7人のキャラクターがいきなり死ぬ

コンテンツ警告: この記事には生々しい暴力描写、著しい性描写、親のジェンダーへの無理解などが含まれています。読者の皆様におかれましては、十分にご注意ください。

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バックドア・ソーホーのプレミアムなヘンタイ、アブサン、インダストリアルミュージックのレンタルショップは、「中国行きの穴A Hole to China」として知られていた。これは法的な理由のための虚偽である。この有名無実の穴は、実際には中国地方の穴蔵にある姉妹店、「カナダ行きの穴A Hole to Canada」に通じている。この穴を介して、2つの店はそれぞれの国でしか買えない  大抵、それぞれの国でのみ合法な  様々な商品を交換していた。

中国行きの穴で最も人気のあるタイトルは『アルティメット・ヨモギ姫・デスバスタードUltimate Wormwood Princess Death Bastard』(ヘンタイ) という  これは実のところ、アルティメット・ワームウッドプリンセス・デスバスタード・セブンUltimate Wormwood Princess Death Bastard Seven (アブサン) の超絶エロティックな広告だった。この伝説のVHSを求めて、ルクミニー・マハカリは「中国行きの穴」の商品棚を覗いていたのだ。これだ!『アルティメットぶっかけワールド XII: ファイナル肉便器トーナメントUltimate World of Bukakke XII: Final Cumsponge Tournament』と『アルティメットレスリング男 VS 女王様ギルドUltimate Wrestleman Versus the Dominatrix Guild』の間にそれはあった。彼女の指先がテープに触れた。

「ヘイ!」誰かが叫んだ。ルクミニーが目をやると、そこには地元のDJであり、パートタイム殺人鬼でもあるグリルド・チキンホークの姿があった。チキンホークは、どのレイブにもいて、エクスタシーをメスで嵩増ししたものを売りながら、高校生を口説いているような男に見えた  しかも実際にそうだった。腕にはイルカの群れを窒息させるほどのアホくさいプラスチック製のキャンディkandiが巻かれ、残りの服はすべてフィッシュネットとネオン。頭は言いようもないほど酷く白茶けた金髪のマレット。左手を伸ばしてルクミニーを指差し、右手には軍用の音波兵器が取り付けられたスマートフォンを持っていた。

「アルティメット・ヨモギ姫・デスバスタードのコピーを借りたいんだけど」彼は髪を劇的に後ろに流しながら言った。「次のアルバムのためにサンプルが必要でね」

「あら、」彼女は言った。「私も別の理由でこれが欲しくて」

「2週間くらい待ってくれないか?」チキンホークが尋ねた。

「遠慮しておく」

「ああ、君の名前は?」

「マハカリ」

「クールだね。ありがとう。今からお前を殺す」

「ちょっと!」ルクミニーとチキンホークはフロントデスクの後ろに座っているシー族のハーフの店員に目をやった。彼女は壁の表示を指差した。

全ての殺人は、名誉の決闘が先行しなければならない1

「おっと、こいつはすまない」チキンホークが言った。「マハカリよ、俺はアルティメット・ヨモギ姫・デスバスタードの名誉を賭けてお前に決闘を申し込む!」

ルクミニは手を腰に置いた。「受けて立つ」

彼女の指がシグ・ザウエルを握った瞬間、チキンホークはスマホに表示された再生ボタンを押した。出てきた音はモンゴルの喉歌、ガラスを粉砕するゴミ圧縮機、アフリカ・バンバータのサンプルで構成されており、最初のミックスではチキンホークのスピーカーセットアップが裸の特異点になるほど圧縮され、さらにジェントとナイトコアの邪悪な融合にリミックスされていた。

ザ・ブラッド・ショック・ドロップ。チキンホークの最大の特徴である、低血糖症を引き起こすほどの強烈なベースドロップを焼き付けた。生存者たちはそれだけの価値があったと認めている。

