SCP-L056

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暗い。

何時間にも感じるほどの長い間そうだ。眠れない。同房人は大きないびきをかいている。看守は2分前に去ったばかりで、これから30分は戻ってこない。座りなおして辺りを見回し、目が暗闇に慣れるためにしばらくかかる。そうしているうちに、何かを見つける。

壁のひび割れの間から、ほのかな光が小さな物体を照らしている。退屈しのぎに腕を伸ばし、ひび割れに手を入れる。物体の感触がする。トイレットペーパーだ。外からのほのかな光からそれを取り上げると、何か書かれていることに気づく。

他にすることがないため、それを読み始める。


俺の名前はアルトゥロ・ガブリエル・アルバレス・ヒメネス。

これを読んでいるということは、多分お前はかつての俺と同じ境遇にいるんだろう。逃げ出せないか必死なはずだ。何だ、隠されたメッセージを求めて壁のヒビを見てるんなら必死に違いない。お前がここにいなければならないというのは気の毒な話だ。

お前は無実か? 俺はそうだ。俺の罪は大胆にもあるファシストに反対したことだけだ。

暗闇の中で目を酷使しながら、読み進めようとする。これは自分より前の、40年ほど昔の政治犯──彼の言っているのがピノチェトなら──だったDクラスが書いたものに違いない。それから40年もの間誰一人としてこの物体に気づかなかったと考えると物凄いことだ。自分は幸運だったのかもしれない。

とはいえとても幸運というわけではない。いまだにここに閉じ込められているのだ。

読み進める。


俺のことを聞いたことがあるかもしれない。俺はサンティアゴの芸術家で、ピノチェトがいつか倒され、我が国が繁栄するだろうことを大胆にもチリの人々に見せていた。それを自分が唯一知っている方法でやった。芸術だ。

自分の未来視の才能を使った。集団墓地の前で記者に言い詰められたとき、ヤツがそれを「人を埋葬する効率的な手段」だと言っているのを見た。ヤツが英国人に逮捕されるのを見た。ヤツが打ち倒されるのを見た。だから俺は見たものを彫刻した。

それで俺の問題のためにヤツが俺に何をしたかわかるか?

反対意見の咎で俺を財団にやったんだ。

俺には妻がいた。息子もいた。家もあった。だが全部奪われた。ここ2か月で知ったことはこの収容房の冷たいコンクリートだけだ。俺の魂は自由を求め、体はこの苦痛からの救済を願い、心は家族のもとに帰ることを祈っている。

だが実のところ、最悪というわけではない。

ではこの男は芸術家だったわけだ。確かにそうだった。芸術家はドラマチックな表現に天賦の才がある。だが彼は本当に未来を見ることができたのか? それとも嘘っぱちの現代の誰かなのだろうか?

同房人は静かな眠りについた。

これについて考えていたが、一日中そばにいる科学者たちから魔法の芸術家について聞いたことがあった。その名前を思い出そうと努力するも、何も思い浮かばない。財団の支配下に入ってから、努力して理解しなければならないことはたくさんあるのだ。

同房人は再び大きないびきをかくようになった。

あきれ顔になって先を読んでいく。


逃げ出す方法を考え付いた。

方法を聞きたいだろう? だが残念なことに、この方法は高くつく。心配はいらない。お前が何か感じることはない。とはいえ、一度に双方にトラベルしたことはこれまでないからな。何が起きるか見るのが楽しみだ。何であれ、時間に適応する必要があるってのは刑期を全うするよりもいいもののはずだ。そうは思わないか?

ありがとうな、俺のために無償の犠牲となってくれて。






































SCP-L056

アイテム番号: SCP-L056

オブジェクトクラス: Concluded

特別収容プロトコル: SCP-L056の直接収容は不要です。

説明: SCP-L056は、1975年9月4日に施設-57からD-6035(アルトゥロ・ガブリエル・アルバレス・ヒメネス)が自然消滅したことの指定です。対象は日課の実験に選出される前に収容房から非物質化するところが観察されました。アルバレスは完全に消失する前に看守や他のDクラスをあざけっていたことが報告されています。

アルバレスが消失した直後、収容房に不明な男性が出現しました。対象は混乱を示しており、ストレス状態にありました。短いインタビューののち、記憶処理剤が投与され、対象は解放されました。

更新L056.1: 2025年9月4日、D-7653(アルベルト・フアン・カルロス・バティスタ・デ・ラ・クルス)がSCP-L056と同様の状況で収容房から消失したことが報告されました。財団の記録からは、両者のDクラス職員は消失前に同じ収容房に居住していたことが示されています。双方の消失は性質こそ同様であるものの、特筆すべきことに、バティスタの消失は高い残留ヒューム測定値を有する長いトイレットペーパーの紙切れを残しています。

バティスタの現在位置の調査が進行中です。






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