SCP-CN-971
評価: +3+x

アイテム番号: SCP-CN-971

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: その性質から、SCP-CN-971の効果的な収容法は存在しません。専用に調合されたダーウィン-Ⅲ薬を世界の主要な水源に散布します。水源から離れた部分は水循環によりカバーされるものとし、毎月海洋に5000万トンを追加投入してください。プロジェクトの本質を隠蔽するために、財団によるカバーストーリーが流布されています。財団はSCP-CN-971患者を監視すると共に全ての由来不明の孤児を監視します。SCP-CN-971-2個体或いは-3個体が確認された場合、財団エージェントが派遣され標準情報統制措置が実行されます。SCP-CN-971の本質に迫る理論を提唱する科学者が確認された場合、該当する個人は尋問の後記憶処理を施し、研究データは破棄されます。人間によって生産されたSCP-CN-971-3個体は総合評価の後、終了或いは記憶処理を施し釈放します。その他、習慣観察の後終了されたSCP-CN-971-2個人或いは-3個人の遺体は研究の為保管されます。

説明: SCP-CN-971は主に環境適応能力に乏しい動物に発生する未知の異常な現象です。人類におけるSCP-CN-971の発生率の高さから、報道を完全に封じ込めることが出来ませんでした。先進国でのSCP-CN-971発生は、主要な死亡要因の1つとなっています。観察により、当該生物が彼ら自身の生活に適応できていないほど、SCP-CN-971の影響を受けやすい傾向にあることが判明しています。SCP-CN-971の効果は4つの段階に分けられます。

第1段階: SCP-CN-971による影響を受けた個人には、体細胞遺伝子に変異が生じます。影響を受けた個人或いは個体を以下"宿主"とし、変異細胞とそれら細胞群をSCP-CN-971-1とします。SCP-CN-971-1は正常細胞とは異なる一連の性質を持ち、主な性質としてはアポトーシス機構が働かず天命が異常に長く、接触阻害現象が喪失されています。SCP-CN-971-1細胞は宿主の体内で迅速に分裂・拡大し、腫瘍性細胞を形成します。症例の██%で、SCP-CN-971-1は宿主の血液を介して全身に転移したことが確認されています。このプロセスでSCP-CN-971-1は宿主から大量の栄養素を簒奪するため、高確率で宿主の死に繋がります。SCP-CN-971-1が一定の規模に達すると第2段階に移ります。

第2段階: SCP-CN-971-1細胞群の内側で分化とそれによる様々な器官の形成が開始し、最終的には独立した1個の実体を形成します。この実体をSCP-CN-971-2とします。その後SCP-CN-971-1は神経毒を生産し宿主を毒殺し、宿主の死後SCP-CN-971-2は外へ這い出ます。SCP-CN-971-2はほとんどの場合宿主と同様の外見をしていますがその体型はSCP-CN-971-1のサイズの影響を受けており、また内臓器官には大きな相違が見られます。SCP-CN-971-2は強力な環境適応能力を持っており、消化器官は非常に強力なものとなっていますが概してそれらは知性を有しません。SCP-CN-971-2が宿主の身体を脱した後、SCP-CN-971の第3段階となります。

第3段階: この段階ではSCP-CN-971-2は周囲の生物との接触を避けようとする傾向にあり、そして周囲の環境から食料を摂取し急速に成長します。SCP-CN-971-2はほぼありとあらゆる有機物を摂食可能で、通常最初に宿主の体を摂食します。SCP-CN-971-2の成長に加えて、より環境に適応するための肉体の変質が確認されます。SCP-CN-971-2の寿命は非常に短く、確認された最長の存命期間は1週間です。SCP-CN-971-2が寿命限界に達した際、十分な栄養補給が行われていた場合SCP-CN-971-2は死亡せずに第4段階に突入します。

第4段階: SCP-CN-971-2は安全な場所を見つけると活動を停止し、その細胞内部では再構築プロセスが開始されます。再構築完了後、SCP-CN-971-2内部からSCP-CN-971-3が"羽化"します。この時点のSCP-CN-971-3は宿主の種族の幼年期で有るように見えます。SCP-CN-971-3の容姿はSCP-CN-971-2に非常に似通っており、その臓器構造はSCP-CN-971-1の宿主に近いものとなっています。SCP-CN-971-3は宿主と同様の成長サイクルですが、同時に強力な環境適応能力を併せ持ちます。遺伝子検査の結果は、SCP-CN-971-3と宿主のそれが98%以上の精度で一致していることを示します。SCP-CN-971-2とSCP-CN-971-3の適応環境は基本的に同一です。同種のSCP-CN-971-3が出会った場合、繁殖しその個体数を増やすことが可能です。

付録: これまでに確認された人類由来のSCP-CN-971-3個体の██%は外見と肉体構造に変異が見られませんでした。しかしこのようなSCP-CN-971-3を財団管理下で成長させたところ通常の人類よりも肉体的及び精神的に高い能力を示しましたが、これは通常の人類の範疇を超えるものでは決してありませんでした。18██/██/██以降で███名の著名人がSCP-CN-971-3であったことが判明しています。議論の結果評議会は、このようなSCP-CN-971-3は厳格な審査を行った後、人類として扱い記憶と戸籍に手を加えた後社会に復帰させ、審査に合格しなかった個体は終了することを決定しました。今後収容されるSCP-CN-971-3個体にはこのプロセスが実行されます。20██/██/██以降、解放されたSCP-CN-971-3への監視・調査は打ち切られました。

