サイト-CN-06記録及び情報セキュリティ管理部門通知
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— サイト-CN-06記録及び情報セキュリティ管理部門
アイテム番号: SCP-CN-1578
オブジェクトクラス: Safe Thaumiel
特別収容プロトコル: SCP-CN-1578はサイト-CN-06内のIX-5号高価値物品収容ボックス内に収容されます。オブジェクトに対する実験はサイト管理官の許可を得た上で実施されなければなりません。SCP-CN-1578-3は常に開かれた状態を保たねばならず、カメラを用いて監視してください。SCP-CN-1578-1が消失した場合ただちにサイト管理官へ報告し、同時に財団ウェブ部門は中医師が昏睡した事例に細心の注意を払ってください。 SCP-CN-1578-2の身元を確認したのなら、直ちに記憶処理を行い、SCP-CN-1578-1に関する記憶を確実に抹消してください。機動部隊CN-ベータ-06(”初期防疫”)が要注意団体「上工」の拠点及び構成員を捜索、特定するために結成されます。要注意団体「上工」と協力関係を結ぶ提案がO5議会に提出され審議されています。
インシデントCN-1578-α後,プロトコル「針石」によって、機動部隊CN-ガンマ-06(“免疫系統”)及びCN-デルタ-06(“標的療法”)が「上工」を支援し、SCP-CN-1578-5を排除するとともにSCP-CN-1578-5-1を治療するために結成されました。
説明: SCP-CN-1578-1は、長さ10センチメートルの10本の毫針の総称です。その製造時期は紀元前600年、素材は純度99.9999パーセントの銀です。オブジェクトの針柄中間位置には甲骨文で「岐黃之器物,僅與賢才」という文字が存在します。
SCP-CN-1578の異常性は、オブジェクトが予見無く消失した後に、非常に優れた中国針灸師で、かつ重篤な症状の患者に対面している医師(SCP-CN-1578-2に分類)の手中に出現することです。この医師は必然的に、オブジェクトを用いて重篤患者の治療を行います。同時に、オブジェクトは使用者の求めに応じて鑱鍼、磁圓鍼、鍉鍼、鋒鈎針、梅花鍼、鈹鍼、梅花鍼、焼鍼、三稜鍼の形状へ変化します。同時に、対象となった医師が使用する他の鍼具も同様の現象が起こります。この治療行為が終了すると、再度SCP-CN-1578-1は前触れなく消失し、SCP-CN-1578-3内部に出現します。SCP-CN-1578-3は鉄製の針箱です。長さ12センチメートル、幅5センチメートル、高さ2センチメートル、制作時期は紀元前600年で、異常性はありません。これと同時に、使用者は1日間の昏睡状態に陥ります。昏睡から回復すると、SCP-CN-1578-2はその後の治療行為において卓越した鍼灸技術を示し、中国医学の各科の臨床技能に対する深い知識を示します。事件中に影響を受けた通常の鍼は、検査によって異常性が無いことが確認されています。この現象はSCP-CN-1578-αにナンバー指定がなされています。このイベントが発生する条件は解明されていません。財団の歴史資料研究及びSCP-CN-1578-2の身分調査よって、隣接する二つのイベントSCP-CN-1578-α中に出現するSCP-CN-1578-2は全て師弟関係にあることが判明しました。
追記: インタビュー記録CN-1578-1により得られた情報よると、SCP-CN-1578-1はイベントCN-1578-αにおいて治療の過程を記録し、次のイベントCN-1578-α中にSCP-CN-1578-2によって読み取られます。2019年5月6日及び2019年12月8日に発生した二つのイベントCN-1578-αによると、SCP-CN-1578-2が昏睡状態に陥っている1日間、夢の中でこれまでのSCP-CN-1578-2の知識と治療過程を読み取ります。ユール博士の判定によると、SCP-CN-1578-2が増加するにつれ、イベントCN-1578-α中に影響を受けた中華医師の昏睡時間が延びています。
これ以外に、文書CN-1578-2によって得られた情報によれば、SCP-CN-1578-1がSCP-CN-1578-2を選択する基準は医療倫理であり、具体的な基準は不明です。
SCP-CN-1578-4は一巻の竹簡です。その異常性は、CN-1578-α発生後24時間後、SCP-CN-1578-2の名前と評価が自動的に竹簡上に出現します。2019年1月20日現在、▇▇▇▇▇名のSCP-CN-1578-2の名前が記録されています。名前の一部は補遺Ⅰを参照してください。
