SCP-CN-2510
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評価: +18+x

あなたは自宅の倉庫を探し尽くしたが、空腹を満たすものはもう何も見つからなかった。そして長い時間誰の声も聞こえていないことが、あなたの内に悪い予感を芽生えさせる。

心の準備はできている。家のドアは蹴り破られている。あなたは暫し考えた後、勇気を振り絞り外へ出る。空の色は漆黒で、周囲の街灯は点滅しており、灰白色の光は心臓の鼓動を高める。大通りには肉片の切れ端が乱雑に散らばっており、五体満足な死体は一つも見られない。腐敗した死者の息吹が冷たい風と混ざってあなたの頬に吹き付けるが、その骨を刺すような寒さでさえも途切れ途切れだ。

玉突き事故の現場を通り過ぎた。灰色の指示灯はまだ点灯していて、現場の車両の残骸はあらかた片付けられていたが、事故の痕跡は未だに残っている。地面は黒いペンキで覆われていて、それはよくよく見れば、乾ききった血痕だった。そして、あなたはこの場所で不運にも命を落とした人々を漠然と考えるが、内心で不思議で仕方がない。

強烈な生理的拒絶に襲われ、あなたは大通りを進んで周囲を見渡したが、生者は誰一人として見られない。目に映る場所には荒野の如き都市の廃墟があるだけだ。身体の具合の悪化はあなたに無力感を与える。記憶が脳内で巻き戻り、あなたが休暇を申請した初日、あなたが目覚めてから色彩感覚が失われ始めた時に至った。目の前の黒白灰色は、世界があなたに見せる真実の光景だった。

あなたがスマートフォンを確認する以前に、インターネットは巨大なデータ量に耐えられずにクラッシュしていた。無線LANにアクセスしようという試みは無駄に終わり、あなたはテレビを点けた。全てのチャンネルはニュース番組を放送していて、画面上の刺激的な大文字があなたを警戒させた。


全世界速報


全ての人は直ちに十分な物資を準備して帰宅し、ドアと窓を全て閉めた後でニュースを待ってください。待機中はいかなる形でも外界との接触が禁じられます。

目を引くその三本矢のシンボルを見れば、どんな間抜けにだって、休暇をとっている場合でないことは理解できるだろう。あなたは身分証を持って出発する準備をしたが、ドア付近で外の連続した爆発と絶叫に押し戻された。外の喧騒はしばらく続き、その後に静寂が訪れた。あなたは再度外へ出ようとしたが、既にドアは外側から強引に塞がれていた。その時あなたは防犯窓を取り付けたことを後悔し始めた。スマートフォンはいまだネットに繋がらず、誰とも連絡を取ることができない。家の倉庫を調べ終えて、あなたは過去の自分の買いだめする習慣に喜んだ。

奇妙なことに、この時以降、財団は二度と外へ向けたメッセージを発信しなかった。

あなたは車両を探し出し、自己流の方法でエンジンを点けた。街には誰もいないため、あなたは好きなだけ速度を出せる。酷く破損した道路状況はあなたの胃の中身をひっくり返し、時折嘔吐して胆汁が無くなるまで吐き出すために停車せねばならなかった。路傍にある既に荒らされて空っぽになった売店で、あなたは飢えを満たすいくつかのパンと水のボトルを一つ見つけた。想像したよりも味は良い。

あなたはサイト-01メインゲート前の広場に停車する。それまでとは異なり、あなたの身分証と車両を確認しに来る警備員は誰もいない。あなたは訝しみながら施設内を進むが、その中はもう以前とは異なっている。施設内の自動システムは整然と基本動作を維持しているが、あなたの目は同僚達の死体に釘付けになる。執務室、食堂、ラウンジを含むすべての部屋で、頭部に開いた大穴が彼等の死因を語っている。

あなたは地面から拳銃を拾い、弾を込めて手中に収める。しかしそれは何の安心感ももたらさない。あなたは音を潜めて施設内を進む。ほとんどの生物アノマリー収容エリアの扉は開かれており、そして中で収容されたアノマリーは既にバイタルサインを失っている。あなたは何が起きたのか全く分からないし、その問題を考えたことも無かった。角を曲がると、巨大な爬虫類があなたの眼前にいる。

凄まじい恐怖により、あなたへ踵を返して逃げようとするが、何かに躓いて後方へ転倒する。あなたは地面に尻を付けるが、眼前の忌々しい爬虫類が何も反応しない事に気が付く。勇気を出して調べに行くと、その生命は既に失われている。

な、何という事だ……

この時あなたは躊躇せず、振り返って走り出した。次々と曲がり角を通り過ぎ、進入クリアランスを有していないエリアを次々と通り過ぎる。通路の終わりでは、当直の警備員の死体が腐敗し始めている。あなたは彼の身体を直接乗り越えて、既に劣化している扉を蹴り破る。目の前の光景が、あなたの心に僅かに残っていたであろう希望を粉々に砕く。

十三人の監督者の死体が会議室内で整然と座っている。卓上には2丁の拳銃が置かれている。彼等の頭部の穴の血は既に乾いており、地面で凝固している血液は白色の照明で眩しく見える。

サイト-01の自動作動システムは職員が会議室に進入したことを検知し、コンピューターのスクリーンを点けた。

SCP-CN-2510


アイテム番号: SCP-CN-2510

オブジェクトクラス: Eparch

特別収容プロトコル: 全ての職員はSCP-CN-2510の発生を阻止するためにあらゆる努力を払わねばなりません。関連する事態が後戻りできないほど深刻であった場合、財団は人類の生存者が文明を再建し、発展し続ける方法を探さねばなりません。収容過程では全ての可能性を考慮するべきです。

オブジェクトの真の性質はレベル5/CN-2510職員のみに知らされます。クリアランスが不足し、かつSCP-CN-2510の本質を推測した職員に対しては記憶処理を行います。どのような形であれドキュメントの漏洩を回避するため、データベース内の当該オブジェクトに関する文書はSCP-CN-2510について述べられたダミープレースホルダーに置換されます。

