僕達には人生において多くの過ちを犯す権利がある。[中略]僕達自身を壊す事だけは例外だ。
- パウロ・コエーリョ、『ベロニカは死ぬことにした』
アイテム番号: SCP-PL-299 |
レベル 3/299 |
オブジェクトクラス Euclid |
機密 |
毎月SCP-PL-299の供給先となるグダンスクのキヨスク「ルフ」。
特別収容プロトコル: SCP-PL-299の全実例群はロッカーに収容し、ロッカーへのアクセスはセキュリティレベル4(極秘)のシニア研究者二名の許可によってのみ可能となります。
オブジェクトはカードの放射線照射により3個の7を含むコードを有していない事を事前に確認後、一週間ごとにスクラッチされます。満足な総額を獲得するため、4枚のカードのスクラッチを成功させる事が勧告されています。同一のフルーツを含まないカードは異常性の欠如につき、一切の研究的価値も経済的価値も示さないとして廃棄され得ます。
3個の7を含むカードのスクラッチは試験目的でない限り許可されません。
SCP-PL-299-A実例群は自給自足を行っており、実例群を制止する試みは公共の場での実例群の消失に終わるとして、SCP-PL-299-A実例群のサイクルへの介入は行うべきではありません。
キヨスク「ルフ」の全店舗にはSCP-PL-299の配達が行われた直後、月ごとに財団エージェントが来店し、アノマリーの全組の徴収やキヨスク店員へのクラスA記憶処理を行う事になっています。
説明: SCP-PL-299は紫色で7cm×5cm大、「回帰ポヴルット」という名称の隠しコード付きの「スクラッチ」です。カードはコードとしてフルーツのピクトグラム(オレンジ、バナナ、スイカ、レモン、リンゴ)と金メッキが施された数字の7を使用しています。カードの表面をスクラッチし同一のフルーツを3個揃えた場合、揃えた人物の口座に299,000ズウォティ分の賞金が送金されます。仮に該当者が銀行口座を所持していない場合、金銭は当選者近辺のその時監視が行われていない場所に実体化します。この金銭は実際に販売されている例えばロテク(Lotek)、スーパー7、グラ・オ・ミリオン(Gra o milion)などのような種類のスクラッチから無作為に配当される事となります。
仮に対象のコードのスクラッチを行った人物が数字の7のピクトグラムを3個揃える場合、該当者は消失し、当該実例の意識が過去でアノマリー群に選ばれた時点の同一人物の意識を上書きします。当該実例はアノマリーのスクラッチを行った時点からの自らの記憶を保持しています。
SCP-PL-299のスクラッチを行う実例を観測していて、かつ当該実例との距離が10メートル未満であった人物群は、当該個人が消失した時点からの記憶を保持しています。
仮に対象のコードのスクラッチを行った人物が数字の7を3個揃える場合、該当者は消失し、該当者から最低でも10メートル離れておらず観測も行っていなかった人物全員が、消失の時点で該当人物についての記憶を即座に忘却します。
同時点において、該当者、文書、社会上の効果、個人情報の全てが、財団とは完全に無関係なものに改変されます。
以上の超常現象がこうした方法で作用するのは、財団エージェントに関してのみです。7を3個揃えた他の被験者全員の個人情報、社会上の効果、履歴の改変は不規則に行われた模様です。
オブジェクトは毎月トラックでキヨスク「ルフ」の全店舗に人型実体群SCP-PL-299-Aにより運搬されますが、SCP-PL-299-Aは輸送業に求められる制服を着用しており、選択されたキヨスクへの配達の成功後は、建造物から約2km離れた時点でトラックと共に消失し、漸く1ヶ月後になって現時点で未観測の地点に、新たなSCP-PL-299の供給と共に出現します。
SCP-PL-299-A実例のアノマリーの配達途中やトラック滞在の最中にSCP-PL-299-Aを制止する試みは、実際に監視されているか否かを問わず、オブジェクトの急速な消失を引き起こします。
SCP-PL-299-Aはキヨスク「ルフ」へのオブジェクトの配達に雇用された職員ではなく、SCP-PL-299は当該事業における販売が意図された物品ではないという事が確認されています。
実験SCP-PL-299-1
実験の目的: SCP-PL-299のコードとして3個の7を発見した被験者の消失プロセスの理解の向上。
仮説: 数字の7は多数の文化において幸運の数と見做されているので、未解明のポジティブな効果を有している可能性が高い。
《実験開始》
D-20006の身体には実例の消失後に発生する事を把握するためのカメラ、マイク、GPS受信機が装備された。実験の立会人はジュニア研究者H█████博士である。
B█████博士: D-20006、テーブルに行き、目の前のカードをスクラッチしなさい。
D-20006: で、ここで宝くじに当選したら俺は何が貰えるんすか?
