SCP-CN-757
評価: +28+x
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アイテム番号: SCP-CN-757 レベル2/CN-757
オブジェクトクラス: Euclid Keter 機密指定

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SCP-CN-757の宣伝広告の一例。住所等の情報は編集されている。他のバージョンを閲覧する場合は、こちらを参照のこと。。


特別収容プロトコル: SCP-CN-757の付近には臨時サイトが建設され、機動部隊-庚午-18(”名前がありません”)が常駐しています。当部隊に所属する隊員の情報については、財団データベースへの登録が禁止されています。毎月、██名の隊員兼エージェントを、オブジェクト内部の探索および調査に派遣してください。派遣の主な目的は、内部の空間およびスタッフの変化を確認すると共に、スタッフと交流し、より多くの情報を入手することにあります。また、探索任務に参加しないエージェントおよびスタッフは、オブジェクトの入口を封鎖し、監視を行うと共に、ネットユーザーに向けて拡散された広告/情報の逐次削除にあたってください。オブジェクトに侵入したことのある人物に対しては、財団フロント企業「独創的公園機構Special Creative Park Organization」によるインタビューを実施したのち、記憶処理を施してください。いかなる場合でも、Dクラス職員をオブジェクトに派遣してはなりません。

インシデントCN-757-Gを受けて、収容プロトコルの更新が実施されました。レベル3以上の職員は付録を参照し、最新の情報を入手してください。

説明: SCP-CN-757はある種の空間異常です。現在は上海市██区・██パーク周辺にある、6階建ての旧式アパート内に存在しています。オブジェクトへは屋上にあるボタンを通してのみ進入することが可能で、正面玄関や窓などからは進入することができません。また、いかなる手段を用いても、本来のアパート内に進入できないことから、元あるアパートの居住空間がオブジェクトに置換されているものと推測されます。アパートの外にはエレベーターが付属しており、これを用いることで屋上に到達することが可能です。

SCP-CN-757の屋上には自動支払機と赤色のボタンが設置されています。人間が入場料として50人民元(約800円)1を支払い、ボタンを押すと、オブジェクト内の任意のフロアに移動することができます。現在、オブジェクトは屋上階を含めて、全部で506070のフロアが存在します。人間が内部に進入すると、オブジェクトはテレパシーに似た異常な伝達手段を用いて、対象に”ゲームのルール”を説明します。主な内容は以下の通りです:

  • ゲーム内の各フロアには赤色のボタンが設置されている。ボタンを押すと、訪れたことのないランダムなフロアに転送される。転送先での初期位置はランダムだが、それによって体が損傷することはない。
  • プレイヤーはフロア内のボタンを捜索し、押すことが求められる。最終的に屋上に転送されることで、ゲームクリアとなる。
  • 特定のフロアでは、進入/離脱する際、他のフロアにおいて前提ミッションをクリアしておく必要がある。さもないと、そのフロアから離脱することが非常に困難となる。前提ミッションをクリアしていない限り、それらのフロアへは通常、ボタンを押しても転送されることはない。
  • 特定のフロア間では、転送を用いずに直接移動することが可能。
  • プレイに役立つアイテムを内部に持ち込んだ場合、全て没収される。これらはゲームのクリア後に返却される。
  • 空間内部に進入してからは、フロア内のアイテムを自由に所持することが可能で、これらは次のフロアにも持ち込むことができる。ただし、移動の際は手に持ったり、ポケットに入れたりなど、体とアイテムが触れている必要がある。
  • ゲーム内のスタッフとは自由に会話が行える。
  • 特定のフロアでは買い物をすることが可能。当階にある両替機を用いて、金銭をゲーム内マネーに交換できる。人民元との交換レートは1:1。代金は対象の個人資産から自動的に引き落とされる。

SCP-CN-757からの離脱に成功した人間には、一定の精神影響が付与されます。対象はオブジェクト内のゲームを高く評価すると共に、内部の設備に関する記憶が不明瞭となります。その後、上述の対象は周囲の人間に対して、頻繁にオブジェクトを勧めるようになります。また、オブジェクトに関する由来不明の広告が、不特定多数の電子機器上に出現することがあります。広告はオブジェクトへの進入を勧める内容がほとんどですが、キャッチコピーにはそれぞれ差異が存在しており、ゲーム内容に関する誤った記述さえ見られます。しかし、いずれの広告も人間に対して”魅力的”と思わせるものになっています。

以下は各フロアの詳細なリストおよび、確認されたゲームシステムの抜粋です。

財団は20██年██月██日より、SCP-CN-757の探索を始めました。当初の計画では、まとまった数のDクラス職員を探索に派遣する予定でした:しかし、計画は不明な理由により長期間に渡って放置され、この四半期中、Dクラス職員の総数は20%減少しました。またこの間、SCP-CN-757の階数は50階から60階へと増加しています。これらの事象から推測するに、実際は相当数のDクラス職員が探索実験に派遣されたものの、誰も帰還した者はなく、また、未帰還者には一定の反ミーム的性質が付与されているものと考えられます。ゲームの説明では、”未クリア”時にどうなるかについては言及されておらず、これらのDクラス職員の行方は今のところ明らかとなっていません。その後、探索任務は機動部隊-庚午-01(”唯有暗香来”)2に引き継がれました。しかし、すべてのエージェントはSCP-CN-757に進入後、最高でも10フロアを探索するだけでゲームをクリアしました。これは他のクリア者が供述した内容(通常、クリアには30フロア以上の探索が必要)と整合しないものです。推測するに、SCP-CN-757の運営者は財団についてある程度認識しており、当空間に対する財団の大規模探索を拒もうとする意図がみられます:また、赤ボタンの転送システムは必ずしもランダムではなく、一定または大規模な監視/操作がなされていると推測されます。

