SCP-PL-003
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アイテム番号: SCP-PL-003

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-PL-003は、他のデバイスから隔離されたSC9タイプのデスクトップコンピューターのHDD内に存在します。実験を行う場合を除いて、このPCをネットワークに接続することは許可されません(LANネットワークに接続することは許可されますが、WANへの接続は禁止されています)。コンピューターは、セキュリティ優先順位低の標準収容室に保管されています。現在の部屋の寸法は2mx2mです。コンピューターは電源装置から切り離されており、HDDにはSCP-PL-003以外のプログラムは保存されていません。

動力を与えられた機器へのアクセスは、レベル3クリアランスまたはそれ以上の権限をもつ科学者のみに与えられます。施設へのアクセスは、施設とのやり取りがオブジェクト収容監督官、または代理人によってか、管理を任されたメンテナンスチームおよび技術チームにのみ許可されます。収容室の外側には、2人の標準装備のレベル3クリアランスを持つ警備員が常駐しています。しかし、管理官の命令や認可がない場合、彼らは室内に入る権限をもちません。

SCP-PL-003の実験において、Dクラス職員を必要とする場合、倫理委員会から派遣された代理人に監督されなくてはなりません。

更新01883751: 15.03.2008、FERNIタイプの電磁ゲートが保管室の外に設置されました。ゲートの動作センサーがその領域に動きを感知すると、広範囲の電磁放射パルスが生成され、それによってSCP-PL-003の保管室に持ち込み、持ち出されるあらゆる電子機器が破壊されます。このパルスは有機組織には無害です。ゲートを通過した際、電子機器を破壊された人物は直ちに捕縛され、尋問されなくてはなりません。この手続きの詳細については、Fiodor Kotowski博士に確認してください。

説明: SCP-PL-003はコンピューターゲームに分類されるコンピュータープログラムです。そのコード名はAtreuszです。オブジェクトのコンピューターへの動作用件は、[削除済]OSであることと、30KBの空き容量があることのみです。プログラムはインストールの必要性がなく、単一の実行可能ファイルとして存在します。財団にとって必要な技術的方法は他に存在しません。プログラムにリバースエンジニアリングを行おうという試みは、「Agamemnon.myk」などの存在しないライブラリを指す通常のゲームコードと、ヘッダーを発見することによって終了しました。「Menelaos.myk」、「Anaksibia.myk」以前にさかのぼってコードを再コンパイルしようとする試みは、前述のライブラリが発見できないことにより失敗しました。ライブラリへの参照を削除しても、プログラムは依然としてそのライブラリを要求しました。全てのテストは、コピーされたファイルに対して行いました。最新の情報技術を使用しても、元ファイルをHDDから削除することはできませんが、おそらくこのHDDの破棄は、Atreusz.exeの破壊と同義であると考えられています。

上記の特性のため、ファイルは別メディアにバックアップを取られています。O5命令による概要は、プログラムデザイン、ライブラリ、作成者、そして最も重要なのは異常性に関連する情報を得ることです。プログラムの動作(コードのアルゴリズムとは互換性がない)は、その一部が完全ではないにしても合理的であるという結論が出ています。この推測は、プログラムの合理性の本質について決定的なものではありません。高度な人工知能、もしくは独立した自然現象の結果である可能性はありますが、このプログラムを作成した動機は不明です。

Atreusz.exeの起動後の動作: Atreusz.exeを起動すると、添付のスクリーンショットに示されるようなメニューがコンピューターに表示されます。

  • オプション4、または{1,2,3}以外の文字を選択すると、Atreusz.exeのプロセスが無効になります。
  • オプション3 - [削除済]は財団には未実装です。画面が更新されます。
  • オプション2 - ウィンドウの色を{白、黒}に変更することができます。

オプション1を選択した人物は、自分自身のコントロールが不能になり、キーボードのランダムな文字をタイプし始めます。この動作は約30秒継続します。その後その人物は眠りにつき、人物のアバター(おそらくは意識)がゲーム内世界へと移行します。この時点からゲームをオフにすることは不可能になり、電源を切断した場合、不可逆な心拍停止によって昏睡状態の人物が死亡する結果につながります。
ゲームの世界は単純な方法で描画されます。物理的に無限の次元をもつボードに、ウィンドウの色とは反対の色をもつ線で構成される迷路が表示されます。同様に、ボードの一番下にプレイヤーを示す点が表示されます。ゲームにおいてこのキャラクターをコントロールすることは不可能です。プレイヤーは、オプション1を選択した人物の意識によって制御されます。迷路は複雑ではありませんが、プレイヤーが「行き止まり」に突き当たった場合、その時点からゲームウィンドウバーに3/3が表示され、彼が別の行き止まりを見つけるたびに、それが減少します。行き止まりに1/3の状態で遭遇した場合、プレイヤーのドットが消去され、ゲーム画面にメニューが表示され、睡眠中の人物が覚醒し、心臓発作を起こします。心臓発作によって通常は死に至りますが、適切な医療処置がすぐに実行された場合、わずかな確率でプレイヤーを救助することが可能です。
迷路の内部では、プレイヤーが時間を認識しており、ゲームの世界では時間がランダムに拡大されているようです。現実では3時間程度の時間でも、内部のプレイヤーの感覚では、何ヶ月もの放浪である可能性があります。
迷路には他の要素は見当たりませんでしたが、プレイヤーの経験に基づけば、多くの人が未確認の「存在」や「怪物のうなり声」を聞いたことは注目に値します。
迷路のゴールに達すると、ゲーム画面に「花火」が表示され、プレイヤーは何の影響を受けることもなく覚醒します。

