SPC-1710-JP
rating: +57+x

中央情報管理局ならびにプロジェクト運営事務局(CICAPOCO)による通達

SPC-1710-JPは全世界のセンター施設で稼働中のプロジェクトです。Chopin Gorillaの育成・教育はセクター-98にて専門の職員により行われます。完成基準に至った個体はセンターの有機殴打資産として扱われ、必要に応じて戦闘ユニットに割り当てられます。


プロジェクト番号: SPC-1710-JP [稼働中]
プロジェクトコード: ショパン・ゴリラ SCLv/3

鮫科殴打ケイパビリティ

SPC-1710-JPはより効率的な鮫科存在の殴打を目的に構築されたプロジェクトです。主要構成要素の強靭な体格とパワーに加え、特徴的な音波奇跡論によって高い効率で鮫科存在を仕留めることが可能です。

プロジェクト構成

SPC-1710-JPはセンターとジョイクル・ラボラトリーズの間で共同開発された亜ゴリラ的生命体("Chopin Gorilla")を主要構成要素に含みます。

Chopin Gorillaの素体にはニシローランドゴリラ(Gorilla gorilla gorilla)が利用されていますが、その身体には多数の増強改造が施されています。これらの増強によってそのパンチ力は飛躍的な向上を遂げており、ホホジロザメを一撃で殺害するほどの威力を有しています。

CG.jpg

飼育エリア内のChopin Gorilla。

Chopin Gorillaの顔面部は故フレデリック・フランソワ・ショパンのものと酷似する形に作り変えられています。これは異次元上の神的エネルギー交換炉との交流ポインタとして機能します(プロジェクト経緯02を参照)。これにより、Chopin Gorillaはその本来のEVE出力1を大きく超過した出力で音波奇跡論を行使することができます。

最後に、Chopin Gorillaに命令を従わせ、センターに有害な形での能力の行使を抑制できるように、その脳内にはプロメテウス社製の小型情動操作機器が埋め込まれています。これは外部の発信機器により操作が可能です。また、いざという時のために自爆する機能も備えています。


プロジェクト経緯01: デスゴリラ計画

1994年、センターはより効率的な鮫科存在の殴打のために新たな殴打資産の開発をスタートしました。素体としてニシローランドゴリラが抜擢されたことから、プロジェクトは”デスゴリラ計画”の名で呼ばれるようになりました2。この計画はセンターの有機殴打資産開発部門(OPADD)が有する最も巨大な施設であるセクター-983にて進められていました。しかしながら進度は芳しくなくゴリラの管理に難航し、加えてゴリラたちの反乱インシデントが発生したことで、1997年にはプロジェクトは休止されました。

1998年の7.12事件に伴うヴェール体制の崩壊により、ジョイクル・ラボラトリーズが徐々に積極的な活動範囲の拡大と各組織との提携を開始しました。2001年にはセンターとジョイクル・ラボラトリーズの間に公式な提携が結ばれました。

センターとジョイクル・ラボラトリーズの間の初めての共同開発として、デスゴリラ計画の再始動が当てられました。ジョイクルの生体技術によって効果的な増強に成功し、またジョイクルが闇ルートから仕入れてきたプロメテウス社の情動操作機器4を利用することによってほぼ完全な管理ができるようになりました。


プロジェクト経緯02: ハンノ博士の提言

ショパン・カルトの技術を利用したデスゴリラ計画の更なるアップデートに関する提言

ハンノ・ローランド博士

どうも皆さん、こんにちは。私はハンノ・ローランド、OPADDの上級研究員です。今回私が提言いたしますのは、デスゴリラ計画を更に強力なものにできるであろう技術の開発についてです。

「デスゴリラ計画は既に完成している」?

まあ、確かにその通りです。デスゴリラたちは既に強力です──しかしながら、あくまでも殴打エージェントの補助程度にしかなっていません。理由は機動力の不足です。

「機動力を増強できるか」?