B█████博士: そのカードをスクラッチしろ、議論は無用だ。
D-20006は右手で自らの臀部を摑む
D-20006: あんたらがスクラッチしてくれよ、どんな景品があんたらの物になるか一緒に見ましょうや!
B█████博士: D-20006、そのカードをスクラッチしない限りまた隔離房行きになるぞ。
D-20006はSCP-PL-299に接し、同様に支給された2ズウォティ硬貨でオブジェクトのスクラッチを開始する。実験の前に、カードには3個の7が含まれている事が確認されている。
D-20006: へい、へい博士、あんたらみたいなのはいつでも口では強くても、パンツの中は弱いんだ、くっちゃべってな、俺はあたかもあんたんとこにいるみたいに退職金の事を考えかねねえぞ、だってあんたんとこへ小僧たちを送り込んでやりゃあ、人生の最期まで二度考える事になるんだからな、後でしゃがんでケツを石け……
D-20006、SCP-PL-299上の3個の7を発見の後消失する。GPS受信機の信号は喪失し、被験者が携行していたカメラやマイクは回収されていない。
20██/09/05、ジュニア研究者H█████博士。自宅近辺で犬との散歩中にD-20006を発見したH█████博士は直ちに通報により財団の特別課を呼び出して当該実例をエリア PL-33に連行し、続いて当該実例とのインタビューを実施しました。D-20006はインタビューの時点で社会生活に必要とされる文書、個人情報、居住地、職業等を全て備えていました。
H█████博士: どうもD-20006、手始めに移送の際に抵抗を見せなかった事に礼を言わせて貰いたい。
D-20006: 問題ないです。
H█████博士: じゃあ始めよう、我々が最後に会ってから4年が経過しているが、与えられたスクラッチをスクラッチした後に何が起こったのかを依然正確に覚えている事を望むぞ。
D-20006: じゃああんたら目線では4年だったんすね。良い頃合いだし始めましょう、あのスクラッチをスクラッチした後、俺は自分の家に戻ったっす、15歳の時に四年制専門学校リツェウムの一年生になったんす。本来は住居から出て行って路面電車の駅に行ったんす、俺のお袋は何かおばあちゃんの事を話題に出したし、俺はこの状況が既に一度起きている事を思い出したんす、おばあちゃんのとこまで駆けつけて何個かピェロギをくっつける手伝いをする筈だったんすね。でも一方じゃ俺の仲間達がオドラ川岸で飲み会をやっていて、俺はその機会を見逃す訳にはいかなかったんす。状況全体が夢みたいだった、パニクりはしなかった、身の回りで何が起こっているか疑問に思わなかったんす、そのまま行動、反応の方式通りに動いたっす。動いたんすけど……。
D-20006、対談を7秒間中止する。
D-20006: けど、多分ここまで本当にあっさり俺は死んだ、って気づいてしまったんすね。同じ施設に実験用ラットとして居た頃、13年ま……もとい4年前にギャングのリーダーっぽい事をしていて、これは言うべきじゃないんすけど、一部の看守達との独自ルートさえ持ってたんす。実際の通り、俺は乾いたパンでも調味料抜きのコンソメスープでもなくピザが食いたくなって、看守にそのまま賄賂を渡したら、看守は俺の好みがペパロニかハワイアンか訊いてきたんす。俺の独自ルートによって、このエリア全体で何が起こっているのかも知ってたんす、実質的に俺は不可触で、あんたが資本を持っていたほど長い間、警備員達はそのままあんたを何の試験にもかけなかったんすよ。ある時点まで、明らかにスクラッチのテーブルの前に立った時まで、これが俺の最期の時と思ってたんす。でもほら!俺はここにいて息してるっす。少なくとも当分の間は、みたいっす。
H█████博士: じゃあ君が自分は死んだと思った後、何が起こったんだ?