SCP-CN-2510に関連する全てのインシデント或いはその手掛かりは本ドキュメント内に記録するとともに、SCP-CN-2510の発生を執拗に主張する職員は終了せねばなりません。

説明: SCP-CN-2510は全ての既知及び未知の異常性が完全に無効化される未定義の現象です。SCP-CN-2510は発生していないため、SCP-CN-2510の詳細な情報を得ることはできません。以下はSCP-CN-2510に関する推測です。

  • 戦術神学部門の記録と情報セキュリティ管理部門の調査結果によれば、SCP-CN-2510及びオブジェクトに関連するインシデントを引き起こし得る敵対的または非敵対的存在が、少なくとも二十件存在する。
  • SCP-CN-2510は実際に発生する以前には仮説上の現象に過ぎないため、収容プロトコルを厳密な意味で完了することは不可能である。
  • 長期的な観点から、財団は常にアノマリーを処理する権限を持たねばならない。
  • インシデント発生以前には、最も収容コストの低い収容プロトコルのみを実施する。
  • SCP-CN-2510が基底現実で発生した場合は、当該インシデントを元に戻せる可能性はない。

注意するべき点として、シミュレートされたSCP-CN-2510の発生原因と既知のK-クラス終焉シナリオには関連性がありません。このため、K-クラス終焉シナリオという観点から対象が発生する状況を想定するべきではありません。

補遺CN-2510-1: 危険性のあるアノマリーに関する終了条項。

我々は何故アノマリーの収容にこれほどまで尽力しているのか?

財団は過去の発展過程において多くのアノマリーの終了を試みており、上述の行動を通して、アノマリーを終了することは唯一の道ではなく、より適切な方法があると知ることができた。潜在的に高い危険性を有すると考えられるオブジェクトの大多数は、収容違反の可能性も限りなくゼロに近づいている。殆どのアノマリーについては、現在の収容プロトコルが維持される限り、容易に長期的かつゼロリスクで収容し続けられる。最近、無許可でアノマリーを終了する規則違反が顕著に増加しているため、監督評議会は、提出済みのアノマリー終了に関する書面申請を全て否決することを決定した。

我々は財団だ。我々は冷酷だが残酷ではない。もし財団以外の職員がこれに干渉するならば、財団の全職員は警告から致死的武力に至るまで自由に使用する裁量権を持つ。我々の理念を常に忘れないでくれ。

O5-13、本日より有効

補遺CN-2510-2: カオス・インサージェンシーによるサイト-19の襲撃中に、財団は多くの高価値収容施設を失うとともに、インシデント中に4体のヒト型アノマリーを含む26実体のアノマリーが無力化されました。調査員は無力化されたオブジェクトのうち外的作用により無力化されたのは6実体だけであり、その他は全て襲撃中に自律的に無力化されたことを発見し、このことが調査員の注意を引きました。

場所: サイト-01

出席者: 監督評議会

前言: カオス・インサージェンシーの襲撃が発生した直後、監督評議会は緊急会議を招集しました。インサージェンシーが再襲撃する可能性が高かったため、評議会員はすぐに直接サイト-19に入ることができませんでした。

<記録開始>

O5-13: 何か言いたいことはあるか?

O5-9: 何も。

O5-5: 私はこの事を聞いて、遠路から駆け付けたんだ。君たちは無事だったか。

O5-11: 恐らく、インシデントが起きた時はサーティーンだけがサイト-19にいた。そのことは彼に尋ねるべきだろう。

O5-6: 仕事の話をしよう。我々全員が同時に喋るのは、好ましいことではないだろう。

<沈黙>

O5-13: 私から話そう。

O5-13: 君達はインシデントレポートによって、サイト-19で起こったことを知っているはずだ。

O5-5: そうだ、随分酷かったと聞いた。死者はどれ程出たんだ?

O5-13: それは違う、誰も死んでいない。君達にこれを見せなければならない。あの場所から引き出した監視映像だ。

この時、会議室の大スクリーンが起動し、数枚のスクリーンに分割された。上面ではカオス・インサージェンシーが施設を襲撃する映像記録が映される。襲撃中、重火器で武装したカオス・インサージェンシー構成員は意図的に財団職員を避けていると思われ、床に跪いて両手で顔を覆い震える職員を無視して、各オブジェクト収容室を目指す。財団職員は反応後に直ちに銃を持って妨害に向かうが、インサージェンシー構成員は彼らが到着する前にいくつかのアノマリーを破壊した。行動を終えたのち、インサージェンシー構成員全員が自ら口内の爆弾を爆発させた。

O5-13 その後、我々は奴らの死体の人相を復元し、その遺伝子を鑑定し、それらの人相と遺伝子配列が完全に同一であることを発見した。これは、財団を狙った意図的な行動であることを示している。

O5-13 そして、その後私はある問題に気が付いた。奴らの目的は明らかだ。見てくれ。

スクリーンの一角の画面が操作され、拡大される。それはSCP-173の収容室であり、SCP-173は室内の片隅で静止しており、他の映像が示す混乱状況と全く対照的である。財団職員とインサージェンシー構成員の戦闘中、SCP-173から僅かな光が放出され、その後すぐに元に戻る。

O5-13 見たか? もしはっきり見えなかったのなら、もう一度見せよう。だがこれはもう明らかだ。諸君は何が起きたのかを理解しているだろう。

O5-1 無限の銃……

O5-13 間違いない。確実に、神の双子だ。コントロール権は奴らの手にある。

O5-13: 奴らはこれを上手く隠ぺいした。そして我々の施設を熟知していて、我々の注意を引くために大暴動を引き起こした。奴らが始末したあれらのアノマリーは最も対処が容易な類で、奴らの真の目的はこの彫刻だった。

O5-13: それだけじゃない。幾つかのアノマリーもこの騒動の中で自律的に無力化した。それらがインサージェンシーとは一切接触していないことは完全に確認済みだ。

O5-12: ちょっと待ってくれ、それならば、どうしてあれは今も存在して、奴の収容室の内側を擦っているんだ? 神の双子の標的が、存在し続けられるわけがない。

O5-13: それこそが、私が君達の所に来た理由だ。

O5-1: それは少し妙だ。奴らは既にあらゆる存在を殲滅できる武器を手に入れた以上、ただ直接我々全員を抹消すれば良いだけなのに、何故それをそんな低レベルなことを我々にするんだ……示威か? 警告か?