いえ、そういうわけでもありません。そこは現状のままで切り捨てます。私は機動力ではなく、それを補う別の技能を付加しようと考えているのです。

スクリーンをご覧ください。これは俗に言うショパン・カルトの1派、聖フランソワ教会の儀式を映した映像です。彼らの目前にある銅像を見てください。ええ、ショパンの胸像です。

いい音楽ですね。しばらくは鑑賞をお願いします。

そして、はい、見ましたね?壇上の彼を貫いた光を。彼のその後の技能を。あれぞ神の御業です。奇跡です。

観測されたところによれば、ショパン・カルトは演奏する音楽によって奇跡論的な効果をある程度操作できるようです。この技術は彼らの間では”音術”と呼ばれており、そしてその実践には彼らの神、聖ショパンへの奇跡論的なリンクが要求されます。

我々はこれをゴリラたちに実装しようと考えています。すなわち、ゴリラにショパンとのリンクを仕込むつもりです。具体的には、その顔をショパンのものにします。顔は存在の象徴ですからね、大層強力なリンクとなるでしょう。

「どうやって音楽を演奏するのか」ですって?

そりゃドラミングしかないでしょうな。


プロジェクト経緯03: ショパン・ゴリラ計画

ハンノ博士の提言を受け、デスゴリラ計画への音波奇跡論の融合プロジェクトが開始されました。これに伴い、プロジェクト名は”ショパン・ゴリラ計画”へと変更されました。

聖フランソワ教会の儀式のリバースエンジニアリングが実行され、解読結果を元に異次元上に存在すると推定される神格存在との形式的エネルギー交換経路の開発に成功しました5。この交換経路をゴリラに設置し、ドラミングによりショパンの楽曲を演奏することで、曲目に応じた奇跡論的反応を引き出すことができるようになりました6。これに伴い、ゴリラにはChopin Gorillaのコードが与えられました。

以下はプロジェクト中に行われた実験記録の一部抜粋です。

演奏された曲目 効果
華麗なる大演舞曲 周囲の敵性存在の思考へ影響を及ぼす認識災害を引き起こし、対象は脳内で鳴り続ける楽曲によって思考・反応を大きく阻害される。不明な要因により、これにはセミの羽音が混入しているように聞こえる。
革命のエチュード 6体以上の敵性存在に囲われた状態をある種の結界に見立てて作動する。成功すると周囲の鮫科存在への遠隔奇跡論殴打、および体内からのセミ上科昆虫の出現を引き起こす。多くの場合、出現した昆虫は海水により死亡する。
別れの曲 口部から高出力の指向性アスペクト放射を射出する。ただし、これに伴って個体は体内から崩壊し、カック灰へと変質してゆく。この際セミの羽音が聞こえる。


プロジェクト経緯04: 実戦投入記録

2008年、初のChopin Gorillaの実戦への投入試験が行われる運びとなりました。以下はその映像記録の転写です。

試験映像記録転写

2008.07.12

注記: これらの映像はChopin Gorillaに取り付けられたビデオカメラより回収されたものである。


[前略]

00:17 サメ探知機が海中に1体の中型鮫科存在を検出。Chopin Gorillaに出撃命令が出される。

00:19 2体のChopin Gorillaが船から海中へと飛び込む。ここでは仮にCG-AとCG-Bとする。

00:23 CG-Aが海中を泳ぐ鮫科存在を発見し、CG-Bへと知らせる。

00:24 CG-Aおよび-Bが鮫科存在へと近づく。対象はどうやらホホジロザメ(Carcharodon carcharias)のようである。

00:26 CG-Aが鮫科存在を殴打する。対象は死亡し、口から血液を排出する。

00:29 CG-Aおよび-Bが船へと帰還中、突如として横から突っ込んできた鮫科存在によってCG-Bが襲われる。CG-Bは抵抗を試みる間もなく、鮫科存在によって頭部を破壊される。

00:34 CG-Aが戦闘態勢を取る。周囲を見渡すと、計6体の鮫科存在がCG-Aを取り囲んでいる。

00:36 CG-Aがドラミングを始める。演奏されている楽曲はショパンの「革命のエチュード」である。

00:37 鮫科存在どもが突如として苦しみだす。全身に多数の奇跡論的な遠隔殴打痕が表出し、口からは大量のセミ型昆虫が流出する。

00:38 CG-Aは苦しむ鮫科存在に近より、パンチでその脳天を砕いていく。

00:43 鮫科存在どもの鎮圧に成功する。CG-Aは船へと帰還する。

[後略]