このビートはルクミニーに地震のように衝撃を与えた。彼女の頭は揺れ、目は潤み、心拍数は200に達し、膝が折れそうになった。店員はすでに耳栓をしていたし、チキンホークは自分の音にとっくに慣れていた。

ルクミニーはエロDVDの棚に突っ伏した。チキンホークが音量を上げると、胸と左腕に激痛が走り、彼女は四つん這いになって角を曲がった。ポッキーとラムネに囲まれたポルノショップのスナック通路で、彼女は本当に心停止してしまうのだろうか? あらゆる死に様と死因の中でも、ヘンタイポルノによる低血糖症に起因する心臓発作は最も屈辱的なものだ。アフリカー・バンバータは間違いなく役に立たなかった。

ラムネ。

ルクミニーは、日本の輸入ソーダの棚にぶつかった。心臓は早鐘を打ち、視界は白く染まり、彼女はボトルを手に取り、その首を棚に叩きつけ、尖った端を唇に押し付けた。血液とメロンの味が口いっぱいに広がった。もっと。もっと、もっと、もっと。

「ツイてるぜお前!」チキンホークは叫んだ。「なにせ俺のニューシングル、"Racism Sucks (But Eighteen Year Olds Suck Better)" を最初に聞いたのはお前だからな」

彼が角を曲がると、ルクミニーは立ち上がり、割れたボトルに囲まれたままグレープラムネの瓶に舌を這わせていた。ソーダの瓶は彼女の手の中で反転して太いガラス製のナイフと化し、直ぐにチキンホークの首を蛇口に変えた。ルクミニーは祝杯をあげて一気飲みし、興奮から覚めると、ソーダの棚を突き破るように彼を蹴りを入れた。

「私はKMFDMの方が好きだ」と彼女は言った。チキンホークのポケットを探ると、プラチナデビットカードが見つかったので、店員に投げた。「飲み物は彼のおごりね」

ルクミニーは下を目をやって、地面に落ちている割れていない瓶を拾い上げた。彼女はプラスチックのキャップを剥がし、プランジャーを叩いてビー玉を外し、瓶を唇に押し当てた。彼女は人工的なイチゴ味を堪能し、棚から『アルティメット・ヨモギ姫・デスバスタード』のテープを手に取った。

いや、カタナで指を切り落とされそうになっていなければ、そうしていただろう。ルクミニーは瓶が落ちてしまうよりも早く、攻撃者にピストルを向けながら身を翻した。

「コンニチハ、お嬢さん。」着物を着て、髷を結い、下駄を履いた彼は、戦国時代の日本からそのまま出てきたかのようだった。もし、彼が無精髭キモオタデブ白人でなければ、の話だが。「ワタシハ ルパート・スミス デス。敵対者たちには伝説の剣聖 "グロ・アヘガオ" としても知られているでしょう。そのスゴイ ヘンタイから手を引いてもらえないでしょうか。然もなくば私のブシドーの全てを貴女のオッパイに向けることになります」

「今すぐ殺してやるよ。名誉の決闘、いいでしょ?」

「私にはこのようなカワイイショウジョを傷つける勇気は ── 」

彼のセリフは店員に遮られた。「殺したければ殺せばいい。警察には決闘だったと言っておくよ」

ルクミニーは2番目のセリフの前に発砲した。ルパートの手に握られた剣がブレた。弾痕は、その背後に置かれていたエロティックなベヨネッタとルイージのダンボールパネルの額に現れた。「弾丸は効かぬぞ、バカガイジン」と彼はほくそ笑み、2発目、3発目を斬った。「私は剣を学んだ。そして我が手には シマパン・マサムネ がある。これは伝説のサムライであるネトラレ・パイズリが千人の美しいゲイシャのキモノを覗き見るのに使った鏡の刃、ミラーブレードなのだ」