迷路のゴールに到達したプレイヤーへのインタビュー。プレイヤー[データ削除済]

インタビュアー: ███ ████████博士。SCP-PL-003の副収容監督官。レベル4クリアランス。ログ中ではPと表示される。
インタビュー対象: █████████ ████████。Dクラス職員。ログ中ではプレイヤーと表示される。


P: 1、2、3。(録音担当者に)聞こえますか?(少し間が空く)よし。あなたの名前は█████████ ████████で間違いありませんね?
プレイヤー: はい
P: 年齢██歳。Dクラス。昨日あなたはSCP-PL-003の実験に参加した。間違いありませんね?
プレイヤー: はい、そうです。
P: すべて良好ですか?健康状態に変わりありませんか?
プレイヤー: 私は(少し間が空く)大丈夫だと思います。たぶん、私は昨日の精神的経験についてまだ言葉にできません。
P: それは理解できます。しかし、あなたはあたりを歩いたり話すことに何の問題もありません。(少し間が空く)なにか精神的な問題はありませんか?
プレイヤー: いいえ、本当にいい気分です。
P: なるほど。では昨日のあなたの経験についてお話しましょう。プログラムメニューの最初のオプションを選択した時に起きたことを説明してください。
プレイヤー: わたしは漂っていました。私は黒くて明るい部屋で目を覚ましました。ドアが開いていたので、私は外に出て、迷路を見つけました。
P: ゲームの世界に移る直前の、タイピングについて覚えていますか?
プレイヤー:いいえ、私はあなたが私に言ったようにキーボードを使用しました。あなたの命令の後で、キーボードに触りました。(少し間が空く)そして1を選択してエンターキーを押した後、私は私から"離れた"ことを覚えています。
P: わかりました。そしてあなたは黒くて明るい部屋で目が覚めた。そこに光源はありましたか?
プレイヤー: いいえ、私は特に見つけられませんでした。それはまるで自然光のようでした。私はこの感覚を良く伝えることはできませんが、光はそのようであり、光源はまったくありませんでした。
P: ゲーム中の気温と体調について教えてください。
プレイヤー: 気温はかなり寒く、迷路の大部分で私は腕で体を抱えながら歩きました。おそらく摂氏3~4度だったと思います。私の体の外観はむしろ(少し間が空く)ふ、普通でしたが、今思い出しましたが、私は非常に薄着でした。
P: 迷路はどのような感じでしたか?
プレイヤー: それは、私が目を覚ましたときの部屋とまったく同じ素材でできていました。通路は約2mの幅を持っていて、壁は4mほどか…うーん、5mくらいでした。触った感触はガラスのように滑らかでしたが、どんなに叩いてもそれらを壊すことはできませんでした。
P: 壁が黒かったことはもう教えていただきましたが、天井はどうですか?
プレイヤー: はい、天井は私の髪のように黒かったです(彼女は自分の髪に触れる)。そして、天井は真っ黒だったので、それが確実にそこにあったのかはわかりません。おそらくその空間はタリーのようでした。私はわかりません、博士。
P: 他にはなにか感覚的な経験はありましたか?(少し間が空く)音、匂い、何かが動く気配、などは?
プレイヤー: 迷路を通過した後、私は天井の上で花火の音が聞こえました。そのあとなにかたたかれるような感覚を感じましたが、それは、私が目覚めたときに私を受け止めた警備員によるものでした。
P: どのような…
プレイヤー: (声を上げる)あぁ!私が二つ目の行き止まりに付いたときでした。その行き止まりを見たとき、奇妙な轟音を聞きました。しかし、それが何によって立てられた音なのか特定することはできませんでした。いくつかの曲がり角で、私は胡椒の匂いを感じました。それによって私はしばしばくしゃみをしていました。
P: どんな痛みがありましたか?
プレイヤー: 時たま心臓が痛みましたが、おそらく緊張によるものです。
P: なにか付け加えることはありますか?
プレイヤー: いいえ、それだけです。私がまた何か思い出したら、あなたに教えます(少し間が空く)私は、もうあの迷路に行く必要はありませんよね?
P: もちろん。知っての通りあなたの契約はあと2日で終わります。もう実験があなたを悩ませることはありません。
プレイヤー: (くすくす)ありがとう。
P: こちらこそありがとうございます。(エプロンのポケットからBクラス記憶処理薬を二つ取り出す)これは循環系の作用をよくする弱い薬です。あなたが心臓が痛むといっていましたので、これを服用してください。
(プレイヤーは薬を飲み、眠りに落ちる)


注釈: █████████ ████████は、Dクラスとしての任務の開始日であることを1時間後に知らされた。

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