O5-13: 分からない。調査をしようとしても、結果は出ないかもしれない。だが君達は数日間はここに留まるべきだ。ここ以外の場所は、いつ攻撃を受けるか分からないからな。

O5-1: くそっ。

<記録終了>

この日以降、財団職員は交代制で標準的な収容プロトコルを持つオブジェクトを二十四時間体制で観測しました。この観測過程で、何百ものアノマリーが衆人環視の中で次々に無力化し、数人の職員にパニックを引き起こしました。

一部のアノマリーが消失した後に起こり得る事象をシミュレートした結果、SCP-CN-2510は2021年2月16日に臨時スロットから正規スロットに変更され、SCP-CN-2510に関する情報はその後すべて記録されました。現在、SCP-CN-2510はいつでも発生する可能性があり、既に発生した可能性すらあります。

なぜ、上層部はこのインシデントにナンバーを割り振ったんだ? 全ての異常の消失……何が問題なんだ?

インシデントレポートCN-2510-1: 2021年2月16日、SCP-CN-2510が発生していることが確認されました。サイト-19の修繕過程で、当該サイトで収容されるアノマリーの50%以上が自律的に無力化しました。残されたアノマリーの状態と収容プロトコルに変更はありません。SCP-173の表面には外部からの作用無しで部分的な損傷が生じています。

世界各地のサイトで同様の報告がなされており、リスク評価が進行中です。下記は特に注意するべきアノマリーの事例です。

アイテム番号: SCP-184

無力化時間: 18/02/2021

記録: SCP-184の収容施設は屋外であるため、最初に無力化の過程が発覚しました。公園内の観光客は彫刻から起きた爆発音に気付き、エージェントは現場で無力化した電磁石と、光沢を失ったSCP-184を発見しました。SCP-184を屋内に設置した1時間後、完全に無力化していることが確認されました。

財団はただちに現場の一般人へ記憶処理を施し、SCP-184を施設に戻して無力化の過程を研究しました。オブジェクトは人体に対し無害であることが確認されたため、財団はオブジェクトの修復或いはそれに代わる方法を探るために、すぐさまサイト-01へ移送しました。

宇宙機動部隊と監督評議会による共同シュミレーションの結果によって、SCP-184の無力化により基底現実における宇宙の膨張が停止されたことが判明しました。パニックが起こることを回避するため、この結論は財団内部で完全に秘匿されました。

注意するべきことは、この時間内に発生した大多数のアノマリーの無力化は独立したインシデントであり、その他のアノマリーとは一切関連がありません。SCP-CN-2510及び関連するインシデントの発生順序を予測することが困難であるため、データの重複を回避するために、高機密アノマリーは無力化後にデータ保管庫へ編入する必要はありませんが、パターンを発見するためにアイテム番号のみを編入しなければなりません。これ以外には、重大な影響を与えるアノマリーのみが記録されます。完全なリストはドキュメントCN-2510-Omegaを参照してください。

アイテム番号: SCP-001/コードネーム:qntm

無力化時間: 18/02/2021

記録: SCP-001の無力化はSCP-184の無力化と同時刻に発生したことが確認されました。オブジェクトは瞬時に自身の光沢を失い、研究員が手で触れても熱を感じることができませんでした。現在はオブジェクトを破壊し内部成分を研究することが可能と推測されますが、リスクの高さから実行は許可されていません。SCP-001の残骸は引き続き元の場所に収容されています。

リスク評価チームによれば、SCP-001及びSCP-184は[データ削除]の相関関係にあり、オブジェクトの無力化は何らかのXCクラス未定義シナリオを引き起こす可能性を示唆しています。

くそっ、どうせこのドキュメントは我々だけが見られるというのに、私はいまだに何かをこのドキュメントに隠そうとしている。もしも我々に救いがないと言いたいならば、死ぬのを待ってくれ。我々は座して死を待ったりはしない。

補遺CN-2510-3: 一週間以内に多数のアノマリーの損失が連続したため、財団は世界中から電子メールを受信し、サーバーが数回クラッシュしました。監督評議会と倫理委員会の共同調整の下で、各財団施設は短期間のパニックの後に秩序を回復しました。アノマリーの消失により、業務上の障害は可能な限り解消されました。

この後、財団は下記の個人またはグループに対して接触を試みています。

この過程で、数名の職員が精神に異常を来たしたことにより自殺し、ブライトを含む数名の高位職員が死亡しました。評議会の全会一致により、いかなる人物も他者の自殺の原因およびその死に起因するあらゆる損失に対し、責任を追求されません。

アイテム番号: SCP-2000

無力化時間: 20/02/23

記録: 忘却。

待て待て、2000?

アイテム番号: SCP-4039

無力化時間: 21/02/2021

記録: 再びカルノー対流が観測されました。時空連続体は再度エントロピーの自己吸収が可能になり、このインシデントは世界中の工業企業や実験室で発見されました。財団は偽装された宇宙学理論を拡散することにより、疑念を鎮静化しました。

アイテム番号: SCP-5140

無力化時間: 22/02/2021

記録: エベレスト山が崩壊しました。大規模な記憶処理工作が全世界で実施されましたが、効果は芳しくありません。このインシデントに対する大衆の陰謀論が極めて迅速に形成され、これに伴ってヴェール破壊シナリオの発生可能性が高まっていると考えられます。

アイテム番号: SCP-8900

無力化時間: 23/02/2021

記録: 現在収集された情報によれば、SCP-8900は全世界で同時に無力化されました。人間は一部の有色光の感知能力を喪失し、伝統的な意味での黒白灰色のみが残されました。加えて、無力化が起きた瞬間、一部の人間は巨大な変化を受け入れることができず永続的に盲目となりました。このインシデントによる直接的な死亡者は1万人を超え、その大部分は交通事故あるいは脳へ刺激を受けたことによるものでした。この過程で、大部分の公共施設はほとんど機能を停止しました。財団はインシデントに大量のエージェントを各地に派遣して対応し、公共施設の稼働の維持には積極的でありませんでした。