SCP-CN-1578-5は、「疾」を自称する、身長60センチメートルの人型実体です。その異常性により、サーモグラフィーによってのみ観測が可能です。SCP-CN-1578-5はターゲット(SCP-CN-1578-5-1に分類)を定めると、ターゲットが知覚できない状況下でその身体に侵入し、未知の手段により疾病を引き起こします。100体のSCP-CN-1578-5が集合した時、SCP-CN-1578-5-2が発生します。この実体は肉眼で観察が可能で、M193ライフル弾、DNP87ライフル弾、M1943ライフル弾等の兵器では効果的な損傷を与えることができません。2019年12月15日までのSCP-CN-1578-5との交戦線記録によれば、巻き添えで死傷者を出す恐れがある状況下では、漢方薬で作成された特殊弾頭を用いることによってSCP-CN-1578-5及びSCP-CN-1578-5-2の行動を効果的に制限し無効化することが可能です。毫鍼を用いて至近距離から突き刺すことでもほぼ同等の効果を得られます。巻き添えによる死傷者を考慮しない状況下では、12.7x99mm機関銃弾を用いることによりSCP-CN-1578-5-2に対して効果的損傷を与えることが可能です。
補遺Ⅰ:SCP-CN-1578-4記録の一部
SCP-CN-1578-2名称 |
備考 |
岐伯 |
開天闢地 |
秦緩 |
継往開来、大医終成 |
華佗 |
寿命未だに尽きねど、既に医神の名を有す |
張仲景 |
鞠躬尽瘁、魂をもって国医を授ける |
銭乙 |
小児科の聖 |
宋慈 |
鬼手仏心、数多くの冤罪を晴らす |
李時珍 |
風餐露宿、承上啓下の人 |
呉謙 |
前世の精華を包括し、諸家の是非を分ける |
▇▇▇ |
医者の仁、撼天動地 |
補遺II:ドキュメントCN-1578-1 文書CN-1578-1はSCP-CN-1578収容の1週間後、サイト-CN-06の意見箱内で発見されました。
誠に残念なことだが、我々の品が君達に面倒をかけてしまったようだ。これについては実に申し訳ない。勿論、彼女が君達の中で使用され続け、伝道が継続しているのを見て、私は非常に安心した。清朝は無能で、国医が百年を失う原因となった。私は憤りを覚えるが、しかし、歴史の流れには逆らえない。上工は今に至るまで千年以上も継承してきた。病魔、我々はまたそれらと千年以上も闘ってきた。君達が気付かねばならないのは、この物品を使用したあの人々は、皆大量の知識を獲得することだ。それこそが、上工の遺産なのだ。全ての使用者は、彼らの叡知、彼らの努力、彼らの一切、全ての精華を一本の銀針の中に凝縮し、これらの知識は後の世代へ受け渡される。国医が存続できて来たのは、まさに一代一代、火が新しい薪に燃え移ってきたためなのだ。様々な理由により、我々は自分達の玩具を回収するつもりはない。願わくば、それら本来の価値を君達が発揮させられることを。
もちろん、これは「予備」の一つに過ぎない。
2019年12月15日更新
事故記録CN-1578-α:
映像記録
日時: 2019年12月15日
備考: 事故記録CN-1578-αはイベントCN-1578-αの映像資料です
[記録開始]
8:00: 一般人三名が石菖蒲病院に進入する。サーモグラフィーは約100体の実体が同時に石菖蒲病院に進入することを示す。
8:05: 一般人三名が争いを始め、病院セキュリティスタッフが接近する
8:07: SCP-CN-1578-5-2一体が出現。サーモグラフィーは、10秒前に約100体のSCP-CN-1578-5が結合を開始したことを示していた
8:07:12 財団セキュリティスタッフがSCP-CN-1578-5に対して射撃するが、殺傷には至らない
8:07:34 一名の白い漢服を着用した男性がホールに駆け入り、手中の薬嚢を使用してSCP-CN-1578-5-2の頭部を攻撃する。対象は5秒間の硬直を引き起こし、そして2本の毫針を用いてSCP-CN-1578-5-2の太陽穴部へ刺す。
8:08 SCP-CN-1578-5-2は異常性を消失する。漢服を着用した男性は封書一通(内容は補遺Ⅲを参照)を病院の意見箱へ投入し、その後離れる。
8:08:46 機動部隊が現場に到着し、痕跡を抹消し、無関係の人間へ記憶処理を行う
[記録終了]
補遺III:SCP-CN-1578-2のインタビュー記録(抜粋)
対象: 李██
インタビューアー: ジ博士
インタビュー日付: 2019年12月14日
備考: 李██と前回のイベントCN-1578-α中のSCP-CN-1578-2は師弟関係にある。
<記録開始>
[無関係の内容のため削除]
ジ博士: よろしい、李先生。あなたが夢で何を見たのかを教えていただけますか?