ルクミニーは素早く3回トリガーを引いて答えた。

ミラーブレードはミラーブレンダーとなり、その空域に入ってきた弾丸を一発一発刺身にし、ルイージとベヨネッタをダンボール製のざるにしてしまった。ルクミニーは、このサムライの不可解な防御と臭気の為、後退しながら防御に徹していた。彼女は背骨が何かの棘に突き刺さった時に叫んだが、ルパートの斬撃を避けるためにただ座り込んだ。彼の刃は、等身大のアルティメット・ヨモギ姫・デスバスタードのブラックメタル像 (触手や使用可能な開口部が完全可動) の首に深く食い込んだ。

「ああああ〜!」ルパートは叫んだ。「ヨモギ姫 チャン!貴女の美しさを汚してしまったことを謹んでお詫びします!」

ルクミニーは上に向かって撃ち、彼のあごに頭突きを食らわせ、彼は刀を離してよろめいた。像から剣を引き剥がそうとしたが、思い直して、像の台座から触手を引き剥がし、関節を手に巻き付けて、その尖った先端をルパートに向けたのだった。その触手は確かにあまりよろしくない場所にあった。

「許してください、センセイ」 ルパートは大きな声で囁いた。「ここ一番! やり遂げねばならぬ! 見よ、ネトラレ・パイズリの禁断の技を   "ヒンゲロ バング!"2 キアイィィィィィ!」

デブの5本の指が、触手から職種を変えた3ルクミニーの装備とぶつかり合った。その指は音叉となり、彼女を震わせて立っていられなくした。ルパートは鋼鉄の姫から刃を引き剥がし、下に向かって突き刺した。ルクミニーは目に入った最も近くの物体を手に取り  それはテスター用のオナホールのパッケージだった  そして全力でその一撃を防いだ。その肉付きの良いグリップは、刃が彼女の頸動脈を床にピン留めするのをかろうじて止めた。

2人は互いに力を力を込め合っていた。汚れた刃はさらに下に沈み、ルクミニーの頸動脈に押し付けられ、その中に沈み込んで行った。血が漏れ出すと彼女はわずかに息を呑み、サムライは体重で彼女を圧倒しようと前のめりになった。2つのコンバットブーツが彼の股間に突き刺さったが、彼は倒れるどころか、立ち上がって笑った。「はっ! マサムネが、パイズリが女将アマテラスとイナリを眺めていたオンセンで鍛えられたように、私も戦いとテンガのオンセンで男らしさを鍛えたのだ!」

ルクミニーの指が頭足類の性玩具の主要な半分を握りこんだ。ルパートが「テンガ」と言った瞬間、彼女は体を起こし、触手の尖った先を彼の股間に突っ込んだ。子宮頸部に突っ込まれる代わりに、それは彼の腸に突入した。

この日本かぶれのオタク野郎から力が抜けると、大きく腰が落とされ、工具はさらに内臓に打ち込まれた。そして、彼はビーチボールを膨らませるような音を立てて、仰向けに倒れた。

「私は…… 負けたのか……?」彼は空に問いかけた。

「ええ、そうね」ルクミニーは言った。彼女の手は首から離れ、血で汚れていた。ルパートから飲むなんて絶対に嫌だったので、彼女はセーターの生地を裂いて、その場しのぎの包帯を首に巻いた。

「最期に頼みたいことがある、クダサイ」 死にかけのオタク野郎が言った。「1つ、情けをかけてはくれないだろうか?」

彼は肺一杯の血を吐いた。「この謙虚なオタクは…死ぬ前に一度でいいからニホンを訪れたいと思っているのだ」

店員は肩をすくめ、机の後ろにあるレバーを引くと、カナダ行きの穴  銃、カウボーイハット、そして銃とカウボーイハットを使ったポルノのある田舎者のワンダーランド  に通じるシャフトが開いた。ルクミニーがルパートをブーツで突くと、ポータルはルパートの後ろで閉じた。