プロジェクト経緯05: 現在までの状況

2008.12.01

ショパン・ゴリラ計画が完成と見なされる。以後Chopin Gorillaの実施運用計画はSPC-1710-JPとしてカタログ化される。

2009.01.20

殴打ユニットΑ-06, Α-07, Β-12, Γ-18, Ω-04にChopin Gorillaが割り当てられる。これらユニットは殴打エージェントとChopin Gorillaの合同で活動し、高い戦果を上げたことが確認される。

2009.04.20

イベント・ポセイドン発生。太平洋に出現した巨大神格存在との戦闘においてChopin Gorillaが活躍する。

2009.06.15

Chopin Gorillaのみから構成される殴打ユニット、Ω-07が設立される。

2010.03.01

Ω-07の殴打鮫数が300を突破。Chopin Gorillaの成功により、SPC-1710-JP研究チームがセンターの最優秀研究賞に選ばれる。給与が増えてウハウハとなる。

2010.03.05

最優秀賞祝いとしてSPC-1710-JP研究チームが日本へと温泉ツアーに出発する。ツアー会社は如来観光なる企業である。

2010.03.08

温泉宿の主人がヒトに擬態したサメであり、我々を捕食しようとしていたため集団で殴打する。セキリュウだのなんだの抜かしていたが、ヒトを喰うのならそれはサメである。これにより宿代が浮く。

2010.03.10

研究チームが帰還する。お土産として様々なジャパニーズプレゼンツが持ち帰られる。

2010.07.14

ヘル・ホール”から聞こえてくるショパンの楽曲に、例年と違って力強い低音が追加されているのが確認される。Chopin Gorillaとの関係を調査すべきとの提言があるも、根拠薄弱として却下される。

2010.11.09

超常鮫科存在の世界的な増殖を受け、Chopin Gorillaの更なる繁殖・配置が全世界的に進められる。

2011.05.11

Chopin Gorillaの音波奇跡論において発生するセミ上科昆虫の数が減少し、羽音が弱くなっていることが確認される。調査にもかかわらず原因は不明である。

2011.07.20

ポーランド、ビャウォヴィエジャの森にてショパンの顔をした猿が発見されたとの通報が傍受される。奇妙なことに、センターの保有するChopin Gorillaの個体数に変化は確認されない。偶然の一致であるとして処理される。

2011.12.21

メキシコ湾沖での超常鮫科存在との交戦中、Chopin Gorillaが7体KIAに、1体がMIAとなる。


プロジェクト経緯06: GOCからの通達

世界オカルト連合からの通達

2012.02.10

注記: 以下の文書は2012年2月10日、世界オカルト連合精神部門所属”ミハウ・コヴァルスキ”と自称する人物から渡されたものです。確認の結果、これはGOCの正式通達書であることが実証されています。この通達を受け入れるかどうかは殴5評議会によって現在審議中です。


──サメ殴りセンターへ

これは世界オカルト連合からの正式通告である。

昨年12月、我々はメキシコ湾で奇妙な顔をしたゴリラを鹵獲した。顔面部がフレデリック・ショパンのものと酷似していたこと、鹵獲時にショパン・カルトのものと類似する音波奇跡論を行使して抵抗したことを受け、我々は当初これをショパン・カルトに由来するアノマリーであると見なした。

しかしながらその後の司法解剖の際、臀部に貴組織のシンボルがあることが確認された。このために我々はしばらく貴組織の調査を実施し、その結果貴組織がこれらの違法改造されたゴリラたちを利用していることが明らかになった。

この技術は異次元上の極めて危険な神格存在に養分を与えてしまいかねないものであり、最悪の場合'98年の夏を再び繰り返すことになるだろうと想定されている。

そのため、我々は貴組織に対してこれら技術の利用の即時停止を希望する。これが成されないならば、我々は貴組織に対する軍事行動に出る予定である。

1週間後、そちらに再び我々の使節を送る。返答を彼に伝えてほしい。


──世界オカルト連合より

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。