
SCP-CN-1970

SCP-CN-1970より発生したフィルム
アイテム番号: SCP-CN-1970
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-CN-1970はモバイル-サイト-CNの標準電子機器収容室で保管されます。週に1度、オブジェクトが製造するフィルムに対して検査を行ってください。オブジェクトへの接触はクリアランスレベル3以上の職員による書面上の許可が必要です。
説明: SCP-CN-1970はコダック社製の古いフィルムカメラです。本体は鉄製で、革のカバーが付属しています。オブジェクトは自律的に移動し、撮影する能力を有しており、簡単な呼びかけに対しては、動作的な反応を示すことがあります。反応は通常、「レンズを伸び縮みさせる」形で表現されます。観測の結果、SCP-CN-1970は内部でフィルムを製造する能力を備えているとみられ、フィルム内の記録は大抵、SCP-CN-1970に接触した人物の過去の姿を写しています。現像された写真は基本的に不明瞭であり、撮影状況に対する本人の記憶も極めて曖昧です。しかしながら、大多数の事例において、記録されている内容は実際に発生したものであることが証明されています。
付録1: Goth研究員のSCP-CN-1970フィルムから現像した写真の内容(抜粋)
撮影日時: 2019/7/5
撮影対象: Goth研究員
撮影内容:
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メモ: これは確か、幼稚園時代の自分ですね。引っ越しを何度も繰り返してきたもんで、古い写真はすっかり失くしてしまいました。覚えていることといえば、家が貧しくて、オモチャもろくに無かったことでしょうか。1枚の紙、1本の瓶だけで、何日も遊び倒すことができました。当時の暮らしは酷いものでしたが、それでも楽しい時間だったと思います。親と一緒に出かけた時は、1日中はしゃぎ回っていましたよ。今とは違って、いつ肉の怪物に襲われるかと、震えて過ごすことも無かったんです。
撮影日時: 2019/7/6
撮影対象: Goth研究員
撮影内容:
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メモ: これは多分、僕の最初の実家ですね。昔過ぎてよく覚えていませんが、恐らくはもう、解体されてるんじゃないでしょうか。あの頃は確か、壁を引っかくことが趣味でした。白ペンキをボロボロ落としていくと、黒い中身が見えるんです。ダエーバイトの壁画みたいでしたね。壁を掻きむしって図形を作ったり、クレヨンで絵を描いたりもしました。ウルトラマンとか、トランスフォーマーとか。親にどやされなかったのは本当に幸いでした。つくづく感謝しかありません。
付録2: SCP-CN-1970のフィルムより現像された、唯一の明瞭な写真撮影日時: 2019/7/8
撮影対象: Goth研究員
撮影内容:
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メモ: おっと、お恥ずかしいものを見せてしまいました。この頃、僕はテレビに出てくる女の子に憧れてたんです。スカートを履いて、ダンスをする姿に。そんなこんなで、「スカートが欲しい!」と、泣きながら親にねだっちゃって。親はずっとカンカンでしたが、最後には折れて、スカートを買ってくれました。今思うと、かなりクレイジーなことをしたものです。あの頃の僕は、女装姿がこんなにも不格好だなんて、ちっとも思っていなかったのに。

当フィルムは2019年7月19日に製造されたものです。財団のデータでは場所を特定することができず、解明にはさらなる研究が待たれます。またこの時、SCP-CN-1970の収容室からは1枚の紙片が見つかっていますが、オブジェクトの担当者は紙片の進入経緯について全く知りませんでした。紙片の内容を以下に記します。
お元気ですか?こちらは夏ですが、夜と雪しかないので、そちらが羨ましい限りです。
彼女が出かけてみたいと言ったので、そちらへとお送りしました。
楽しい記憶を写すのが大好きな子です。ご迷惑にならなければ良いのですが。
フィルムを気に入ったら、どうか大事に取っておいてください。
彼女もきっと喜ぶはずです。酩酊街より 愛を込めて