「国際」の記事 2045年2月10日 - 帝都経済新聞

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インタビュー 異常性に恐怖する人々を支援するNPO団体の運営者 ラシード・ビン・サイードさん

label_1f3f7.png 国際 label_1f3f7.png インタビュー 公開日: 2045年2月10日

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ラシード・ビン・サイードさん(写真 = 帝都経済新聞取材班)

サハラ戦争から20年。この歴史的事件は超常兵器の恐るべき力を知らしめた戦争という文脈でよく語られる。そして現在も異常性に恐怖する人々はエジプトに多くいる。NPO団体「ハディコ・アトフ」は、そのような人々を支援する団体であり、対象者との対話を通じたメンタルケアから、就労支援などの社会支援など多種多様な取り組みを行っている。団体を運営するラシード・ビン・サイードさん(42)も20年前に異常性に恐怖した当事者である。今回のインタビューにおいて、ラシードさんにはサハラ戦争当時から現在に至るまでの心境を語ってもらった。

ラシードさんは2003年に異常のないカイロで生まれ、ヴェールで覆われたエジプトの地で育った。そして2019年、二大陸正常化事件が発生し、ラシードさん一家も異常のある世界を目の当たりにすることとなった。

ラシードさんの父は、ピラミッドなどの遺跡群の観光ガイドを生業にしていた。しかし、ピラミッド内部の小型宇宙に伝承部族が住んでいたことが明らかになる。伝承部族はこれまで世界オカルト連合との条約でヴェールの内側で暮らしていたが、ヴェール崩壊をきっかけとして中から出てきたのであった。国際的に多要素共生社会が積極的に推進されていることもあり、伝承部族はエジプトを構成する国民であるとして公的に権利が認められていくこととなった。その過程において彼らが遺跡群の所有権を主張した結果、ピラミッド周辺への立ち入りが禁止となり、以前のようにラシードさんの父は観光業で働くことができなくなった。

仕事を失ったラシードさんの父は、外国からやってきたパラテックの工場で働くこととなった。最初は朝8時に出勤し、夕方に帰ってくるという健全な生活を行えていた。しかし、1年ほど経過した頃にはラシードさんの父はやせ細り、顔もやつれていった。さらに1年経つと、体中に黒い斑点が浮かび上がり、激しく咳き込むようになっていったという。ラシードさん一家は医者を尋ねたが、誰もその原因を明らかにすることはできなかった。その後、ラシードさんの父と同様の症状を見せる人々が同じ工場で働いているという共通点を見出したものの、症状の原因が工場にあるかどうかは確信を得れずにいた。ラシードさんは、日々病状が悪化していく父の様子を見て、自身の無力感に苛まれたという。しかし被害者の家族の集まりに現れた夏鳥主義者の男が被害者の様相を見て、工場において「悪魔」との違法な契約を結ばされ、労働力として酷使されていることを見抜いた。それをきっかけとして、被害者家族や夏鳥勢力と結束して工場を破壊し、ラシードさん一家は父を救うことに成功する。しかしながら、悪魔との契約についての法律上の規則は存在していなかった点から企業は不起訴処分になり、ラシードさん一家を含む被害者家族は異常な世界とそれを受け入れようとする政府への不信感をより募らせ、夏鳥勢力への支持を強くしていったという。「当時のエジプトではこういったパラテク資本による搾取や、伝承部族と地域住民の間での紛争が絶えませんでした。そういったことによる不満が国民の間に蓄積されていった結果、当時のエジプトの夏鳥勢力群を政権の地位まで押し上げたのだと思います」とラシードさんは語る。

しかし軍事政権の成立後、ラシードさんは段々と彼らへの懐疑の念を強めていく。伝承部族に対する虐殺や、合理的とは思えない外交判断から他国との関係が悪化していくのを見て、ラシードさんは「国を守るための権力が、異常を排斥するために用いられ、この国は異常への憎悪だけで成り立っていたことに気付いた」と言う。そして、2022年にエジプトの象徴であるはずのピラミッドが破壊された際に亡命を決意する。ラシードさんは二大陸正常化事件の被害者を対象とした奨学金制度を利用してフランスに留学し、結果的に亡命することとなる。ラシードさんは家族が政権に熱狂していたことを知っていたために、亡命の意図は家族には話さなかった。留学に関して、家族はラシードさんに注意を促しながらも、ラシードさんの選択を尊重すると話したという。ラシードさんは「別れの日まで家族を亡命に誘うか迷い続けましたが、怖くて言い出せませんでした。今思えば、あの時勇気を出して誘えばよかったと思います」と言葉を漏らした。

