アイテム番号: SCP-CN-060
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 収容状態にある未使用のSCP-CN-060はすべてSite-34の23号倉庫に保管されており、使用されたSCP-CN-060はその場か収容サイトに持ち戻りの上処分されます。機動部隊-庚午-03(“将登太行雪満山”)はオブジェクトが頻繁に出現する主要都市に派遣され、全てのSCP-CN-060実例の回収とSCP-CN-060を民間人が使用した場合の記憶処理を担当します。
SCP-CN-060の起源についてはさらなる調査が必要です。
説明: SCP-CN-060の外観は一般的なO██シェアバイクに類似していますが、表面には判読困難な文字で「青崖白鹿-OBメディア代理運営 コールセンター 電話▇▇▇▇▇▇▇▇」と印刷されています。
オブジェクトを使用した場合、オブジェクトは自転車から哺乳綱鯨偶蹄目シカ科のオジロジカに変化し、100km/h~███km/hで特定の方向に向かって突進します。(アクセスログ-060-1によると方向は使用者の位置に最も近い山と推定されます。)しかし突進は通常、建物との衝突に終わります。
この時点でSCP-CN-060個体は生物学的本能を示し、逃げたり餌を求めます。使用後のSCP-CN-060全個体のX線検査では異常は認められず、どのような手段で生物学的限界を超えた速度に到達したかは不明です。使用状態にある全ての個体は未知の材料の白色顔料に覆われており、全身が白く見える状態にあることは注目に値します。
SCP-CN-060を使用した全ての民間人は軽度の脳震盪から全身の粉砕骨折に至るまでの傷害を負っています。
アクセスログ-060-1:
201█年██月██日、財団はオブジェクトの車体に印刷された電話番号に電話をかける最初の試みを行いました。以下は、ハンナ博士と未知の対象(SCP-CN-060-1、SCP-CN-060-2と割り当てられています)との通話記録です。ハンナ博士はSCP-CN-060-1との会話をできるだけ長く続けるように指示されました。電話番号は各国の電話番号の形式に当てはまらず、電話番号を追跡しようとする試みはすべて失敗に終わりました。電話番号の分析は情報セキュリティ部門で行われています。
SCP-CN-060-1: おはようございます!OOOOOBメディアが代理運営するシェアバイクカスタマーサービスホットライン「青崖白鹿」へようこそ。従業員番号████番の「越人」です、何かご用でしょうか?
ハンナ博士: 鹿に変わるシェアバイクはあなた達が開発したのですか?
SCP-CN-060-1: はい!シェアバイク「且く白鹿を青崖の間に放ち1」をご体験ください!「須らく行くべくんば即ち騎って名山を訪ねん2」!詩仙の歩みを追う文学的な夢を一周しましょう!
ハンナ博士: しかしですね、おたくのバイクを使った人は、バス停の看板からビルまで、あらゆる建物にぶつかっているんですよ。皆ひどい怪我を負っています。
SCP-CN-060-1: ま!さ!か!有名な山々を終点に設定し、「千巖萬轉して路定まらず、花に迷ひ石に倚れば忽ち已に暝し3」という経験をもとに、厳しいルートを設定しています!彼らが感じるめまいの話をしているのなら、それは私たちが提供するサービスの一部です!「忽ち魂悸(おどろ)きて以て魄動き、恍として驚き起きて長嗟す4」完璧なユーザー体験です!
ハンナ博士: では、彼らが直面しているのは、「洞天の石扇、忽然として中開す5」というユーザー体験なのですね?
SCP-CN-060-1: こんなに賢いクライアントの女性に出会ったことはありません!おっしゃる通りでございます!OBメディアは青崖白鹿と提携し、完璧なユーザー体験を提供しています!
ハンナ博士: 前にも言いましたが、御社の製品を使用されている方は、建物や障害物にぶつかっただけでなく、圧迫骨折から重度の脳震盪までの怪我をされているので、賠償を請求したいのですが。
SCP-CN-060-1: これは……世の中の快楽も同様です。古来万事東に流れる水が如し、なんでそんなに気にする必要があるのですか?クライアント様、このような経験は非常に稀であることを知っておいた方がいいですし、それが小さな代償を伴うことについては気にしないほうがいいです。
ハンナ博士: 粉砕骨折を「小さな代償」と思っているの?
SCP-CN-060-1: それは元素の再構成だけで修復できる身体的な損傷ではありませんか?
ハンナ博士: …もしあなたが私と賠償について話し合う権限を十分に持っていないのであれば、あなたの上司か、私と賠償について話し合う権限を持っているスタッフに直接電話を繋げてほしいのですが。
SCP-CN-060-1: 切らずにお待ちください。
一分ほど続いた保留音は箏による「渔舟唱晚」だった。
SCP-CN-060-2: こんにちは、シェアバイクカスタマーサービスホットライン「青崖白鹿」へのお電話ありがとうございます。私は従業員番号▇▇▇▇アフターサービス担当の「谢公」です。何かご用件はありますか?ハンナ博士: 最初の質問です、住所はどこにあるのかということですが、実際にお会いしてお話を伺った方が分かりやすいかと思います。
SCP-CN-060-2: (既知の言語とは無関係の10秒間の発話)。
ハンナ博士: 何ですって?
(既知の言語とは無関係の10秒間の発話)、これがそうです、ミス・クライアント。当事務所へのお問い合わせは、(5秒間の未知の言語)または(3秒間の未知の言語)で受け付けております。
ハンナ博士: そこは私の住所から少しばかり離れていますので、まず電話で話しましょう。あなたのシェアバイクを利用したクライアントは必ず様々な建物や障害物にぶつかり、骨折や脳震盪、それに伴う医療費の請求を受けています。正当な賠償請求ができると思います。
SCP-CN-060-2: 傷害検査報告書を(未知の言語)でカスタマーサービスの受信箱に送ってもらえますか?
ハンナ博士: その手のコミュニケーションアカウントは持っていません。
SCP-CN-060-2: 全惑星に(未知の言語)があるはずですが。
ハンナ博士: 私はあなたのその発言に非常に腹を立てています。
SCP-CN-060-2: すみません、お客様、(未知の言語)と(未知の言語)はどうですか?
ハンナ博士: メールやFAXはできないんですか?
SCP-CN-060-2: …冗談でしょうか?今どきそのようなデータ転送を使う人なんていらっしゃいませんよ。皆(未知の言語)です。
ハンナ博士: あなたとコミュニケーションを取れそうにありません。上司に電話を転送してください。
SCP-CN-060-2: 嫌です!
ハンナ博士: 何?
SCP-CN-060-2: 安んぞ能く眉を摧き腰を折って権貴に事へ、我をして心顔を開くを得ざらしめん!
<電話が切れる>
その後、当番号への通話はすべて失敗に終わった。