最終回直前拡大スペシャル『思い出のスシブレード!覚醒のサルモン!』
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前回までの熱き戦い!
闇寿司ブレーダーの策略によって精神酢飯漬けにされてしまったスシブレーダーのヒロミを、ワサビパーツによって強化されたサルモンがバトルを制し、正気に戻した。安心したタカオD-1028は倒れたヒロミ1に駆け寄るが、その隙をついて闇寿司ブレーダーが不意打ちを仕掛ける。しかし、共に戦ってきた仲間の浜倉喝破はまくらかっぱ2がタカオを庇い、身代わりになってしまった。

浜倉が倒れたショックから立ち直れないタカオをカイD-1228が叱りつけ、スシブレードに賭けた情熱を手にタカオは再び闘志を甦らせるのだった。
そして、とうとう闇寿司ブレーダー本拠地へと迫るタカオの前に、幾度と無くタカオ達の妨害を続けて来た仮面の闇寿司ブレーダーが立ち塞がろうとしていた!


曇天模様の下、仲間を引き連れてタカオは闇寿司ブレーダーが待ち構える本拠地に向かっていた!

「博士から貰った地図によると、奴等の本拠地はこの辺りだな」
「タカオ…お前も分かっていると思うが、ここからはかつて無い程の激しいスシブレードバトルが待っている。覚悟は出来ているのか…?」

かつて、闇寿司の力に飲まれかけていたカイだからこそ闇寿司の危険性や湧き上がり続ける力の恐ろしさを知っている様子で、彼の問い掛けから確かな含蓄をタカオは感じ取った。だが、タカオはそのカイの問い掛けに答えず、ただ闘志に満ちた瞳をカイに向ける。

「…行こうカイ!奴等の企みを止めるんだ!」
「ああ!この戦いを終わらせよう!」
「……いいや、この戦いは終わらないさ」

いつの間にかタカオ達の前には仮面をつけた謎の男が立っていた!

「現れたな!仮面の闇寿司ブレーダー!今日こそお前と決着を付けて闇寿司のボスを倒す!」

仮面を付けた不気味な男に向かって啖呵を切ったタカオは、相棒のサルモンを掲げて見せる…!

「……フン、まだそんなスシブレードを握っていたのか?」
「なんだと!?おやっさんSCP-1134-JPがオレの為に握った大事なスシブレードを馬鹿にするな!」

このタカオの言葉を聞いた仮面の男は堪らずといった様子で高笑いを上げる…… 

「お前の為に……だと?笑わせるな!そのスシブレードの設計は私が行った物だ!お前が慕う寿司屋のオヤジが考えた物では無い!」
「誰が信じるかそんな事!」
「良く考えてみろ!本格江戸前寿司がサーモンを出すと思うのか!?」

仮面の男の言葉を聞いて、タカオは動揺した!今まで気付かないフリをしてやり過ごし、邪道スシブレーダーを倒して来たタカオの中には自分のスシブレードこそ邪道の1つではないのかという後ろめたい疑問が僅かながらにあった。だが、タカオにはスシブレードと出会わせてくれたおやっさんのサルモンを邪道と断ずる事など出来なかった……恐らく仮面の男はそんなタカオの迷いを見破っていたのだろう。

「う、嘘だ!サルモンを設計したのがお前だという証拠は何処にも無い!」
「そうだ。奴の言葉に耳を貸すなタカオ!今までのスシブレードバトルを思い出せ!」

カイの警告が聞こえない程にタカオは自分の心に湧き上がる動揺を抑えきれない!敵だと言うのに何故こんなにもこの男の言葉が心に突き刺さるのかタカオには理解できない!

「根拠か……では見せてやろう。私がサルモンを設計した張本人だという事をな!」

そう言うと男は仮面を外し、正体を明かした。それはタカオにとって衝撃の事実を裏付ける正体だった!

「まさか…そんな、何故!?」
「そうだタカオ。私はお前の父親だッ!!」
「タカオの……父親!?」

明かされた真実。仮面の闇寿司ブレーダーの正体は失踪していたタカオの父親だった!タカオの父親はかつてNo.1スシブレーダーとして知られ、おやっさんと呼ばれる寿司屋の店主と共に新たなスシブレードを開発する者だった…!!正体を明かしたタカオの父親はサルモンの秘密を語り始める……

「当時、サルモンは新たに生み出されたスシブレードの1つだったが、生まれた時代が早過ぎた為に『回らない寿司協会』によって邪道認定されてしまった。だが、私達はサルモンの様なスシブレードも人々を喜ばせる事が出来ると反抗した!」

どの様な言葉であっても、彼の怒りと気迫を宥める事は叶わないだろう。タカオの父親は真実を告げ続ける!

