「師匠、師匠!どうしてこんな‥‥!」
ベッドに横たわる回転寿司 勝のおやっさんは目を固く閉じて微動だにしない。静かな病室にはピッ、ピッという電子音が流れる。
「あぁ博士、いったい誰がこんなことを!」
「タカオくんD-1028、落ち着いてみてほしい。これは昨晩の回転寿司 勝の様子だ」
映像を食い入るように見ていたタカオの額に、次第に汗が噴き出していた。
「博士、これはまさか‥‥」
「やはり間違いなさそうだね。そうだ、君の師匠を襲った犯人は」
タカオが机を力いっぱい叩き、押し殺した声を絞り出す。
「カイD-1228‥‥!」
熱き心を持ったスシブレーダー、タカオはスシブレードの“闇”に迫る!
「タカオ、今のお前では闇寿司には‥‥勝てん」
「小僧、世の中には立ち入っちゃならねぇ板場ってのがある」
「それでも俺はカイに会わなくちゃいけないんだ!」
現れる強敵ライバルたち、立ちはだかる刺客たち!
「ケーケケケ!ボクちんのダークナットードラグーンの糸につかまった以上、行く先は死のみ!これであがりだァーー!!」
「そんな……マヨコーンが真横に!?」
「縦回転!?邪道にも程があるぞーーっ!!」
訪れる試練、苦悶の時‥‥
「邪道、か。そもそも何をもって邪道というのだ。江戸前寿司とて昔は邪道だった」
「邪道も喰らう 王道も喰らう」
「両方の良さを共に感じ────寿司として進化させる度量こそスシブレードのキモだ」
「博士、サルモンが緑色に‥‥これは!?」
「馬鹿、そんなこともわからんのか!鮮度が落ちているんだ!」
「あ‥‥」
「あたしは寿司の幸福を願って握っていやす。回される、戦う、果たしてそれだけが寿司の幸せなんでしょうかねぇ‥‥?あたしにゃあそれだけとは思えないんですわ」
「西行さん‥‥?」
タカオは長い旅の果てに何を見るのか――
「タカオ、お前は私の――」
「寿司は人を傷つけるためのものじゃない!」
「サルモン‥‥わかった!いっしょに行こう」
新番組「握るシャリと スシブレード」、20█年█月█日SCPテレビ系列で放送開始!
3、2、1、へいらっしゃい!