李██: 昏睡中に見たもののことですか?
ジ博士: その通り。
李██: 大まかにはそれは、一人称視点でVRを見るような感覚で、私が見ている視覚の持ち主は病人へ鍼を打ちました。いくつかの手法は現在のものと大きく異なっていました。一通りが終わった後、場面が切り替わりました。私が目撃したのは、鍼灸に限られませんでした。調剤も含め、いわゆる私の呼び名も変わり続けました。私が確認できたのは、私は恐らく扁鵲と華佗の視覚を見ていました。最後には・・・・・・私は自分自身を見ていました。
ジ博士: 自分自身を見た?
李██: ほとんどその通りですが、それは間違いなく私の師の視覚でした。それは・・・・・・思うに・・・・・・今年の五月か六月のある病人で、状況は緊急を要しました。治療が終わると、私は目を覚ましました。私は、患者へ鍼を打つ時に多くのこと-積み上げられた様々なもの、異なる鍼の打ち方だけでなく、薬の調合その他までが脳裏に浮かぶのが分かりました。思うに、恐らく私が昏睡中に、あの先達が患者を救った時の記憶を見たことを覚えているのでしょう。
ジ博士: あなたはそれを受け入れ、それを使用するのですか?つまり、それらの鍼の打ち方や、薬の調合といった技術を
李██: 場合によりますね、先達が私に各種の病人の種類を教え、そして私が以前知らなかった多くのことを教えてくれた・・・・・・しかし貴方が以前言ったように、技術の発展は放棄と刷新を伴わねばなりません。先達が私に与えてくれた最も重要な財産とは、それらの医療記録です。それら薬の調合法は、自分で考えて取捨選択するつもりです。
ジ博士: ということは・・・・・・
李██: 批判的に受け入れる、ということです。あなたが来る前、私は考え込んでいました。もしかしたら、私があれらに触れたのは、天の意志によるものだったのかもしれない。古き事は、受け継がれなければならない。しかし、もしも更に患者の為となる方法があるなら、たとえそれが西洋医学であっても使用するべきだし、私もまた使用するのでしょう。なぜなら、中華医学は千年受け継がれ、試行錯誤を繰り返しながら新しい技術を探索、吸収することで築き上げられたものです。
<記録終了>
終了報告書: SCP-CN-1578-2が大量の臨床技能を獲得する方法が判明したが、その原理は解明されていない。李██医師はクラスB記憶処理を施されたためSCP-CN-1578-1の記憶を喪失した。その得られた知識は削除しなかった。
補遺IIII:文書CN-1578-2
文書CN-1578-2はイベントCN-1578-αの最中に意見箱へ投入された封書の内容です。
非常に申し訳がない、今回の事件は君達を巻き込んでしまった。我々は元々この争いに更に多くの人間が参入することは望んでいないが、しかし、どうやらそれも終わりのようだ。始まりから話そう。
神話は必ずしも神話ではなく、まさに我々の歴史のようだ。貴殿もまた飽読詩書の輩であるとすれば、自ずと黄帝の伝説を知っているだろう。現在の中華民族が炎黄氏の子孫と称される最も大きな原因は、涿鹿の戦いで蚩尤を打ち破ったことだ。もちろん、それらに止まらない。中華民族の勢力が広大な黄河流域から今日の領土にまで拡大したその理由は、他人の仁慈に頼るものではなく、鉄と血で堅実に戦って得られたものだ。この過程において、我々が打ち破ったある部族は・・・我々ですら解明できないある種の邪術を用い、人類に対する災厄をもたらし、所謂黙示録の四騎士の一である疫病であり—彼らは、一般に病魔と呼ばれているが、彼らが最も猛威を振るった時、中華民族の半数が彼らの毒手にかかった。これこそが、我らの誕生の原因なのだ。岐伯が最初の指導者となった。我々は病魔へ対抗し始めた。我々の医療倫理と医療技術を更に多くの人間へ教え、そして、更に多くの人間が戦場へ赴いた。始まりは中華民族だったが、その後、ますます多くの人間が戦場へ向かった。もちろん、敵の力もまた強くなっていった。我々の戦争は既に数千年続き、我々が発見したのは、所謂病魔が現れるのには、一定の法則があるということだ。百年ごとに、爆発的に流行する。
このため、以前の信書で述べたように、この「予備」を初めて使用せねばならない。安心して欲しい、我々はただ「上工」が認めた医師達、つまり、真に医者の徳を持つ医師達へ、少しばかり規格外のことを伝授したいだけなのだ。
時は既に来たり。
千年の継承、綿々と絶えず。
ページリビジョン: 15, 最終更新: 10 Jan 2021 17:22