まどろみの砂
評価: +7+x
blank.png

パンデミックの間、朝起きるのが遅くなっていることに気づいた。結局のところ、世界が最悪の事態に陥っているときには、誰だってすべてが終わるまでただ横になって眠りたくなる。それでもマスクを着けて地域の公園を歩くが、全体的には、自分が配属中にやろうと誓った活動に対するモチベーションが失われている。

最近では、自分が見た夢のそれぞれを夢日記に記録している。いくつかの夢はかなり興味深いと感じるから、夢のメモを取ることで最終的に明晰夢を見られるようになるかどうかを確かめたい。これが本当に効果があるのかはわからないが、セラピストがこの日記をくれたので、せっかくならその目的で使うつもりだ。

夢の中にはありふれたもの、たとえば建物から落ちる夢や海で溺れる夢もある。他には、すでに忘れようとした人々が関与する、非常に個人的な夢もある。ほとんどの夢は、暇な時間にプレイしているインターネットメディアやゲームに関連している。それでも、朝になってトイレに行き、朝食を食べるとすぐに忘れてしまうくらい、特に印象に残らない。ただ、私が見ている夢の一つに、他とは違う夢がある。

夢の内容はあまり覚えていない。コーヒーを一杯飲むとすべての夢は消えてしまい、すぐに仕事に行かなければならないからだ。少しだけ断片的に覚えていることは、夢の中で楽しい時間を過ごしていたということ。陳腐だが、その表現を受け入れた。結局、それはただの夢だ。夢は一時的なものだから。

私は眠りにつく。何らかの戦争の中で兵士になっていた。本と棚に囲まれて、銃を持ってゆっくりと通路を進んでいく。すると、ランタンを持った大きな…何かが道をふさぐ。それに向かって発砲するが効果はなく、そのランタンを持った存在に捕まってしまう。何が起こるかわからないうちに、目が覚める。冷えた体に汗が流れる。もう一杯のコーヒーを飲んで記憶を消す。

電車に乗っているとき、うっかり寝てしまう。海の匂いで目が覚める。何らかの兵士になって、別の作戦に参加する準備をしている。顔を上げると、巨大な肉塊の塔が太陽を遮っていて、その塔がうなる。心臓が口から飛び出るような気持ちで、その獣に向かって発砲する準備をする。しかし、その前に駅員によって目を覚まされる。終点に到着したという。空は暗い。急いで最寄りのコーヒーショップに駆け込む。

葬儀の後、ベッドに倒れ込むと、彼が隣にいて、夕日が湾に沈む中で私の手を握っている。誰かがアイスクリームを食べに来いと呼ぶ。右腕に義手をつけて彼のところに歩いて行く。彼の笑顔が目を覚ます直前に見た最後のものだった。枕は濡れている。彼の顔を忘れるために、ウイスキーを取り出す。

普段よりも疲れているように感じる。時々、疲労を振り払うために多くのコーヒーを飲むが、それは全く効果がない。よく寝てしまい、毎回、夢の中で彼の顔を見る。手を伸ばそうとすると目が覚め、目が覚めるたびにウイスキーの瓶を取り出して、一緒に過ごした時間を思い出す。

時々、壊れた家に侵入する際、彼が隣にいる。手を握りながら、空間が歪んで曲がっていく。それを通り抜けると、心がざわざわと高鳴る。彼の顔が私の周りで溶けて、床や壁と一体化する。

また、通信を通じた人々の命令に従って彼を撃つ時、銃の先に彼の顔が見えることもある。私が何度も撃つように言われると、彼の顔は安堵や苦痛に変わり、歪む。私は命令に従う。

ある時、私は自分が司祭と血まみれの祭壇の前に立ち、彼の遺体は私に見えるように露わになっていることに気付く。彼の体と一体になる。涙が目から流れ、血が顎を伝い、彼の体が口の中に入る。目を覚ますと、彼の笑顔だけが心に残る。ここ数週間は瓶に触れていないが、今回は例外だと感じる。昨日も、その前の日も、三日前も。

心理医との何度かの会話と、夢日記を見せた後、薬が勧められ、アルコールを避けるように言われる。地下鉄で家に帰る途中、群衆の中で彼の顔を見る。追いかけようとするが、どこにもいない。彼の顔が頭に浮かびながら、電車に乗る。

砂嵐と銃撃に囲まれながら、夢の世界へ歩いていく。彼の出血する体を抱え、かろうじて見覚えのあるシンボルが彼に触れ、彼を蘇らせる。私は彼の穴を銃弾で埋め続けているが、死なない。痛みで泣きながら、笑いながら、叫びながら、弾は撃ち続けられ、彼の叫びは響き渡る。最終的に彼は止まるが、この任務の後で一緒になるという彼の約束は、私の心でささやいている。私は彼のフラスコに手を伸ばして彼の好きなビールを一口飲む。彼の血が私の顔を覆い、涙で飲み物がしょっぱくなり、何もかもをやめてと叫びながら、私は汗と涙に覆われ、後悔にまみれて目を覚ます。

よく眠れないので、睡眠薬を飲み始めた。履歴書も直して、解雇された後で仕事を探し始めた。 夢の中で彼の顔を見ることもあれば、見ないこともある。彼の顔を見るためだけに必要以上に睡眠薬を大量に飲むこともある。そして、家に帰って一緒に撮った最後の写真を見ると、私は疑問に思う――まだ夢を見ているのだろうか?

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。