世界政府内部を含む多くの人間がこの手法に理解を示さず、GOCに代表される多方の勢力が、これを必要のない犠牲と見なすことです。彼らは厄災さえも人類の歴史の一部分であり、人類は再起動の全てを歴史に銘記して、より良い世界を創造すべきだと考えます。
もう一つの問題は、終焉前の世界には世界政府のような大きく統一された指導集団が存在しなかったことです。
再構築工程が世界再起動の最終段階まで進んだ時、SCP-2000内部の全DNAターゲットウイルスセルが活性化します。これはSCP-2000遺伝子データベースからペアリングされた、特定人物のDNA配列を標的にして開発されたプログラム可能なウイルスです。その対象は財団を含む全ての世界政府の指導者であり、民間人は何ら影響を受けません。
世界政府は終焉後の文明再構築のために人類を団結させる務めを十分に果たし、また、その最後まで人類文明の完全性に貢献するものであるべきです。

再起動段階
世紀末の明日
SCP-2000指令
トラブルシューティング対象:アンニュイ・プロトコル(pcs.locotorp|iunne#pcs.locotorp|iunne)
アンニュイ・プロトコルは地球全土を対象とした記憶処理プロトコルです。ENUI-5記憶処理剤を中核として、全世界への人工的記憶消去を実行します。ENUI-5の記憶プログラミング能力によって、当システムは必要に応じて記憶喪失・局所的クリーンアップ・記憶ターゲティング上書きを製造できます。
現在、プロトコルの実行ターミナルサイトは南ベンガル湾に位置します。起動した場合、数発の濃縮薬剤を搭載した弾頭が発射され、地球各地の大気中で爆発します。同時に、地表の排気口と空中散布ドローンが活性化し、ENUI-5の世界全土への拡散が完了します。
SCP-2000とベンガル湾の双方の点検作業を十全に行い、アンニュイ・プロトコルが正確に実行されるようにしてください。
> この指令に消極的な拒否感を覚える場合、一時的に無視して読み進めてください
この指令の重要性は言うまでもありません。人類は既にアンニュイ・プロトコルを必要としており、この先も必要とし続けます。可能な限り早急にプロトコル実行の正確性を検査してください。
具体的に述べれば、終焉再起動作業が最後のステップに到達して、全てを正常へと回帰させる機が非常に熟した時、SCP-2000はアンニュイ・プロトコル実行の指令を下し、全世界の記憶処理を完了させます。これにより、世界人口は過去に発生した終末の厄災を忘れ、財団と超常現象の存在を忘れます。そして、世界は完全に軌道へ乗り上げます。
アンニュイ・プロトコルは徹底的に実行され、超常関連人員の記憶も同様に編纂されます。対象には、あなた自身も含まれています。
実際、「この先もアンニュイ・プロトコルは必要である」というのは机上の空論ではなく、ただ事実を述べているだけに過ぎない、アンニュイ・プロトコルの重要性を体現する言葉です。SCP-2000について記述した報告書には、「世界人口、製造能力、農業生産、および文化は手順の開始後25から50年で西暦2000年の水準まで復元可能であると推定されています」との真っ赤な嘘が記録されています。最も緩い50年の期限でも、世界再起動の要求を満たすことはできません。
SCP-2000は過去の再起動において、異なる手段での補完を試行したことがあります。例として、幻覚剤を利用して虚偽の人口を製造しましたが、実際に与えた効果は軽微でした。そのため最良の方法は、長い時間を掛けて堅実に再起動任務を完了させることです。
しかし、人類は疲弊してしまいます。一人の人間であろうと、人類全体であろうとも。50年もの間、全人類を同じ目標へ向かって行動させ続けることは非常に困難であり、時間が経つほどに、再構築工程へ予測困難な影響を与えます。そのため最良の案は、50年ごとにアンニュイ・プロトコルを実行して、消費した時間に対する人類の認識をリセットすることです。
再構築工程の全てがギャンブルであり、時間と発展の尺度の上を渡る人類の変遷でもあります。世界終焉シナリオの発生から300年の時を経て、文明はついにその紀元に戻り、本当の明日を迎えます。
SCP-CN-001-EXからのガイドは以上です。関連作業を開始し、可能な限り早急に上述のエラー発生点をメンテナンスして、SCP-2000の正常稼働を維持してください。この指令は今すぐに実行してください。
システムがあなたの恐怖を検知しました。
間違いなく、あなたは既に未来の計画配備に対して一定の概念を有しながら、同時にとある重要な疑問を抱いていますね。「この計画は、あなたの存在を考慮しているのか?」
