アイテム番号: SCP-CN-290
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: 財団本部および中国・韓国・日本・ベトナム政府の調整の下、4ヶ国の政府機関と財団支部は共同作戦を展開しています。影響地域に対してはカバーストーリー”重症急性呼吸器症候群1のパンデミック”を適用し、影響地域の封鎖宣言と、軍隊による隔離および情報統制が実施されます。また、オブジェクトの終息後はCクラス気化型記憶処理剤を影響地域に散布します。最初の発生地が財団中国支部の管轄区域であったことから、利便性の観点により、中・韓・日・越4地区の財団支部はオブジェクトのナンバリングをSCP-CN-290に統一することで合意しました。収容チームは影響下にある自治体および周辺地域の監視を継続して、異常現象が完全に消失しているか確認してください。現在、財団は柳京収容オペレーションセンターを通して北朝鮮政府と外交交渉を行っており、北朝鮮に対してオブジェクトの収容プロトコルに加わるよう求めています。
説明: SCP-CN-290は東アジアの漢字文化圏2(現時点3)のうち、漢字で命名された17の自治体および現地住民に発生する異常現象です。影響範囲は中国や韓国、北朝鮮、日本、ベトナムの5ヶ国にまたがります。SCP-CN-290が発生すると、該当する自治体(以下、SCP-CN-290-1)の法定管轄区域4において、自治体名の字義上の意味5を反映した影響が表れます。異常現象は認識災害を伴っており、現地の住民や長期滞在者(以下、SCP-CN-290-2)6は変化に気付かず、これらの現象を自然なものとして認識します。旅行客や短期滞在者も同様に認識災害を受けますが、地名由来の異常現象に関しては、影響を受けても問題にならない程度に効果が減衰されます。SCP-CN-290-2はSCP-CN-290-1を自由に出入りすることが可能てすが、いったんSCP-CN-290-1を離れると、異常現象による影響が消失するため、対象はすぐさま異常を察知することになります。この効果はSCP-CN-290-1に戻ると逆転します。また、SCP-CN-290-2はオブジェクトが終息しても、発生した異常現象の記憶を保持しています。
SCP-CN-290-1の分布はランダムであり、各自治体間にはいかなる統計学的共通点も存在しません。SCP-CN-290-1の2点間の距離は最長で███キロメートルにも及ぶことがあり、国境をまたぐ場合もあります。オブジェクトの持続期間は約10から15日と一定せず、現象の終息後、3日から5日の間隔で、東アジアにある他の漢字で命名された自治体に再び発生します。オブジェクトは1度につき1つの自治体のみでしか発生せず、同時期に2箇所以上で発生した例はありません。SCP-CN-290は20██年█月█日、中国・重慶チョンチン市において初めて発生しました。この時、影響を受けた市民は祝い事に対し、普段よりも極めて強い熱意を持つようになり、不合理な言動や病的な振る舞いを頻繁に表しました。影響は最終的に重慶市のサイト-CN-██にも波及し、内部では暴動が発生。建造物の8割が損壊する事態を引き起こしました(詳細はインシデント-CN-290-1を参照してください)。財団中国支部はこのインシデントをアノマリーの影響と判断し、異常現象をSCP-CN-290として正式にナンバリングしました。
20██年█月█日、重慶の事件の後、ベトナム・和平ホアビン市において新たなSCP-CN-290が発生しました。財団中国支部とベトナム支部の間には提携関係が確立されていなかったため、情報を有効的に共有することができず、ベトナム支部では和平市での異常現象を独立したアノマリーとして認識し、SCP-███-VNとナンバリングしていました。その後、韓国・北朝鮮・日本と、相次いでSCP-CN-290が発生したことで、O5議会は独立専門チームを派遣して調査を開始。各国の異常現象が単独ではなく、多国間で発生する広範なものであると結論づけました。そしてO5-9の仲介の下、中・韓・日・越の4支部の協力が促され、共同作戦の成立に至りました。
インシデントCN-290-1:
付録:
以下はSCP-CN-290の時系列順のリストです。完全なリストはドキュメント-CN-290-オメガを参照してください。
番号 | 影響を受けた自治体 | 字義上の意味 | 詳細 |
