中央情報管理局ならびにプロジェクト運営事務局C I C A P O C Oによる通達
当プロジェクトは頓挫しつつあります。


初代鮫殴打海上救護士セイバー・ディープブルー
プロジェクト推進難度: 時化 ●
鮫科殴打ケイパビリティ: 私たちは日頃から鮫科存在を殴打し、結果として連日プロジェクト達成の報告が多数寄せられています。しかし、この成功の裏に反作用が発見されました。SPC-CN-2021はその反作用を打ち消すべく、センターが取り組むべきプロジェクトです。

鮫科存在を舐めてるワッパ
プロジェクト構成: SPC-CN-2021は、訓練されていない民間人を鮫科存在から保護し、鮫科存在の危険性を啓蒙するプロジェクトです。我々の活動1が民間人にも影響を与えており、民間人がサメを畏怖せず、逆に軽視している傾向が確認されています。これはサメ殴りセンターの構成員や賛同者を増加させる結果を齎していますが、訓練されていない民間人が安易に鮫科存在に接触していまうケースも比例するように発生しています。鮫科存在の殴打には不断の努力による肉体鍛錬が不可欠であり、貧弱民間人の不用意な行動は適切ではありません。民間人が鮫科存在によって危害を加えられてしまう現状を、殴5評議会は遺憾に感じており、対抗するプロジェクトの構築が推進されました。
"鮫殴打海上救護士セイバー・ディープブルー"と呼称される殴打エージェントを構成要素に含みます。セイバー・ディープブルーは"超電救助隊"の一員であると認められたヒーローであり2、対鮫科存在との格闘に於いて民間人の救護に特化した訓練を積んだ殴打エージェントです。屈強な海の男を象徴するような外見的特徴と、愛用のジェットスキーがトレードマークであり、サメ殴りセンターが公認する愛と拳の狂戦士です。やはり特筆すべきはそのハートであり、サメ殴りに掛ける情熱は燃え盛る火炎であり、最早殴打の化身と呼称することが相応しいです。
セイバー・ディープブルーは以下の任務を帯びます。
- 民間人を襲う鮫科存在への殴打/撃退
- 鮫科存在が原因で負傷した民間人への激励
- 鮫科存在の脅威を児童へ啓蒙
- 各種興行
- 後進育成
セイバー・ディープブルーはセンター-522に在籍し、殴打任務の一環として上記任務を遂行します。セイバー・ディープブルーがヒーローとして活動することで民間人/児童に注目され、円滑な啓蒙活動に役立ちます。
プロジェクト障害: セイバー・ディープブルーの不人気
セイバー・ディープブルーは、「民間人を襲う鮫科存在への殴打/撃退」「鮫科存在が原因で負傷した民間人への激励」の2つの任務に関して良好な結果を残していますが、残る3つの任務がほとんど達成されていません。特に児童からの人気が絶望的に無く、児童からは「ヒーローを騙る不審者」という評価が下されています。不人気はヒーローとしてカリスマの欠落を意味し、啓蒙任務の遂行が不可能であることを示します。センターはSPC-CN-2021の改善のため、セイバー・ディープブルーに関する批評を超電救助隊ヒーロー本部に依頼し、その回答を得ました。以下は回答の抜粋です。
批評依頼返信
頂いた資料を拝見しました。少し見ただけでも不人気の原因がいくつか見えてきました。良いと思った所と悪いと思った所を書き留めて送付しますので、改善にお役立て頂けたらと思います。
神速小児救命士ピディアトリクス・シルバー
★ 良いと思うところ
とにかく強い
⇒腕っぷしはかなりのものですね。強さはヒーローの資質の1つであり、セイバー・ディープブルーの強さはほとんど最強格と言えると思います。海の上を走ってみせるなど、身体能力は私達が見てきた中では最高だと断言できます。
必殺技がド派手
⇒技名は分かりませんが、海を吹き飛ばす技がかなり派手で良いと思います。強いて言うなら技名をしっかり宣言した方が子供人気が出ると思いますね。
★ 悪いと思うところ
ビジュアル
⇒ずばりここが一番だと思います。外見が完全に中年男性であり、ヒーローっぽさがありません。是非、ヒーロー達の前例や周囲の評判を元に外見から改善なさった方が良いかと……。私も中身は年寄りですが上手い事やってます。
やってることにドリーム感がない
⇒攻撃手段が執拗な殴打ばかりでビビります。見た子供も引いているようです。流石に灰皿で殴ったりはやめた方が良いかな……
活動内容が狭い
⇒もっと手広くやったほうが良いですね。市民がサメに襲われている時だけ現れても活躍の機会が少なくないですか? 溺れている人を助けたり、迷子の子供を案内するだけでも立派な活動です。あんまり拘らずに幅広くやっていただきたいと思います。
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いかがでしょうか? 最初に改善するべきはビジュアル面です。頑張ってください。
この批評を受け、SPC-CN-2021の改善が計画されました。
プロジェクト改善: 批評を受けてのプロジェクト内容変更

