特別事象のクラス分類について

当ドキュメントはサイト-██にある廃墟群にて、SCP-███の収容違反とそれに続く[編集済]の襲撃とが発生し、それにより同サイトが崩壊、同地の全職員や全SCPオブジェクトが消失するに至った後に発見されました。当ドキュメントは今日における現行のクラス分類とは整合しない点が多々あるものの、基本的な事象 (概して "世界終焉" に分類されるが、その他のものも含まれる) を目録化しています。同地にて勤務していた職員にこの種のドキュメントの閲覧に適合するようなクリアランスレベルを持つ者が一人もいなかったことを踏まえると、何故このような (情報が古かったり部分的に誤っていたりこそすれ) 種類のデータがサイト-██に存在していたのかは依然として不明なままです。

K-クラス事象

K-クラス事象は概して "世界終焉" という意味を持つが、それらは必ずしも我々の世界の崩壊を招くものではない。"世界終焉" はこの惑星における森羅万象の今現在の在り方に対するありとあらゆる深刻な改変を意味し、その成因は概して異常現象に帰せられる。K-クラス事象の大半はKeterクラスオブジェクトの収容違反により引き起こされるが、例外も含まれる。以下にジャクソンK-クラス分類システムに基づくK-クラス特別事象を列挙する。

AK (Affection Keter)-クラス世界終焉: 執着。精神的あるいはミーム的な全世界規模の異常影響であり、人々のふるまいを改変し、ある特定の動作を常に行うようにさせるもの (活性中のオブジェクトに左右される)。この種の事象は急性・慢性という2つのサブタイプに分けられる。急性型において当該影響は人々に対して、生命活動にとり必要不可欠で基本的な物事 (睡眠、食事など) すら阻害する。慢性型においてもこうした影響が続くが、それ以外のあらゆる活動 (職業活動、社会活動など) までもが不可能同然な状態に陥る。以下はその例である。

  • SCP-571は、感染者にその感染源を再現することおよびその周囲の人々にも感染拡大することを強いる、ミーム汚染である。
  • SCP-1101は精神に影響を及ぼし、人々に延々と論争することを強いるオブジェクトである。この影響に並行して、オブジェクトは影響の範囲と時間を拡大させていく。
  • SCP-1118-RUは多数の破片から成り、人々にそこに映る自分の像を延々と見つめ続けさせるオブジェクトである。

CK (Configuration Keter)-クラス世界終焉: 世界再構築。人類種の旧来の様相の基幹に生じる改変。これはタイムライン改変 (新たなシナリオに沿う歴史の発生)、物理法則改変、あるいは人々の精神の改変によって発現し得る。その極端な事例は現実性の毀損である。このような事象は必ずしも人類種の避けられない "絶滅" を引き起こすわけではないが、しかしそれは常に、"旧世界" から新しきへの置換で特徴付けられる。以下はその例である。

  • SCP-140は今現在の現実性の再構築であり、オブジェクトによるタイムライン改変により引き起こされる。
  • SCP-239は知性を有する対象であり、自身の意思で現実を大規模に改変する能力を有する。
  • SCP-1961-RUは、人々の意識を大幅に改変でき、また人々に周辺の環境を操作する能力を付与できるオブジェクトである。

DK (Dimensional Keter)-クラス世界終焉: 次元シフト。ある世界と他世界との間で発生する大規模なヒト・モノの流出入であり、これ自体が人類種絶滅を招くことこそ起こり得ないが、旧来の世界の様相を甚だしく変えるもの。この惑星すべて (あるいはその大部分) もしくはここに住まう人々の他世界への転出や、その逆に他惑星もしくは別世界の人口の我々の世界への流入 (後者においてEK-あるいはSK-事象発生可能性は免れない) が当事象に分類され得、またある世界が別世界へと極大規模に重ね合わされることも当事象として指定され得る。以下はその例である。

  • SCP-1009は常に拡大している領域であり、別世界を我々の世界に重ね合わせつつその区域を変換しており、これにより当該区域はそちらの次元と一致するものになっている。

EK (Eternal-War Keter)-クラス世界終焉: 永遠の戦争。人類種と何らかの生命体との持続的闘争。現在予測されている大半の結果において人類種は敗北を喫する (畢竟これは往々にしてSK-クラス世界終焉を招くものである) が、勝利できた場合にも損害は著しく甚大で、人類文明のそれ以上の発展が困難となる。以下はその例である。