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SCP-CN-290-1-1-A | 中国・重慶市 | 重ね重ねの慶事 | 初のSCP-CN-290。SCP-CN-290-2は祝い事に対し、普段よりも極めて強く熱中し、不合理な言動や病的な振る舞いを頻繁に表した。財団が市民の血液サンプルを採取した所、エンドルフィンとドーパミンの分泌量が██倍に増加していたことが判明した。 |
SCP-CN-290-1-2 | ベトナム・和平市 | 紛争状態に無い | SCP-CN-290-2は暴力行為を極端に敵視すると共に、あらゆる競争行為を停止した。その一方で、影響を受けた者は詐欺や窃盗に関しては、和平の定義に反する行為と認識しなかったために、現地の犯罪率は急上昇した。なお、犯罪者を捕まえる行為については、暴力の一種として認識された。 |
SCP-CN-290-1-1-B | 中国・重慶市 | 重ね重ねの慶事 | SCP-CN-290が同じ自治体で再発した初の事例。 |
SCP-CN-290-1-3 | 中国・香港特別行政区 | 香り立つ港 | 香港一帯から強烈な香り(「芳しく、かつ窒息しそうなほど濃厚」と形容される) が発生。成分は不明。気体によって████人の市民が急性気管支炎を患い、病院に搬送された。 |
SCP-CN-290-1-6 | 中国・武漢市 | 武に優れた男 | SCP-CN-290-2と化した男性は威勢が良く、かつ喧嘩っ早い気風を高く評価するようになった。彼らは身の危険を顧みず、何事に対しても(たとえ、自身とは無関係な事柄であっても)戦いで解決しようとした。 |
SCP-CN-290-1-7 | 中国・福州市 | 幸運の地 | SCP-CN-290-2の因果律が全面的に有利な結果をもたらすようになった。しかし、市内全域のSCP-CN-290-2が同様の影響を受け、因果律同士が拮抗したため、各個人が得られる恩恵は実質的には微量であった。 |
SCP-CN-290-1-9 | 中国・舟山市 | 船の山 | マグニチュード██クラスの大地震が市内において発生。市を構成する島がプレートより剥離し、海面に浮上した。その後、島嶼群は本来の位置より████キロメートルも漂流し、アメリカ・ハワイ州の領海に侵入。財団と米中両国は共同で航空母艦を派遣し、島嶼群を追跡。特製のワイヤーロープを用いることで、島を中国の領海まで曳航した。 |
SCP-CN-290-1-11 | 北朝鮮・金██郡 | 現在の北朝鮮指導者の祖先の名前 | 郡内全域のSCP-CN-290-2の外観・記憶・人格が、現在の北朝鮮指導者の祖先である金██氏に変化した。柳京収容オペレーションセンターの連絡により、北朝鮮指導者が核実験を名目として、アノマリーの核兵器による浄化を画策していることが判明。財団は最大限の外交努力を実施した。これには中国・アメリカ・ロシアなど、各国政府による共同制裁の実現も含まれた。北朝鮮指導者の中国訪問時には、O5-9が直々に遊説を行ない、北朝鮮の収容プロトコルへの参加を訴えた。 |
SCP-CN-290-1-12 | 中国・乳山市 | 乳の山 | 市内にある高さ50メートル以上の丘陵全てが、哺乳類の乳房として定義される構造に変化した。乳房には乳腺などの組織が正常に付随しており、毎時[データ削除]リットルの母乳を噴出、市内に大規模な浸水を引き起こした。 |
SCP-CN-290-1-14 | 韓国・高興郡 | 大いに興に乗る | SCP-CN-290-2は喜び以外のあらゆる感情を喪失した。痛みも感じなくなったため、市民の中には自傷を含めた過激な手段で喜びを得る者もいた。 |
SCP-CN-290-1-15-A | 日本・鹿児島市 | 鹿の島 | SCP-CN-290-2は人間としての自我を喪失し、鹿に似た摂食や四足歩行などの振る舞いを見せた。 |
SCP-CN-290-1-16 | 日本・岩手郡 | 岩石の手 | SCP-CN-290-2の手の生理機能が完全に停止し、指は硬直して曲がらなくなった。手の硬さはモース硬度7に達した。 |
SCP-CN-290-1-15-B | 日本・鹿児島市 | 鹿の島 | SCP-CN-290が同じ自治体で再発した2回目の事例。 |
SCP-CN-290-1-17 | 日本・島尻郡 | 島の尻 | 市内全域が哺乳類の臀部として定義される構造に変化し、毎時██トンの[データ削除]を噴出した。 |