「『回らない寿司協会』は私達の主張に聞き耳を持たず、サルモンの他に新たなスシブレードを邪道認定し始めた!!寿司を愛する想いが込められて生み出されたのは江戸前寿司と変わらない事実なのに、カリフォルニアロール型のスシブレードも邪道と断じて踏みにじった!」
「そんなの嘘だ…!オレは協会の事を信じて……」
「現実を直視しろタカオ。今から協会に踊らされる哀れなお前を救ってやる。このスシブレードでなァ!!」

仮面の男が出したのはエビアボカドのスシブレードだった。禍々しい気を放つエビアボカドにタカオのサルモンが共鳴して艶を増していく!

「サルモンがあのスシブレードと共鳴している!?」
「このエビルアボガドロはサルモンと同時期に開発されたスシブレードだからだ」
「闇のスシブレーダーが名前を付けているだと!?」
「言っただろう。分からないか? サルモンと同じだ。元々、エビルアボガドロも邪道スシブレードとして誕生した訳では無いからだ。それに、お前は上手く隠しているつもりの様だが時折そのサルモンは闇寿司のオーラを纏い暴走した事があるだろう?」
「何故それを!?」
「知っているさ、サルモンの設計者だからな。さて、無駄話はここまでにして始めるぞ……スシブレードの準備は良いかタカオッ!!」

仮面の男はスシブレードを割り箸にセットすると完全な臨戦態勢に入る…!張り詰めた空気の中、凄まじい殺気を放つ男に向けてタカオは自分のスシブレードを構えた!!

「行くぞ!親父オヤジッ!オレとサルモンがアンタの目を覚まさせてやるッ!!」
「ハハハッ面白い。やってみせろッ!!」

「3、2、1……へいらっしゃいッ!!」

お互いに湯呑みを箸頭にぶつけると凄まじい速さで割り箸に挟まれたスシブレードが解き放たれた!先行を取ったのはタカオのサルモン。自身の油分をシャリに浸透させる事で摩擦力を減らした高速回転がサルモン最大の武器だ!フィールドを駆け回るサルモンがエビルアボガドロに向けて渾身の一撃を叩き込むッ!!しかし、エビルアボガドロは物ともしないと言った風にフィールドの中心で回転し続ける……

「効いていない!? サルモン…!もう一度だ!」
「……何度やっても同じ事だ!」

サルモンの攻撃はエビルアボガドロのアボカドによって衝撃を吸収され、ダメージを与えられない……そればかりか、削ったアボカドがサルモンに付着する事で自重を増している。重量が増えた事で摩擦力が増加したサルモンは武器である高速回転を鈍らせ始めた。

「ではこちらも攻撃に移らせて貰うぞ…!」

フィールド中央で静かに回転を続けていたエビルアボガドロが急に激しく暴れ始めた!今までスタミナ系スシブレードの立ち回りをしていたエビルアボガドロが一転してアタック系スシブレードの様にフィールドを暴れ回る!

「これは一体!?」

カイの疑問の声に対して1人の男が応えた。

「恐らく内部に餅米を使っているんだ。底の部分のシャリが回転と共に削り取られ、露わになった餅米が強い摩擦を起こしてエビルアボガドロを暴れ回らせているんだ。それに、強い摩擦を持つ事は攻撃時の衝撃を敵に逃す事なく与えられる利点が有る!」

声の主はタカオを庇った事で倒れ、病院で未だ昏睡している筈の浜倉だった!

「お前はまだ危険な状態の筈。何故ここに?」
「何を言っているんだカイ!タカオのスシブレードバトルを記録するのが僕の役目さ!」

タカオ達の事が気掛かりで仕方がないといった様子を見せるが、今にも倒れそうな程に衰弱しているのが見て取れる。見兼ねたカイは彼に肩を貸しつつ、スシブレードに意識を送るタカオの背中を見守るのだった。一方、タカオは攻勢に転じたエビルアボガドロの猛攻を凌ぐだけで精一杯で状況の打破が出来ずにいた。仮面の男はタカオに語り掛ける。

「お前にサルモンが与えられた理由がバトルを通して良く分かる。あの寿司屋の店主は何もお前に期待していなかったのだろう」
「…いい加減な事を言うな!」
「手も足も出ないサルモンの姿を見て言ったらどうなんだ?寿司屋の店主は気付いていたのだろう……お前が、かつて寿司を握りあった私の息子だという事に。だからこそッ!!邪道であると烙印を押されたサルモンをお前に握ったのだッ!!」
「黙れ!!おやっさんのサルモンは闇のスシブレードなんかじゃない…!!」
「ならばお前に見せてやろう。サルモンの真の姿をッ!!」

男の声を合図にエビルアボガドロがサルモンと共鳴する…!すると、サルモンに付着しているアボカド片が集まり出し、1つの寿司ネタとして上に添えられると、たちまちサルモンが闇のオーラを放ち始めた…!

