アイテム番号: SCP-CN-647
オブジェクトクラス: Safe
脅威レベル: 橙 ●
特別収容プロトコル: SCP-CN-647が所在するビルは現在、中国支部のサイト-CN-02が購入しており、カバーストーリー"調査中の事故物件"を適用した上で、あらゆる人間の進入を禁じています。ビルのうち、オブジェクト以外の区域については今の所、いかなる異常性も存在しないと考えられていますが、安全上の観点から、ビルの住民に対しては賠償金を支払い、全員退居させています。
SCP-CN-647の室外には機動部隊-辛辰-8("ネコ科動物")のエージェントが3名1配置されており、オブジェクトの監視や警備・発生し得るあらゆる事態への対応を行っています。
実験や特殊な事情で進入する際は、クリアランスレベル3以上の職員2名の許可が必要です。許可を得ていない職員は該当区域から引き離されたのち、調査・勾留され、必要とあらば終了されることになります。その後、遺体にはセキュリティプロトコル-CN-647に基づいた改造が施されます。
更新: エージェント・コメット事件の発生後、SCP-CN-647は完全な収容下に置かれたとみられています。人的リソースを節約するため、監視レベルを引き下げていますが、無認可職員への処罰規則については保留中です。オブジェクトが再び活性化した場合、SCP-CN-647-T-0291~0300の中から標的となったSCP-CN-647-Tを割り出してください。その後はエージェント・コメットが残した手順に沿って、遺体に処理を施さなければなりません。
説明: SCP-CN-647は中国上海市虹口区███ビル27階2708号室の2層目にある廊下および、突き当りにある寝室をまとめた区域です。寝室のドアは施錠されており、内部への進入はできないものの、鍵穴を通した観察から、人型実体が1名、寝室中央の椅子に座っていることが判明しています。夜になると微弱な青色光を発するため、実体の正面には電子機器が存在すると推測されていますが、室内の詳細については明らかになっていません。
SCP-CN-647の廊下に1名以上の人間が進入した際、対象/対象群は寝室内部より助けを求める声を耳にします。報告によると、聞き取れる声は対象によって異なりますが、総じて「これまで聞いた中で一番悲壮な声」とされます。対象が当段階で離れた場合、オブジェクトの異常性は生じなくなりますが、声に応じた場合2、オブジェクトの標的に指定され、さらなる異常性に触れることになります。複数の人間が標的となった場合、オブジェクトは1名のみを異常性の攻撃対象とします。以降、攻撃対象となった標的をSCP-CN-647-Tと呼称します。
異常性接触後の経過(第1段階):
SCP-CN-647-Tの個人情報や生活状況が、極めて主観的かつ侮辱的な表現を伴う形で、大手ウェブサイトに拡散されます。同時に、対象と交友関係を持つ全ての人物に対しても、同様のメールが送られます。文章の末尾にはSCP-CN-647が制作した外部サイトへのリンクが記載されています。こうした情報はサイト規約に違反しているため、通常であれば1日以内に管理者による削除を受けます。しかし、外部リンクについてはいかなる手段を用いても削除することができません。
特筆すべきことに、SCP-CN-647-Tが当段階で機密組織に属している場合、SCP-CN-647は機密情報への言及を巧妙に回避します。これにより、オブジェクトは巨大勢力による情報封鎖を高確率で掻い潜ると共に、個人情報の滞りない漏洩を実現しています。
SCP-CN-647のウェブサイトでは、SCP-CN-647-Tの生活動向と極めてリアルな心理描写が継続的に投稿されています。投稿内容は写真の他に、文章や映像によるものがあります。全ての写真と映像は本物であることが証明されていますが、一部の写真と動画に関しては非常に奇妙な角度から撮影されていることが確認されています。
サイト内ではSCP-CN-6473およびSCP-CN-647-T4以外、全てのユーザーが匿名で表示されます。ユーザーがポジティブな書き込みをした場合、その書き込みは必ず失敗となり、当ユーザーのIPアドレスはサイトへのアクセスを禁止されます。こうした極端な選別行為は最終的に、サイト内をネガティブな書き込みで統一させることになります。
当段階は通常、3日から1週間に渡って継続します。SCP-CN-647-Tはこの間、総じて不眠や焦燥、神経衰弱、無気力等といった精神疾患を患い、当サイトへのアクセスを拒むようになります。
異常性接触後の経過(第2段階):
サイトへのアクセスを拒絶してから2日後、SCP-CN-647の異常現象はSCP-CN-647-Tの日常生活にも干渉するようになります。これまでの実験において、以下のような複数の異常現象が確認されています。
SCP-CN-647-Tに対する侮辱的な文言が、対象の使用/受領/閲覧するあらゆる紙製品(トイレットペーパー・ナプキン等)や文書(オフィスの印刷物等)、書籍(段落やページが侮辱的な文言に置換される)上に出現する。
SCP-CN-647-Tが所有する電子機器のホームページが、SCP-CN-647のウェブサイトに改ざんされる。同時に、侮辱的な文言がランダムでポップアップするようになる。ネットサーフィンを行う際も、オブジェクトのサイトへ高確率で自動ジャンプする。
