Info
翻訳責任者: fish_paste_slice
翻訳年: 8 Feb 2025
著作権者: fishalt
原題: SCP-CN-2964 - 巴黎歌剧院
作成年: 21 Dec 2022
初訳時参照リビジョン: 21 Dec 2022
元記事リンク: https://scp-wiki-cn.wikidot.com/scp-cn-2964
紳士淑女の皆様方へ。私共がSCP-CN-2964の異常影響を受けたことにより、本稿はオブジェクト管理者の李███、およびその助手である洪███、ならびにサイト-CN-██職員一同の助力の元で完成いたしました。なぜ私共がこのような話し方をしているのかと訝しむかもしれませんが、追々お分かりになることでしょう。——fishalt研究員
出演職員: オブジェクト管理者・李███-本人役、助手・洪███-本人役。
観客: サイト-CN-██職員一同。
[第一幕: SCP-CN-2964の紹介]
<記録開始>
[オブジェクト管理者・李██がオフィスでドキュメントを執筆している。助手・洪███が上手の扉より登場する。]
助手・洪███: (観客席を向く。防護服を着用し、腕を振り回す)博士!
オブジェクト管理者・李███:(立ち上がり、両腕を前に伸ばして洪███助手を迎える)わが友、洪███君じゃないか! 一体全体どうしたんだ? まさか、メーディアがすぐ後ろにいる訳ではなかろう!
助手・洪███: (苦しむ)博士、本当に大変なことになりましたぞ。機動部隊の旦那達がまたしても、貴方が決して望まないであろう代物を寄越してきたのです!
オブジェクト管理者・李███博士: なんだと!?まさか……
[前方に数歩歩み、顔を勢いよく観客に向ける]
オブジェクト管理者・李███:(重々しく)アノマリー!
助手・洪███: (苦しそうに)その通りです、博士!
[オブジェクト管理者・李███が衣服の胸元を掴み、気を失う]
助手・洪███: (前方に駆け寄り、オブジェクト管理者を支え、大袈裟に話す)博士、この非常事態に、絶対に気を失ってはいけません……(涙を流す)
オブジェクト管理者・李███: ああ、なんという運命だ! 早くその憎たらしい代物を持ってきてくれ!
助手・洪███: すぐ行きます、しかし博士、貴方は……
オブジェクト管理者・李███: 心配無用だ、早く行け、早く!
助手・洪███: 畏まりました、閣下!
[助手・洪███が上手の扉から退出し、ライトが消える]
[しばらくした後、助手・洪███がSCP-CN-2964を携えて現れる]
オブジェクト管理者・李███: そいつか? それが機動部隊の旦那達が回収したアノマリーなのか?
助手・洪███: そうですとも博士、この劇場の模型がアノマリーなのです。
[助手・洪███がSCP-CN-2964を持ち上げて、観客に向ける]
オブジェクト管理者・李███: そいつにはどんな効果があるのだ?
助手・洪███: ご説明しましょう。博士!パリの紳士達が見る芝居をご覧になったことはありますか? それこそがアノマリーの効果なのです! SCP-CN-2964はそれに関わる全ての文体と周辺の人間の発言を、あの忌々しい言い回しに改変するのです!
オブジェクト管理者・李███: もしも私が、アノマリーそのものを説明しようとしたら?
助手・洪███: それは不可能です、博士。このオカルト物体に関する直接的な描写は全て、誰にも読めない頓珍漢なものに改変されてしまいます。唯一、演劇として編成されて撮影されたものだけが、保存可能なのです!
[オブジェクト管理者・李███がデスクの上に飛び乗る]
オブジェクト管理者・李███: (腕を振り上大声で叫ぶ)神よ、あなた何故に私にこのような罰をお与えになるのか? ああ! 我が友の洪███君、そのオブジェクトの分類クラスは?
助手・洪███:お答えしましょう博士、それはKeterです。
オブジェクト管理者・李███: (胸を撫で下ろす)よろしい、特別収容プロトコルはどうだ? まだ発行されないのか?
助手・洪███: そのようです、博士。SCP-CN-2964は無人地区に置かれなければなりません。それは人類の日常生活に重大な影響を与えるため、隔離せねばなりません! その上、その影響範囲は年々広がり続けていているため、いつの日にか、良家の厳しい礼儀作法を身に着けた紳士達を皆このように変節させてしまうかもしれません!