「ファッキン・ウィアブー」ルクミニーと店員は声を揃えて言った。2人は一瞬、目を合わせた。そして店員は無許可のメカゴジラ×ガンダムのBL同人誌をめくり始め、ルクミニーは限定版のヘンタイを手に取ろうとした。しかし、玄関のチャイムが鳴る前に『アルティメット・ヨモギ姫・デスバスタード』のテープに目を通すのがやっとだった。

「ここで売っている商品は何? 有り得ないわ!」店にやって来た新しい客は、カウンターに向かって店員に叫び、唇から唾を飛ばした。彼女は常識的なカーディガンとカーキ色のカプリを着て、髪は短く、アシンメトリーで、残念なことにブロンドのハイライトが入っていた。サングラスはGucci、チャームブレスレットはTiffany、バッグはCoach、そして人種差別者であることは明らかだった。「私のジェイソンは一度だけここに来て、そして怖い目にあったのよ!」

「奥様、未成年の方のご入店はお断りしておりますが」店員は驚くほど忍耐強かった。ルクミニーならあの女の歯を抜いているだろう。「ジェイソン君はおいくつでしょう?」

「22歳よ! でも、まだ可愛い私の赤ちゃんなの!」その女性は顔を真っ赤にして、言葉を発するたびに唾液がレジカウンターに付着していった。「アンタらみたいな変態どもがね、あの子を堕落させたんでしょう! 今、あの子は自分を女の子だと思い込んでるのよ!」

店員の顔は、接客業のような優しさから、怒りを抑えきれないような表情に一瞬で切り替わった。「奥様、今すぐお引き取り願えますでしょうか?」

「嫌よ!」それは言葉というよりも悲鳴であり、原始的な怒りの表現だった。「私の息子を奪ったマンガどもをこのままにしておけるもんか! 燃やしてしまえ!」

その瞬間、ルクミニーが声を上げた。「お嬢さん? 私がお前を消す前に消えろよ。とっととしないとこの世からご退出願うことになるぞ」

女性はルクミニーに向き直り、罵詈雑言の嵐を浴びせようとしたが  その怒りの矛先を背後のVHSに向けた。「それよ!」

彼女は指を鉤爪のように前に出し、ルクミニーのお宝に向かって進んだ。「アルティメットだかヨモギだかのやつ! そのビデオのせいで私の赤ちゃんが汚らしいゲイのトラn  

彼女の悲鳴はまるでうがいの様な音になった。顔を下に向けた女性の喉からは3インチの木と鉄が突き出ており、店員の手にはアンティークのクロスボウが見えた。店員は銃口の存在しない煙を吹き、サイン入りのポスターを頭の後ろで叩いた。

フタナリ・デカチチビッチ・フィアスコFutanari Titwhore Fiasco: ライブ in クリミア!

ルクミニーは眉をひそめた。店員は振り返ると、すぐに別のポスターを叩いた。

トランスジェンダーの権利を守れ!!


ルクミニーから親指を立てられ、店員はウインクで返した。「ねえ、貴女今  」ドアがバタンと開いて彼女を遮った。

「動くな!」彼自身と同じくらい平凡なグラフィックTシャツを着た、非常に平凡な20代の白人男性が彼女に向けて劇的にポーズをとった。

「お前は誰だ?」ルクミニーは言った。

「俺の名はジョニー・クルセイダー! 片思い相手の7人の邪悪な元カレ/元カノどもを倒し、彼女とデートすることを目指す者だ!」この社会不適合者は再びポーズを構えた。明らかに威嚇しているように見えた。「そして君はそういった元恋人どもの1人だ。彼女の名誉のために決闘を申し込む!」

