アイテム番号: SCP-ES-097 | Level 3/ES-097 |
オブジェクトクラス: Keter | Classified |
特別収容プロトコル: SCP-ES-097の発生の可能性のある兆候は直ちに調査され、機動部隊ベータ-7 ("マズ帽子店")が派遣されます。その発生は終了するまでの間、隠蔽されます。収容下に無いSCP-ES-097実例は殺菌剤の使用により除去されます。回収されたSCP-ES-097はサイト-133の第4低温収容室に保管され、レベル3以上の研究者のみがDクラス職員の被験者を対象とした実験を行うことが出来ます。
説明: SCP-ES-097は放射線を栄養源とする1未知の菌類であり、核分裂を制御状態で発生させ、維持することが可能です。[表1参照]。
SCP-ES-097は様々な気候条件下で生存することが可能ですが、温暖な気候では生殖活動が促進され、低温下(0℃以下)では抑制される事が観察されています。完全世代(テレオモルフ)2のSCP-ES-097は結晶性を示し、不規則な緑がかったガラスの集合体のように見えます。
放射線によって免疫が弱められ、また、SCP-ES-097の成長が促進されるため、SCP-ES-097は放射性物質と接触した場合にのみ、ヒト組織に感染することができる点に注意してください。以下に、SCP-ES-097の生物・無機物質表面上での生活環を示します。
段階 | 無機物表面 | 生体上 |
---|---|---|
成長 | SCP-ES-097は付着すると、4日間、表面全体に菌糸を形成します。 | 体内に侵入すると、食道に感染します。最初の曝露から3日後までは症状が現れません。 |
有性生殖 | 菌糸が5 mの面積を覆うと、5日間胞子を発生させます。 | 肺や胃に感染が広がり、この段階で胞子を作り始めます。胞子は分泌物や排泄物に含まれて外に放出されます。 |
エネルギー生産 | 放射性元素の存在下では、子実体はこれらの元素を栄養として吸収します。全ての放射性元素が消費されると、利用可能な材料と菌体の大きさに応じて、菌糸からエネルギーを生産します。生産されるエネルギー量は、数 kWから約3500 MWまで、ケースにより様々です。 | N/A |
表1.0 |
分析により、SCP-ES-097による真菌感染症は30%の確率で呼吸器系および末梢神経系に影響を及ぼす有害な合併症を引き起こすことが判明しました。その他の臨床症状としては、特に背中に多く起こる、急性筋肉痛が最初の数日間に現れます。2~3日後には感染者は1週間続く昏睡に陥ります。この間、SCP-ES-097は神経系を完全に感染させるまで、体中で繁殖します。この時点で感染者の60%が死に至ります。死亡しなかった被験者が、治療を受けずに8日経過することで、SCP-ES-097-Aと見なされる状態になります。
後日、感染者は覚醒し、次のような症状を示します。
- 同じ主題についての持続的な幻覚と反復的な夢。[補遺Bを参照]
- 発症以前と比較して従順で服従的な態度。
- 上肢及び胸部上の、人間の目に類似した視覚器官の発達。3
SCP-ES-097-Aは他の人間にSCP-ES-097を感染させる能力がなく、また、SCP-ES-097の感染で死亡しない点には留意してください。
補遺 A
回収記録/文書記録
SCP-ES-097はカザフスタンのインカイに位置する農場で初めて発見されました。2008/4/16、作物や周辺住宅でSCP-ES-097の病害が発生し、肺クリプトコッカス症4、急性非定型肺炎、放射線障害の重症化が報告されました。
SCP-ES-097についての最初の報告の後、数人のエージェントが派遣され、C. neoformansによる真菌感染症であることや核廃棄物の流出事故で村の河川が汚染されていたこと等の偽情報によって、情報隠蔽工作が展開されました。感染症が解決された後に、さらなる調査が行われ、SCP-ES-097の発生源が特定されました。
町の郊外にある農場で大量のSCP-ES-097が発見されました。農場にはSCP-ES-097の培養を行う3つの構造が存在していました。到着時には担当者がおらず、捜索の試みは失敗に終わりました。
また、SCP-ES-097に関するいくつかの書簡や文書が構造物の中から発見されました。以下に示します。
2008/11/19
今日、愛犬と森の中を散歩していたら、犬が洞窟に入って吐いてしまい、少し疲れている様子だった。洞窟はウラン鉱床の可能性があると父が言っていたのを思い出したが、父は何の証拠も示してくれなかった。父が過去にガイガーカウンターを手に入れたのと同じ理由で、その辺りを探りにもう一度行こうと思う。
2008/11/21
思った通り、あの辺りに近づくと計器の値が急上昇する…自分の周りにそんな物質が転がっているというのは少々恐ろしいが、しかし投資のチャンスとも言える。いくつかの調査をしてみたが、残念ながらウランを抽出するためのサポートがあまりない。測定値を添付して企業に連絡を送ってみよう。
