飴細工の老人
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街の一角で、老人がさまざまな飴細工を作っている。それは興味深いばかりか、美味しくもあった。

女の子はそう話しながら、男の子の手を引いて街角へと出かけた。

老人は飴を煎じる。飴は老人の手で糸に変化した。老人の不可思議な一連の動きを、子どもたちはわざとらしく、真剣な目つきで眺めていた。

「こんなことができる人、今じゃほとんどいないよ」女の子は真面目な口調で呟いた。

老人は1匹のクモを作り出し、ちらりと男の子を見てから、彼にクモを渡した。

「これってクモ?」男の子は近づき、しげしげと眺める。

「これは怪獣さ」老人は次の飴細工をはじめた。「昔、こいつは巨大な怪獣でね、罪の無い生き物をた~くさん食べて、人間の文明をめちゃくちゃにしたんだ。みんな途方に暮れていたんだよ」

「それで、怪獣はどうなったの?死んじゃった?」男の子は一口かじった。とても甘い。

「死んだよ。勇者が剣を持って現れたんだ。宝石を身につけてね」

老人はまた1つ、今度は剣を持った小人を作り出した。老人は飴細工を少女に手渡す。

「でもこの勇者、顔が無いよ?」女の子は少し不満気だった。

「だってこの勇者、名前が無いからね」

「嘘だあ。顔が描けないんでしょ」女の子は気兼ねせずに言った。たとえ、彼女の話が不正確であったにせよ。

「それに、こういうお話は古臭いよ」男の子はクモを平らげた。「でも、すっごく美味しいね」

「お爺さん、もっと話を続けて?」女の子も小人を食べ終わりそうだった。

「良いとも。でも、そんなに面白い話は言えないクチなんだ。今の子どもは、おとぎ話をあまり聞きたがらないしね」

「美味しければそれで十分だよ」子どもたちは口を揃えて言った。

子どもたちが去ると、老人は次の子どもに備え、再び飴細工をはじめた。
飴を細く引き伸ばし、プレートの上に素早く垂らす。
老人はまた1匹の怪獣を作り出した。
彼は人々に絶え間なく語り続けた。怪獣たちがかつて、如何にしてこの世に現れたかを。そして、怪獣たちを斬り殺した勇者がいたことを。






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