その後、サイト-CN-34は新たな機動部隊として、機動部隊-庚午-18(”名前がありません”)を速やかに組織しました。当部隊の隊員情報は電子文書への記録が禁止されており、レベル3以上の職員にのみ、紙媒体での閲覧が許可されます。当部隊の隊員は普段、一般市民と変わらない生活を送っていますが、連絡には特殊な装置/設備を使用します。オブジェクトに対する当部隊の探索は比較的成功を収めています:抗記憶影響薬を使用することで、隊員はクリア後も内部の構造に対し、依然として明瞭な記憶を維持できます。また、SCP-CN-757に進入した過去を持つ人物に対し、大規模なインタビュー(ログの一部をCN-757-A・CN-757-Bとして抜粋しています。参照してください)を行ったところ、一定の情報を得ることに成功しました。上述したゲーム内容と特徴の他に、以下の疑問点や考察が、これまでの探索を元に提示されています:

  • SCP-CN-757に持ち込んだ道具は、回収さえすれば使用することができる。しかし、通信/録画機能を有する装置については、回収しても使用することができなくなっている。クリア者に付与される記憶影響と併せて、内部の情報をあまり明かしたくない意図が伺える。
  • 現在、SCP-CN-757内で死亡した際に何が起こるかについては判明しておらず、Dクラス職員の失踪と同様に、反ミームの存在が推測されている。また、36階(墓地)や51階(礼拝堂)にある墓碑・遺骨と死者には一定の関連性がみられるが、両階の違いについては不明である。ゲームの難易度自体はそこまで高い部類ではないことを考慮するに、ゲームをクリアできなかったプレイヤーの数は、36階(墓地)や51階(礼拝堂)にある遺骨の数よりもずっと少ないと考えられる。失踪したプレイヤーおよびDクラス職員の行方は依然として分かっていない。
  • フロアのレイアウトはプレイヤー自身の状態および嗜好に基づいた調整がなされているようで、46階(ショールーム)はこれが最も顕著に表れている。今の所、SCP-CN-757が如何にしてプレイヤー個人の情報を認知しているかは不明だが、機動部隊-庚午-18(”名前がありません”)の探索が成功したことにより、思考を読み取っている可能性は排除されている。現在主流となっている説は「ネットワークへの大規模な侵入」であり、この説は不特定多数の個人端末に広告が配信される理由についても説明できる。
  • 同一フロアのスタッフの容貌には差異が存在するものの、総じて何らかの共通点がみられる。例えば、4階(古びた居室)のスタッフは概ね50歳前後の男性であり、15階(ホテルロビー)のスタッフは20-30代の美しい女性ばかりである。クリア者によると、一部のスタッフについては「深く印象に残る」「誠意をもって対応してくれる」とされるが、機動部隊-庚午-18(”名前がありません”)以外の財団エージェントによる探索時には、こうしたスタッフの存在は確認できなかった。
  • SCP-CN-757は拡張することがあり、階数はその度に10増加する。また、インタビューから推測するに、いくつかの既存フロアに対しても変更が加えられている。例として、一部のプレイヤーが報告するまで、29階は骨董品店ではなく薬局であった。拡張の原理や時期の規則性、内部設備を改装する理由については、今のところ不明である。
  • 時折、SCP-CN-757のフロア内には大規模に使用された形跡が出現する。38階(教室)を除き、どのフロアも1人のプレイヤーしかいないという事実を考慮しても、SCP-CN-757の内部には他にも多数の人間が存在すると推測される。これらはスタッフとも考えられるが、今の所、持ち場を離れたスタッフは確認されていない。
  • SCP-CN-757の探索中、複数のエージェントが同一時刻に同フロアで活動した事例が報告されている。エージェント達の記憶によると、この回の探索中、19階(ネットカフェ)にて2名のエージェントが同時に活動していたとされ、パソコン上に表示されている時刻についても一致していた。しかし、両者とも当階において他のプレイヤーを見かけることはなかったと供述している。SCP-CN-757は空間を複製することで、異なるプレイヤーを同じフロアへ同時に進入させることができると推測される。また、稀なケースとして、屋上の入り口に”満員”と表示され、進入が不可能となる事例が発生している。このことから、SCP-CN-757は空間を無制限に並立させることはできないと考えられる。
  • 財団エージェントによる探索が阻まれたことから、SCP-CN-757や内部スタッフは財団を認識していると共に、非友好的な感情を抱いているものとみられる。また、彼らは財団がSCP-CN-757の情報を必要以上に収集することを警戒している。その他、19階(ネットカフェ)と33階(ゲームセンター)を見るに、SCP-CN-757と内部のスタッフはレターズ・エンターテイメントと何らかの関わりを持っていることが伺える。

上述した特徴および疑問点に対して、財団は以下の計画を立ち上げました:

  • 多数の職員を機動部隊-庚午-18(”名前がありません”)に募集・編入し、定期的にエージェントをSCP-CN-757の探索にあたらせる。探索中は可能な限りスタッフとの対話を行い、SCP-CN-757の詳しい運営規則とスタッフの身元を調査する。
  • SCP-CN-757へ訪れた経験のある人物へのインタビューと記憶処理を継続して行う。オブジェクトの異常性により、対象はゲーム中の記憶が曖昧になっているが、それでも細々とした手がかりの収集が見込める。
  • SCP-CN-757の空間異常のメカニズムと記憶への影響に対する解析を継続して行う。SCP-CN-757内のアイテムは外部へ持ち出せないため、財団は現在、建物自体および屋上にあるボタンの解析から始めている。
  • SCP-CN-757とレターズ・エンターテイメントの間には繋がりがみられるため、財団はI&Iスタジオに対して質問状を送り、オブジェクトについて認知しているかどうか確認を取る。
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