SCP-CN-618
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アイテム番号: SCP-CN-618

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-CN-618への接触にはレベル3以上のセキュリティクリアランスが必要です。オブジェクトに投入した物品や入手した返信については、付近に常駐するレベル3セキュリティスタッフによって、詳細に記録されなければなりません。実験許可を得た場合を除き、15日間に50以上の物品を投入する行為は禁止されます。

SCP-CN-618からの返信と添付物は24時間以内に提出しなければなりません。撮影や複写等、個人的に記録する行為は禁じられています。

説明: SCP-CN-618は1基の角型ポストで、分析の結果、材質構成は同型のポストと一致していることが判明しています。オブジェクトの底部がコンクリートの地面に接触すると、迅速に地面へと突き刺さり、放熱等の反応を起こして、元々その場にあったかのように固定されます。しかしながら、オブジェクトは物理的手段で容易に取り除くことが可能です。

任意の書籍の完全な印刷本および原稿、電子文書をSCP-CN-618に投入すると、これらの物品は3~5秒以内にオブジェクトの内部から消失します。その後、7~15日以内の平日に、ECO出版社と署名された返信が1通、投入者の事務机や社員用ポスト、メールボックスに出現します。返信の内容は通常、専門的な編集者のような口ぶりで、投入した文書を「採用できない」とし、付記に不採用となった理由が記されています。投入された文書は添付物の形式で、返信と共に出現します。

SCP-CN-618に投入できる文書には、オブジェクトの体積による制限が存在すると推測されています。オブジェクトよりも大きい文書を縮刷技術を用いて投入した場合、1日以内に返却され、返信には字の小ささに対する苦情が記されます。15日間で30篇以上の文書を投入した際は、返信が10~20日以内の平日に引き伸ばされ、返信内容には明らかな簡素化が見られるようになります。投入した文書が50篇を越えると、返信にはおよそ39.8%の確率で、脅迫状や非殺傷型の小型爆弾、カミソリ等といった、恐喝に用いられる物品が付属します。

実験 A - 618-a-1230-1

対象: 『聖書』ペーパーブック
受信日: 13日目の平日(添付物: 『聖書』原稿)
内容: はっきり言おう、初めの数章は非常に心打たれる内容だった。現代の読者が期待する「良い物語」には、幾つかのお約束が存在するものだが、本稿にはその全てが備わっている。スリリングなアクションシーンや、多種多様な性描写、密通や殺人、近親相姦、戦争……枚挙にいとまがない。ソドムとゴモラの章にある、異性装者が天使と引っ付くというシーンは、ラブレーの娯楽小説に匹敵するものであろう。ノアの方舟のストーリー描写はヴェルヌの作風にすこぶる似ているし、出エジプト記の章は、史劇大作としてみなすに足るものがある。……私が言いたいのは、ヒット作と呼ばれる映画を作るには、巧妙かつ真新しさのあるストーリー構成が必要だということだ。起伏に富んだプロットで、人々に希望を失わせないもの。最後に大団円となるのは、作中宗教への没入感を高めるのにピッタリなものだった。
だが、読み進めていくと、私はこれが事実上、一冊のアンソロジーであることに気づいた。数多くの文体において、異なる作者の関与した形跡が見られるのだ。その上、この本には沢山の、実に沢山の詩が載っている。ダンテの『神曲』(正直に言うと、本稿は彼の作品よりいくらか良いものがある)を彷彿させる多さだ。一部の詩は、まるっきり精神病患者の大げさな呻き声であり、つまらない上、鬱病じみた悲壮な訴えで満ち溢れている。終盤はさながら、昨夜の残飯を煮詰めたような有様だ。あらゆる読者層を狙おうとした結果、誰にもウケない作品になってしまっている。それに、こんなにも多数の作者が参加しているんだ、編集者が自ら掛け合わない限り、印税配分の調整は一向に進まないだろう。一つ聞きたいのだが、編集者の氏名が本文にも目次にも無く、投稿者の身元さえ明かされていないのは、一体どういうつもりなんだ?
まあ良い。どうだ、相棒よ。我々は五章までの版権を確保したいと考えている。あれこそが、今どきの読者が好む物語である。それと、出版時はもっと垢抜けたタイトルに改めたいと考えている。『紅海への亡命』でどうだろうか?

——————ジェファソン、ECO出版社

実験 A - 618-a-1230-███

対象: 『呐喊』1USBに保存された電子書籍。15日間に投函された37番目の文章である。
受信日: 20日目の平日(添付物: 『呐喊』原稿)
結果: 実を言うと、本稿は私が今週見ようとしていた大量のファイルに埋もれてしまい、読み終えることができなかった。私は適当にページをめくり、3つの部分をざっくりと読むことにした。訓練を積んだ編集者なら、これだけで大体分かるものだ。
話を戻そう。初めて読んだ時、私は精神病患者の妄言に遭遇した。長い。あまりにも長ったらしい。作者は訳の分からぬ言語実験にハマったのだろうか、故郷の方言と白話文2をごっちゃにした新言語を発明してしまったようだ。これは「魚」なのか「鳥」なのか……読んでて辛くなってくる。次に読んだ所では、公務員の給料をどう払うべきかの議論に十数ページも費やされていた。三回目に読んだ時は、兎の飼い方についての議論が7~8ページも続いた。さらには、猫の盗み食いを防ぐ話まで……もううんざりだ。我々が欲しいのは精神病の研究史ではないし、養殖の指南書でもない。今どきの読者が欲するのは性と暴力だ。どんな形であろうと、彼等は一様に楽しむだろう。我々が出さなければならないのは、『射雕の英雄:伝記』3のような小説だ。こういう作者の意識を垂れ流しにしたようなブツは、鷹京大学出版会にでも持ってってくれ!

——————ジェファソン、ECO出版社

実験 A - 618-a-1230-████

対象: 『ユリシーズ』4ペーパーブック。15日間に投函された52番目の文章である。
受信日: 5日目の平日(添付物: 『ユリシーズ』ハードカバー本、爆弾に偽装された目覚まし時計)
結果: オーケーオーケー。週末に残業する可哀相な出版社に、これ以上迷惑をかけないでもらえないか。私は英語を読めるが、君達がよこしてきた本はなんだ?一体全体、これは何を書こうとしているんだ。カバーをかけて、丁重に送り返すことにするよ。

——————ジェファソン、ECO出版社


付録: ████を見るに、適切な職員にSCP-CN-618を使わせるのも良いだろう。だが、収容プロトコルは遵守すること。その他の実験データはドキュメント618-G(実験ログ 618)にアーカイブされている。 - ディエゴ博士

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