  • SCP-877は自己複製能力を有し生物のふるまいを制御するチップである。オブジェクト実例の正確な個数すら不明であるため、SCP-877に制御された生物との相当数の邂逅・衝突が蓋然性の高いものとして見込まれている。
  • SCP-1124は知的有機体を利用して増殖する、まだ研究の余地が多い金属生命体である。EK-クラス事象を誘起し得るほどに大規模な収容違反の発生可能性が、現在█.██%と見込まれている。
  • SCP-1777-RUは一連の、異世界にその出自を有するオブジェクト群である。SCP-1777-RU-10の語る言葉とその他の証拠を勘案し、現在のところ当オブジェクト群の全活動は、高確率でEK-あるいはSK-事象に転化し得るBI-クラス事象であると見なされている。

FK (Falsidical-paradox Keter)-クラス世界終焉: 虚偽を語るパラドックス。 論理的説明がつかず、どんな方法を用いても、どんな経緯を経ても起こるはずがない事象の実現。このような事象が何を招くかは確実には知られていないが、最悪の場合に想定されるのはそこで生じた矛盾が時空間構造を瓦解させることである。現時点での最大の危険はタイムパラドックスである。以下はその例である。

  • SCP-185は様々な時代 (未来も含む) からの通信を放送できる装置であり、それゆえ潜在的にFK-クラス事象に至るリスクを孕む。ただし、そのような事態への進展は蓋然性が低いと見なされている。
  • SCP-196は別時代の出身かつ、タイムパラドックス発生源になる可能性が非常に高いと考えられる知的実体である。その理由は、若い頃の当実体自身が今この時代にて生活しているにも関わらず、それから加齢を重ねた後の当実体が、今から少し前に殺害されている点にある。
  • SCP-1013-RUは、蓋然性の低い事象の発生確率を高めることができるオブジェクトである。このデバイスを最大出力で起動した際に発生する領域は、外界との相互作用により、何らかのパラドックスを引き起こし得る。

GK (Hostile-Greenhouse Keter)-クラス世界終焉: 生存困難環境。人類種の生存に適さなくなってしまうほどに環境が改変されること。以下はその例である。

  • SCP-540は多種の爆発性兵器の集まりで、そのデトネーションは急激な植生形成を広域にわたって齎す。
  • SCP-1262は急成長性の、活発に生存困難環境を生み出している植物である。

IK (Inartifical Keter)-クラス世界終焉: 自然現象起因。非人為的・自然現象的な任意のカタストロフ、あるいは気象・その他の自然環境変動 (と一見して思われるが、異常現象によって引き起こされた可能性が高い) 事象に伴う人類種絶滅。以下はその例である。

  • SCP-090は様々な規模の天災を引き起こす現実改変能力があるオブジェクト。
  • SCP-1238は深海魚の一種で、その活動により大陸プレートの移動が引き起こされ得る。
  • SCP-1089-RU-Vは全世界的な大気寒冷化を引き起こし得る物質である。

LK (Lifeform Keter)-クラス世界終焉: 生物種変換。Homo sapiensあるいはその他の重要な生物種に、全世界的かつ不可逆的な遺伝子的変異が起こること。当該事象の潜在的原因たり得るのは生物の組織等を作り変えるウイルスの大半か、一定の指向性を有する優生学的操作、またはナノクライシスである。以下はその例である。

  • SCP-217は生物の組織を作り変え、それを "有機金属" へと変換するウイルスである。
  • SCP-610は罹患者の外見とふるまいを大きく変化させる皮膚病である。
  • SCP-1206-RUは人々に対して強い感染性を有する実例であり、それにより彼らを自身と同じようなかたちに変化させる。とはいえオブジェクトの収容プロトコルやふるまいの特徴を踏まえると、LK-クラス事象の蓋然性は低いものと考えられている。

NK (Never-ending Keter)-クラス世界終焉: レプリケーション。この惑星全体が、特定のオブジェクトのコピーあるいはそれが生産した物質に埋め尽くされて居住に適さない状態に陥ること。以下はその例である。

  • SCP-505は常にインクを生成し続けている万年筆であり、生成された後のこのインクは自己拡散性を有する。
  • SCP-871は24時間以内に食べ切られなかった場合に、自身のコピーを生産する能力を有するケーキである。