アンニュイ・プロトコルはSCP-8900の無力化直後に再発動されましたが、クラスO記憶処理の効力が未知の原因により大幅に削減されたため、社会は正常状態には回復しませんでした。全世界でアンニュイ・プロトコルは完全に失敗に終わり、LV-Zero“捲られたベール”シナリオが発生しました。

アイテム番号: SCP-4220

無力化時間: 24/02/2021

記録: 月が消失しました。夜間照度が低下するとともに、潮汐現象が著しく弱まり、世界の各沿岸エリアで重大な洪水と津波災害が発生し、広大な面積の破壊と大規模な人口の死亡を招きました。

アイテム番号: SCP-3000

無力化時間: 24/02/2021

記録: ガンジス川の扇状地でSCP-3000の残骸の一部が発見されました。その表面から採取されたY-909出会った物体は全ての効力を失い、既に制作されていた記憶処理薬剤の効果の大部分は減少しました。各地の病院からもたらされた報告によれば、世界中で超記憶症の患者数が爆発的に増加しており、多くの患者が大脳の損傷により死亡していました。

時系列上は、SCP-3000の死亡時刻と病院が財団に報告した時刻はほぼ一致し、SCP-3000の死亡がこのインシデントの原因であり、人々が超記憶症を患った訳ではなく、SCP-3000の死亡により人類が持っているはずの忘却能力を喪失したと考えられます。財団の記憶処理の備蓄の大部分はこれ以降効力を失ったことが確認され、残された薬品は封印されました。

我々は最後まで万事万物の終焉の様を知ることはできない。

アイテム番号: SCP-2713

無力化時間: 25/02/2021

記録: 観測可能な宇宙の全ての恒星が同時に破壊されました。最上級多能性実体"ラクマウ・ルーサン"が太陽系に施した奇跡論的プロテクトにより、太陽系は存在し続けており、全銀河の中で最後の恒星となりました。

太陽系が近い将来破壊される可能性を考慮し、全世界の生き残った人口を地下特異概念バンカーへの輸送が開始されるとともに、水力・電力の供給のために非異常性の永久運動機関技術と零点エネルギーが投入されました。

この一連の異変が起きた原因を知りたかったのならば、今ではそれを知っている。それを知った時のあなたは、逆にそれらのことを何も見たくはなかった。過去に戻れるとしたら、きっと躊躇なく自分の頬を張り倒すだろう。

これらはあなたのクリアランスを遥かに超えている。あなたは平静さを取り戻すのに暫しの時間を要した。

補遺CN-2510-4: サイト-19の清掃作業が完了しました。この過程において大部分の非生物アノマリーが既に自己無力化しており、生き残った生物アノマリーも残り僅かであるため、当該サイトの放棄が決定されました。無力化していないアノマリーは全て梱包された後、残された職員及びアノマリーは全てサイト-01へ移送され、特異概念バンカーの保護レベルを超える最大レベルの保護を受けます。

この工程中に、職員が誰もが見落としていた一つの事実を発見しました。ほぼ全ての観測されたアノマリーには共通点があり、無力化される過程は往々にして一瞬で行われます。そしてSCP-173は例外的に、SCP-CN-2510の発生が確認されてから、SCP-173の身体組織は微かな速度でゆっくりと脱落しています。その後SCP-173に行われた試験の結果は、対象がいまだに無力化しておらず、かつ職員が瞬きをした場合でも、その手から生還することができることを示しました。

これ以上の人員喪失を防ぐために、SCP-173に関連する実験は停止されました。

場所: サイト-01

出席者: 監督評議会

前言: 遺言

<記録開始>

O5-1: 最近起こったインシデントで滅茶苦茶になってしまった。君達に何か進展はあったか?

O5-13: 少しはな。だがそれは風刺的と言えて、先に君達の報告を聞きたい。

O5-1: わかった。まずは私が話そう。

O5-1: まず、ここで判明したことだが、ここ数日の自殺率は極めて急速に増加している。この数字は総人口と比較すれば微々たるものだが、多かれ少なかれ一つの問題を明らかにしている。

O5-5: 何を明らかにしたんだ? ここ数日で閲覧許可されているドキュメントに目を通したが、我々が各地で収容していた数万体のアノマリーは、今ではたったの数百体が残っているだけだ。

O5-1: 我々が完全に失敗したと明らかにした。

<沈黙>

O5-11: 地上の様子を見るため人を派遣した。空の星々はもう一つも存在せず、宇宙機動部隊とも連絡が途絶えていた。並行宇宙やその他の物語層に向けて送ったヒューム探針も有意義な報告を返してこなかった。我々の退路はもう全て絶たれている。君達も分かっているだろう。ほんのわずかな照明の電力系統を回復させるのも容易じゃないのに、我々はもうそれを取り繕うことができない。人々はこの期間に起きた全ての出来事を覚えている。

O5-7: 人々は落ち着いているか?

O5-11: 順調だよ。さほど時間を要さずに、外の生き残った人類は全て、地下特異概念バンカーへ移動し終わった。

O5-7: その他のサイトの人間にも連絡を取った。彼らは最後に移動を終えて、今は我々だけが地上に残されている。

O5-2: もし外界が混乱していたなら、それは我々財団の内部管理が既に壊滅したと言えるだろう。このことのために、我々が掌握していた、発展に必要とする全ての異常技術は失われて、そしてアノマリーに関わる多くの職員を失った。

O5-6: 私が話すことはない。君達と比べればまったく取るに足らない。

O5-13: もっと言えば数百体も残っていない。実際は、我々が話しているこの時にも、いまだに無力化されているアノマリーがある。これがこの数日で私が得られた結論だ。

O5-13が地図を広げる。図面上は赤点と灰点で埋め尽くされている

O5-13: アノマリーが無力化する順序は、あるポイントを中心とした円形になり、宇宙空間の最外部から中心に向けて近づいている。

O5-13: そしてその一点こそが、サイト-01だ。

O5-1: なに? ここ……

O5-13: 何故か。まさか、我々がいるこの場所が一番安全だからか?

