アイテム番号: SCP-CN-397
オブジェクトクラス: Safe Euclid
特別収容プロトコル: SCP-CN-397はサイト-CN-71の標準的な低危険度異常オブジェクト収容室に安置します。この収容室への無許可の入室は禁止されます。実験中でない場合、不透明な布で表面を覆い、壁に向けて安置します。実験の実施にはSCP-CN-397責任者であるクー博士の許可が必要であり、実験職員以外は理由なく鏡の前を通過してはなりません。
SCP-CN-397は収容室として改装した宋██研究助手のオフィスに安置します。この収容室への無許可の入室は禁止されます。SCP-CN-397を遮る必要はなく、収容室のドアに背面を向けてさえいれば、必要に応じてSCP-CN-397の面前に生活用品や娯楽物品を置いても構いません。
SCP-CN-397-2は標準的なヒト型実体収容室に収容し、標準的な量の食料品や生活用品を提供します。
両名の精神状況を考慮して、2週間ごとに一度、心理カウンセリングを個別に実施します。救出の試みが現在も進められています。
説明: SCP-CN-397は高さ1.9 m、幅45 cmの、彫刻が施された全身鏡です。その異常性は、鏡に映る範囲に人間が入った際にSCP-CN-397-1が出現する点にあります。
SCP-CN-397-1は鏡面に出現する実体で、対象と同一の外見を取り、鏡に映る範囲から対象が離れると消失します。外見は同一であるものの、SCP-CN-397-1は対象の動作をそのまま模倣するのではなく、自由に活動します。試験により、SCP-CN-397-1は自律性と独立した思考を有していて、さらには対象の記憶の一部を共有しており、その対象や第三者との交流が可能であると示されています。鏡に映る範囲内に2人以上の人間が存在する場合、鏡面を占める面積が大きい方だけが映ります。鏡面の前に物品が置かれた場合、SCP-CN-397-1も対応する位置の物品に接触し、使用することができます。SCP-CN-397-1が取る行動によっては、外界や対象にある程度の影響が及びます。詳細については実験記録CN-397-Tを参照してください。
試験を重ねた結果、SCP-CN-397-1には各対象の記憶がわずかに残存していると判明しています。各出現ごとのSCP-CN-397-1が同一の実体であるのか、記憶を共有している実体群であるのかは現状では判断できません。詳細についてはインシデントCN-397-Xおよびその後のインタビュー記録を参照してください。
実験記録CN-397-T: 実験結果から被験者と同一のSCP-CN-397-1が出現すると確認されたため、その後の実験では、被験者とSCP-CN-397-1とのやり取りを観測し、当オブジェクトの異常性をより詳しく確認することを趣旨としました。監視は収容室内に備え付けられた、被験者と鏡面を同時に撮影可能な監視機器を介して行われました。
被験者: D-6498、男性、性的暴行の前科あり
<記録開始>
D-6498: どういうこった? あんたら財団が見ろっつったこれ、何なんだよ?
SCP-CN-397-1: (D-6498と同一の外見をしているが、左目の目尻にある傷跡が右目に現れている) ああ…… なんて罪深い。
D-6498: うおっ、鏡が喋った!
SCP-CN-397-1: 自分の所業を恥ずかしいとは思わないのか?
D-6498: ああしたからって俺自身が俺を責める事にはならんだろ…… お前は一体何なんだ?
SCP-CN-397-1が手を伸ばして鏡の中のカメラを遮ると、監視カメラが真っ暗になり、収容室内にD-6498の短い悲鳴が響いた。映像が回復したときには倒れたD-6498のみが映っており、SCP-CN-397-1は消失していた。D-6498の検死により、舌を噛み切って自殺していたことが明らかになった。
被験者: D-5481、女性、両親を殺害した罪で投獄された
<記録開始>
D-5481: ねえ…… あなたたちはさ…… 私に何を求めてるの?
D-5481と同一の外見をしたSCP-CN-397-1が出現する。SCP-CN-397-1は非常に苦しんでいるように見受けられる。
D-5481: あ…… あなた一体……
SCP-CN-397-1: 感じる…… 死を、なんて恐ろしい。(目を閉じて) こうしても彼らが見える。ナイフが根元まで刺さって、冷たい血が流れていく。ナイフの柄を握ったのを覚えている。どれほど冷たかったことか。あなたは殺人の罪で有罪判決を受けた。あれはあなたの被害者、あなたの…… 両親。
D-5481: どうやって…… あなたは私なの?
