アイテム番号: SCP-CN-173
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-CN-173はサイト-CN-99の安全人型収容室に収容されています。オブジェクトの異常性および収容に協力的な態度を鑑みて、サイト内フロア(セキュリティレベル1)での運動が許可されています。収容室以外で活動させる場合、セキュリティスタッフ1名によるロープを用いた行動制限が課されると共に、1名以上の演繹部門スタッフが付き添うことになっています。
SCP-CN-173-1に対する大規模捜査は機動部隊-Θ-10(“文字部隊”)が担当します。SCP-CN-173が変異する可能性に備え、収容プロトコルの強化が目下検討されています。
演繹部門のアノマリー収容規定に基づき、物語性物体/物語を構築可能な物体をSCP-CN-173に近づけることは禁じられます1。
説明: SCP-CN-173は純粋な黒線で構成された人型実体で、身長は2m、線の幅は2cmです。頭部は1本の線で作られた円形となっており、直径は約20cmです。頭部と胴体の連結部には腕として機能する付属肢が2本繋がっており、関節が各付属肢を2等分しています。オブジェクトの尾部には同様に、脚として機能する付属肢が2本繋がっており、関節によって2等分されています。胴体部分の長さは80cm、付属肢を含めた長さは100cmです。
SCP-CN-173は観測方向に関係なく、常に平面状の姿で観測者と相対します。オブジェクトは目に見えた厚みを示さず、一般的な物理現象に干渉する能力を持ちません。これはつまり、物体に物理的な手段で影響を与えることができないことを意味しています。同時に、オブジェクトはあらゆる力に抵抗することができません。一方で、怪我や痛みを感じているような素振りは現在に至るまで観察されていません。オブジェクトの運動を視覚分析にかけた所、対象は依然として引力の影響を受けており、100kgの質量を持つことが明らかとなりました。
SCP-CN-173は一定の演繹的性質を示しており、一般人と同等の知能を有しています。オブジェクトは発声能力を備えており、流暢な中国語を話すことが可能です。声の発生源を調べた所、頭の下部より発されていることが判明しました。オブジェクトは自身の異常性を自覚しており、収容や実験に対して協力の意を示しています。オブジェクトの振る舞いのほとんどは良好かつポジティブなものですが、一方でSCP-CN-173-1の捜索を切望しています。オブジェクトには知覚能力が備わっているものの、そのメカニズムは未だ明らかとなっていません。
SCP-CN-173の供述によると、SCP-CN-173-1はワンダーテインメント博士が制作した材質不明のスケッチボードです。SCP-CN-173-1にはSCP-CN-173の形態を操作する機能が備わっているとされます。SCP-CN-173は当機能が文章でもイラストでも発現するとしていることから、SCP-CN-173-1は完全な形而上性質、および明確な演繹性質を備えていると推測されます。財団がSCP-CN-173-1の捜索に前向きな姿勢を見せた所、SCP-CN-173は財団への信頼を表明し、自らの態度を良好なものへ転化させました。SCP-CN-173-1が発見された場合、分析と収容プロトコル制定のため、演繹部門へ移送しなければなりません。演繹主体および文章制御権が同一のメタ空間に圧縮される、または不正な物語ループを形成する恐れがあることから、SCP-CN-173とSCP-CN-173-1の接触は推奨されていません。
付録1: 交流記録:
実施者: Voctor博士
対象: SCP-CN-173
記録場所: サイト-CN-99
記録日: 2017/6/1<記録開始>
<冗長な部分を省略>
Voctor: では、交換条件といこうか。我々はワンダーテインメント博士に関する情報を欲している。知っていることを全て教えてほしい。
SCP-CN-173: 悪いが、知らねぇよ。俺の設定に製造者の内情は書かれてねぇんだ。……でもな、アンタらに何を話せば良いかは知ってるぜ。
Voctor: ふむ?
SCP-CN-173: 「ワンダーテインメント博士の系列商品は財団やその他の組織、個人に徴収されてはなりません。彼の商品は子どもや心が未熟な大人に対してのみ提供されます。もしまた同様な行為をした場合、博士は著作権や特許を盾に訴えを起こすでしょう」。俺の財団職員に対する理解は設定上、この通りだ。
Voctor: 良いだろう。だがまあ、君が言わなくとも、我々は173-1を勝手に見つけ出すがね。それはさておき、我々に見つかるまでの記憶を教えてもらいたい。
SCP-CN-173: 最初、俺は████っていうオモチャ屋のショーケースに置かれていた。その頃、俺は形ある身体が無かったもんで、誰も俺に気付くことはなかった。間のことは俺にも分からない。設定が書かれてねぇからな。
SCP-CN-173: しばらくして、子どもが1人やってきた。名前は知らん。とにかく、そいつは俺の手を引いて、そのまま俺を買っていった。
<沈黙>
Voctor: その後は?
SCP-CN-173: おお神よ……あのクソガキときたら、ボードにめちゃくちゃ描きやがった。ヤツは一体何を考えてたんだ?今どきの子はみんなこうなのか?親もそばにいながら、ヤツを全然止めようとしねえ。今の子どもはこんな風にオモチャを扱うのか?
Voctor: 理解はしかねるが、同情するよ。
SCP-CN-173: 結局、俺はすぐに意識を失った。身体が一気に沈むような感覚だった。目を覚ますと、俺はこんなんになって、道端に倒れていた。こりゃ多分、再起動時のプリセットだろう。……助けてくれてありがとな。思うに、例のボードはどこかに捨てられちまったらしい。けどな、見つけても絶対に壊すんじゃねえぞ。今度こそ確実に死んじまうからな。
Voctor: すまないが、君のくれる情報はかなり断片的に感じられる。それでも、出来る限りのことは約束しよう。
SCP-CN-173: 良いさ。ついでに言っとくが、子どもに引き合わすのはやめてくれよな。設定こそ「子ども向け玩具」だがよぉ、あいつらを「子ども」と呼べるのか?
<冗長な部分を省略>
<記録終了>
付録2: 回収記録
機動部隊-Θ-10(“文字部隊”)は交流記録で触れられた玩具店より、以下の内容が書かれた紙片を回収しました。
オッス!キミだけのリトル・ミスターを見つけたようだね!これはワンダーテインメント博士の中国限定版コレクションだ!ミスター・カスタムと一緒に冒険したり、[カスタム]の世界へ飛び込んだりしよう!ミスター・カスタムはキミのあらゆる望みに応えられるよ!楽しんでね!!!
[編集待ち]2
ぜんぶ見つけてミスター・コレクターになっちゃおう!
26. ミスター/ミス・吸水携行型サポーター
27. ミスター・カスタム✔[編集待ち]