2008/11/27
今日、"ラジオソル"という組織の人が、調査チームを引き連れて到着した。調査の間、その紳士は、この種のエネルギーに反対する政府による困難や障害について話をしてくれた。そして、彼らの助けがあれば、多くのことができると断言してくれた。
ウランの存在が確認された後、取るべき選択肢を教えてもらった。そして、ウランを餌にして利用可能なエネルギーを生み出す菌類を勧められた。1週目は社員2人が応援に来てくれるそうだ。
社員の1人がサングラスをかけ、首にバイオハザードのマークがついていることに気がついた。これについて聞いてみたかったが、あまりお喋りな人ではなさそうだったのでやめた。
以下は、"ラジオソル"5によってSCP-ES-097の購入者へ送られた手紙です。
ヌラシル様、グリーン原子力プロジェクトの件ではお世話になっております。本件に関する契約内容は機密情報となります。箱の中には、原子力エネルギーの分野で最も新しい創造物の1つが入っています。放射性栄養菌、簡単に言えば、高放射性元素を食べて育つ菌です。しかし、この菌は小型原子炉と同等のエネルギーを生み出すことが出来ますので、それ以上のメリットを受けることが出来ます。
また、菌の培養に必要な機材や指導員をご用意いたします。「放射線のパワーが必要とする人々を包み込み、そのエネルギーが我々に明るい新時代をもたらしますように。」 これが私どもの指導者が掲げる目標でございます。貴方の最初の"収穫"を楽しみにしております。もしご不明な点がございましたら、後ほど電子メールで電話番号とメールアドレスを送付いたしますので、そちらにご連絡ください。
SCP-ES-097と地元住民の両方について、それ以上の情報は発見されませんでした。現在、GoI-115関連する企業についての情報は無く、さらなる調査が進行中です。
補遺 B
インタビュー記録
インタビュー記録
日付: 2009/01/23
インタビュアー: カルロス研究員
対象: SCP-ES-097-A
[記録開始]
カルロス研究員: こんにちは、SCP-ES-097-A。今日の調子はどうですか?
SCP-ES-097-A: 毎日が同じ…妄想の中の希望的観測…繁栄
カルロス研究員: 幻覚や夢に出てくる存在について、もう一度教えてもらえますか?今回は記録用です。
SCP-ES-097-A: 幻覚か、そうだと思うけど、そうとは思えない。彼女は貴方や私と同じくらいリアルで。
カルロス研究員: 貴方の体験と、その実体について説明してみてください。
SCP-ES-097-A: わかった。彼女は何というか…彼女の存在は光を放射していて、暖かい雰囲気を醸し出していて、まるで…製鉄所?みたいな。それが印象的。
カルロス研究員: その情報だけでは不十分ですね。会話か何かしていませんか?姿形はどうですか?
SCP-ES-097-A: 背がとても高くて、きっちりした服装で、少々悲惨に…灰に覆われた白い肌、威圧感のある真紅の瞳…。背中からは黒い炎が燃え上がり、2対の翼を形成しているみたいになってて…
カルロス研究員: 彼女の見た目の説明はよく分かりました。では、その方とは何か話ができたか、何かコミュニケーションがありましたか?。
SCP-ES-097-A: 囁きと反響の中で… 「魂は変革に耐えなければならない」 … 「原子力による変革」。待って…今、少し頭の中がスッキリしてきて、名前を思い出した…
カルロス研究員: その原子力演説は新しい情報ですね…とにかく、名前は何でしょう?
SCP-ES-097-A: テ…あっ、あっダメ、また…やめて…目が見てる、見ないで!ねえ!
この時点でSCP-ES-097-Aは、インタビュー中の記憶の全てを失い、卒倒しました。
終了報告: これ以降、想定されるGoI-115と言及された実体について、より多くの情報が求められます。
補遺 C
インシデント-ES-097-1
2009/01/26、サイト-133のデータベースがメッセージを受信しました。どのようにしてサイトのメールアドレスが取得されたのか、またどのようにしてセキュリティシステムを回避したのかは不明です。メッセージの送信元について調査が進められています。メッセージを受信した数秒後、非結晶化状態のSCP-ES-097が複数の同時爆発を引き起こし、SCP-ES-097-Aが大量のガンマ線とニュートリノを放出しました。
サイト-133の放射性物質に対する安全対策のため、SCP-ES-097-Aの放射線を原因とする死傷者は報告されていませんが、SCP-ES-097の爆発により、20名の死傷者が発生しました。インシデント-ES-097-1以来、いかなる状況下でも、SCP-ES-097はサイト管理官の承認なしに非結晶化されるべきではありません。
GoI-115は財団に強い敵意を持っているとされ、直ちにその無力化が求められます。メッセージは以下の通りです。