あるドイツ人考古学者の手記 第1部~第2部
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第2部


「イヤーーーーッ!!」

私の部屋のドアが蹴り破られた。入ってくるのはてっきりオブスクラの兵士かと思っていたが、それは暗い柿色の奇妙な装束の男だった。足元から頭の上まで、目元以外は一色の布で覆われている。そしてその手にはギラギラと光るカタナが握られていた。

「何者だ!」

「我ら無尽月導衆、コンニチワ! あなたがお持ちの聖杯をもらい受ける!」

「イヤだと言ったら?」

「物言わぬ死体になっていただくまで。イヤーーーーッ!!

男はカタナを振り回して襲い掛かってきた。私はひらりと体をかわしたが相手も手練れ、返す刀が私の胴を二つに分けんと襲い掛かった。この体勢からの回避は不可能だと瞬時に判断した私は、刀の先に聖杯をかざした。男の刀がぴたりと、聖杯を包む布一枚へだてて止まった。

「お見事。よほど鍛えていなければ、聖杯は真っ二つだったな」

「おのれ卑怯なり!」

「ニンジャがそれを抜かすか!」

私はベッドの柵の裏からヌンチャクを取り出し構えた。


「ホアタァーーーッ!!」

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