SCP-CN-895
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アイテム番号: CN-895
レベル3
収容クラス:
euclid
副次クラス:
none
撹乱クラス:
ekhi
リスククラス:
danger

特別収容プロトコル: 全てのSCP-CN-895-Aはヒト型低脅威収容室内に収容されます。現在、SCP-CN-895-Aの大多数は元財団研究員であるため、SCP-CN-895-Aの基本的な要求および合理的理由のある特殊な要求を可能な限り満たさねばなりません。ただし、SCP-CN-895-Aによって書かれた全てのドキュメントは閲覧が禁止されています。 

(インシデント985-1後に有用プロトコルを修正)
SCP-CN-895-Aは全てのフィクション作品に対する読書、創作及び議論を禁止されます。SCP-CN-895はこの条項に違反した場合、最大で終了処分を受ける可能性があることを通達されています。全てのSCP-CN-895の看守職員は遮音イヤーマフを使用して対象と接触せねばならず、かつSCP-CN-895-Aの執筆した全てのドキュメントの閲を禁止されます。

(インシデント895-2後に収容プロトコルを修正)
いかなる形式であれ、SCP-CN-895-Aが情報を拡散した場合、またはいかなるフィクション作品であれ読書、創作及び議論を行った場合、対象は終了されます。その形式は口述、文字、ジェスチャー、画像、モールス信号を含みますがこれらに限定されません。全てのSCP-CN-895-Aの看守職員は遮音イヤーマフを使用して対象と接触せねばならず、かつSCP-CN-895-Aと接触した可能性がある全ての情報との接触を禁止されます。  

説明: SCP-CN-895は伝染性を有する認識災害の一種です。元レベル4研究員でありミーム学者であった███博士によって20██年に制作され、財団の探偵小説愛好家達の間で密かに拡散していました。 

SCP-CN-895の感染者はSCP-CN-895-Aと呼称されます。SCP-CN-895-A実体が探偵小説を読んだ場合、そのSCP-CN-895-Aに対して「この作品の殺人者は家政婦である」ことが事実だと考えます。これは作品の内容、SCP-CN-895-Aが既にその作品を読んでいたかどうか、そのような作品の改変が合理性と実現可能性を有するかどうかに影響されません。

SCP-CN-895は文字または口述形式での描写により、SCP-CN-895-Aが特定の作品に対して批評とコメントを行うことで拡散します。(インシデント895-2の後に更新)SCP-CN-895はSCP-CN-895-Aによって発信される、全ての形式の情報により拡散します。現在この拡散の限界が不明であるため、更なる実験は無期限に中止されています。いかなる形式であれSCP-CN-895-Aが発信した情報と接触した職員は、直ちに隔離観察され、感染していないことが確実となるまで継続されます。  

Dクラス職員を用いた実験により、SCP-CN-895-Aにより他者へ供述させ、その他者に再度記述させる方法であれば、他者の記述したドキュメントにはSCP-CN-895が含まれないことが判明しています。  

“実験は現在まで問題は起きておらず、実験の中止は提案しない。実験は安全だ。つまり、それがどれ程拡散するかは不明だが、それがどうやって拡散しないかを知っているのだ。”——高級研究員███  

“あなたが《インシデントログ895-2》を少しでも読んだのなら、あの哀れな収容室の看守を訪ねて下さい。彼はモールス信号を理解していませんが、ただそれを聞いただけで、収容室に進入しました。お願いですから、この世界でモールス信号で探偵小説を書こうと考えて、どうやってそれを実行できたのかを聞かないでください。これらのグループは交流を禁止され、読書を禁止され、執筆を禁止されていますが、彼らの多くは最も熱心に創作活動を行った研究員とエージェントであることを忘れてはいけません。このように言うのは冷徹かもしれませんが、何時の日か彼らの大部分は完全に異常を獲得するでしょう。この異常な人々は、ただあなたがまったく知らないジェスチャーをいくつか用いるだけで、この認識災害を石家庄市からホーチミンに至るまで拡散させるでしょう。だから、やりません。私は二度と実験を行いません。”——收容スペシャリスト███  


実験記録:
注意しなければならない点として、SCP-CN-895の特殊な性質のため、SCP-CN-895-Aの感覚中で読んだ作品の詳細な改竄個所を正確に観測することが出来ません。このため、実験記録は特に注目するべき改竄点のみ記録されています。 

実験 1

対象: SCP-CN-895-A 
方法: 対象にエドガー・アラン・ポーの《モルグ街の殺人》を読ませ、あらすじを述べさせる。 
結果: 死者の家の家政婦はオランウータンを育てた船乗りと共謀し、主人をナイフで殺害して財産を奪取し、船乗りに罪を着せようと企てた。最終的にこの家政婦はオランウータンの手によって死亡した。

実験 2

対象: SCP-CN-895-A 
方法: 対象にアガサ・クリスティの《オリエント急行殺人事件》を読ませ、あらすじを述べさせる。 
結果: 最終章において、死者は仮死状態から覚醒し、死体安置所で家政婦を驚愕させた。家政婦は恐怖のあまり、咄嗟に解剖器具を掴んで死者に最後の一撃を与えた。 
分析: 彼は死んでも償えない罪を犯したとはいえ、これはあまりに惨めだ。

