SCP-TCG-JP-J

購買部にて好評発売中だ！

アイテム番号: SCP-TCG-JP-J

オブジェクトクラス: DUEL!

特別収容プロトコル: SCP-TCG-JP-Jはサイト-81██の金庫の中にコレクションされています。現在、SCP-TCG-JP-Jは財団の購買にて米番はシリーズ3、日番はシリーズ2、その他の国のものはシリーズ1まで1パック5枚入り150円で好評発売中であり、休憩時間内であればバーチャルシミュレーションが常設された特別実験用サイト-81██において自由に当該オブジェクトを使用したカードゲームを行う事ができます。ルールとマナーを守って、楽しく実験しようぜ！

説明: SCP-TCG-JP-Jは裏面に「Speed-Card-Protection」のロゴが印刷されたカードゲームです。このロゴはSCP-TCG-JP-Jの種類がいかなる物であっても共通です。SCP-TCG-JP-Jは現在までに三種類が確認されており、後述する異常性に曝露した人物は、それぞれのSCP-TCG-JP-Jを「オブジェクトカード」、「taleカード」、「人事カード」と呼称しています。

SCP-TCG-JP-Jの異常性は、当該オブジェクトに人間意志を持つ存在が触れる事により現れます。SCP-TCG-JP-Jに触れた曝露者は「Speed-Card-Protection」のルールを即座に理解し、好戦的な性格に変化します。そして、SCP-TCG-JP-Jに触れ続けている間、どんな些細な喧嘩や相違であっても、「Speed-Card-Protection」の勝敗によって決着をつけるようになります。この好戦的な性格はSCP-TCG-JP-Jに触れ続ける事を中止すれば解消されます。

以下はSCP-TCG-JP-Jに曝露した財団職員による「Speed-Card-Protection」のルールを説明させる実験において得た情報を元に財団購買部が製作したルールブックの一部です。

+ SCP-TCG-JP-J公式ルールブック

SCP-TCG-JP-Jは2008年7月█日に当該オブジェクトが封入されたカードパックが財団の購買に突然出現した事から、発見に至りました。開封は行われず、カードパックの状態を保ったままサイト-81██の金庫にて保管されていましたが、2008年7月██日に実験のために金庫からカードパックを取り出した財団職員により開封され、内部のSCP-TCG-JP-Jの存在が明らかになりました。当初、カードパック自体に開封を促すような精神的作用があるのではないかと推測されましたが、新たに購買に出現したカードパックを使用した実験において、カードパックに対しての異常性は認められないとの判断がなされました。また、SCP-TCG-JP-Jによる大規模な収容違反の可能性が考えられたために、全国のカードゲーム量販店等の監視が約一年に渡り行われましたが、SCP-TCG-JP-Jの出現は確認されなかったため、収容違反の可能性は低いと判断されました。以降のSCP-TCG-JP-Jの記録についてはインシデント記録:SCP-TCG-JP-Jを参考にしてください。

＋ インシデント記録:SCP-TCG-JP-J

映像記録-TCG-JP-J: 2013年9月██日、日本支部にて行われた第二回SCP-TCG-JP-J世界選手権において、その試合の一部を録画した物です。

+ 映像記録-TCG-JP-J

対象: ジャック・ブライト博士、神山博士

付記: 以下の記録は第二回世界選手権準決勝戦において行われた試合の一部を録画した物です。一部、実況の前原博士の音声も記録されています。

<録画開始>

前原博士: さて、一進一退のこのゲーム。お互いに一歩も譲らず、神山博士のサンドボックスの保護力は現在Safeが2、Euclidが8、Keterが4。ブライト博士のサンドボックスはSafeが3、Euclidが8、Keterが12よ。サイトの合計コストはブライト博士がなんと1、神山博士が4の状態でブライト博士が一歩リードかしら。

ブライト博士: 日本の研究員も、なかなかやるものだね。

神山博士: そちらこそ。

ブライト博士: では……私はtaleカード、「世界を貪る者」を発現するよ。

神山博士: 聞いた事のないカードですね。

ブライト博士: 最近発売されたばかりなんだ。このtaleカードは自分と相手のターンを合わせて12ターン後にしか発現できない。効果は自分のKeterクラスのサンドボックスを1枚捲って、その捲ったカードがSCP-2317「異世界への扉」であれば収容違反する。もし捲ったカードが違うカードであれば、私はこのゲームに敗北する。

神山博士: 貴方のKeterデッキは2枚。つまり捲れる確率は2分の1……ギャンブラーですね。

ブライト博士: ゲームは楽しくなくっちゃね。さて……運命のドローだ！

[ブライト博士がサンドボックスの上から1枚捲る。すると会場内の室温が3度低下し、会場内がざわめく。]