「嫌よ!」彼女は叫んだ。「もう名誉の決闘なんかしない! ここはファッキン・ヘンタイ・ショップなの! ただポルノを借りて、恥じらいながら帰りたいだけ!」

「恥じらいながら?」店員が言った。

「アトミック・ウェッジを喰らいたくなけりゃ、私の前から消えな」

その時ジョニーが泣き出したので、ルクミニーの顎は床に落ちた。

「俺は…… 俺はただ、」 彼は泣きながら声を詰まらせた。「俺はただ彼女を喜ばせたくて…… 彼女はいつも貴女のことが嫌いだと言っていたから…… だから俺は  

「おいガキ、その彼女ってのは一体誰なんだ?」

「彼女は……」 彼は鼻をすすった。「彼女の名は、ナオミ。ナオミ・ハンコックだ」

ルクミニーはその名前に聞き覚えがあり、彼が誰のことを言っているのか頭を抱えて思い出そうとした。ハンコック…… ああ。彼女は笑いをこらえた。「髪が緑色? ローラーダービーをやってる? 拳に "CAPS LOCK" ってタトゥーが入ってたりする?」

ジョニーはうなずいた。「髪は…… 髪は今はピンクだ。でも、他は合ってる。」

「OK、まず第一に私はアイツの元カノじゃない。2回ほど一緒に寝ただけ。第二に? アイツはアンタのチームのプレイヤーにはなれないよ」ジョニーは混乱した犬のように首をかしげて彼女を見つめた。「アイツはストレートじゃない。バナナみたいにひん曲がってる」 まだ理解している様子はない。ルクミニーはため息をついた。「アイツは筋金入りのレズビアンだよ。アンタには勝ち目がない」

彼は再び涙を流して膝をついた。ルクミニーはどう反応していいか分からなかった。「ああ…… おい…… なあ、泣くなって。私は泣きつかれると弱いんだ……」思わず店員に助けを求めたが、彼女は巨大ロボのエロ本の新刊を手にしていて、このドラマを無視していた。

「こうしよう」ルクミニーは、泣きじゃくるオタクの前にしゃがんで言った。「もし、それでアンタの気が晴れるのなら、決闘してあげる。命の取り合いまではしないから、目の周りに青アザこさえて、それをナオミに見せれば、ナオミが哀れみの手コキとかしてくれるかもしれない。まぁ、あくまでかもしれないって感じだから、あまり期待しない方がいいとは思うけど」

「ダメだ! 俺と戦え!」

「"Gamers Do It Online" って書かれたシャツを着た人を殴るのは、児童虐待だと思うんだよね。目の周りにアザだ。この提案が飲めないんなら  

「俺と戦えこのクソアマ!」

ジョニーの歯は、ルクミニーの拳と運命の出会いなんか果たしたくなかったし、まさかそのまま喉の奥にお持ち帰りされるなんて思ってもみなかった。4ルクミニーは、倒れている彼の上に乗り、アルヨモのテープに手を伸ばした。「あとでナオミにも会いに行こうかな。アンタのケツを蹴ってやるのは、きっと感謝のァアアア  

ルクミニーの言葉は風の中に消え、とても大きくてとても重い何かに足首を掴まれて、棚に振り落とされた。痛々しく転がった彼女が目にしたのは、"Gamers Do It Online" シャツの残骸をまとった巨体だった。彼女は、メガ・ジョニーのジーンズの股間部分が彼の成長に耐えていたことに安心した。

「何だ…… この……」彼女は途方に暮れた。肋骨が悲鳴を上げながら立ち上がると、巨大な拳が散乱したテンガエッグの山に叩きつけられ、頭蓋骨も同様に悲鳴を上げた。

「青アザはどうした?」ジョニーは巨大な拳で自分の胸を叩いて言った。ルクミニーは転がって彼の両目を撃ち、さらに転がって彼の倒れてくる巨体を避けた。彼女はよろめきながら立ち上がって、頭に手を当てた。幸いなことに、彼女の鼓膜はその衝撃に耐えていた。