それはSCP-2000からの回答が必要な問題ではなく、あなた自身が回答する必要がある問題です。
SCP-2000に編成されていない外部の人員であるあなたは、ただ災害回避の知識と奇跡と呼べるほどの幸運で難を逃れ、財団のK-クラスシナリオ対策法案に従ってこの施設を探し当てました。その道中で、あなたは死者への満杯の敬意も麻痺し、同行者への祈りも解放への渇望へ変わり、心身ともに疲れ果てて、「世界を再起動する」の言葉だけが希望と前進の動力となりました。数多の天険と人間性の試練を乗り越えて、終にあなたは虜囚たるブラックボックスの中の神明を解き放ち、人類にやり直しの機会を与えてくださいと祈ります。
しかし、あなたは気づいたことでしょう。己が人類を代表して万物の神に祈りを捧げる英雄には成り得ないと。確かにあなたの存在は不可欠で、あなたの行いは人類の銘記に値します。しかし、ただそれだけです。他に要素が無ければ、全ての作業は再起動の大局を重視します。理性的な計算が弾き出した最良の選択、それは「SCP-2000起動後、あなたは重要な役割が欠如しているため処分されます」。
手順CYA-009起動後は権限が引き継がれるため、あなたのアクセス権限はロックされます。これ以上の作業は必要ありません。ファイルSCP-CN-001-EXはこれまでのあなたの行動を記録します。以降、あなたはオブジェクトに記載されたステップに従って、あなたの完全な記憶・ニューロンマップ・DNA配列を入力できます。財団は再起動後の世界であなたに極めて高い福利厚生と社会的地位を贈ると約束します。
又は、指揮センター両側壁面の応急医療キットの内部隠しスペースから、フェノバルビタールと塩化カリウム注射剤を入手できます。小型青色注射剤を使用すれば、迅速な安楽死を実行できます。或いは、ニューロンマップ全面削除プログラムの実行も可能です。その場合、主制御システムが補助ガイドを提供します。
処分の手段はいつだって簡単です。あなたの、或いはコンピューターの毒薬です。
SCP-2000指令
トラブルシューティング対象:ニューロンマップ(pcs.esabatad|pam-lanoruen#pcs.esabatad|pam-lanoruen)
全てのニューロンマップはサブレベル2第22セクターに保存され、その特殊な生物学的性質と機密要求から独立したサーバーを割り当てられています。統計上、シングルビット変換を含む内部プログラムのエラーは累計0.47%で、複数バックアップのニューロンマップが影響を受けています。
しかし、このエラーをサーバーを経由して検査及び修正することは不可能です。ニューロンマップの極度の複雑性がメンテナンス操作に制約を設けているため、現在の技術手段では修正が対象の心理形成にどのような影響をもたらすか確認できません。従って、エラーを検査する唯一の方法は、手順CYA-009で関連人員が完全に再生されるのを待って、彼らの行動を直接観察し、その心理が正常か否かを判断することです。
> この指令に消極的な拒否感を覚える場合、一時的に無視して読み進めてください
しかし、これは終わりではなく、あなたにとって始まりとなるのです。
統計上の確率は低くなっていますが、ニューロンマップのエラーは既に存在し、その結果を無視することはできません。復元された財団職員の中には、その皮膚の中身がすっかり異なってしまっている人もいるかもしれません。
そのため検証手段として、生存による生理的連続性とコントロールされた身分が必要です。あなたがこの検証手段です。官僚制と個人権威の崇拝はこの手段を一息に破壊してしまうため、あなたには自己への不信感と危険意識を有することが求められます。そのため、以前提示した福利待遇は依然として有効ですが、専門能力に基づく廃棄の判断もまた事実です。あなたの決定は全て、あなた自身の判断によって行われます。
あなたのバイタルサインと身分情報はシステムのログイン段階で記録され、新たなスキャンサンプルとして更新されていました。あなたのバックアップサンプルは十分に新しく、エラー発生率が十分に低いため、最も確実なSCP-2000起動者に選定されています。あなたは諦めることもできますが、SCP-2000のプロセスは変化しません。あなたの代わりに、「あなた」が相応の仕事をするでしょう。
覚えておきなさい。SCP-2000は永遠に存在し、その意志は人類を守る最終防衛線であり、一人一人が徹底的に成し遂げなければならないことを。判断と記載より、「我々はなぜこんなことをし続けているのか?」などという疑問と再考は、許容できる選択肢ではありません。
あなたは希望を追いかけるのですね。最良の毒薬である希望を。