前原博士: あら？空調が壊れたのかしら。

神山博士: ……これは？

ブライト博士: 私が引いたカードは……SCP-2317「異世界への扉」だ。よって私はKeterサンドボックスより、SCP-2317「異世界への扉」を収容違反するよ。

[バーチャルシミュレーションによって木製の扉とその枠が投影される]

前原博士: なんだか弱そうなオブジェクトねぇ。えーっと？SCP-2317「異世界への扉」の確保力は……10？！

ブライト博士: さて……SCP-2317「異世界への扉」で君のEuclidサンドボックスとクロステスト！

[木製の扉が開き、その中から巨大な板状の鱗で覆われた右腕が投影され、神山博士のEuclidサンドボックスへと振り下ろされる。サンドボックスの保護力は0となり、SCP-006-JP「あけろ」が収容違反する。]

ブライト博士: さて、では私はこれでターンエンドだ。君はどうするのかな？

神山博士: ……

ブライト博士: どうしたんだい？残念ながらSCP-2317「異世界への扉」は他のカードの効果を受ける事はないから、decommissionedに送る事もできないよ。

神山博士: 私のターン。私は……taleカード「解放」を発動します。自分のサイト上に、SCP-006-JP「あけろ」が存在する場合、SCP-006-JP「あけろ」とSafeクラスオブジェクトを1枚ずつ、decommissionedに送る事で自分のKeterサンドボックスから1体、収容違反する事ができます。

ブライト博士: ……扉同士、似たもの同士ってわけかな。でも、それだけでは私に勝つ事はできないよ。SCP-2317「異世界への扉」をどうにかしないとね。

[神山博士がKeterサンドボックスから1枚カードを選び、収容違反する。するとバーチャルシミュレーションが会場全体に、夕焼けよりも赤い空と、草原を投影する。その後、赤い空の向こう側から、巨大な赤色の鳥が飛来し、神山博士のサイト上にて停止する。この時点で映像は途切れ、音声のみの記録となる]

ブライト博士: ……これは？

神山博士: 名前はありません。強いて呼ぶなら……緋色の鳥とでも呼びましょうか。

ブライト博士: それで？その確保力が5しかない赤い大きな鳥は、一体何をしてくれるんだい？

神山博士: SCP-444-JPは[ミーム汚染]の効果を保持しています。[ミーム汚染]は自分の確保力を犠牲にする事で、クロステスト対象を変化させる効果です。緋色の鳥の[ミーム汚染]の効果範囲は自分のサンドボックスだけでなく―――相手のサンドボックスも、含まれるんです。

ブライト博士: [ミーム汚染]はオブジェクトに対しての効果でなく、オブジェクトの攻撃対象を変える効果だからSCP-2317「異世界への扉」にも効いてしまう。……つまり、もし私が攻撃するなら、その攻撃で自滅する可能性もあると。

神山博士: その通りです。私は緋色の鳥で貴方のKeterサンドボックスにクロステスト。そして私の場に存在している確保力3のSCP-132-JP「紙魚入る」で更にSafeサンドボックスにもクロステスト。これで貴方のSafeサンドボックスから1枚収容違反が行われます。

ブライト博士: 収容違反したのは……SCP-721「ファクトリーのおもちゃ」、か。今は特に効果はないオブジェクトを収容違反してしまったな。

神山博士: さて、本当の勝負はここからですよブライト博士。

ブライト博士: ……ああ。こちらでも、楽しめそうで何よりだ！

<録画終了>

補遺: 現在、SCP-TCG-JP-Jによる財団職員と要注意団体との日々の闘争を描いた漫画書籍「H.S.P」の制作が原作:エージェント・マオ、絵:茅野博士によって進められています。また、それに伴い「H.S.P」のアニメーションの制作企画も有志の財団職員によって提案されています。いずれの作品も、完成次第財団購買部にて発売予定であり、これにより定期的に一定の収入を確保する事が可能であると推測されています。

販売を許可する - 日本支部理事"獅子"

やめて！SCP-2935の特殊能力で、SCP-1686-JPを焼き払われたら、闇の実験でオブジェクトと繋がってる御先管理員の精神まで燃え尽きちゃう！

お願い、死なないで御先管理員！あんたが今ここで倒れたら、茅野博士や萩埜学芸員との約束はどうなっちゃうの？ ライフはまだ残ってる。ここを耐えれば、前原博士に勝てるんだから！

次回「御先管理員死す」。実験スタンバイ！