SCP-CN-326
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アイテム番号: SCP-CN-326

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: 現在オブジェクトの電子写本がSite-CN-46に設置された財団Ⅶ型スーパーコンピュータ"MAX.(period)"内に、物理写本がSite-CN-46の資料庫に保管されています。Site-CN-46は外部との直接的なネットワークをすべて遮断され、外部との連絡は有線電報を用いてSite-CN-326から約5km離れた場所に位置するSite-CN-47を通して行います。SCP-CN-326の収容違反が発生した場合、Site-CN-46内に設置されたEMP爆弾を起爆します。同時にSite-CN-47もまた財団ネットワークへのアクセスを遮断し、サイト内に設置されたⅦ型スーパーコンピュータ"PARANOiA"を用いてSite-CN-46の復旧までSite-CN-46に替わって収容に当たります。

万一Site-CN-47が突破された場合―即ち収容が完全に失敗した場合は損失を最小限に食い止めるとともに再収容を確立するため、プロトコル"Cytus"が迅速に展開されます。

大規模な収容違反は、インターネットへの壊滅的な打撃に繋がる恐れがあります。これが現実となった場合現代社会のインターネットへの依存具合を鑑みてIKクラス:文明崩壊イベントを引き起こす可能性が極めて高いと言えます。

Site-CN-46及び-47の周囲20kmは封鎖され、いかなる理由があろうともこの範囲内へのあらゆる電子機器の持ち込みは制限されます。

SCP-CN-326の物語―特に世界観設定に関するものが完全な状態で"MAX.(period)"と"PARANOiA"のハードディスク以外の電子記憶媒体にコピーされること、及びSite-CN-46と-47から持ち出されることがあってはなりません。

これらの事案の発生を防止するため、財団は最大限の尽力を惜しみません。

説明: SCP-CN-326は架空の世界「BECALOID」に関する世界観設定と、それに基づいて書かれた幾つかのファンタジー小説です。SCP-CN-326は《BECALOID:輪音転奏-音楽を以て素晴らしきこの世界の叙事詩に改革を!》と題されたハードカバー書籍でしたが、20██/02/24を以て財団ネットワーク上にコピーされ現在はスーパーコンピュータ"MAX.(period)"のハードディスク内に隔離されています。原本はincident CN-326-Aの際、不明な要因により記述が失われました。

SCP-CN-326の内容が文章の形式で書籍或いは電子媒体を介して観測された際、周囲30m以内の人員は開かれたページごとに異なる長さでループする音声を報告します。この時音声記録にはそのような音声は存在しません。同時に、使用する電子媒体にスピーカーが接続されていた場合、そこから同じ音声が流れます。この音声は、開かれたページに記述された場面に応じた音楽であると思われます。特定の場面においては大量の音楽や歌声が混在することになりますが、SCP-CN-326が生成する音楽を聞いた人員は一貫して音楽に対して肯定的な評価を行います。研究の結果、聴者が肯定的な評価を行う以外に音楽自体に異常性は存在しないことが判明しています。

伝統的なメディア(木簡、竹簡、紙など)に記述されている限り、SCP-CN-326は基本的に無害です。しかしincident CN-326-A発生時、電子データ形式でSCP-CN-326の一部あるいは全体を保持するファイル1がすべて自動的にそれぞれ異なったファイルサイズを持つ"Becaloid.world"という形式のファイル群へと変化し"同化段階"に突入、拡散型データ保存媒体(以下、SCP-CN-326-1)のあらゆる記憶領域に上書きが開始されました。この際全てのSCP-CN-326-1に保存されていたデータが失われ、更にはオペ レーティングシステムの損失により正常に動作する術を失いました。同化段階にかかる時間は、媒体の性能と大きさにより左右し、通常30~120秒以内に完了しました。同化段階が開始した場合、全ての媒体を物理的に破壊する以外に進行を止める術は存在しません。また、同化の初期段階以降SCP-CN-326-1は電源の接続無しで動作を継続することが可能となります。

SCP-CN-326-1に接続されたディスプレイには様々な文字2 でSCP-CN-326の内容が出力され、更に接続された印刷機器は延々とディスプレイに同期して文章を印刷します。

注目すべき点として、この時のSCP-CN-326のパフォーマンスは往々にして高負荷状態を示し、ひいてはオーバーロードを引き起こしています。ミツル博士により、この時1種以上の未知のプログラムが走査されSCP-CN-326が維持されているのではないかという推論が提示されています。

付録CN-326-A:CP-CN-326の拡張動作

SCP-CN-326-1には強力な拡張性が確認されています。拡張は任意の有線または無線のネットワークを介してパケットを送信することで行われており、これの傍受は困難で物理的な切断以外の方法で遮断する試みは失敗に終わりました。「Becaloid.seed」というこのパケットは約573byteのサイズを持ち、受信したデバイスを大体1分前後でSCP-CN-326-1へと変換します。この過程で変換されたデバイスは同一のパケットの送信をすぐさま開始します。

SCP-CN-326の劇的なまでの拡張挙動は、SCP-CN-326-1の数とそのハードウェア性能やストレージ量が関係していることが判明しています。全てのSCP-CN-326-1ハードウェアやストレージデバイスがオーバーロードし始めているとき、SCP-CN-326の拡張挙動は活発になります。これまでの所、発生する負荷の総量が財団Ⅶ型スーパーコンピュータをSCP-CN-326に変換する程度に達した際にSCP-CN-326は拡張を停止します。

万一全てのSCP-CN-326-1が過負荷によって、あるいは物理的に破壊された場合最後に破壊されたデバイスに最も近くにあるデバイスがSCP-CN-326-1へと変換され、再び同化段階が開始されます。

また、注目すべき点として時間の経過とともにSCP-CN-326によって引き起こされる負荷は徐々に増大し、同時にSCP-CN-326自体にもコンテンツの更新が発生します。より詳細な世界観設定や人物設定とともに、仮想世界の時間が進行し新たな物語が出現します。出現した新たな記録は、紙媒体での保管に切り替えてください。

付録CN326-B:incident 326-A調査報告:
ネットワークセキュリティの当時の記録精査により3 、ハッカーによってアクセスされ、 旧第3サーバーに保管されていたSCP-CN-326の電子コピーが改ざんされていることが判明しました。また、"MAX.(period)"内に保管されていたSCP-CN-326の最後に《第四紀750年:黎明之天空4》という1篇が出現しました。一部が損傷しているため、全体を読むことはできません。

ネットワークセキュリティはインシデント中にSite-CN-71でハッカーがどのような行動を取ったかの追跡を試みましたが、失敗に終わりました。しかし、侵入者の残した文章を分析したところ、その正体はPOI-9481"Mia.S"であると推測されます。その人物は何度も財団のデータベースに侵入し、多くの情報漏洩を引き起こしました。

損傷部分の詳細は付録CN326-Bを参照してください。

付録CN326-B:《第4紀750年:天空の夜明け》抜粋 残章 feat.Mia.S:
注:SCP-CN-326全体の内、この部分だけは異常性を示しません。それは残念だ。
サイト主任の命令に基づき、この付録へのアクセスはレベル4以上、Site-CN-46に所属している場合はレベル3以上のセキュリティクリアランスが必要です。

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