「これはどういうこと?」彼女は店員に言った。

「いや…… 私にも何が何だか」店員は必死になって言った。「空中にブロックがあって、彼がそれをパンチしたら、キノコが出てきて……」

「畜生、そりゃクソオタクのやつだ」

彼女にある考えが浮かんだ。(畜生、そりゃクソオタクのやつだ) 彼女は頭上で巨大な拳が振り下ろされ、隣の棚を消滅させたときに身をかわした。

「残機だぜ、ビッチ。」とジョニーは新しく得た喫煙者のような声で言った。

(プラチナカードでカバーできるといいんだけど)

ルクミニーは後ろに転がって、彼の背中をよじ登った。彼女の銃が彼の首に当てられると、銃身が爆発した。

「この野郎……」

彼女は彼の首の後ろに焦げ跡が付くのを十分な時間が見守ったが、巨大な肉の手が彼女の手をつかみ、『ウルトラ・ヨモギ姫・デスバスタード』の像に投げ込んだ。彼女の肋骨はその大層な挨拶のためにダメージを負っていた。ルクミニーは銅像を支えにして、状況を把握しようとした。

その状況とは、非常に巨大な大きなお友達が自分に向かって突進してきているということだった。彼女は像の後ろに身を隠し、肉厚の拳の連打を受け止めた。なんとか、予備のナイフが彼の腹筋を貫き通せるかどうか考えていたが…… 待って、あそこ! ジョニーの後ろ。シマパン・マサムネだ。ルクミニーは像の後ろから飛び出し、刀に向かって疾走した。ジョニーはその体格のために鈍重で、頭も悪かったので、彼女が刀を自分に向けて振りかざすのをただ振り向いて見ていた。

刀は、チーズをすりおろせるほど四角いシックスパックで跳ね返った。ルクミニーは顔を赤くして、すぐに自己嫌悪に陥った。

「俺は愛の力で守られている!」ジョニーは刀を摘んで振ったが、ルクミニーは間一髪で後ろに跳ね、刀を握り続けた。彼は支離滅裂な咆哮を上げて、再び突進してきた。

ルクミニーは足が速かったので、マンハッタンで2番目にセクシーな轢死体になるのは免れた。彼女は寿司味のローションが置かれた低い棚に飛び乗り、通り過ぎようとするジョニーの肩を踏み台にして跳躍した。彼女の指は、天井から吊るされた緊縛マネキンのハーネスに引っかかり、ジョニーが振り向く前になんとかその上に乗ることができた。

「何処に行きやがった!」彼は棚を倒したり、テーブルをひっくり返したりしながら、店の中を歩き回った。「俺から逃げられると思うなよ、このクソビッチが!」最終的に、彼はルクミニーの真下に迷い込み、彼女は攻撃した。

「ヘイ、ジョニー!」彼女は言った。

ジョニーは顔を上げ、口を開けて吠えたが、その時にはシマパン・マサムネが彼の喉を突き刺していた。ルクミニーは片手で刀の柄を持ち、もう片方の拳で何度も刀を打ち付けた。その場しのぎのスパイクが彼の喉に突き刺さると、血と支離滅裂なうめき声が彼女に飛び散った。彼は刃を掴み、彼女の腕を掴み、そして刃の先端が絨毯の床に到達した時ようやく膝をついた。

ルクミニーはしばらく待ってから床に降りた。「もう残機は残ってないよな」彼女はセーターで顔を拭いた。「このセーター、気に入ってたのに。畜生め」彼女は確実に殺したかを確かめるために予備のホルスターに手を伸ばしたが、そこには何もなかった。

