SCP-CN-1469
評価: +6+x

アイテム番号: SCP-CN-1469

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: オブジェクトは分解され、サイト-CN-91の貴重品保管エリアの標準収容ユニット内に置かれます。オブジェクトに対する実験はレベル3またはそれ以上の職員の許可を得なければならず、かつ実験場所は全ての主要水域から30キロメートル以上の距離を保持しなければなりません。

説明: オブジェクトは一本の天堂牌130592型折り畳み傘です。各部位の材質、規格及び外観は同型の他製品と差異がありません。傘カバーを除いたオブジェクトの部品を交換した場合、いずれも異常性が消失することから、その異常性は構造全体に由来すると考えられます。

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非活性状態のSCP-CN-1469。

オブジェクトの防水面をA面、柄が取り付けられている側をB面と呼称します。オブジェクトが完全に開かれた2時、オブジェクトの異常性が活性化されます。

異常性が活性化した状態では、オブジェクト自身を中心とした周囲半径20km以内の全ての水生脊椎動物あるいは比較的原型を留めたその残骸は、オブジェクトの元へ引き寄せられて移動します。残骸が原型を留めているとオブジェクトが判断する基準は解明されていません。完整食用3のカタクチイワシの干物は異常影響を受けず、400gのニジマスの切り身は影響を受けています。

物品がA面と衝突接触した後、物品の受ける吸引効果は解除されます。B面と接触した場合、物品は弾かれた後に再度A面に引き寄せられます。

オブジェクトは2017年2月に、上海で初めてその異常性質を示しました(詳細はインシデントレポートCN-1469-1及びCN-1469-2を参照)。

インシデントレポートCN-1469-1:

レポート分類: 第一回収容ログ

日時: 2018-02-19

位置: 上海市、楊浦区、国定路政法路交差点。

主要関連SCP: SCP-CN-1469


1433| 上海市街地にて豪雨が降る。

1524| 上海の各前哨サイトが、大量の魚類の異常行動を観測する。

1526| サイト-CN-34が報告を受ける。機動部隊-庚午-01(“唯だ暗香の来れる有り”)が攻撃ヘリコプターに搭乗して出撃する。

1527| 集められた魚類が堆積し塔を形成し始める。

1528| 五角場4周辺のフィールドエージェントが現場の偵察命令を受ける。しかし高速で移動する魚群により道路が封鎖され、大部分の職員は現場に到着することができない。

1530| エージェント・コブがビルの屋上間を移動し、魚群を回避して現場に接近し、現場の映像を撮影する。映像中に魚で構成された約15mの塔状物体が出現する。塔の頂上には一体のヒト型生物が見られる。機動部隊の収容スペシャリストは、当該生物が異常現象の根源であると特定し、標準ヒト型生物収容戦術に従い行動することを決定する。

1533| 機動部隊が現場に到着する。近距離で接触した後、機動部隊は塔頂の生物が一般人であることを確認する。チームは更なる情報を得るためにこの一般人の救助を優先することを決定する。

1534| 庚午-01-2が降下し、一般人をヘリコプター内に回収する。収容スペシャリストが一般人に対してその場でインタビューを行う。この一般人は、異常現象の原因は、当日に周辺の市場で購入した傘であると証言する。彼が部屋を出て傘を開こうとした時に、市場の魚が突然高速で飛来して傘の先に衝突した。傘は衝突により地面に倒れた。魚群は絶えず出現し、傘の下に堆積し続けた。葦の置き場を失ったため、この一般人は傘の内側に立つことを選んだ。その後魚は積み重なり続け、最終的に塔状になった。

1539| 機動部隊員が搭状物に向けてDT-02式長射程スクラントン現実錨を発射する。SRTは目標に着弾し起動し始めるが、異常状況は収まる気配を見せない。

1541| 一般人の証言した“傘を開いてから魚が押し寄せ始めた”という状況から、機動部隊の収容スペシャリストは、オブジェクトの形態が異常性質を改変または制御していると判断する。庚午-01-2が塔状物の頂部に降下し、オブジェクトを操作して畳み込む。

1542| 塔状物が崩壊し始め、庚午-01-2がオブジェクトをヘリコプター内に回収する。

1543| 各前哨サイトにて魚群の異常行動の停止が観測される。機動部隊が現場を離れる。


後続記録: 指揮官がオブジェクトは高い危険性を有していると判断したため、チームは直接サイト-CN-34へ戻ることを断念し、SCP-CN-1469を実験サイト・アウトポスト-CN-08へ移送した。当該サイトは海に面していたため、オブジェクトはその後内陸のサイト-CN-91へ移送された。関係した一般人は背景調査の後、記憶処理を施されて解放された。