O5-13: そうかもしれないな。結局、この場所は唯一稼働し続けているサイトなんだ。遠からず、この場所の作業も停止されるかもしれない。その他のサイトの人間によれば、彼らの多くはまだ生きているが、精神状態は極限状態だ。

O5-4: それで、我々は今会議を開いて、失敗の原因を議論し合ったり、遺言を録音したりしているのか?

O5-13: 君が一体何を感じ取ったのだとしても、私はただ私の知ることを語っただけだ。諸君に語りたいことは後で話そう。それが本当の遺言になるかもしれない。

<沈黙>

O5-4: 055は?

O5-5: 無い。579も無い。

O5-4: 円環は? 後悔薬は? どれも無いのか?

O5-5: あの巨大な機械はもう無い。どう思う? 今はそのことを考えないでおこう。サーティーンはおそらく別のことを言いたかったんだろう。

O5-13: ハハ、諸君は我々財団の理念をまだ覚えているか?

O5-1: 勿論覚えている。あの六文字は最早私達の思考の内に刻み込まれている。

O5-13: 確保、収容、保護。我々は長きに渡りこれらの文字に束縛され、部下を欺くためにまったく相反する存在を使い、何度も何度も、絶対に明かすことのできない秘密を持ち続けてきた。

O5-5: やめろ、録画されているのを忘れたわけじゃないだろう。

O5-13: 心配はいらない。我々以外の誰が聞く機会があるというんだ?

O5-5: まあ、もし誰か聞ける者がいれば良いのだろうが、外の奴らは皆あまり頼りにならない。だから、我々自身が知る方が良いだろう。

O5-13: 諸君、もし今回のことが無ければ、私は我々がなぜ財団の巨大な看板を維持し続けているのかを忘れてしまっているだろう。これまでの維持が戯れに過ぎないとすれば、今回は警告になるはずだ。

O5-1: 異常を確保し、異常を収容し、異常を保護する……“警告”という言葉は軽すぎるとは思わないか?

O5-13: さっき君が言ったように、我々は徹底的に失敗した。仕組みを築くために要した計り知れない時間、暗闇の中のGOCとの闘争、そして全ての敵対組織との抗争。それらは一つの事実を示している。我々と彼らのやり方は全く相反するんだ。

O5-1: そうだ、彼らは心から人類のためにやっている。だから隠された災いは全て排除したいんだ。そして、人類は我々の保護を全く必要としていないことを、我々だけが知っている。

O5-4: まるで、自分が人類の一員じゃないかのような言い方だな。

O5-13: 確かに、ただ彼らのために安全な環境を作ってやるだけで、彼らは自力で大きく発展できるのは間違いないだろう。そして、アノマリーと呼ばれるものもまた、我々の独りよがりな考えに過ぎないこともまた、我々だけが知っている。

O5-4: これが遺言を言い合っているのなら、些か雰囲気が軽すぎないか。

O5-13: アノマリーと呼ばれるものは、ただ一般人の眼から見て正常ではないだけだ。偏った見方をしなければ、それらもこの世界の成分で構成されていて、この世界そのものとさえ言えるだろう。

O5-5: だからこそ、我々は表面上はGOCと対立せねばならない。アノマリーを最もよく保護するためには、アノマリーを収容するしかない。この目的を達成するために、敵が何人死んだとしても、同情はしない。

O5-13: 我々は今、世界で最も安全な場所に座って裁判を待つだけだ。惜しむらくは、我々には真相を知る術はない。

O5-1: 諸君、私は記憶を振り返って事の顛末を整理した。全てのアノマリーが無力化されるとすれば、我々にはもう時間がない。

O5-1: 確認せねばならないことが一つある。

O5-1が拳銃を握り、非常扉を開き、警備員の後頭部へ銃を押し付け、引き金を引く。その場で血しぶきが飛び散る。会議室内では誰も明確な反応を示さない。O5-1は暫く警備員の状態を調べる。

O5-1: 確認は終わった。今はまだチャンスがある。

O5-13: こんなことをする必要が本当にあったのか?

O5-5: それは私には少し難しいかもしれない。君達はどう思う。

<沈黙>

O5-1: よし、彼らに最後の贈り物をやろう。そして彼らの指導者として、私が彼らにできるのはそれだけだ。

<記録終了>

一度に頭に入れられた情報はあまりに多く、あなたは苦痛で蹲り、泣き叫んだ。突然得られた休暇のために、最高になったかもしれない贈り物を逃してしまった。なんと悲しいことだろう! あなたは銃を拾い、銃口を自分の口の中に突っ込む。あなたは逃げ場が無いと分っている。だがそれでも、自分には引き金を引く勇気がないことに気が付く。

ちょっと待て! 何かを見落としているに違いない。あなたは何かを見つけられることを期待して、無力化されたオブジェクトリストを下にスクロールした。大部分のアノマリーには単純に記録へアクセスするクリアランスが無かった。時間はほとんど残されていない。読み進める過程で、ハイライトの入れられたいくつかの項目があなたの注意を引くが、何故ハイライトが入れられているのか、それを知る者はいない。

[ドキュメントの余剰部分にはサイト-01自動化運用システムにより自動的に記入され、全ての変更及び編集クリアランスが解放されます]

アイテム番号: SCP-499

無力化時間: 26/02/2021

記録: 地球は依然として自転しているものの、太陽はもはや動かないことが世界中の一般市民に観測されました。地表温度もこのインシデントの影響を受け、通常はXK-クラス大絶滅インシデントを招きますが、全世界の人口は特異概念バンカーに入っているため、人類は影響を受けずに正常に生存可能です。