SCP-CN-647-Tが通信機器を用いて他人と交流する際、対象を侮辱・嘲笑する第三者の声が通話内に高確率で挿入される。対象と対面で会話をする際も、ほかに会話に参加できる人物がそばに居ないにもかかわらず、身の回りで何らかの声を耳にする。
SCP-CN-647-Tは就寝後、すぐに悪夢を見て目覚めるようになる。報告によると、対象が見る悪夢は総じて次のような展開となっている:赤い唇で笑みを浮かべる、黒い霧状の人形が、対象を取り囲む。それらは対象を嘲笑・侮辱し、嫌がらせや殴打、強姦、[データ削除]などの暴力行為に及ぶことさえある。
第3段階以降のSCP-CN-647-Tはより大規模な異常情報の漏洩リスクを有しているため、対象は当段階に突入した時点で速やかに隔離しなければなりません。
当段階に入ったSCP-CN-647-Tは通常、重度の鬱や神経衰弱および、深刻な自傷・自殺衝動を示すようになります。
異常性接触後の経過(第3段階):
第2段階から2週~3ヶ月が経過すると、SCP-CN-647は第3段階に突入します。この時、SCP-CN-647は「聖戦」あるいは「粛清」を名目として、サイトユーザーにSCP-CN-647-Tを「討伐」させます。討伐とは大抵、SCP-CN-647-Tに対する「修正的懲罰」を意味しています。
当段階におけるSCP-CN-647は複数の懲罰方法をリストアップして、ユーザーに投票を行わせます。一時間に渡る投票の後、SCP-CN-647は一つあるいは全ての懲罰を実行します。この時、オブジェクトは現実改変能力を発揮していると推測されており、最終的にSCP-CN-647-Tの形状や現実状態の改変を引き起こします。
第3段階におけるSCP-CN-647-Tの改変について、財団がこれまでに記録した事例を以下に示します:
生殖器の消失。男性のSCP-CN-647-Tに多く発生。懲罰理由: 「こいつは女々しいヤツだ。いっそのこと、本当に女にしてしまおう。もしも可愛くなったら、俺を気持ちよくさせてもらおうじゃないか」
口部の漸次的な生殖器への変化。女性のSCP-CN-647-Tに多く発生。懲罰理由: 「あのメス犬はあんなにもたくさん咥えられるんだ。いっそのこと、ヤツの口も[卑俗語のため削除]すればいい」
親友の事故。これには軽傷・重傷・強姦・形状改変および死亡が含まれる。懲罰理由: 「あいつと仲良くするヤツも悪い人間だよ。同罪同罪」
現実状態の改変。衣服や性格、経歴の改変などが含まれる。懲罰理由: 「はあ?まだそんなことはない、違うなんて言ってるのか。じゃあ事実を突きつけてやるよ。これなら本当だろう?」
第3段階に突入したSCP-CN-647-Tは通常、さまざまな理由で自殺しようと試みます。また、収容したSCP-CN-647-Tの場合、死体の腐敗速度は通常の約3倍となっています。収容環境の清潔を保つため、清掃班は死骸を即座に除去しなければなりません。SCP-CN-647-Tの死亡が確認されると、SCP-CN-647による全ての異常現象が消失します。ウェブサイトについてはそのまま残るものの、管理人は一切の更新を行わなくなります。
2018年12月12日更新: 異常性接触後の経過(最終段階)
エージェント・コメットが残した研究記録を分析した結果、SCP-CN-647の最終目標の推定に成功しました。データ的な証拠が多数不足してはいるものの、エージェント・コメット事件の発生後、オブジェクトは二度と活性状態に入らなくなりました。そのため、当推論の信憑性は極めて高く、当報告書を作成する際の参考となりました。
エージェント・コメットの研究記録によると、SCP-CN-647の寝室に閉じ込められている実体は、SCP-CN-647-Tに指定された以前の標的とされています。人間に助けを求めて誘い込むことや、激化していくネットリンチについては、オブジェクトから解放されるために行う「人身御供」的行為と推測されています。新たに選ばれたSCP-CN-647-Tが自殺すると、対象は前回のSCP-CN-647-Tと入れ替わり、新たなSCP-CN-647となります。
エージェント・コメットはSCP-CN-647-Tのリストを調べた後、被験者となることを志願しました。SCP-CN-647の鍵穴を通した多数の観察から、当エージェントは上記の推論を思いつくと同時に、対策を迅速に考え出しました。この時、エージェント・コメットは既にSCP-CN-647の第3段階に突入しており、オブジェクトの懲罰行為は彼女を自殺が困難な形状に改変しました。しかし4時間30分後、エージェント・コメットの自殺は成功しました。
エージェント・コメットの遺書に基づき、彼女の遺体には以下の処理を施しました:
脳の根幹部分を除去し、SCP-CN-647に変化しても洗脳や苦痛を受けないようにする。
保険として、発声器官を除去し、SCP-CN-647に変化しても助けを呼べないようにする。
保険として、両手を除去し、SCP-CN-647に変化しても電子機器で文字を打てないようにする。
保険として、両目を除去し、SCP-CN-647に変化してもSCP-CN-647-Tを認識/指定できないようにする。
保険として、胸部に現実安定化装置を組み込んだC4爆弾を取り付ける。上述の方法でもSCP-CN-647を抑制できなかった場合は、遠隔操作で私を爆破すること。
エージェント・コメットの提案は有効だとみなされました。遺体の処理を実施して以来、SCP-CN-647-T-0291~0300の周辺ではいかなる異常現象も発生していません。