オブジェクト管理者・李███: 急ぎたまえ!私の話すことも、だんだんエドモン・ダンティス1のようになっている気がするぞ!
助手・洪███: 分かりました!
[二名の機動部隊員が客席から舞台上に上がり、助手・洪███が厳かにSCP-CN-2964を手渡す。機動部隊員達は上手の扉より退出する。]
オブジェクト管理者・李███: (感慨深く)どうやら終わったらしいな、親愛なる洪███君。
助手・洪███: (感動しつつ)その通りです、博士。神のご意志なのでしょう!
オブジェクト管理者・李███: (興奮しつつ)神ではない、財団だ。我々はまたもや人類を守ったのだ!
[二人が歓呼する。幕が下り、観客が拍手する]
<記録終了>
この脚本はオブジェクト管理者・李███により執筆されたものである。可哀想に! この文章を書くために、彼は多くの代償を払ったのだろう。彼に神のご加護があらんことを!——fishal研究員
出演職員: オブジェクト管理者・李███-本人役、D-231-本人役。
観客: サイト-CN-██職員一同。
[第二幕: オブジェクトに関する実験]
<記録開始>
[D-231が上手より登場する]
オブジェクト管理者・李███: (諭しながら)親愛なるD-231君、君には大変申し訳ないのだが、小型で緻密なSCP-CN-2964について私達に説明して欲しくてここに来てもらったんだ。書くことと話すこと、どちらが良いかね?
D-231: (謹み深く)おお! 敬愛する博士どの、この俺がいったい何をすりゃあ良いっていうんですかい! 俺が思うに、貴方は俺に話をさせたいようだから、話をした方が良いんでしょうさ。こりゃあどうしたんだ、俺の話す言葉は全て、このように勿体ぶった有り様に変わっちまう。まったく、不慣れなことをさせてくれる!
オブジェクト管理者・李███: 確かにそのようだな。聞く限りでは間違いなく——君はオブジェクトの影響を受けているのだろう!
D-231: (恐怖して)おお、博士。俺はどうすれば良いのですかい? どうか、俺をお助けください!貴方は俺のアポロ2に違いねえ!
[オブジェクト管理者・李███はD-231を支える]
オブジェクト管理者・李███: (慰めながら)恐れることはない、親愛なる馬███(注: これはD-231の本名であり、オブジェクト管理者・李███は事後に自身が相手の本名を知らなかったと表明した)、それが君の健康を損ねるようなことはない。もしも気分がすぐれないというのならば、家に帰って美味なるキャビアでも食べるといい!
D-231: (重荷を降ろしたかのように)本当に驚きましたぜ、博士! 仕事が無えってんなら、俺はお先に帰らせてもらいまさあ!
オブジェクト管理者・李███: (手を振る)機動部隊の旦那達によろしく伝えておくれ!
D-231: 必ず、必ず! (セキュリティスタッフに向かって)帰るぞ!
[D-231がセキュリティスタッフと共に歩き、観客に向かって手を振る。]
オブジェクト管理者・李███: (観客に対して)全くもって訳がわからない。私はこの実験のことは事前に台本には書いていないぞ! 彼は何故に観客に手を振ったんだ? いくら考えても理解できない!
<記録終了>
出演職員: 研究員fishalt-本人役、エージェント・陳-機動部隊員役
観客: サイト-CN-██職員一同
<記録開始>
[大ホールで実験が行われる。二人が対峙し、SCP-CN-2964はエージェント・陳の手に持たれている。]
研究員fishalt: (ひざまづく)おお、旦那さま! どうか御慈悲を! 貴方のような善良な方が何故にアノマリーに煩わされようとなさるのですか?
エージェント・陳: (厳かに)二度と言うでないぞ、神は私と共に在るのだ!
[エージェント・陳がSCP-CN-2964を一瞥し、観客の方を向く]
エージェント・陳: 影響範囲は拡大し続けていて、SCP-CN-2964は既に諸君の生活に影響している。これは必ずや破壊せねばならない!
研究員fishalt: (胸が張り裂けんばかりに)駄目だ————!
[エージェント・陳がSCP-CN-2964を破壊する]
エージェント・陳:よし、普通に話せるな?
研究員fishalt: 大丈夫です。これを片付ける人を探してきます。
[研究員fishaltが観客を向く]
研究員fishalt: 無効化実験を終了します。皆さん解散しましょう。
<記録終了>
オブジェクトクラス: Keter Neutralized