「サルモン…!?」
「見るがいい!!闇寿司・サーモンアボカド……つまりこれが、サルモンアボガドロの姿だ!!」
「そんな……サルモン!」

闇寿司の証である邪道な寿司ネタを載せて凄まじい力を湧き上がらせるサルモンッ!!闇寿司のオーラを放つ相棒の姿はタカオを絶望させた!

「しっかりしろ、タカオ!サルモンに呼びかけて引き戻すんだッ!!」
「カイ……」
「一体どうした!?早くサルモンに声を……」
「……サルモンの声が、聞こえないんだ」

駆け寄って来たカイを虚な眼で見つめ返すタカオの様子は闘志の無い物だった。タカオは選ばれたスシブレーダーとしてスシブレードの声を聞き、心を通わせて共に戦ってきた。闇寿司ブレーダーに奪われたワサビを救出した時も、衛生面の問題でおやっさんが保健所に書類を出していなかった時もスシブレードの声を聞いていなかった事は無かった。

だが、今のタカオにはサルモンの声が1つも聞こえない。最も心が通じ合ったスシブレードにも関わらず、声が聞こえない、たったそれだけでサルモンが遠くに行ってしまった様にタカオは感じた。サルモンの声が聞こえなくなった理由は明白だった。父親の発言でサルモンというスシブレードの存在に疑問を持ったタカオの心が、バトルを通じてサルモンに伝わったからだった。

相棒に対して懐疑心を持ってしまったタカオは己を恥じると、今までスシブレードを続けて来た事が偽りだった様にも思えて絶望の余り膝をついた。そんなタカオを尻目に単独でバトルを続け始めたサルモン!闇寿司の力を使い、かつて無いスピードとパワーでエビルアボガドロを凌駕し始めた。その様子に満足気な笑みを漏らした仮面の男は、エビルアボガドロに命令を送る。

「いいぞ、最早サルモンは我々闇寿司の物となった!エビルアボガドロ!回収可能な範囲で破壊しろッ!!」

闇寿司の力で比類ない力を奮っているとは言え、コントローラーが居ない今のサルモンでは命令に従うエビルアボガドロの猛攻を凌ぎつつ、致命傷を与える事は難しい。力に振り回されているだけのサルモンは回転数を徐々に弱らせていた。つまり、この勝負の結末が直ぐそこまで迫る事を意味していたッ…!!

「負けないでタカオ!!」

その時、タカオの背中に声をかける者がいた。傷付いた身体を松葉杖で支えながら現れたのは、精神酢飯漬けにされていたところをタカオによって救出されたヒロミだった。浜倉と共に搬送された病院で治療を受けていたが、サルモンから放たれる強力な闇寿司のオーラを感じ取り、タカオの身を案じて現れたのだった!!

「タカオ!自分の信じて来た道を見失わないで!おやっさんは言っていたの!貴方にサルモンを握ったのは、スシブレードの闇を斬り裂いて未来を歩んで行ける男だと一目見て思ったからなのよ!」

ヒロミの発言を耳にしたタカオは驚いた。何故なら、今までタカオからおやっさんにサルモンを握った理由を訊いても、照れ臭そうにするだけで答えてはくれなかったからだ。だから、タカオはおやっさんがサーモンを自分に握ったのは思い付きで単なる偶然だと思っていた。だが、サルモンがタカオのスシブレードになったのは偶然では無かった。

ヒロミの言葉は続いた。それは、おやっさんがタカオに対して密かに期待していた事だった。おやっさんがタカオに邪道とされたスシブレードを託したのは、タカオの父親と共に生み出してしまったスシブレードの闇に、いつか光を当ててくれるのではないかと心のどこかで感じ取っていたからだった。

照れ臭くて打ち明けられなかったこの事実をヒロミだけは聞かされていた。そして、時が来たらタカオにこの事実を教えて欲しいとおやっさんに頼まれていたのだッ…!!

「そうだ!タカオ…!俺がハンバーグの闇寿司を手にして力に飲まれていた時も、希望を見失わずに信念を貫いて戦っていた。俺とのバトルに勝って、スシブレードは勝ち負けじゃないって事を俺に思い出させてくれたじゃないか!」
「タカオ!君と出会わなければ僕はスシブレードバトルを、ただ食べ物を粗末にしているだけの収容対象だと考えたままだった!ありがとう。だから、負けないでくれ!」
「みんな……」

仲間達の声で消えかけていた闘志を再び燃え上がらせたタカオは力強く立ち上がった!
丁度その時、博士からの通信がタカオの元に届く。

「タカオくん、君のサルモンはまだ闇に染まりきった訳じゃない。君の心が伝われば再び光を取り戻すだろう!」
「分かりました博士…!!」

博士のアドバイスを聞いたタカオは消耗していくサルモンに意識を集中する。蘇らせた熱い闘志をサルモンへと流し込む様に。その様子を嘲笑って仮面の男は言った!!

