件名: 第1回収容試験Z██m会議情報
送信元ID : kzkhortn
ファイル : 添付ファイルなし
第1回収容試験ミーティングの入室情報を送ります。収容オブジェクトは下記の情報を確認の上、指定時刻までに入室してください。
Z██mID: 4564 6452 793
password: S45C6P
開始時刻は10:00です。なお、9:45から入室できるようにしておきます。今回の担当はジェームズです。
今回はオリエンテーションなので少し早めに終わる予定です。次回以降については担当職員に従ってください。
「──」
「────」
「──────────」
あ、すみません。音声が入ってませんでした。
えー、収容オブジェクトの皆さんはアイテム番号で入室してください。それ以外の名前で入室してしまうと入室の確認がとれなくなります。カメラもオンにしておいてくださいね。在宅収容できているかの確認ができませんので。
えーっと、1人アイテム番号じゃない人がいますね。読み上げます。黒き翼の堕──アイテム番号になりましたね。みなさん普段Z██mで普段使ってる名前などあると思いますが、次回以降入室までに修正お願いしますね。
全員揃ったかな。それじゃあ始めましょうか。
えー、皆さん初めまして。初回のオリエンテーションを担当するジェームズです。皆さんの収容担当主任でもあります。皆さんご存じかとは思いますが、最近の色々のせいで財団の収容も経費削減のために一部在宅ワークに切り替えることになりました。ご時勢には逆らえないということで。
まぁその、いろいろあるわけですが。財団の使命は変わらないということで、こうして、Z██mを介してですけどもちゃんと収容を行います。むしろですね、皆さんには、Z██m越しだからこそしっかりと収容されていただきたいなと、Z██m越しだからこそ皆さんの普段の収容意欲がね、問われるということですね。
今日は初回のガイダンスとして「なぜ財団が在宅収容を実施するに至ったか?」という話をさせていただきます。それと、最後にこの試験について採点の話などもしますけども。
皆さんがご存じの通り、財団の在宅収容制度は████年から部分的に導入されています。その年といえば、同時多発的な事故により財団の人的資源と、台所事情に多大なる影響を与えた「嘆きの給料日事件」が起きたことは皆さんご存じでしょう。本筋とは逸れるため事件についての詳細は省きますが、……あそこで8番の馬が差し切ってさえくれればなぁ。
コホン!この話に触れるとどうしても感傷的になっていけませんね。話を戻しましょう。この一件で財政状況が致命的に悪化した財団は、業務の省コスト化のため、一部オブジェクトの収容を在宅に切り替えました。俗にいうテレ収容というやつですね。そもそも財団の収容というのは大衆を危険から守ることはもちろんとして、大衆から異常を隠すことにもありました。財団の経営破綻によりヴェールがはがれた現在においては、そのヴェールがなくなったわけですから、社会に危険が及ばない範囲でオブジェクトの収容を簡易化するというのは全く理にかなっていますね。
……というのが建前の話で、いや、まぁ嘘だというわけではないんですけどね。本当はテレ収容に移行することで東京都から助成金がもらいたかったんじゃないかってのいうのがもっぱらの噂ですけどね。あ、これ、他で言わないでくださいね。私が怒られちゃいますから。
というわけでテレ収容が始まって多少経つわけですが、今のところは問題なく先輩オブジェクトたちも収容できているとのことで、さらに拡大していこうというのが今回なわけですね。皆さんが実績になるわけですから、財団の看板を背負うような気持でね、収容されてもらえたらなと。
大体このミーティングの背景について説明が終わったので、試験の方の話に移りましょうか。この収容試験は週に2度、同じ時間で行われます。しっかりと出席をお願いします。全部で32回あ「──────────」も、て「──────────」……誰かミュートにしてないオブジェクトの方がいますね。超音波と金属音で聞こえない生徒がいるそうなのでこちらからミュートにします。
えー、先ほども言いましたけど、点数が足りない場合、再収容などの措置が取られますので気を付けてください。詳しいことはシラバスに書いてあります。皆さんすでに読まれたと思いますけどね。
更新日 | 2021/04/01 |
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対象オブジェクト等 | サイト-██所属オブジェクト。 |
聴講指定 | 人型オブジェクトを基本とするが、必要な知性があれば種類は問わない。 |
試験の概要 | 財団の理念や、財団の歴史を学び、異常実体を収容することの重要性について学ぶことを目的としている。また、スクラントン現実錨や現実改変についての理論、効率的なカバーストーリーの流布方法を学ぶことで、自身が一般社会に露見してしまった場合でも自ら状況に対処できる知識を身に着ける。最終的には財団からの在宅収容認定を取得し、自主的な収容を行えるようにする。なお本講義では幅広い知識を身に着けるため、1財団職員に対して基本2講義を行う形のオムニバス形式で行います。 |
学習の到達目標 | 適切な収容方法や財団の理念を学び、自主的な収容を行えるようにする。 |
成績評価の方法と基準 | 各回での課題(30%)、試験(70%)を基本として評価をするが、これに発言や出席状況などを加味する。一定基準に満たない者は来期から対面式収容に切り替える。なお、出席が2/3に満たないことが確定した場合、成績評価を行わずただちに対面式収容を行う。 |
成績評価の欄にも書いてありますが、2/3以上の収容確認が認められない場合は成績評価をそもそも行いませんので注意してください。試験の結果合格点に満たない場合は再試や再履修などの措置で済む場合がありますが、そもそも成績評価を行えない、ちゃんと収容できていない場合はご自宅に収容エージェントが急行しますからね。
成績評価の方法は担当職員によって違うので気を付けてください。まぁ恐らくは大体の職員がオンラインでできる指示を出すと思いますけども。ただサカモト博士だけはオンラインじゃ納得できないらしくて対面式で収容する予定らしいですよ。硬派ですねぇ。
あとは……ああそうだ、Z██mIDやパスワードを友人に教えたり、講義を録画するのはやめてください。違反行為が確認できた時点で参加を取り消して再収容を行います。
あとは……オリエンテーションとしては以上ですかね。今回は少し早いですがこれで終わります。次回はキム研究員が担当しますのでキム研究員からのメールを確認して参加してください。キム研究員の講義では主に「財団在宅収容学・対面せずに利用できる生活サービス」について話してもらう予定です。人によっては中々異常性を隠すことが難しい方もいますからね。ちなみに私の次回の受け持ちは最終回の期末試験までありませんが、よろしくお願いします。
それではこれでZ██mを終わりますので退出してください。お疲れさまでした。

お疲れさまでした~。
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カラオケ部(4) |
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