インシデントレポートCN-1469-2:

前文: インシデントCN-1469-1後、オブジェクト責任者エブリン博士が目撃者に対してインタビューを実施した。エージェント・ロリン及びそのチームは南浦大橋5においてSCP-CN-1469が異常性を発現するプロセスを目撃した。


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エージェント・ロリンにより撮影された魚群

エブリン博士: 2月19日に目撃したことを簡潔に説明してください。

エージェント・ロリン: わかった。あれは、だいたい午後三時頃だった。俺達のチームの車両は楊浦大橋上にいて、浦東から浦西へ進んでいた。我々の当初の目的は潜在的な空間異常を観測するために五角場へ向かうことだった。ナンバーはたしかSHX…ええと、すまない、よく覚えていない…

エブリン博士: 大丈夫ですよ、続けて下さい。それはこのインタビューの重要な内容ではありません。。

エージェント・ロリン: ええと…俺達が橋の中央に進んだ時、後方で連続して追突が起きたらしかった。運転手のジョンは、俺がバックミラーで後方を見るまで無視しようとした。最初、蜂の大群だと思った…だが、クソッ。あれは魚だった。魚の群れだった。

エージェント・ロリン: 奴等は接近し続けていた。その時、俺達の車両はおよそ80(km/h)の速度で移動していたが、奴等の速度は少なくとも85-90(km/h)に達していただろう。ジョンはスピードを上げてその群れを撒こうとしたが、路上には車両が多すぎた。そして奴等は…奴等は追いついた。そのうち何匹かは車両後部の窓に激突して、後部座席にいた研究員を死ぬほど怖がらせた。

エブリン博士: その魚群について具体的に説明できますか?

エージェント・ロリン: 勿論だ。魚群は車両の右側を通過して、俺はそれをはっきりと見ることができた。ほとんどの魚には鱗があったから、たぶん川魚だろう。たまにタチウオ類も混じっていた。だが、ええと、生きている魚だけじゃなかったようだ。

エブリン博士: 死んだ魚もいたのですか?

エージェント・ロリン: 死んだ魚だけじゃない、加熱された奴もいた。少なくとも五匹の空飛ぶ紅焼魚ホンシャオユー6と、大きな二枚のニジマスの切り身が羽ばたいて飛ぶのを見た。紅焼魚からはまだ醤油が滴っていた。魚群には焼き魚もいて、後ろ半分が食べられていた奴も骨と一緒に飛んでいた。蒸した奴もいたんだろう。なにせ、後で車両の窓に生姜とネギが挟まっているのが見つかったからな。魚群の長さはおよそ数十メートルで、2分で俺達の車両を通り過ぎた。この間、我々はサイト-CN-34と交信を開始した。具体的な通信内容を繰り返す必要は無いだろう。その後の現地は完全にコントロールを失っていた。魚群が俺達の前方の車両を通過した時、そういった一般人の運転手がパニックを起こした。前方で何人かの運転手が急ブレーキを踏んだ。俺達は減速したが、急に右側へ車線を変えた赤い車と衝突した。その後はずっと救援を待っていたよ。

エブリン博士: 他に何か注意すべき現象はありましたか?

エージェント・ロリン: あっ、全然考えていなかった。ええと…だが魚群が通過した時は本当に生臭かったな。

エブリン博士: わかりました、お時間をいただきありがとうございます。

エージェント・ロリン: 構わないさ、これも仕事だ。


備考: エージェント・ロリンは車両の中から回収した食材は実験により、清蒸鮒魚チンジャンジーユー7であることが確認された。車両後方の衝突跡からは醤油と黄花魚ファンファーユー8の小肉片が検出された。

2018年6月14日、SCP-CN-1469の第二実例が出現しました。これによる異常現象は青島に出現し、大量の海洋生物が吸い寄せられ空中から落下しました。現地のGOIエージェントが迅速にオブジェクトの位置を特定し、破壊しました。カバーストーリー“異常気象”の流布とクラスA記憶処理の実施により、社会への影響は鎮静化しました。現場で回収された食用魚類は安全性を確認されたうえ、現地の食品市場に投入されました。

新たな実例が出現する潜在的な危険性があるため、同型の製品は生産が停止されました。既製品の回収は当面は必要無いとみなされています。

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