ラシードさんは大学で学びながらも異常な世界を探訪して回った。世界には確かに恐ろしいこともたくさんあった。しかしながら同時に、この世界にも異常を受け入れたことで豊かさが生まれて、前に進んでいく人々がいることを知った。ラシードさんは「夏鳥に接していたときの外の世界を知らずに、外の世界を知った気になっていた自分を恥じた」という。

2024年から紛争が本格化したとき、ラシードさんは家族と連絡を取ることができなくなっていた。手を尽くして帰国の手段を探したが、結局カイロに戻れたのは伝承部族軍による制圧の後であった。

2025年、カイロが伝承部族軍に制圧されたことを聞いたラシードさんは、カイロへの立ち入りが許可されてから、自宅に向かった。そこには、伝承部族軍の攻撃によって、黒い塊となった家族が残っていた。哀しみの中で、ラシードさんはあまりにも残酷な攻撃を行った伝承部族に対して強い憎しみを抱く。どこにもぶつけようのないこの感情をラシードさんは酒を飲んで忘れようとしたが簡単に忘れることはできず、1年ほど酒浸りの日々を過ごした。

しかし、2026年10月のギザケプリ族一家殺害事件をラシードさんは知る。これは、ギザにおいて伝承部族であるケプリ族の一家の6人が殺害された事件で、ニュースでは両親と兄弟を失った12歳の長男が泣いて訴える様子が大きく報道された。犯人の男はサハラ戦争で家族を失った過去があり、その憎しみから犯行を行ったという。ラシードさんは家族を亡くした少年を過去の自分と重ねて、憎悪は何も生まないことを確信した。そして、このような事件を再び起こさないためにすることが、自分の使命でないのかと考えた。そうして始めたのがNPO団体「ハディコ・アトフ」であった。

ハディコ・アトフの活動はラシードさんとその友人、多要素主義を研究するメリッサ・ジャド教授を中心として始められた。ラシードさんは大学時代にメリッサ教授の下で多くを学んでおり、NPOの活動についても助言を受けたという。最初期は、自助グループとしての側面を強く持っていた。サハラ戦争で家族を失った遺族や、PTSDを患った人々が集まり、心情を分かち合う会を開いていた。規模の拡大に伴い、企業や自治体において講演会を開いたり、カウンセリングを行ったりするようになった。

「異常は怖いものだ。それは今も昔も私たちにとって変わらない」とラシードさんは言う。夏鳥主義者はその感情に対して、異常を排斥することで対応しようとした。南アメリカの財団はその感情に対して、自身の殻に閉じこもることで対応している。でも、それらには、持続可能性がない。私たちは、もう異常と付き合わずにはいられない。だからこそラシードさんは、異常との付き合い方を考えることで、異常への恐怖に打ち勝とうと考えた。

例えば、伝承部族の外見が恐ろしいと思う人々がいる。そのような方々に、恐ろしく思うのは偏見であると言ってしまうことは簡単だ。だが、ラシードさんはそのような、本人の意思に依らない急激な接近こそが異常に対する嫌悪を生み出してしまうのではないかと語る。まずは本人がどのように異常と付き合いたいのかを聞き取り、そして異常の本質を知り、そこからどのような方法で異常と付き合っていくのかを一緒に考えていくという一連の流れを、ハディコ・アトフでは実行しているという。

インタビューの最後に、ラシードさんは帝都経済新聞の読者の皆さんに向けて、以下のメッセージを述べた。

「こういうことを言うと怒られてしまうんですが、過激派夏鳥主義者は完全な悪ではないと私は思うんです。もちろん、テロを起こしたりして、人の命を奪うことは許してはいけない悪行だと思います。でも、彼らにもその行動を起こす理由があって、そうしなければいけなかったからこそそうしている。絶対にやってはいけないのは、彼らが人ではない何かだと考えてしまうこと。そして、彼らについて思考を放棄すること。そうしてしまえば、私たちは彼らと同じになってしまう。

私たちは、彼らのような憎しみを爆発させてしまう人たちを減らす社会を創る義務があります。より良い社会を創るために、みなさんには何ができますか。思考を止めずに、考え続けて欲しいです」

キーワード: エジプト サハラ戦争 夏鳥

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