SCP-CN-1001
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SCP-CN-1001によって引き起こされた、表語文字簡略化の模式図。

アイテム番号: SCP-CN-1001

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-CN-1001との有効な交流手段を確立しない限り、オブジェクトの収容は不可能と考えられています。表語文字1を使用する/表語文字の使用を予定している全ての国家・政権・人類文明は、財団中国支部が派遣する工作チームの指示に従い、過度な文字簡略化計画を中止させなければなりません。中止工作には以下のような手段も含まれます:世論誘導・投票操作・暗殺・集団的記憶処理など。

SCP-CN-1001の影響を全体/部分的に除去するため、「プロトコル-倉頡そうけつ」によって全体/部分的な形態素の除去を実施した国家は、プロトコルの実行から50年間、国民の知的水準を監視しなければなりません。成人の知的/認識能力の平均水準が著しく下降した際は、機動部隊-庚辰-17("九章粗密")が該当国の学術/技術機関を接収・管理して、該当地域の水準を一定に保つようにしてください。また、新生児に対しては洗脳を用いた知力強化療法を施し、オブジェクトの影響遺伝性を排除しなければなりません。

SCP-CN-1001の存在が確認されて以来、1度も表語文字を使用したことのない国家は、表記体系に対する官民の反応を引き続き監視してください。官民の態度に大規模な変化が生じた際は、オブジェクトの影響がみられないか調査しなければなりません。

説明: SCP-CN-1001は表語文字の体系に発生する異常な現象です。表語文字を筆記に使用する国家において、オブジェクトは官民を問わない文字の簡略化運動を繰り返し引き起こすと共に、"サピア=ウォーフ2"プロセスの大幅な進行をもたらします。今の所、SCP-CN-1001はある種の知的実体が作為的に発生させているものと考えられていますが、その目的は明らかとなっていません。推測では、極度に簡略化された表記体系と、"サピア=ウォーフ"プロセスの進行を通じて、人類の知的水準と認識能力に打撃を与え、AK-クラス: 世界終焉シナリオを誘発させる意図があるとみられています。

現時点で、SCP-CN-1001が表語文字を採用していない国家において発生した例は確認されていません。オブジェクトがもたらす影響を回避/除去するため、表語文字を採用している国家は「プロトコル-倉頡」を実行して、表記体系を非表語文字(音節文字3、音素文字4等)へ能動的に切り替えることが許可されています。

SCP-CN-1001の根源とみられる実体に対する交流の試みは、すべて失敗に終わっています。また、各国で発生したオブジェクトが全て同一の事象であるかについては、今もなお明らかとなっていません。現時点での仮説に則り、国家別の事象には異なるナンバーを割り振った上で、独立した研究が進められています。最新の研究状況は補遺 CN-1001.2 を参照してください。

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第二次漢字簡化方案(後、財団中国支部によって無力化)において作成された、極度に簡略化された漢字の実例。

中国の歴史上、SCP-CN-1001-中華と疑わしき文字簡略化運動が、少なくとも10件確認されています。
以下は記録の抜粋です:

不詳 - 紀元前 997 年: 甲骨文字から金文に移行。この間、█%の文字が簡略化される。
紀元前 723 年 - 紀元前 612 年: 金文から籀文に移行。この間、██%の文字が簡略化される。
紀元前 221 年 - 紀元前 215 年: 籀文を崩し、篆書体を作成する。簡略化成功。
紀元前 214 年: 篆書体を崩し、鳥書体を作成する。簡略化失敗。
紀元前 213 年: 篆書体を崩し、殳書体を作成する。簡略化失敗。
紀元前 212 年: 篆書体を崩し、[データ削除]。簡略化失敗。
紀元前 210 年 - 紀元前 206 年: 篆書体を崩し、隷書体を作成する。簡略化成功。
698 年 - 700 年: 隷書体を崩し、楷書体を作成する。簡略化成功。
1488/02/09 - 1493/10/01: 隷書体を崩し、[データ削除]。中華異学会の介入により、簡略化は失敗。代わりに宋朝体が創作される。
1956/02/01 - 1959/07/15: 《漢字簡化方案》が発表される。財団中国支部の介入により、████字の簡略化が撤回されたものの、最終的に517字の簡略化に成功する。
1977/12/20 - 1986/06/24: 《第二次漢字簡化方案》が発表される。財団中国支部が計画の無力化キャンペーンを大々的に展開したことで、簡略化は失敗。同時に《簡化字総表》を発布して、漢字簡略化運動を徹底的に取り締まった。しかしながら、《簡化字総表》内においても、《第二次漢字簡化方案》にて作成された文字が3字(「炖」「█」「█」)見つかっている。

プロトコル-倉頡の実行申請:

O5評議会へ:
ここ数十年来、SCP-CN-1001-中華は激化の一途を辿っており、漢字の簡略化運動を何度となく引き起こしています。国民の知的水準と認識能力を守るためにも、SCP-CN-1001-中華の影響から脱しなければなりません。ここに、プロトコル-倉頡の実行を申請します。漢字を廃止して、音素を用いた表記体系に改める予定です。

——財団中国支部 周██
1986年8月1日

申請を棄却する。
我々中華民族は殷商以来、漢字を頑なに誇りあるものとしてきた。漢字の形は気迫と雄大さを兼ね備え、美しさをも内包している。漢字の字義は明快で、脈々と受け継がれてきたものだ。漢字の音は剛直で、転がるように快い。漢字は今日に至るまで、幾度となく変化を遂げてきた。字形の数は万を下らず、1画1画、とめ・はね・はらいに至るまで、どれも中華という精神が投影されたものと言えよう。漢字を廃止することは、すなわち中華文明を根本から断つことに繋がる。

かつて、秦朝が天下を統一した頃、戦乱が収まる一方で、アノマリーが勃興した。秦が滅ぶまでの20年間に、漢字は5回も異常現象に巻き込まれた。しかし、それでも漢字はしぶとく生き残り続けた。今日、財団の戦力は十分に精強である。たった2回しか経験していないというのに、何を恐れているというのか?

中華文明は夷狄に属さず。我々は総力を挙げて漢字を守り、文明の輝きを保ち続ける必要がある。機動部隊-庚辰には、漢字の教育基盤を安定させる役目を担わせている。いかなる代償を払っても──たとえ、文明を維持できなくなったとしても──漢字を絶やしてはならないのだ。

——O5-12

上述の通り、SCP-CN-1001は漢字文化圏に属する主要な国家において、古くから頻繁に活動してきました。財団は対処のノウハウを少しずつ積み重ねた末に、現在の万全な防衛体制を築き上げました。1986年以降、特筆すべきSCP-CN-1001事象は発生していません。





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