RK (Reconstruction Keter)-クラス世界終焉: エネルギーシステム再構築。人類種にとり基本的なエネルギー源や資源源が不可逆に破壊、変革、あるいは収奪されること。以下はその例である。

  • SCP-816は自己繁殖するオートマタである。潜在的に、人類種が用いているエネルギー源を食い潰すおそれがある。
  • SCP-1505は常に増え続けているワタリガラスの群れであり、その収容違反時には農業に対して回復不能なダメージを及ぼし得る。

SK (Shift Dominance Keter)-クラス世界終焉: 支配シフト。この惑星での支配的地位がHomo sapiensから他の生物種に移行すること。これが起きた際の人類種の命運は、奴隷化からほぼ壊滅に至るまで様々なものを辿り得る。以下はその例である。

  • SCP-752は遺伝子的・社会学的に改変された人々の集団である。これは既存の社会に取って代えるべく構築された人々である。
  • SCP-1000は、人類の側からのSK-クラス事象に曝された知性種である。

UK (Unapparent Keter)-クラス世界終焉: 不可知の干渉。人類種絶滅のうち、一見して自然現象あるいは人災により引き起こされるが、しかしその原因が異常現象に帰し得るもの。当カテゴリーに含まれるのは、核戦争、バイオハザード、インダストリアル・カタストロフなどがある。大半の場合において、この惑星の人口の一部は当事象から生存し得、その後の復興もあり得るし、または地球から脱出することもあり得る。以下はその例である。

  • SCP-1178は、自発的に動き核戦争の潜在的原因となる大陸間弾道ミサイルである。
  • SCP-1984は、ロシアが脅威に曝されていると判断した際に、ロシア連邦のあらゆる核施設の核ミサイルを発射可能な有知性非物質実例である。

WK (World-class Keter)-クラス世界終焉: 惑星崩壊。超新星爆発、地殻断層、ブラックホール、粒子崩壊 — すなわち、その後に地球という惑星が事実上その存続を終えるようなあらゆる形態の影響。いくつかの場合においてはこの惑星からの脱出もあり得る。以下はその例である。

  • SCP-094は、徐々に拡大している事象の地平面である。
  • SCP-123はミニチュアブラックホールである。拡大している可能性が█.██%あるとされ、それゆえWK-クラス事象が依然として蓋然性あるものと見なされる。
  • SCP-1548-OLDは地球へと向かう、有知性の星である。

XK (Existential Keter)-クラス世界終焉: 超自然性脅威。物質界や自然法則の埒外に及ぶ力が干渉してくること。この干渉というのは、("神" とか "悪魔" などと称されるような) 有知性存在や、("考 古 遺 物アーティファクト" などのような) 物品により為されることがある。超自然の影響を受けたその後に待ち受ける顛末は非常に多岐にわたるが、XK-クラス世界終焉は本質上、他のクラスの世界終焉と併発しやすい。これが原因となり多くの職員が、特にその基幹に超自然的な何者かが介在しないような種々の事象をも "XK-クラス世界終焉" と誤分類してしまっている。以下はその例である。

  • SCP-231は "緋色の王の子ら" なる悪魔信仰を奉ずる妊婦である。その出産が成功することは、XK-クラス世界終焉を齎し得る。
  • SCP-861は推定によればネフィリムであるとされ、ある種のXK-クラス世界終焉と関係があるとされる実例である。
  • SCP-1348は忘れられた宗教の礼拝所であり、その中には隔壁がある。この隔壁が下がりきることはいくつかのXK-世界終焉シナリオにおいて媒介的事象となる。

ZK (Zero Keter)-クラス世界終焉: 現実不全。財団の未来のある特定の時点に存在している理論上の事象。最も危険かつ、その全ての事象からの回復が不可能。地球、神々、権能や、多元宇宙にあるほぼすべてのものが完全に終了するのみならず、当ドキュメントが書かれた場所やこれを読んでいる者全員にも及ぶ。換言すればこれは、強力さのあまりにその著者やそれを知る者たちをも終了するという、現実離れしたカタストロフなのである。以下はその例である。