D-20006: あー、悪い、無我夢中になってたっす。俺は死んだら、それは多分死ぬ前の丸々一生分を生き抜いた、そんでその事を映画でよく喋くられている、って思えたんす。それで確信したんすね、別の道を行ってみる事や俺のおばあちゃんを訪ねる事も同じ感じで良くできるって。一時間ぐらいしたらおばあちゃんちまで行けて、次のピェロギ作りの一時間後に、特別現実的かつ長く自分の人生を生きている事に気づいてしまったんす、見抜き出したっす、一体何が起こっているのかを。人生で二度目のチャンスを手に入れたんすよ。時々、自分の人生を台無しにする結末を避けるためには、そのままおばあちゃんとピェロギを十数個作れば十分なんだし。嘘はつかないっす、あれらのピェロギがどんな味だったのかは覚えていない、現場で子供みたいに泣き出したから、それこそが、完全に俺がその子だったんすね。決めたんす、もうこの二度目のチャンスを手に入れた以上、俺は同じぐらい良く、チャンスを完全に利用できる、俺は既に一度成人になったんす、俺の人生がどこに向かっているか、分かったっす。俺の仲間達とは連絡を絶ったっす、学校に専念し始めたし、マナーも直し始めた。もうこの話題を一緒にしています通り、最後に博士と同席した時の俺の言葉遣いに関して謝りたいと思いますが、話を戻しますともっと多くの時間を両親と過ごし出したり、依存性物質も全部脇に置き始めもしまして、ますます砂糖に依存してしまうかもと怖くなったんで、キャンディーからさえ距離を置きました。専門学校を修了しましたし、卒業試験マトゥラにうかりましたし、仕事や住居を得ましたし、今ここにいます、新たに人生を始めたんです。
D-20006、出されたコップの水を飲み干すために対談を中止する。
D-20006: 博士、ここ13年間俺は結末から、あのスクラッチをスクラッチする前にやらかした事から逃げてきました、償うチャンスが与えられた事は光栄ですが、正確に今俺はどうなるのでしょうか?あなたの決断がどうなっても問題ではない、俺はご決断に満足しますというのを博士が知ってくれるのだけを望んでます。
H█████博士: これは私の一存では決められない。あいにく私の席次はここ4年間で昇級していないので、恐らくは私の職分外の事案だ。これは存分かもしれない、君には処断が下されない限り本エリアに留まるようお願いしておくかもしれない。
倫理委員会の決定により、実例D-20006はクラスC記憶処理の予備適用後、エリア PL-33から解放され、社会復帰powrótさせられました。被験者は開放後、財団施設領域上での自身の滞在やSCP-PL-299使用後に塗り替えられた自身の人生の記憶を有さない事となります。
本決定は倫理委員会の██票対██票により可決されました。当該処分は当該個人により行われた人道に背く罪が、技術的な事を述べれば、全く実行された事がない為に選択されました。
- 倫理委員会
補遺: D-20006のインタビューにおいて当該個人により言及された犯罪者ネットワークは、存在しません。D-20006が一度もエリア PL-34に来訪せず、ネットワークを構築しなかった事と恐らく関連。