アイテム番号: SCP-CN-1963
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-CN-1963はサイト-CN-34の標準人型収容房中に収容されなければなりません。オブジェクトが受ける苦痛を軽減するために、オブジェクトは医療用人体支持具に固定されなければなりません。
精神状態を安定させるために、1名の心理専門家が定期的にSCP-CN-1963に対して心理カウンセリングを行います。収容の許す範囲内で、オブジェクトに肢体の運動に関係しない娯楽事項を提供することができます。いかなる食物及び飲料もSCP-CN-1963に提供することが禁止されています。
説明: SCP-CN-1963は27歳のヨーロッパ系の女性であり、かつてのサイト-CN-34の客員専門家Alice博士です。オブジェクトは長さ約3.14秒の循環的時間異常の中に閉じ込められていると強く信じられています。具体的には3.14秒毎に、SCP-CN-1963には一度の長さが約0.1秒の時間逆流現象が発生し、ループ開始時の状態——重心が前に傾き、頭部を後ろに曲げた姿勢——にリセットされます。
オブジェクトの元の位置にある障害物はこの過程の中でSCP-CN-1963に押し退けられますが、オブジェクト体内の空洞(例として肺)はオブジェクトの身体の一部分としてみなされないため、この区域内の物質はオブジェクト体内の異物に変わることが依然としてあり、またオブジェクトのリセットの過程に伴いオブジェクトと共に移動します。
このリセットの効果は少なくとも物理的レベル上のものであると考えられており、オブジェクトが受ける身体の傷害の即時回復をもたらします; 現在までに、SCP-CN-1963は██ヶ月間連続して飲食物を摂取していませんが、いかなる栄養不良及び脱水症状も示したことがありません。それにもかかわらず、SCP-CN-1963は尚も思考の連続性を保持しており、外界の刺激に対して有意的な反応をすることが可能です。
SCP-CN-1963の瞳孔がオブジェクトの顔正面前方5.63m以外の位置にピントを合わせ続けることが困難であり、且つオブジェクトが完全な呼吸及び連続した発音をする十分な時間がないため、オブジェクトとの相互交流は緩慢且つ困難です; オブジェクトの絶えずリセットする消化器は食物を効果的に処理できず、あらゆる飲み込んだ物質は胃に残留し次第に腐敗するため、SCP-CN-1963への食物及び飲用水の提供は有害であると証明されています。
SCP-CN-1963の心理状態についての評価は、オブジェクトが重度の睡眠障害(瞼を閉じ続けることができないことが原因と推測される)に直面しており、並びに精神崩壊のリスクが存在することを表しています; 体内に進入したいかなる薬物も次のリセット時に異物として体外に排出されるため、安眠剤と鎮静剤はいかなる作用も示していません。
オブジェクトの収容過程: ██年██月██日、SCP-2719とSCP-CN-███のクロステストが深刻な爆発事故を引き起こし、サイト-CN-34建造物の部分的倒壊及びAlice博士以外の全実験メンバーの喪失を招きました。廃墟の整理に手配された応急対応班が空中で絶えず落下し続ける研究員Alice博士を発見しました。オブジェクトは2█階から1█階の地面へ落下するループを間断なく繰り返していました。
収容時、オブジェクトは地面への落下の繰り返しで受けた莫大な痛みにより、軽度の精神障害を示しました。現在の収容プロトコルが制定される前、SCP-CN-1963は短刀、銃器、毒薬、SCP-CN-███等の道具を相次いで採用し自身に対して幾度も終了を試みましたが、全て失敗しています; 現在まで、財団は依然としてSCP-CN-1963を苦痛から抜け出させる手段を探しています。
SCP-CN-1963は収容後、肺に激痛を訴えた。X線探査によりオブジェクトが肺の中に長さ12cmの鉄ワイヤを含んでいることが明らかになった。
実験CN-1963-A-1:
喉頭鏡を用いて異物摘出手術を試みる。
実験結果: 異物の大きさ及び喉頭鏡が手術の過程の中でオブジェクトの異常効果により常に押し退けられることから、実験は失敗した。
実験CN-1963-A-2:
胸腔と肺の切開を試みる。薬物はSCP-CN-1963に対して無効と証明されているため、本実験では麻酔を取り入れない。
実験結果: 手術を開始して3.14秒後、オブジェクトが流した血液は速やかに逆流し傷口は即座に癒合、メスは体外に押し退けられる。繰り返された複数回の試みはいずれも同様の結果となり、実験はSCP-CN-1963が我慢できないことを示した後に終了した。
実験CN-1963-A-3:
財団製の武器を用いて[データ削除]。
実験結果: SCP-CN-1963の胸腔に直径30cmの穴が造られ、[データ削除]、オブジェクトは3秒以内に元の状態に回復する。後の検査でSCP-CN-1963の肺内の異物が除去されたことが明らかになった。
倫理委員会の要求に応じ、財団はSCP-CN-1963の性質について研究を行い、オブジェクトが無力化可能な方法を捜索した。
実験記録CN-1963-B-1:
SCP-CN-1963に対してミーム抹殺エージェントを使用する。
実験結果: SCP-CN-1963は即座に心停止を示すものの、3.14秒後に回復する。SCP-CN-1963が抹殺エージェントの完全な情報を忘却し始めるまで、オブジェクトはその後██時間に亘り3.14秒の周期で心停止を繰り返した。情報災害を用いてSCP-CN-1963を終了するあらゆる試みは禁止された。
実験記録CN-1963-B-2:
SCP-CN-1963の協力のもとSCP-CN-1201主儀式を実施する。
実験結果: オブジェクトの説明によると、SCP-CN-1201-2は予定通りに出現した。SCP-CN-1201-2は同情するも、SCP-CN-1963の死は「現在でなく未来にのみ存在する」ため、助けることはできないと示した。
実験記録CN-1963-B-3:
その時間の3.15秒後の未来への跳躍を試みるために、SCP-CN-1963に[データ削除]装置を使用する。
実験結果: 効果無し。時間異常部門メンバーはいくつかの仮説を立てており、その中で最も可能性が高いものは「SCP-CN-1963のタイムラインには3.15秒後の未来は存在しない」というものである。
実験記録CN-1963-B-4:
SCP-657を派遣しSCP-CN-1963とクロステストを行う。
実験結果: [データ削除]
Abigail博士: この手の恐ろしい効果が一体何処から来たのか我々はまだ知らない、しかし現在はっきりしていることがある: SCP-CN-1963はある種の時間異常により死ぬ前の最後の数秒に永久に固定されている。それゆえに実験の事故がもたらした死を逃れることに成功し、この悲しみに近い方法で永遠の生を達成した。
██年██月██日、大規模なΩK-クラスシナリオの発生により、SCP-CN-1963の無力化は不可能と判定されました。財団はSCP-CN-1963に対して終了を行う一切の試みを止めました。
同日のHannah博士による心理カウンセリング終了後、SCP-CN-1963は興奮し、並びに収容室内の電子記録媒体の使用を試みました。SCP-CN-1963の異常効果はオブジェクトの行動に対して極めて障害になりましたが、尚もオブジェクトは1時間以内に以下の文章を入力しました:
初めて彼女に会ったとき、
私の全力のあがきは、彼女の手を振り切った;
今の私は、
彼女との再会を日夜待ち望んでいるというのに。
でも私は彼女と二度と会えないかもしれない。
Hannah博士、ありがとう。
死神があなたを見捨てないことをただ願うばかり。
——Alice博士
ページリビジョン: 7, 最終更新: 29 Aug 2021 16:34