  • SCP-319は、その内部に外界と異なるエネルギー状態の領域を含んでいる機械である。この領域の拡大はある種のZK-クラス事象の原因となり得る。この事象において多元宇宙は、存続が危ぶまれる事態に陥ることこそないものの、様相を一変させることになる。
  • SCP-1001-RU1は実存的実例であり、ZK-クラス事象発生を開始する者となることが客体的に示されている。

その他の特別事象

BI (Before Invasion)-クラス事象: 未知の種族かつ、地球侵略をするおそれのある潜在的脅威の発生。当該脅威との対立の結果がどうなるかは定かでない。当事象は本質的に、別の世界 / 別の惑星へのポータルを開くことができるようなテクノロジーの成立や、そういったことができるオブジェクトの発見、あるいは未確認物体の地球への接近の確認などといった事柄である場合がある。

DS (Dimensional Shift)-クラス事象: DK-クラス事象の局地的なバリアント。すなわち、狭い領域あるいは人間集団に起こった小規模な世界間流出入。この際、比較的安定した空間ポータルが生じた場合にはその事象は当クラスとは異なる分類を受け、UO-クラス、つまり世界重複事象に指定される。

LC (Localized Crysis)-クラス事象: 局所的脅威。この符牒は阻止された任意のK-クラス事象および、その他の阻止されたハザード事象にあてられている。

TCF (Total Containment Failure)-クラス事象: 大多数のKeterクラスオブジェクトの収容違反。予測される大半のシナリオにおいて、何らかのK-クラス事象の一種もしくは複数種が同時に発生する。

UO (Universal Overlap)-クラス事象: 世界重複。安定的な、もしくは一定周期で出現するような別世界へのポータル発生。そういったポータル各々には、5つの文字と1つの数字から成るタイプ記号が割り当てられている。これら文字 / 数字は以下のようにその基本的性質を示している。

  • 1文字目はその世界重複が恒常的なものであるか、それとも一定期間のみ発生しているものに過ぎないかを示している。Sで "Stable:安定" な世界重複であること、Uで "Unstable:不安定" なものであることを示す。
  • 2文字目はその世界重複が一箇所だけに滞在しているか、それとも移動しているかを示している。Sで一箇所に "Stationary:静止" した世界重複であること、Mで "Moving:可動" のものであることを示す。
  • 3文字目はその世界重複が自発的/独立に発生したものであるか、それともその発生に外的要因の介在を要したかを示している。Uで "Unaided:独立" な世界重複であること、Aで何らかの外的要因に "Aided:従属" するものであることを示す。
  • 4文字目は世界間移動が当該の世界重複に立ち入ったと同時に為されるか、それともある程度の時間を要するかを示している。Iでそこに立ち入ったのと "Instantaneous:同時" に世界間移動が為されること、Dで移動に "Delayed:長時間" を要するものであることを示す。
  • 5文字目はその世界重複で世界間移動が安全に行えるか、それともそうでないかを示している。Sで "Safe:安全" な移動ができる世界重複であること、Uで "Unsafe:危険" を伴う移動となるものであることを示す。
  • 数字はその世界重複が単に別世界に入ることしかできないものであるか、それともそれを用いれば逆に向こう側から戻ってくることもできるのかを示している。1で "一方通行" 型の世界重複であること、2で "双方向" 型のものであることを示す。

GH ("Dead Greenhouse")-シナリオ: "デッド・グリーンハウス"。この惑星に住む生命体の大半 (約80%) が死に絶える一方で、この惑星自体は依然として、生命や新たな入植者が生存可能な環境を保持したままであるようなシチュエーション。実際のところ、WKやZKを除く任意の世界終焉に際して発生し得る。

PN ("Peaceful Night")-シナリオ: "おやすみの夜"。単一のSCPオブジェクトの局地的収容違反。

SN (“Silent Night")-シナリオ: "沈黙の夜"。複数のSCPオブジェクトの局地的収容違反。

TN ("Tempest Night")-シナリオ: "嵐の夜"。敵対的団体からの、任意の財団施設に対する局地的干渉。

WPA (Widespread Public Awareness)-シナリオ: 完全または部分的なヴェール・プロトコル違反、すなわち機密情報の大規模漏洩。大衆に知られてしまった情報規模に応じてランクが付けられる (アノマリーの存在に関する一般的な情報〜財団に関する正確な知識)。

XN ("Extradimensional Night")-シナリオ: "外次元の夜"。局地的な世界重複。これにより何らかの危険が齎される。

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