付録: ダーウィン-Ⅲ薬はSCP-CN-971-1の第2段階進行を██%予防することが示されています。ダーウィン-Ⅲ薬は水循環に上手く溶け込み且つほとんど損失が発生しないため、定期的に少量補うのみで維持することが可能です。より効率的な治療薬が現在開発中です。若しもSCP-CN-971の発生率が更なる向上を見せた場合、ダーウィン-Ⅲ薬の一般への流通も視野に入れなければなりません。

付録: O5権限による承認の下、SCP-CN-971の影響下にある白ネズミからSCP-CN-971-1が抽出されました。これを用いて人工的にSCP-CN-971に感染させ、十分な栄養を摂取するために薬物等を含まない食品を提供しSCP-CN-971実験が実施されました。

実験記録:

実験CN971-a
実験対象: 白ネズミのオスの成体1匹
実験環境: 標準飼育環境
SCP-CN-971-2: 外観は白ネズミの幼体と同様で、大きさは成体の七分の一程度。SCP-CN-971-2は52時間生存し、その間は幼体の姿のまま成長し、外観には変化がみられず。
SCP-CN-971-3: 雄。外観・習慣ともに通常の白ネズミとの違いは見られず。27日で成熟。解剖したところ、内部器官にも変化が一切認められず。
研究員のメモ: 更に早く成熟する以外に違いが無さそうだが、現在実験に用いている白ネズミの代わりにこのようなSCP-CN-971-3を使う事はできるのだろうか?

実験CN971-b
実験対象: 白ネズミのオスの成体1匹
実験環境: SCP-CN-971-2が現れた後に、飼育槽に多量の水を入れ、小さな高台以外は水没した状態にする。食物は水中で供給する。
SCP-CN-971-2: 誕生時の外観は白ネズミの幼体と同様で、大きさは成体の七分の一程度。SCP-CN-971-2は57時間生存し、その間は幼体の姿のまま成長。成長中に足びれができ、泳いで食物を探すようになった。
SCP-CN-971-3: 雄。長い足びれを持ち、尾は短くなったが更に力強くなり、体毛は減少。誕生後にすぐ目を開いたが、8日目までは乳だけを摂食。足びれと尾を用いて泳ぐことができ、短時間の潜水も可能。37日で成熟。解剖したところ、皮下脂肪の増加と肺の拡大がみられた。
研究員のメモ: ああ、海生哺乳類の進化の理論を思い出したよ。

実験CN971-c
実験対象: 白ネズミのメスの成体1匹
実験環境: 実験CN971-bと同様
SCP-CN-971-2: 誕生時の外観は白ネズミの幼体と同様で、大きさは成体の八分の一程度。SCP-CN-971-2は61時間生存し、その間は幼体の姿のまま成長。成長中に足びれができ、泳いで食物を探すようになった。
SCP-CN-971-3: 雌。長い足びれを持ち、尾は短くなったが更に力強くなり、体毛は減少。誕生後2日で目を開いたが、7日目までは乳だけを摂食。足びれと尾を用いて泳ぐことができ、短時間の潜水も可能。39日で成熟。解剖したところ、皮下脂肪の増加と肺の拡大がみられた。
研究員のメモ: 面白いね。同じ条件化で発生する同種のSCP-CN-971-3は、同じ特性を持つようだ。

実験CN971-d
実験対象: キヌゲネズミのオスの成体1匹
実験環境: 標準飼育環境
SCP-CN-971-2: 外観はキヌゲネズミの幼体と同様で、大きさは成体の七分の一程度。SCP-CN-971-2は73時間生存し、その間は幼体の姿のまま成長し、外観には変化がみられず。
SCP-CN-971-3: 雄。外観・習慣ともに通常のキヌゲネズミとの違いは見られず。41日で成熟。解剖したところ、内部器官にも変化が一切認められず。
研究員のメモ: 変化が見られないのは、やはり(それとも)観察期間が短すぎるせいなのか? 要するに今回の実験で分かったことは、性別と同様に遺伝子も元の宿主に準拠するという事だ。たとえSCP-CN-971-1が他種の生物由来だとしても。

実験CN971-e
実験対象: 白ネズミの成体1つがい
実験環境: 実験CN971-bと同様
SCP-CN-971-2: 誕生時の外観は白ネズミの幼体と同様で、大きさは成体の七分の一程度。SCP-CN-971-2はそれぞれ60時間と62時間生存し、その間は幼体の姿のまま成長。成長中に足びれができ、泳いで食物を探すようになった。
SCP-CN-971-3: 長い足びれを持ち、尾は短くなったが更に力強くなり、体毛は減少。どちらも誕生後1日で目を開いたが、8日目までは乳だけを摂食。足びれと尾を用いて泳ぐことができ、短時間の潜水も可能。それぞれ40日と43日で成熟。2匹は交配し、自然分娩でSCP-CN-971-3と同様の個体を7体出産。解剖したところ、全個体において皮下脂肪の増加と肺の拡大がみられた。各個体間に明らかな相違は無かった。
研究員のメモ: 同種のSCP-CN-971-3が集まると繁殖でき、それらは1つの新たな種となる……。

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