アイテム番号: SCP-1548

無力化時間: 26/02/2021

記録: SCP-499の無力化インシデントが地球の気候に大幅な影響を与える以前に、最上級多能性実体"ラクマウ・ルーサン"が死亡し、奇跡論的保護が失われました。太陽は消失し、重力波が8分後に地球へ到達し、地球の軌道を押し出しました。現在、観測可能な宇宙にはいかなる恒星も存在しません。

平常時であれば、これらの情報はあなたを震え上がらせただろうが、現在のこの状況ではもはやどうでもいいことだった。それはあなたが探し求めたものではない。閲覧できる情報は次第に少なくなっていく。閲覧を続けようとした時、あなたは監視モニターの一つに気が付き顔を向けた。

それはちょうどサイト-01外部の広角カメラで——今まさに、周囲の全てがゆっくりと消滅していた。あなたは下を向き、半透明と実体へ交互に変化する自分の身体をじっと見た。あなたにはもう、逃げ道は無い。

時間がない。あなたは大急ぎでコンピューターを操作してタイムラインを並べ替え、重要ではない幾つかの項目を素早く選び出し、それらのハイライトされた部分に目をやった。

アイテム番号: SCP-5001

無力化時間: 28/02/2021

記録: 最上級多能性実体壊れた神/Mekhane/WANYaldabaoth(ヤルダバオート)が破壊あるいは無力化されたことが確認されました。各物語層に投入されたヒューム探針はいずれも既知の全ての時間、空間、概念、物語層及び宇宙法則は極めて不安定な状態にあり、あらゆる生命体の存在及び存在記録が消滅したことを報告しました。UK-クラス宇宙崩壊シナリオ、PK-クラス実存のパンデモニウムシナリオ、O0-クラス存在論的シフトシナリオ等、多数のK-クラスシナリオが発生しました。

未知の要因により、サイト-01周辺エリアはこの影響を受けていません。外部範囲は既に観測不能であるため、現在はこの範囲の大きさを確認することができません。

アイテム番号: SCP-2718[当該ナンバーは自動獲得の結果です]

無力化時間: ??/??/????

記録: 検出可能な生命体が存在しないため、主な影響を知ることはできません。

アイテム番号: SCP-609

無力化時間: ??/??/????

記録: 全てのヒューム探針が失われました。その損失前に最後に返信されたデータによれば、テグマークレベル IV多元宇宙におけるあらゆる根幹的形式は最早存在せず、一切が存在しないことが確認されました。この影響は即座には生じません。正確な観察記録が存在しないため、起こり得るパラドックスを記録することはできません。

アイテム番号: SCP-3930

無力化時間: ??/??/????

記録: 存在が存在します。
非存在が存在します。
存在が存在するかは不確実です。

この時不意に、あなたは監督者の贈り物が何なのかを理解した。そして、引き金を引かなかったことはあなたにとって実に幸運だった。それによってあなたは無限の歳月の中で苦痛に苛まれる可能性があったのだ。かつて、このような理論があった事をあなたは思い出した。人間の潜在意識は自身が認識していない時に抜け落ちた情報を補填しようとする。あなたが既に自身の身体を感じられなくなっていても、意思は依然として活発に機能している。

これはまだ私なのか? 私の今の状態は私自身の脳が補填しているのか? もし私がもう存在しないのならば、周りの世界は? この情報は存在するのか?

生に非ず死に非ず、存在と非存在が重ね合った状態は既に完全にこの世界に影響を与えている。皮肉なことに、この奇跡の目撃者となれる生命はもう残されておらず、あなただけが幸運を、或いは不運を感じられる。

アイテム番号: SCP-2165

記録: 赦されることはありません。

ファイルは文末で唐突に終了し、ただ空白だけが残されている。

突然訪れた終止符にあなたの集中力は乱され、SCP-2165のファイルと他のファイルの違いに全く気が付かない。あなたはこの時、ポケットから一つのUSBを取り出した、異常性による保護は失われ、本来はほぼ突破不可能だった端末ファイヤーウォールは紙屑と化している。あなたは、何故USBを取り出したのか分からない。だが潜在意識中の本能が、それらのファイルをコピーするようあなたを駆り立てる。コピーの行程中に、あなたは別の録画をクリックする。

<記録開始>

こちらは監督者評議会。私はO5-13。

カメラが回転する。十二人の監督者が自分の席に整然と座っており、生気は既に失われている。

ああ……私は本当に自意識過剰だ、こんな時になって、まだ録画をしたがっている。

君がこれを見ることができたなら、君はファイルを閲覧し終わって、結局、最近何が起こったのかを知ったということだろう。それはまた我々が完膚なきまでに失敗した事を意味する。

君が私と同様に、財団と人類のために闘っている、または闘った職員であれば、財団職員が影で囁き合う声を聞いたことがあるかもしれない-財団がアノマリーを収容するのは人類の保護のためなのかは不確実なのだと。忠誠度訓練を受けた者はこれまでそんな出鱈目な意見には決して耳を貸さなかった。しかし、今日私はこの噂に隠された真実を告げるために、襟を正してここに座っている。

この物語は起源の前から始めねばならない。我々のオカルティストは宇宙の広大な運命を探るのに足るほど高度になっていて、我々は世界の様々な起源を大まかに理解できた。一切の現実、現実を支えるヒュームの海さえ誕生する以前には、正常は無く、異常もなく、常態さえもなく、超常態だけがあった。超常態の投影から正常と異常が浮かび上がり、ここに常態が生まれた。そうだ、常態は正常性じゃない。むしろ正常と異常の両者によって鋳造されたのだ。我々が通常認識しているように、異常は正常の中に点在するとは限らない。磁石のN極とS極が通常は不可分であるように、異常は正常性と互いに支え合っているらしい。

君の周りを見ろ。我々が普段当たり前の存在だと見なすものに異常な存在はいくつある? 君のクリアランスでは知ることは許されないかもしれないが、今はもう全てどうでもよいことだ。円周率の行間には、パターン・スクリーマーの金切り声が隠されている。観測可能な宇宙の大部分を構成する暗黒物質は、実のところは量子縮退世界終焉シナリオの前兆だ。人間の感情にある畏れの力は、遥か遠い残酷な暗黒の未来から来たものだ。それらが構成する現実の基本構造である“神”達でさえ、我々の物理法則と基礎論理の存在を固定する……このような例はまだ大量にあって、恐らくは無尽蔵だろう。正常、不確実こそが正常だ。