「無駄だ!闇寿司として目覚めたお前のスシブレードは、いくら意識を集中させたところで戻っては来ない!」
「親父…!!オレは貫くよ!邪道か正道かなんて関係無い!サルモンを信じてスシブレードを楽しい物だと分かって貰う為に戦うよ!だから……行こうサルモンッ…!!」

その途端、サルモンはフィールドを覆い尽くす程の眩い光を放ち始めた!!光の中でサルモンは進化するッ!!高いエネルギーを持つ光はサルモンの上に乗ったアボカドを塵も残さず焼き尽くし、ネタはより上等で脂の乗ったノルウェー産サーモンへ、ボディのシャリは艶のある特Aランクのコシヒカリへと生まれ変わらせた!!仕上げに眩い光はサルモンのネタを高熱で炙るッ!!

気付けば輝きを放つ新たな姿を得た相棒がタカオの目の前を回っていた……

「もう1度、共に戦おうぜ!……そうか、『バーニングウルトラウトサルモン』!!それがお前の新しい名前なんだな…!!」

覚醒したサルモンから熱い闘志と湧き上がる力を感じたタカオはサルモンにありったけの思いを乗せる…!!すると、以前を遥かに超える速度で回転を始め、縦横無尽にフィールドを回り始めたッ…!!

「そうか!新しいサルモンのネタは以前の物よりも長い切り身になっている。これで遠心力を発揮して、より高速な回転と破壊力を生み出せる様になったのか!」
「だったらなんだと言うのだッ!このエビルアボガドロの闇寿司力を凌駕するなど不可能ッ!」

解説を気にもしていないという風に仮面の男はエビルアボガドロを操り、サルモンに先制攻撃を仕掛けた!!だが、今のタカオはサルモンと完全に一心同体であり、指示を受けてから初めて動くエビルアボガドロとは一線を画す反応速度を発揮できる為、この攻撃を簡単に躱して見せた!避けられた事でエビルアボガドロはリズムが崩れ、そこに生まれた僅かな隙を見逃さずにサルモンが叩き込むッ…!!

高速回転と遠心力が生み出す強烈な一撃にエビルアボガドロは追い込まれていく!

「このままでは……負けるというのか…!?この私がッ…!?ここで敗れれば、仲間もスシブレードの心も何の為に捨てて来たというのだ!」
「親父!!オレはスシブレードが好きだ!!多くのスシブレードが闇に包まれてもオレは迷わないッ!!自分の信じたスシブレードバトルをみんなや思いを託してくれたおやっさん……そして、絶望に囚われた闇寿司ブレーダー達の為にも戦う!!」
「我々の為にもだと!?」
「そうだ!だから、受け取ってくれッ!!オレとサルモンが繰り出す信念の必殺技ッ!!

タカオの声に応える様に、サルモンの回転スピードはスシブレードの常識を超えて上昇し続けて行くッ…!!シャリがフィールドの間で起こす摩擦がサルモンの脂を焦がして炎を起こした!!超高速の回転が生み出す破壊力に燃える闘志を込めて、サルモンがエビルアボガドロに止めの一撃を与えんと凄まじいスピードで接近する!!

「必殺、バーニングスカンディナヴィア!!」

「ぐあぁぁああぁあぁぁあああッ!!」

サルモンの一撃に耐え兼ねたエビルアボガドロは仮面の男と共にフィールドから遥か後方まで弾き飛ばされ、このスシブレードバトルの勝者はタカオとなった!タカオは倒れた仮面の男に駆け寄り、身体を抱え起こした。

「タカオ……強くなったな」
「親父……」
「気にするな。お前は自分の信念を貫いて戦え…お前が倒さなければいけない闇寿司達のボスSCP-1134-JP-aはこの先に居る」
「ああ、分かった!この戦いを終わらせて来る!行こう、みんな…!」

タカオは博士に通信を送り、父親の身を任せると仲間達と共に前を進み始めた!彼の両手には新たに生まれ変わった相棒と信念が握られているッ…!!


次回予告!

とうとう追い詰めたぜ!闇寿司のボス!
オレとサルモンが必ず打ち負かす!
何ッ!?相手が放ってきたのはラーメン!?唐揚げにケーキ!?
なんて凄まじい闇寿司達なんだ!でもオレには頼もしい仲間がついている!負ける気がしないぜ!

次回、最終話!『爆転ニギリ スシブレード!』

3、2、1、へいらっしゃい!

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