Info
翻訳責任者: fish_paste_slice
翻訳年: 8 Jun 2018
著作権者: Holy_Darklight
原題: SCP-CN-186 - 弱水
作成年: 17 Jul 2015
初訳時参照リビジョン: 16 Feb 2018
元記事リンク: https://scp-wiki-cn.wikidot.com/scp-cn-186
アイテム番頭番号: SCP-CN-186
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-CN-186-1の移動不可という特性のために、現地で特別収容プロトコルを確立しなければなりません。CN-186-1の周囲半径15kmは警戒地区に区分され、対外的には当該地区はまもなく自然保護地区として整備され、また当該地区内には危険な野生動物が出没すると公表されます。誤って当該地区に進入した人物は拘留し、尋問及びBクラス記憶処理を行った後に釈放せねばなりません。
全てのCN-186サンプルはCN-03号サイトの収納翼楼1で保存され、半径10cm、高さ15cmの茶褐色のガラス瓶に封入し、瓶の口はロウで密封します。これらの瓶は収納翼楼中の金庫の中で保存され、財団中国支部は現在██本のCN-186サンプルを所持しています。
全てのCN-186に対して行われる実験はCN-03号サイトの指定されたプール内で行われなければならず、また実験後にプールは2時間強紫外線の照射を受けなければなりません。毎回の試験の後、注意しながらCN-186サンプルを回収してください。この作業は無線リモコンロボットが行わなければなりません。誤ってCN-186へ進入した職員は速やかに救出しなければなりません。
説明: SCP-CN-186は水に酷似した液体で、その外見は通常薄い黒色を示しています。この液体はほとんどの物理性質と全ての化学性質において通常の水と同一です。(既に実施された実験によれば、密度、粘度、比熱容量等の物理パラメーターは全て、水との化学性質上の相違は発見されていません)この液体の特異性は、いかなる生物に対しても浮力を与えることができないという点にあり、水生生物すら、CN-186に入った時点で浮力の存在を感じることができません。さらに、実験により、もし生物が身体の50%をCN-186に浸した場合、たとえその生物が浮力を与える物(ライフジャケット等)を身につけていたとしても、CN-186は浮力を与えないことが証明されました。分子レベルでの解析はCN-186の分子と通常の水分子は構成が完全に一致したことを表し、現段階ではなぜCN-186が浮力を与えず、CN-186が淡い黒色をしているのかについて解明することは出来ません。注目に値することとして、CN-186は正常な水へ感染し、最終的に周囲の水はCN-186へと転換します。
財団が最初にCN-186を発見したのは、崑崙山脈西側の麓の調査中でした。当時財団職員が黒色の水たまりを発見し、水たまりには一条の水流を通して、付近の渓流に通じていました。財団職員が黒色の水流を追跡したところ黒色の水流は水たまりから10km離れた地点で消失しているのを発見しました。財団職員は好奇心から水たまりへ検査を実施し、その結果、水たまり中にはいかなる生物、微生物や藻類も存在しないことが明らかになりました。財団職員がこの水たまりへ検査のために進入することを決定し、この行為がCN-186の通常性質の発見に繋がりました。そしてこの水たまりは現在SCP-CN-186-1の指定を受け収容されています。水たまりの底に対して遠隔機械で調査を行ったところ、絶え間なくCN-186の湧き出る源泉を発見しました。水たまり付近の地底調査では水脈の存在を発見できず、CN-186がどこから発生しているのかは依然として不明です。
補遺CN-186-01: 事故CN-186-1152の後、我々は長時間CN-186の中に浸かることで異常性を得ることを発見しました。CN-186に暴露した状態(身体が完全にCN-186中に入ることを指し、CN-186と直接触れているか否かを問いません)で30秒後、その生物はこの世に固体が存在しないと言えるようになり、その身体は他の個体へ融け入ったり、さらには通り抜けたりしてさえ自身の整合性を保持することができ、影響を受けたものの身体からCN-186が離れた後でもその特性を発現します。実験によれば、まず影響を受けた者は全てのものが「軟化した」と感じ、他の物体とその身体が明らかに低程度の融合を起こしていることが観察されます。この効果は、影響者がCN-186に暴露している時間が増大するにつれてますます顕著になっていき、持続時間もますます長くなります。この効果は本来一定時間ののちに自然と消失しますが、しかし影響者がCN-186に浸かる時間が2分を超えると、その効果は完全に不可逆となり、そして影響を受けた者は全ての固体から支持力を受けることができなくなります。明らかに、この段階に至った影響者は最終的に地面へ沈んで窒息死し、また死亡したとしても、計器がスキャンしたところ地下では依然として沈下が持続していました。
補遺CN-186-02: CN-186に対して実施した試験中に、紫外線がCN-186を通常の水へ変化させられることが判明しました。おそらくこれは、CN-186-1中に流出したCN-186が10㎞流出すると異常性を失うことを説明することができますが、しかし紫外線がなぜCN-186を変化させるのか、我々は現在有効な仮説を立てられていません。
事故CN-186-1152: 20██年██月██日に行われた実験中、██████研究員が不注意で実験用プールへ転落しました。CN-186の特性への救命設備を持っていなかったため、研究員██████は2分14秒後に救出されましたが、CN-186から抜け出そうと岸に至ったその時、彼は「沈んで行きそうだ!」と叫び声を上げ、その場の人々の前で跡形もなく地面に沈みました。その後、地面を発掘しても研究員██████の死体を見つけることはできませんでした。この後に行われたいくつかの実験の中で、我々はCN-186の新たな特性を確認しました。
補遺CN-186-03: 201█年██月██日、中国河南███2で同じ場所で同時に人が溺れるという事件が発生しました。現地メディアの報道によれば溺死者の死体は発見されませんでした。財団エージェント██████が当時ちょうど現場付近におり、彼は救命が失敗した後に水の色が異常であることを発見しました。この後に採取されたサンプルに対する検査の結果、この水がCN-186であることが判明しました。なぜCN-186がその土地に出現できたのか、同様にそれ以前の多くの"不思議な溺死事件"中にどれほどCN-186が引き起こしたものがあるのか、現在も依然として調査中です。
事故CN-186-1282: 20██年██月██日、一斉収容違反事故がCN-03号サイト貯蔵翼楼の出火を招きました。█本のCN-186サンプルが混乱の中で破壊され、自動消火装置の始動中、噴出したすべての消火用水がCN-186に感染しました。猛烈な火の勢いにより火災が消し止められるのが遅れ、高温は大量のCN-186蒸気を翼楼中に充満させることとなりました。火災が完全に鎮火された後に職員が物品の損失状況を点検するために翼楼に入ろうとして、最初に入った職員は水の中を進むように"動き難く"なり、そして2分後に地面に沈みました。緊急避難の後、セキュリティ職員が直ちにCN-186 蒸気を吹き飛ばすとともに強紫外線照射を行いました。この事故により█名が死亡。試験の後、このCN-186の形成した蒸気は空気湿度が██%以上に達すると、蒸気の充満した空間はCN-186が充満したとみなすことができ、この空間に侵入することはCN-186へ侵入することと完全に同じ効果があることが証明されました。CN-186の伝染性質により更なる事故の再発を防止するため、すべてのCN-186サンプルはロウで密封保存されます。