アノマリーの保護-同時に正常性の保護でもある-の最も良い方法は、アノマリーを収容することだ。だが今、何が起きている? アノマリーは一つまた一つと破壊され、プランク時間の中では実体も精神も無くなった。どんな花火よりもずっと短時間で、我々にはほんの僅かな準備時間すら与えられなかった。時空や次元を超える存在でさえ、時間の経過-つまり彼らが幻影と見なす法則-と共に終焉を迎えた。我々はその全ての原因をSCP-2165にナンバリングした。我々は結局それが何なのかを知らないが、番号を与える行為がそれを自己破壊させることはなく、それがアノマリーだっただったのかは分らない。それは正常性の堕落した意志で、先日カオス・インサージェンシーがアノマリーを破壊したことも、その行動のほんの一部に過ぎないと言う者もいる。いずれにせよ、我々にはもう止める力は無い。

だが万物がここで終わるとは限らない。絶望的な状況だが、蒼穹余籍 という太古の書が恐るべき精度で今日の状況を予言しているのを、ある監督者が見出した。そこには再び天地が開闢される話が巻物の最後に書かれ、キーワードの手掛かりは、“起源”の説明に焦点があてられている。希望を失った我々は、ただ古の英知を信じるしかない。あるいは、滅茶苦茶になった世界を本当に救えるのかもしれない。

君が誰であろうとも、君がこのメッセージを見たのならば、我々の目的は達成された。この全ての起源を探してくれ。そこだけが必ず到来する終焉を避けることができ、メッセージを伝えられる希望がある。予言が正しければ、SCP-2165、あの救い難き物は駆逐され、真実を知る新世界の存在は2165の如きアノマリーを終了せず、最後にはそれら自身へ滅びを齎すだろう。後は頼む。

O5-13は座り直し、自身の口の中に銃口を入れる。

<記録終了>

端末からビープ音が鳴り、ファイルのコピーが完了する。あなたはUSBを取り出しポケットに入れたが、次にどこへ向かうのかをまだ決めあぐねている。

まさにその時、隅にあったスプリットスクリーンの一つがあなたの注意を引く。それは臨時収容房-173に設置された監視カメラだった。映像に映るSCP-173は身体が既に著しく破損しているが、依然として収容室内で目的地もなくゆっくりと移動している。あなたには、自分が見ている前でそれが動く理由が分らないが、大脳は高速で回転している。あなたは端末に戻って印だらけの地図を開く。リアルタイム機能を備えているため、地図上は既に灰色の点に満ちている。

監督評議会の観測結果によれば、全てのアノマリーは外側から内に向けて消滅している。全ての相互現象が消滅していく中心点は、この場所で間違いがない。

これほど多くの灰点の中で、ただ一つの明るい赤色の点はこの上ない程はっきりと、サイト-01の位置を示している。あなたはキャビネットからサイト-01の平面図を取り出し、スクリーン上に押し被せて、赤点部分のサイズをゆっくりと調整し、限界まで拡大する。その時あなたははっきりとそれを見る。

そこは臨時収容室-173だ。

痺れと恐怖が満ちる。あなたは平面図を手に取る。そこは監督者会議室からはそれほど遠く離れてはいない。あなたは扉を開いて走り出し、一つまた一つとセキュリティーゲートを潜る。視界が次第に暗くなっていく。ついにあなたは臨時収容室-173の入口に辿り着いた。

あなたは血に飢えた暴君Koiternの忌まわしき神話を思い出す。誰が言い出したのかも分からないその戯言によれば、それは全能者がヒュームの海を解き放ち引き起こされた大洪水を生き延びて、SCP-173としてこの世界に降臨したのだという。かつては荒唐無稽に聞こえた伝説は今この時、あなたの内に恐怖を呼び覚ます。あなたは悪寒を抑えられない。

この先にいるのは一体何なんだ?

収容室の隅で、既に朽ちかけたSCP-173が不気味な姿勢で佇んでいる。あなたが入口を開いたのを察知し、それはまっすぐに向きを変える。あなたが注視する中、あなたに向かって困難を伴いながら移動し、身体の残された部位も、肉眼で確認できる速度で脱落していく。

抑え込まれた感情が神経に押し寄せ、あなたは腕を振り上げるが、自分の腕を通して前方が見えることに気が付く。あなた自身が見ている中で、あなたの身体は消滅し始める。

あなたはSCP-173の破壊された頭部を見る。表面のクライロン社製のスプレー塗装は既に剥がれ落ちている。それは喜びだったのだろうか。憤怒? それとも悲哀?

とても恐ろしい。今すぐこの場所から逃げ出したい。

だが、それはできない。

ポケットからUSBを取り出すのも困難で、あなたは最後の力を振り絞る。あなたは歩き出そうとするが、既に自身の身体を感じることはできない。

実は、最初から分かっていた。

自分では何も変えられない。

周囲の世界が崩壊し始め、唯一の光は暗黒に呑み込まれる。柔らかく暖かい流れが周囲を取り囲み、全ての記憶が脳裏でフラッシュバックし、あらゆる感情が入り乱れる。

ただ自分の目で結末を見たかっただけなんだ。

あなたは眼を閉じる。


よく知った破砕音は起こらない。あなたは両眼を開くと、SCP-173の凶悪な顔は既に崩壊している。そしてこの時あなたが見たもの、それは彫刻の顔にある神の形をした空洞からあなたの魂に向けて流れ込んでくる、宇宙の真相だった。人類の精神は、ほんの一かけらしか理解できないが、それでもこの大惨事の光景を全て描くには十分だ。