「私の銃はどこへ?」彼女は空に向かって言った。

「ここよ」と空が答えた。

それは空ではなかった。ルクミニーは振り返り、サーモバリックミサイル以来の最悪の近接格闘技の使い手と目を合わせた。ロクサーヌ・ペーパーシザーツ(綴りはZが3つ)だ。地元のジャンケンチャンピオンで、この2年間、ルクミニーの宿敵としての地位を築こうとしていた。彼女の体の殆どは安物のサイバネティクスで置き換えられていた。改造を施したのは、彼女が割引されたレイザーガールの給料で雇うことができた最も大ざっぱな裏通りの闇外科医と異端のマクスウェリストだった。彼女がクロムを必要としたのは、ルクミニーに決闘を申し込むという最も自己破壊的な習慣のためだった。ロクサーヌは一度も勝利を収めることなく、毎回最初の時よりも少しだけ血肉が減る結果ではあったが、きっちり死んでしまうことはなかった。彼女はルクミニーのプロの殺し屋としてのキャリアの中で、食器棚の中のゴキブリのような存在だった。

そして今回は、彼女はゴキブリに先手を打たれてしまった。ナイフを取ろうとしたルクミニーの肩を銃弾が吹き飛ばした。彼女は自分のホローポイント弾が関節の中で膨張するのを感じ、腕がぐったりと動かなくなった。

「やっと良い位置に来てくれた、」ロクサーヌはほくそ笑んだ。彼女はピストルをルクミニーのもう片方の肩に向けたまま、刀の射程距離ギリギリで歩みを止めた。「それじゃあ…… ゲームをしましょうか」

「何?」

「ゲームをしましょうって言ったの。どのゲームかは分かるでしょう?」ロクサーヌはニヤリと笑った。彼女の背中からは、棘付きの機械の拳が伸びていた。

「オーマイガー」

「最初は……」

「頼むから撃って」

「グー……」

ルクミニーはため息をつきながら、手を出す準備のため、動く方の手を出した。

「じゃんけん……」

「クソ卑劣ね」

「ポン!」

ロクサーヌはグーを出し、ルクミニーはチョキを出した。弾丸が彼女の膝頭を吹き飛ばした。ルクミニーは悲鳴を上げて後ろに倒れ、ジョニー・クルセイダーの硬い死体に頭をぶつけた。

「マザーファッ  

「3回勝負よね?」ロクサーヌはもう1歩近づいて尋ねた。

ルクミニーはうめき声をあげた。「お願いだから、トドメを刺してくれない? その方がお互いに屈辱感がないでしょ?」

「こうしましょう、」ロクサーヌは言った。「もし貴女がこのラウンドに勝ったら、その時は  その惨めな気分から解放してあげる。最初はグー、じゃんけんポン!」

ルクミニーはこのラウンドでじゃんけんに勝った。しかし、それは相手にとっては喜ばしいことではなかった。銃は再び火を吹き、ルクミニーのもう片方の膝頭を破壊した。ロクサーヌは再び前に出て、ルクミニーの銃を彼女の額に押し付けた。

「最後のゲームね」ロクサーヌは息をついた。「3回勝負、先に2勝  できなきゃ貴女は死ぬだけ。」

彼女の指は引き金を強く握った。「最初はグー、じゃんけん  

ルクミニーの手が素早く動いた。銃を斜めにスライドさせて1発目を無効化し、ロクサーヌの指を拳銃に押し付けて手放させ、待っていた彼女の手の中で拳銃を回転させた。引き金はさらに5回引かれ、レイザーガールの額の真ん中に一筋の穴を描いた。

「撃つなら撃てよ、」ルクミニーは叫んだ。「喋るな」

彼女は胸ポケットから錠剤の入った瓶を取り出した。飢餓の第九界より来たる口の悪魔の粉末だ  彼女はこれを主に二日酔いを治すために使っていたが、他の用途もあった。2つの錠剤を喉に通すと、傷口から歯が生えてきた。彼女はロクサーヌの死体をしっかりと掴み、この小さな口を使った。レイザーガールの死体を引き裂き、鋼鉄から肉を剥ぎ取ると、ルクミニー自身の体に取り込んだのだ。血管が補修され、傷口が塞がり、神経が縫い合わされ、腕や腹筋や太ももが引き締まった。歯は嫌悪感を掻き立てる小さな音を立てて抜け落ち、ルクミニーは生まれ変わった。彼女は立ち上がり、ジョニー・クルセイダーの完璧な腹筋に片足を置き、内臓を飛び散らせながら彼から剣を引き抜いた。燃やさないといけない。