二代目セイバー・ディープブルー
SPC-CN-2021の改善には大規模な変更を伴いました。まず、批評において最大の問題点として挙げられた外見についての変更を行いました。ヒーローとは猛き心を正義に燃やす等身大の人間であり、外見の問題を取り上げるのはナンセンスです。そのため、現状のセイバー・ディープブルーに目立った欠点は感じられません。しかし、センターは「奥様層に人気がでると連鎖的に子供の目にも止まりやすくなるため、ヒーローはイケメンが望ましい」という情報を入手しました。前述の通りヒーローとは心であるため不本意ではあるものの、プロジェクト運営事務局は二代目セイバー・ディープブルーの選定を行いました。二代目セイバー・ディープブルーは初代と比べて殴打エージェントとしての経験は少ないものの、サーフィンなどにオシャレ趣味に精通しており、奥様人気が期待できます。

確保されたドリーム感
指摘されたドリーム感について、通常の殴打任務でドリーム感を確保することは困難です。大型の鮫科存在と格闘した際は多少のドリーム感を確保することに成功しましたが、民間人と接する場面では無かったため、セイバー・ディープブルーの不人気を解消する結果に至っていません。殴打方法でドリーム感を確保する試みも行われましたが、二打目セイバー・ディープブルーの殴打ボキャブラリィにおいて最もドリーム感のある殴打方法は発勁でした。発勁自体には多少のドリーム感があるものの、正直見ていてピンと来ないため、結果的にこの試みは失敗しました。そもそもドリーム感と言う単語が意味不明であり、やたら不明瞭です。中央情報管理局とプロジェクト運営事務局はドリーム感の確保において明確な答えを出せていません。超電救助隊に対し、ドリーム感の説明を求めましたが、意味不明な回答以外得ることが出来ませんでした。

森海鮫の脅威
セイバー・ディープブルーの活動範囲の狭さは以前からセンター内で指摘されていました。海辺で確認される鮫科存在だけをターゲットにするのでは、殴打機会に恵まれにくい事実が指摘通り存在します。そのため、プロジェクト運営事務局はセイバー・ディープブルーが殴打する鮫科存在の対象として、試験的に森海鮫を追加しました。森海鮫は近年増加傾向にある鮫科存在であり、登山やトレッキングに森林地帯を訪れた民間人に被害を齎しています。対抗する殴打エージェントの中には高低差ある森林地帯に慣れていない者も一定数存在し、想定以上に苦戦する実例も数多く存在しています。二代目セイバー・ディープブルーのトレーニングには、森海鮫の殴打を目的にした山岳地帯でのメニューが追加されています。
プロジェクト変遷: プロジェクト頓挫経緯と再構築検討

奥義『魔離孔海哮』を使う
五代目セイバー・ディープブルー3
もう何だかわからん っていうか赤いんだが
プロジェクト内容変更後もセイバー・ディープブルーの問題点は改善されませんでした。超電救助隊ヒーロー本部に再度の批評を依頼したところ、「ビジュアル面改善の方向性が違う」と指摘があるのみであり、それ以降回答はありません。また、昨今では超電救助隊所属と思われるタイツ姿にフルフェイスマスクの変態集団が「罪なき動物をレスキュー!」などとパッパラパ~よろしくセンターを襲撃しており、超電救助隊との関係は悪化しています。
やはり、超電救助隊の考え方には誤りがあり、ヒーローにとって大切なものはビジュアルではなくハートです。センターは超電救助隊に頼らず、独自にヒーローの在り方を研究しました。現在、セイバー・ディープブルーは五代目であり、継代する度に改良が行われています。結果的に言うとこの試みは迷走しており、いよいよ原型がありません。しかし、我々は「大切なのはハート」ということを信じ、当該プロジェクトの再構築を検討しています。