歴史それ自体の概念もまた虚無の根源的な起源、永劫に連なり重なる物語の階層、理解を超越したイデア圏を生み出した全ての抽象的概念、無限次元の外でマルチバースの大洋上に佇む知恵の樹の雄姿、それら全てよりも悠久の時を経た、唯一にして、限りなき、全能の超常態なのだ。

絶対無限の超常態は我等が時空において平々凡々たる彫刻の姿をとり、コンクリートの収容室のプレートにおいてSCP-173の冷淡な番号が最初に顕現し、諸天万界の虐殺さるる生霊は最後の鮮血を用いてKoiternの諡号を書き記し、而して根源を探る賢者達はその本質へ全能者、データベースそして虚王の尊称を捧げた。然るに、破壊された現実を乗り越え、名状し難き彫刻の内側と対峙した時、あなたは全ての描写と呼称がかくのごとく無意味であり、いかなる言語もその脆弱な外表の下に隠された、全ての数学を超越した無限で完全無欠の抽象に触れることはできないと知る。

超常態は二面に分割されるが故に、創造物は永劫なる回転を開始する。存在と非存在、可知と不可知、然りと然るに非ず、二元論と非二元論、対立する概念は超常態より溢れ出すが、然るにその本質は、最終的には現実とその無限の階層を形作り、我等が在る所の“存在性”を生む、それこそが正常と異常の理念。両者は一が二に分かたれると共に二が一に合わさり、截然と相反するも密接に繋がり一切合切を推し進め、まさに回転する陰陽図の如く、一切合切を推し進め、超常態を常態たらしめる。これが、財団、収容物、この世の生きとし生けるものを包括する常態なのだ。

天使と悪魔、汎神と凡夫、創造と破壊、時間と空間、物質とエネルギー、最高神格、現実歪曲、形而上学 - 想像できるもの一切合切は一が二に分かたれたがために生まれた。

SCP-173は常態なり。SCP-173は正常性なり。SCP-173は異常なり。SCP-173は常態ならざる。SCP-173は正常性ならざる。SCP-173は異常ならざる。SCP-173は一切を分かち一切を繋ぐ。これこそ超論理の具現化なり。これこそ終わりにして始まりなり。

SCP-2165がアノマリーを破壊し尽くした時、ただSCP-173だけがこの地に残された。彫刻が破壊された日、星辰は墜ち、衆界は壊滅し、物語階層は瓦解し、現実外のヒュームの海は蒸発して干上がり、世界の両側を掌握するMekhaneとyaldabaothですら共に零落し、終末の楽章が奏でられ、万物は再び結合し、超常態の影に向かって崩壊し、回帰する。唯一災厄を回避したのはメモリだけであり、肉体が崩壊する前のあなたによって彫刻の内に投げ込まれる。あなたの意思が新たな世界の魂に警告を与えんことを

このようにして、嬰児が暖かい子宮を離れるが如く、常態は超常態の影から再び浮上する。これに伴い誕生した世界の合意は2165の罪状を思い出し、続けて、その赦されざる者を全ての意味において抹消した。正常性と異常は両手の如く存在性を包み込み、一切が過去った後、太陽が昇った。

かつて在った、又はかつて無かった物語は最後にはこの矮小なメモリにのみ記録され、旧世界が崩壊に向けて歩み出した運命の日に彫刻の躯体から取り出され、血と糞便で汚れた収容室の奥深くに隠された。

アイテム番号: SCP-CN-2510

オブジェクトクラス: Eparch

特別収容プロトコル: 全ての職員はSCP-CN-2510の発生を阻止するためにあらゆる努力を払わねばなりません。関連する事態が後戻りできないほど深刻であった場合、財団は人類の生存者が文明を再建し、発展し続ける方法を探さねばなりません。収容過程では全ての可能性を考慮するべきです。

オブジェクトの真の性質はレベル5/CN-2510職員のみに知らされます。クリアランスが不足し、かつSCP-CN-2510の本質を推測した職員に対しては記憶処理を行います。どのような形であれドキュメントの漏洩を回避するため、データベース内の当該オブジェクトに関する文書はSCP-CN-2510について述べられたダミープレースホルダーに置換されます。

SCP-CN-2510に関連する全てのインシデント或いはその手掛かりは本ドキュメント内に記録するとともに、SCP-CN-2510の発生を執拗に主張する職員は終了せねばなりません。

説明: SCP-CN-2510は全ての既知及び未知の異常性が完全に無力化される未定義の現象です。SCP-CN-2510は発生していないため、SCP-CN-2510の詳細な情報を得ることはできません。以下はSCP-CN-2510に関する推測です。

  • 戦術神学部門の記録と情報セキュリティ管理部門の調査結果によれば、SCP-CN-2510及びオブジェクトに関連するインシデントを引き起こし得る敵対的または非敵対的存在が、少なくとも二十件存在する。
  • SCP-CN-2510は実際に発生する以前には仮説上の現象に過ぎないため、収容プロトコルを厳密な意味で完了することは不可能である。
  • 長期的な観点から、財団は常にアノマリーを処理する権限を有さねばならない。
  • インシデント発生以前には、最も収容コストの低い収容プロトコルのみを実施する。
  • SCP-CN-2510が基底現実で発生した場合は、当該インシデントを元に戻せる可能性はない。

注意するべき点として、シミュレートされたSCP-CN-2510の発生原因と既知のK-クラス終焉シナリオには関連性がありません。このため、K-クラス終焉シナリオという観点から対象が発生する状況を想定するべきではありません。

SCP-CN-2510-1は非異常のUSBフラッシュドライブです。2021年2月21日にSCP-173の収容室の片隅で発見され、元の所有者の身元は不明です。当該フラッシュドライブ中にはSCP-CN-2510発生後のインシデント情報が大量に記録されていました。真偽は不明ながら、複数の高機密オブジェクトの正しい情報に言及しています。評議会の慎重な議論を経て、最終的にレベル4以上の職員に対し前文の閲覧クリアランスが開放されました。SCP-CN-1733と関連する可能性があるため、関連性を分析するため、当該オブジェクト内の情報はエリア-CN-2510の戦術神学部門に送られることが承認されました。

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