オブジェクト番号:SCP-CN-1733
オブジェクトクラス:Thaumiel
特別収容プロトコル: SCP-CN-1733はエリア-CN-2510の金庫に保管されます。財団の全ての職員が申請の上、規則範囲内で使用することが許可されていますが、その後すぐに返却する必要があります。SCP-CN-1733を財団施設外に持ち出すことは禁止されています。
使用中に発生したSCP-CN-1733-1は、他の水域に排出する前に、テレキル合金製の密閉容器に12時間保管する必要があります。
説明: SCP-CN-1733は年代不明の写本です。その内容は地球上の文明にはない未知の言語で書かれています。実体の一部は古書と同様に摩耗しており、表紙は未知の不純物が付着しているため判読不可能です。SCP-CN-1733を手に取り、周囲に使用者以外の人物がいない場合、その内容は理解不能な文字から持ち主が常用する言語へと変化します。実体には液体に異常な力を与える為の儀式について書かれています。
この儀式には複数のキネトグリフと未知の呪文が含まれており、実体に記載されている順序を十分な精度で実行した場合、使用者は自身の半径20m以内にある全ての液体をSCP-CN-1733-1に変化させることが可能です。SCP-CN-1733-1は、通常の水と外観、分子構造、味に違いはありませんが、発生した水は儀式を行う者によって与えられた(指定された)概念を洗い流すことができます。この洗浄は多くの物理法則に反することによって達成され、「指定された概念」は洗浄された物体から完全に消去されます。初期研究の結果、この洗浄効果はテレキル合金には効果がありませんでした。
実験の結果、SCP-CN-1733-1の有効時間は12時間であると判明し、また有効時間内の任意の時刻に新たな液体を注入すると有効時間が初期化されることが確認されました。12時間以内に新たな液体が注入されなければ、使用者が発生させたSCP-CN-1733-1は通常の水に再置換されます。
その後、使用者は儀式に関する全てのことを忘れ、脳内の儀式に関する記憶はSCP-CN-1733上の未知の言語に置き換えられます。儀式の動画録画は無効とされ、忘却効果が発動した時点で同じ儀式は無効となります。使用者を含む誰もが動画内の儀式と効果を再現することは出来ません。
発見:SCP-CN-1733は2020年1月1日にSCP-173の収容室で、Dクラス職員が収容室を日常的に清掃していたところ、汚物の中に埋まっている状態で発見されました。その後の実験で、サイト-19の研究者がSCP-CN-1733の操作を誤ったことで、人員を損失しました。実体で使用されている未知の言語と作成された異常な液体の管理、及びサイト-19には考古学と神学部門がないという事実を考慮し、財団は実体をエリア-CN-2510に研究のために移送しました。
実験記録:以下の実験は、いずれもテレキル合金製の開口容器が用いられました。
実験対象:白衣
指定された概念:汚れ
実験方法:SCP-CN-1733-1内に白衣を投入。
結果:白衣は投入された瞬間に完全に洗浄され、手に取った瞬間に自動で乾き、液体の水分が残っていない状態になりました。
実験対象:素焼きの壺
指定された概念:内部
実験方法:素焼きの壺を機械アームで持ち上げ、部分的にSCP-CN-1733-1内に投入。
結果:素焼きの壺の内部空間は個体に置換され、上蓋と開口部の間の隙間が完全に覆われました。
実験対象:1kgの鉄塊
指定された概念:重力
実験方法:鉄塊を機械アームで持ち上げ、部分的にSCP-CN-1733-1内に投入。
結果:鉄塊はSCP-CN-1733-1に完全に浸漬した瞬間に跳ね返り、空気抵抗によって速度が徐々に低下し、周囲の研究者全員はわずかな無重力を体感しました。鉄塊はテーブルに固定され、1時間後に効果は消失しました。
実験対象:D-3153
指定された概念:方向
実験方法:D-3153に鎮静剤を投与後、下半身をSCP-1733-1内に投入。
結果:D-3153は投入後の1分以内に朧げな影へと変化し、その場でもがき苦しむ様子は確認出来ましたが、どちらを向いているかは判別不能となりました。その後、その他の詳細も視認不能となり現在は密閉容器に収容されています。
実験対象:D-3002
指定された概念:健忘症
実験方法:D-3002に鎮静剤を投与後、SCP-CN-1733-1内に下半身を投入。
結果:D-3002は投入後の1分以内に鼻から出血し、目を剥き吐血しながら死亡しました。死後の調査結果から、記憶転移の影響による脳出血で死亡したのではないかという仮説が立てられました。
実験対象:WengWan博士
指定された概念:貧困
実験方法:SCP-CN-1733-1をWengWan博士の手のひらに一滴置く。
結果: WengWan博士の固定資産に変化は見られませんが、彼女が請求を支払う度に全額が彼女の口座に返金されました。SCP-CN-1733がこのプロセスをどのように実現したかは現在不明です。
実験対象:D-5800
指定された概念:欠陥
実験方法: D-5800に鎮静剤を投与後、下半身をSCP-CN-1733-1内に投入。
結果: D-5800は投入後の10分以内に正五角形フラクタル生物に変化し、脱走を図った為処分された後、死体は解剖調査に使われました。
実験対象:セキュリティースタッフElement
指定された概念:傷病
実験方法: SCP-CN-1733-1をElementの手のひらに一滴置く。
結果: SCP-CN-1733-1は瞬時に消滅し、その後Elementの体は完全な健康状態に戻り、多くの病気に対する永久的な免疫力を獲得しました。
実験対象:D-3154
指定された概念:死亡
実験方法: D-3154に鎮静剤を投与後、下半身をSCP-CN-1733-1内に投入。
結果:D-3154は異常を示さず、その後宿舎へと戻されました。一週間後、実験対象はオブジェクトの収容違反のためにシグマ状態となり、現在は無菌室に収容されています。
付録:SCP-CN-1733-1の人体への影響は単一かつ陽性のものであると考えられ、管理範囲内での使用に問題ありません。SCP-CN-1733自体の異常性から、今後の研究のためにThaumielクラスに分類されています。
エリア-CN-2510の考古学・神学部門による調査とデータベースの照会の結果、財団は現在、SCP-CN-1733に関連する少なくとも1つの██を異常実体として保管しています。SCP-076、SCP-4840及び[データ削除済み]は直接的な関連が見られます。財団が入手可能な情報だけでは、SCP-CN-1733の真の出所を把握するには至っていません。
神学部門が照会の結果入手した手がかりは、予想を遥かに上回る複雑さだった為、現在はエリア-CN-2510のデータベースに封印されています。当文書以外のSCP-CN-1733に関連する情報は、原則として他の財団職員への開示を禁止されています。現在、オブジェクトの起源から使用方法へと他者の注意を向ける為、Thaumielクラスとして分類されています。
ページリビジョン: 9, 最終更新: 10 Jan 2021 18:29