SCP-CN-061
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影響の最終段階に到達したSCP-CN-061-1。

アイテム番号: SCP-CN-061

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: オブジェクトが作用するメカニズムが未だ明らかではないため、オブジェクトに対し有効な収容を行うことができません。現在、機動部隊-辛未-27(“黄鶴引”)が全国で発生するSCP-CN-061インシデントの追跡を命じられ、隠蔽工作及び遺骸の回収を担当し、その家系に属する人物を調査・監視します。

身柄を確保した全てのSCP-CN-061-1はサイト-CN-21の標準人型コンパートメントに収容されます。家具及び生活用品は天井に固定されねばならず、未だ自我を有している個体に対しては交流が許可されます。ただし、一度自制力を失った個体は拘束、あるいは必要であれば終了し、研究されます。

説明: SCP-CN-061は影響範囲不明、発生メカニズム不明の異常現象です。この現象の影響を受けた人物はSCP-CN-061-1に分類されます。これら影響者間には通常血縁関係があり、これは遠近親疎を問いません。対象は皆、現在または過去、中国雲南省内に長期間滞在した経歴があり、かつ精神疾病あるいは身体障害はありません。この点を除き、対象の年齢、性別、学歴、職歴等の条件とSCP-CN-061の発生条件に関連性はありません。

この現象は一人でいる時に発生し、通常は以下の段階を経ます:

  • 初期段階:対象は時折不安と運動性の興奮を覚えます。これはうつ病と類似点がいくつか見られますが、症状は継続的ではありません。閉鎖空間よりも、開けた場所や高階層の平台等の場所を好むようになり、もし対象が影響を受ける前に高所恐怖症であったとしても、その症状は軽減または消失します。閉所恐怖症であった場合は症状が悪化し、閉鎖空間へ入ることに抵抗するようになります。時間の経過とともに、幻覚及び妄想を発症するようになります。通常の精神薬類は効果が無く、記憶処理治療を行った場合、これら症状の悪化を緩和することが可能ですが、以降の段階の到来を阻止することはできません。
  • 発展段階: 最初に不安症状を発症した後、6ヶ月から3年の不均一な時間の経過後に、対象は身体上の変化を感じます。具体的には身体が軽くなり、動作が活発になります。跳躍高度が顕著に増加し、発展段階の対象が7階から無傷で飛び降りた事例も確認されています。それにも関わらず、対象はまた、自身を“高空から大地を俯瞰するようだ”または“無重力を感じる”と表現します。この段階で誰も干渉しなかった場合、対象は広い場所または高所に長時間留まります。
  • 最終段階: 発展段階に入ってから、24時間から██年の不均一な時間の経過後に、対象は最終段階に至り、重力方向に改変が生じると考えられています。対象が閉鎖された室内に置かれた場合、直ちに床から天井へ“落下”して、負傷します。室外にいた場合は空へ“落下”します。前述した精神影響により、後者が事例の多くの割合を占めます。室内の影響者(この時点でSCP-CN-061-1に分類)は、室外へ出ようと試みること対して、自制できなくなるほどの強烈な願望を表します。

“空に堕ちていく”SCP-CN-061を捕獲する試みは全て失敗に終わっています。対象らが空中にいる間はその受ける反重力の大きさは、ほとんどの飛行設備が耐えうる限界値を逸脱しています。“落下”(実際には上昇)過程中、対象の意識は覚醒していますが、通常は交流を拒み、低温あるいは酸欠により死亡するに至り、その後死体は上空へ墜落していきます。室内のSCP-CN-061-1についても速やかに閉鎖空間を離れるため、財団が発見した時には往々にして手遅れとなっており、収容は困難です。

現在、SCP-CN-061現象の発生確率は、十万人ごとに██例です。

補遺061-1: 20██年4月、室外にてクー博士が、同行する一人の研究員が突如最終段階に至るのを目撃しました。拘束する試みが力不足のため失敗し、クー博士はただちに拳銃を用いて対象を殺害しました。死体は地面に落下し、財団はSCP-CN-061-1の完全な身体を得ることができました。X線は対象の両肩の鎖骨から尺骨に至るまでの骨が鳥類の中空骨格に置換されていることを示しました。解剖後の骨年齢検査と当該研究員の年齢は一致し、これが先天的なものか確認することはできませんでした。この点を除き、異常性の発現は見られませんでした。

補遺061-2: 財団が発見した一名のSCP-CN-061-1は、雲南省麗江市鶴慶県草海町柏寺村に住む林██という、年齢百歳を超えた独居老人で、1989年10月21日(旧歴九月二十二日)にSCP-CN-061の最終段階に至りました。林██の近隣住民と子女の証言では、アルツハイマーを発症していた老人はインシデント発生前の数日間正気を取り戻し、家内の遺産を配分しましたが、死後の引継ぎは行っていませんでした。財団は直ちに情報統制を行い、関係者へ記憶処理を行うとともに、その後数年間、林██の子孫について追跡調査を行いました。再婚して林家に嫁いだ妻の長子を除き、林██の息子・娘は不均一な時期にSCP-CN-061-1と化しており、このため、この異常性には血縁の影響があると推測されます。林██の孫は現在海外へ留学しており、影響は受けておらず、時間が至っていないのか、または血縁の希薄さが原因なのかは判断できません。

遺品の整理中に、財団は老人が書いた遺書を発見しました。:

星辰。我等。烈火。永死。垂死。不死。
海洋。彼等。暴風。朝暮。旦夕。輪廻。
我等の内にある者は、無用な体殻を捨てることを願い、魂は天上の城に帰らんと欲する。 
何者かは異種族と繋がる。そして我が願うことは一つ。彼女の笑顔を見つめたいと。まさしく、我が先祖と同様に。

しかし我等は遂に雲端陥入するだろう。

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