実験 3

対象: SCP-CN-895-A  
方法: 対象に江戸川乱歩の《人間椅子》を読ませ、あらすじを述べさせる。 
結果: 冒頭から注目すべき際は出現しなかったが、最終章においてプロットの逆転が見られた。椅子内に隠れていた語り手の“私”は、実は家具商が雇用する家政婦であり、家政婦は家具商を殺害した後に、自身の代わりに椅子の中に隠した。 

実験 4

対象: SCP-CN-895-A 
方法: 対象にアーサー・コナン・ドイルの《ボヘミアの醜聞》を読ませ、あらすじを述べさせる。 
結果: ワトソンは家政婦に扮して事件の潜入捜査を行っており、最終的にホームズにより、彼が全ての黒幕であることが明らかにされた。
分析: アイリーン・アドラーだろうと思っていた…… 

実験 5

対象: SCP-CN-895-A 
方法: 対象にアーサー・コナン・ドイル《最後の事件》を読ませ、あらすじを述べさせる。 
結果: 家政婦に扮して潜入捜査を行ったホームズは、女装して家政婦に扮したモリアーティーに正体を暴かれ、彼との格闘中にラインバッハの滝に落下する。
分析: こうなるだろうと思っていた。 

実験 6

対象: SCP-CN-895-A 
方法: 対象に東野圭吾の《白夜行》を読ませ、あらすじを述べさせる。
結果: 作品中に桐原亮子というキャラクターが登場し、原作中の桐原亮司と置き換えられた。彼女はヒロインの西本雪穂の家政婦である。

実験 7

対象: SCP-CN-895-A 
方法: 対象に東野圭吾の《容疑者Xの献身》を読ませ、あらすじを述べさせる。
結果: 作品中に石神哲子というキャラクターが出現し、原作中の石神哲哉と置き換えられた。彼女はヒロインの花岡靖子のアパート管理人である。 
分析: SCP-CN-985は妥協したらしく、“家政婦”に相当するキャラクターを生み出した。

実験 8

対象: SCP-CN-895-A 
方法: 対象に笠井潔の《探偵小説論〈I〉氾濫の形式》を読ませ、作者の論述する理論を述べさせる。
結果: 対象はこの書籍を《探偵小説論〈I〉氾濫のメイド》であると発言した。作者はこの書籍の中で現代日本文学が衰退した原因が、新世代読者が読書の焦点をメイドの存在にあてたことにあり、メイドは日本文学を破壊するため、文学における家政婦の揺るぎない地位を復活させるべきであると主張した。

実験 9

対象: SCP-CN-895 
方法: 対象に飯城勇三の《エラリー・クイーンの騎士たち》を読ませ、作者の論述する理論を述べさせる。
結果: 文中に“《十角館の殺人》が到達したのは‘黄金時代の本格推理小説の復権’ではなく‘黄金時代の到来を利用したメイド文学の復権’である” という一文が出現した。対象は大笑いし、それ以上読むことを拒否した。
分析: この二回の実験から、SCP-CN-895は探偵小説理論研究書にも同様の効果があると証明された。 

実験 10 

対象: SCP-CN-895-A
方法: 対象に褚盟1の《謀殺的魅影》を読ませ、作者の論述する理論を述べさせる。 
結果: 明確な変化は無かったが、書籍中の作者と島田荘司の二人が写った写真が家政婦に扮したものに改竄された。

実験 11

対象: SCP-CN-895-A 
方法: 対象にルース・レンデルの《ロウフィールド館の惨劇》を読ませ、あらすじを述べさせる。本書は一人の家政婦が雇用主の一家全員を殺害する犯罪心理小説である。
結果: プロットに特段大きな変化は無かったが、注意するべきことに、原作冒頭第一段落の“ユーニス・パーチマンがカヴァデイル一家を銃殺したのは―—彼女が読み書きができなかったためだった。彼女の殺人には動機も計画も無く、金銭のためでも自己防衛のためでも無かった。”の描写が削除されたと推測される。本書は犯罪心理小説ではなく、一般的な探偵小説として改変された。
分析: ███博士が生み出したものには、彼個人の読書趣味を顕著に加えられた。厳密には探偵小説の定義にあたる作品ではなく、探偵小説に改変されたと思われる。

実験 12

対象: SCP-CN-895-A
方法: 対象に北村薫の《空飛ぶ馬》を読ませ、あらすじを述べさせる。本書は殺人事件が一切存在しない日常推理小説である。
結果: 明確な変化はほとんどなく、唯一の変化は《砂糖合戦》の章において、紅茶に砂糖を入れた二名の女子が、付近の富裕層エリアの二名の家政婦に変化した。
分析: 殺人犯の存在しない探偵小説は、些か難しいようだ。 

実験 13:

対象: SCP-CN-895-A 
方法: 対象に島田荘司の《占星術殺人事件》を読ませ、あらすじを述べさせる。この作品は“完璧な肉体を持つ女性「アゾート」を造る”ことを装った一連の殺人事件が語られている。
結果: 作品の第二章に、英国から来たと自称する、アゾートと呼ばれる家政婦が登場した。最終的に、この人物は自身が殺人犯であることを認めた。
分析: SCP-CN-895は原作中に登場した役割と設定を修正し利用する傾向があるように見え、モデルに無いものを自分で捏造することはない。他にも試してみよう。

実験 14

対象: SCP-CN-895-A
方法: 対象に三雲岳斗の《M.G.H.楽園の鏡像》を読ませ、あらすじを述べさせる。本書は宇宙ステーション上で発生した殺人事件が描かれている。
結果: 終始変化は観察されなかった。しかし最終章において、事件は実は無重力の宇宙ステーションを偽装した大邸宅内で起こったという、原作には存在しなかったプロットの逆転が起こった。宇宙ステーションを操作して殺人事件を起こしたのは、この大邸宅の家政婦だった。
分析: ……これはやられた。

実験 15

対象: SCP-CN-895-A 
方法: 対象にSCP-CN-895が作られる前に███博士が制作した探偵小説《データ削除殺人事件》を読ませ、あらすじを述べさせる。
結果: [データ削除]
分析: わかったわかった、やらない、やらないよ。

実験 16

対象: SCP-CN-895-A>
方法: 対象に財団文学専門チームが創作した《終末のエデンと死せる神々》を読ませ、あらすじを述べさせる本書はレベル5現実歪曲者が殺害される事件を描いている。事件の発生現場は空間異常であり、外界から侵入あるいは空間外へ脱出する手段は存在しない。この他、この空間は魔術師の制作した厳格な封印により封鎖され、いかなる女性も進入できず、かつどのような形式であれ衣服を着用することができない。最高位の神格存在がこの空間を監視しており、その唯一の使命は家政婦となった、または姓名(及びそのピンイン)が家政婦の存在を抹殺することである。作中で解答は示されず、空間内の存在は開放される結末を迎える。
結果: 死者は自身が家政婦であると自称し、最高位の神格存在に抹殺された。これは自殺であると判定された。
分析: しまった、不注意だった。


補遺1: SCP-CN-895の作成・拡散インシデントが判明した後、拘束するために訪問した機動部隊により、室内で拳銃を咥えて自殺している███博士が発見されました。彼の遺書は下記のとおりです:

安心して欲しい、この文章中からは認識災害要素は削除してある。人生の最後で、私がどうしてこんな状態に陥ったのかを語ろう。

子供の頃、たまたま江戸川乱歩の少年探偵団を読んだ時から話は始まり、推理小説家になることが私の夢になった。しかし人は現実のために妥協せねばならず、私は文学を履修せずに、代わりに認知科学を学ぶことを選んだ。どんな知識であっても執筆にとって有益だ、そうだろう? 

その後に財団に加入した。私はレベル1職員から始まり、そしてその後にミーム学を履修して、とんとん拍子に出世したと言えるだろう。だが私は、いつかここを離れて、本当の推理作家になることをずっと思い描いていた。恐らく、異常存在を相手に暗闇の中で人類を守る戦士となることは、多くの職員の夢だろう。だが私の夢はずっと推理作家になることだった。

財団探偵小説読書会で作った友人達は、このことで私を笑った。彼らは読書し、執筆をするが、財団の仕事を放棄したりはしないと言う。彼らの言う事は大義凛然として、ヒロイズムに満ちている。だが、私はそれが単に、財団が十分に高給であるためだと知っている。中国では、推理作家になることは極めて不安定だが、財団の研究員は安定して、生活にも不自由が無い。

私が彼らを軽蔑するのは、彼らが私とは違う人生の価値を見出したからではなく、彼らが書くものが私よりも優れているからだ。彼らは私よりも有能で、財団で人生を浪費することを厭わない。人類を救うことは誰にでもできる。だが、芸術を創り出すことは天の与える才能なのだ。

だから、彼らを罰すると決心したのだ。

この時は天の助けがあったのかもしれない。あるカオス・インサージェンシーのミーム学者が私に接触してきた。私が財団に忠実ではないことを調査したため、彼らは私を選んだようだ。私は言った。もしも私の復讐を共に成し遂げたなら、彼らに加わると。こうして、君達にまだナンバリングされていないSCPが誕生した。

今、私の復讐は終わった。後始末の面倒ごとは全て、君たちが頭を痛めることになる。

ああ、そうだ。私と関わったワンタン2どもは、自分たちの基地が[データ削除]にあると言った。なあ、私はまだそれほど狂ってはいないさ。

私はもう行くよ。

どうか、私の名前を覚えてくれ。私は███。私は財団の家政婦なのだ。

補遺2: 現在、███博士の遺書に残された情報に基づき、本部と共に、中国██省のカオス・インサージェンシーの基地を壊滅させました。

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