「オーケー、」彼女は血と内臓とラーメン水に浸かったまま言った。「他にいるか? 他にこうなりたいファッキン野郎はいねえよな?」

答えるものはいなかった。ルクミニーはよろめきながらVHSの通路に向かい、ゆっくりとテープに手を伸ばした。

「ちょっと待って!」誰かがと声をかけた。ルクミニーは、盗んだ侍の刀を構えて身を翻した。サイズの合わないハワイアンシャツにピンクのスラックスを履いた男が、たじろぎながら後ずさりした。

「何?」彼女は引きつりを起こしながら言った。

「あの、えーと…… 昨日、そのテープをレンタルで予約した者なんですが、」男は言った。「私はクリッパーで、アッ、Are We Cool Yet? のメンバーなんですけど。それで、次の作品に使うためにそのテープを複製して、再構成して繫ぎ合わせようとしてるんですよ」

「残念だったね」ルクミニーは言った。「私はとっと家に帰って、これをオカズにマジにエグい絶頂エクスタシーを迎える予定なんだ」

「えっ、でも、私は…… 先に電話してて…… 予約が……」

彼の下半身に向けられた刀によって、彼の声は途切れてしまった。「あっ、そうだね。もう一度予約を入れなおそうかな」

「いい選択だと思うよ」

クリッパーはそそくさと後退した。後退するのに精一杯で、足元にラムネの空き瓶があるのに気づかなかった。彼が後ろに倒れて、レジの台に音を立てて頭をぶつけたとき、叫び声が上がった。

「今の見たでしょ。私じゃないよ」ルクミニーが言った。

クリッパーの頭部には血が溜まり、体はわずかに痙攣していた。ルクミニーは待った。1秒。2秒。5秒。何も起きなかった。

「やっとこの時が来た。」ルクミニーは死体の山を越えて、賞品が待つ棚に足を踏み入れた。あるいはそうあるべきだった。『アルティメットぶっかけワールド XII: ファイナル肉便器トーナメント』と『アルティメットレスリング男 VS 女王様ギルド』の間には、VHSテープ1本がぴったり収まる隙間があった。彼女は周りを見回したが、彼女の賞品を横取りできるものは居なかった。そして、店員が食い入るような笑みを浮かべて賞品を振っていることに気づいた。

「どうやって……」

店員はルクミニーの耳元で「瞬歩」と囁いた。ルクミニーがたじろぐ間もなく、彼女はカウンターに戻っていった。「それでは、1週間のレンタルで5ドルですね。それとも……」

「それとも?」ルクミニーは刀を構えて警戒しながらカウンターに近づいた。「私はもう決闘にはうんざりだし、貴女もこのファッキン・パンティー・ソードで死にたくはないんじゃない?」

店員は首を横に振った。「えーと、私は従業員アカウントでこれをタダで見れるんだよね  しかもこのすぐ上の階に住んでるんだ」 彼女は唇を噛んでウインクした。「いい提案だと思わない?」

「私は血だらけなんだけど」

「うちのシャワー室は広いから2人入れるよ」

「ああ、それは素敵ね。でも誤解しないで  

「1998年版『少女革命ウテナ』の妖精シー語吹き替え版もあるんだけどな」


ルクミニーは見知らぬベッドで目を覚ました。彼女はアルティメット・ヨモギ姫・デスバスタード公式グッズのTシャツを着て、アルヨモ公式のサイハイストッキングを履き、できれば非公式であって欲しかったアルヨモのペニバンを装着していた。「なんてこったい」

傍らの毛布が動き、ヘンタイショップの店員の頭が現れた。「もう勘弁して、腰が壊れちゃったよ」彼女は体を起こそうとして、動きを止めた。「ちょっと、手錠外すの手伝ってくれない?」

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