SCP-CN-397-1: いいえ。(むせび泣いて) 私は何も感じない。彼らも見えない。あなたと私は違う。あなたは両親を忘れてしまったの?
D-5481がむせび泣き始め、極めて感情的になる。SCP-CN-397-1が活動をやめる。
インシデントCN-397-X: 2018年3月18日、オブジェクト研究助手の宋██が、資料を手渡しする際に利き手と異なる左手で執筆していました。このことが目に留まったオブジェクト主任のクー博士がサイトのセキュリティ部隊を呼び出し、直ちに取り押さえました。その後、宋██研究助手ならびにSCP-CN-397の収容室を調査したところ、当職員がSCP-CN-397内に閉じ込められていることが発覚しました。この職員に成りすましていた実体はSCP-CN-397-2と指定され、単独の収容室が与えられて、オブジェクトクラスがEuclidに再分類されました。宋██研究助手を救出する試みが現在も進められています。インシデントの経緯についてはインタビュー記録を参照してください。
インタビュアー: クー博士
対象: 宋██ (SCP-CN-397内より)、SCP-CN-397-2
<記録開始>
クー博士: 昨日の晩に何があった?
宋██: 実験が終わったばかりのことでした。Dクラスがひどく感情的になって、やむを得ず宿舍に帰すよう守衛2人に命じました。収容室に私一人だけ残って、考え事をしながらゆっくり歩いていると、うっかり鏡の前に立ってしまって。そうしたら、彼が私に話しかけてきたんです。振り向いた途端、鏡の中に引っ張られるのを感じて、天地がひっくり返り、鏡の中へと落ちていきました。
クー博士: それで、自分の外見を変えられる?
宋██: いえ。今は何というか…… 不思議な感じです。まるで平面に貼り付いたかのようで。喉も乾きませんし、温度も感じません。ですが光をより強く感じるようになって、あらゆる方向から光が微弱に感じられます。(休止) 私、ここから出られるんですよね?
クー博士: (考え込んで) SCP-CN-397にずっとそういう性質があったとすれば、貴方が選ばれた理由は何だと思う?
宋██: 少なくとも、私にこの建物を出入りするクリアランスがあるのは明らかです。
クー博士: ふむ。なるほどね。(SCP-CN-397-2の方を向いて) つまり、貴方は自発的に鏡から離脱でき、人の外見や癖を模倣できる上に、記憶の一部を共有できる…… Euclidクラス異常実体だったと。Safeクラス異常物品ではなく。
SCP-CN-397-2: …… (沈黙)
クー博士: これまでの経験から、私がSCiPのクソどもに対してどういうやり方を取るか耳にはしているはずでしょう。もし協力を拒むのなら、私はより過激な手段を講じないといけなくなる。まずは質問から始めましょうか。今は私の姿に成れる?
SCP-CN-397-2が首を少しだけ横に振る。
クー博士: そういう異常効果は鏡の中でしか発現しないの? なら、鏡を壊せばどうなる?
SCP-CN-397-2: 知らない。
クー博士: 最初の姿は何だった? 貴方は作られた存在なの? それとも自分の記憶はある? 人の外見を真似る以外に自我は?
SCP-CN-397-2: …… (短い沈黙) 私は、██市の育才中学2年█組の生徒……
クー博士: 中学2年生? 一元二次方程式は解ける?
SCP-CN-397-2: (未成年の女性の声で) もう長くやってません…… 忘れました……
クー博士: つまり、貴方は元々人間だったと? 一体どうしてそうなったの?
SCP-CN-397-2: (手足を伸ばして) 私はもう長い間感覚がなくて…… 手指の感覚が……
クー博士: 何があったのか、あなたが人間だった頃から教えて。
SCP-CN-397-2: 学校には友達がいなくて、クラスメートも私と話すのを嫌がって…… みんなは隣のクラスの宋晓って子が好きでした…… いつもたくさんの男子に囲まれていて…… 私も彼女を真似して、制服を着なくなり、耳にピアスをしました…… それでも私は嫌われていて、誰かが私の写真を撮って構内ネットワークに上げました。みんなからの非難は聞くに耐えなかった。きっと私が真似してもあの子みたいにはなれなかったんです…… だからそんな目にあったんですよ…… その日、女子たちにトイレで辱められて、泣きながら雨の中外に出ると、ある人に出会いました……
クー博士: その人は何て言った?
SCP-CN-397-2: これからずっと、どんな人でもそっくりそのまま真似できるようにしてあげられるよって。それから…… "俺たちはクールだったろ?Are we cool yet?" とも。
<記録終了>
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