アイテム番号: .
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: 財団のAIウェブクローラを運用し、.-1の捜索・削除を行ってください。全ての財団職員は.-1の存在を認識し、その曝露から身を守る必要があります。
説明: .は文章、音声、絵画を介して伝播する記数法についての異常です。以下、.を含む媒体を.-1とします。
.の影響を受けた人物(以下.-2)は書く時・数を数える時に十二進法を用います。.-2は十二進法を極めて崇拝し、疑問を持たず使用し、十進法を強く嫌います。
.-2は時々口頭や上記の媒体を通じて周囲の人物に十二進法を使わせようとします。過去の記録1では、数字に関わる頻度が少ない人物ほど.-2に変化しやすいとされています。.-2は自身・相手の性別に関わらず、両手の指が六本ずつの多指症者に強い羨望と愛情を示します。
.の影響はリハビリテーションと複数回の記憶処理によって治療可能なことが示されていますが、所要時間及び対応人員への二次被曝の危険性が高いため、優先度の高い人員にのみ使用すべきとされています。対象の影響を受けた職員はサイト-ZH-█内の特殊部門に異動して業務を継続し、全てのデータはプログラムによって十二進法から十進法への変換を行う事で正確性を維持しつつ人的資源を最大限活用します。
付録 財団職員陳██研究員(.-2)へのインタビュー記録
付記: インタビューの九日前、同部署の職員が、陳が作成した書類上の数値が常識的に考えておかしい事に気づき、インタビュー対象とされました。
<記録開始>
郭襄明研究員: 早速ですが、この箱の中に鉛筆が何本入っているか教えてください。
(郭襄明研究員は一ダースの鉛筆が入った箱を二つ取り出した。)
陳██:二ダースです。それが何か?
郭襄明研究員: 数字で書いていただけますか?
(陳██はアラビア数字の20を書いた。)
郭襄明研究員: なるほど。ではなぜそのような数え方をするのか教えてください。
陳██: 昔からそうですよね?そろそろ戻っても良いですか?
(郭襄明研究員は書類の束から一枚の紙を机の上に置いて指をさした。)
郭襄明研究員: だとすると、なぜ二週間前までこう書いていたのか説明してもらえますか?
陳██: え?(紙を近づける)こ、こんな事ありえない!これでは八多い。数字を間違えるわけがない!
郭襄明研究員: 申し訳ないのですが、こちらの方が正しいのです。これはあなたが一人で編集して書いたもので、署名と押印もあります。
郭襄明研究員: もし信じられないのであれば、このコピーの束を持って確認しに行ってください。これらは全て九日ほど前の記録で、あなたの同僚のサインが入っているものもあります。あなたの記憶と合わせると信憑性は否定できないはずです。
陳██: 私は……
郭襄明研究員: 心配しないでください。この問題を解決するために私は来ました。調査に協力すれば処分を受ける事はありません。
陳██: はい……
郭襄明研究員: ではインタビューを再開します。あなたの記録文書がおかしくなったのは九日ほど前ですが、何か覚えていることはありませんか?
陳██: とくには……ありません。その日は休日で、サイトの寮で休んでいました。昼は黃██と外出していましたが、夕食はサイトに戻って摂りました。特に問題はなかったと思います。
郭襄明研究員: はい。
陳██: あ……そういえば、夕食を食べ終えて寮でパソコンを使っている時、突然気絶したんです。
郭襄明研究員: 続けてください。
陳██: [ページ名 削除済み]をクリックすると、大きくカラフルな広告が表示されました。とても奇妙な…模様が動いていました。その後、通信ソフトを開いた所までは覚えています。
郭襄明研究員: それらが発生した時刻を書いていただけますか?(記録用紙を差し出す。)
陳██: (8:07ー8:10と記入する。)その後、疲れていたのか五分ほど寝てしまいました。以上です。
郭襄明研究員: 協力いただき大変ありがとうございました。
<記録終了>
追加報告: 推奧福・司伊克斯テオフ・シイクスという人物が.-1の作成者と特定され、広告・手紙を用いて大規模な.の拡散を行った事が判明しました。対象はこれまでに何度も.-1を新聞やニュース番組へ掲載する事を希望してきましたが、内容の不明確性・広告料の不足などにより断られたため、ネット広告に目を付け個人サイトの登録をしました。推奧福・司伊克斯の捜索は現在も続いています。
分析によると、インターネット上に公開されている.-1(個人のウェブページも含む)は全て十二進法で書かれていますが、なぜか通常のパソコンでも正常に表示されるため、削除は極めて困難な事に注意すべきです。その他の異常性があるかは現在調査中です。
以下はDクラス職員が記録したウェブサイトや広告のプレーンテキストファイルです。
世の中ではなぜ十進法が使われているのか考えたことはあるか?
月や時間は十二ごとに進むのに、おかしいではないか。
それは、世界中のほとんどの人は指が十本しかないからだ!
昔、指が六本ある人は迫害され、十進法が主流になった。
しかし、英語の十一と十二は、十三、十四とは違う規則で読まれている。
このように十進法よりも利点があり、十二進法が優れていることの明らかな証拠になる!
我々は生まれながらにして、二本の指を無駄にしてきた。さぁ六本指の同胞よ、
我が呼びかけに応じ、十二進法と六本指を世界に広めよう!
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認識災害を含むページの閲覧が検知されました…
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これよりテスト番号1を開始します…
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これはいくらですか?
五掛ける五
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